弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成26年(あ)第1655号住居侵入,逮捕監禁,殺人,現住建造物等放火,
有印私文書偽造・同行使,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件
平成28年6月13日第二小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人山本彰宏,同布川佳正の上告趣意のうち,憲法31条,36条違反をいう
点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁
昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191
頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻
4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判
決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余
は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告
理由に当たらない。
なお,所論に鑑み記録を精査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認め
られない。
付言すると,本件は,次の2事件を中心とする事案である。
被告人と同性愛の関係にあった男性(以下「A」という。)が,被告人の居住す
る名古屋市から山形市にあるAの実家に帰り,いずれも身体に不具合のある両親の
世話と家業を手伝っていたところ,被告人が,Aをその実家から連れ戻す目的で,
Aの実家の建物への放火を計画し,同建物内にAの両親がいるかもしれず,同建物
に放火すればAの両親が死亡するかもしれないことを認識しながら,あえて,同建
物付近に灯油をまいた上放火し,同建物を全焼させるとともに,Aの両親を焼死さ
せた事件(以下「山形事件」という。)。
被告人が,その後同性愛の関係にあった別の男性(以下「B」という。)の居所
を知るため,同人に対する執ようなストーカー行為等を繰り返したが知るに至ら
ず,その挙げ句,居所を教えようとしないBの母親(以下「C」という。)に対す
る逆恨みから同人を殺害し,その犯行を隠蔽するため同人方居宅(東京都内の集合
住宅の一室)に放火することを計画し,被告人の妻と共謀の上,C方に侵入し,帰
宅したCの両手足を結束バンドで緊縛するなどして約4時間半にわたって逮捕監禁
した後,殺意をもって,同人の身体に大型のたらいを覆い被せ,燃焼した炭をその
中に入れて,同人を一酸化炭素中毒により死亡させ,その後Bが現に住居に使用し
ていた同居宅の床面に灯油をまいた上で放火し,同居宅を全焼させた事件(以下
「東京事件」という。)。
被告人は,Aを連れ戻したいとの身勝手な動機から放火を計画し,未必的な殺意
に基づくものとはいえ,2名を死亡させるという山形事件を実行し,さらに,その
後,Bの居所を隠し続けるCに対する逆恨みから東京事件を実行した。わずか1年
余の間に,いずれも交際相手を連れ戻したいという思いから出発して,殺人,放火
という重大犯罪を重ねたことは,被告人の身勝手極まりない人命軽視の態度を示す
ものといえ,各犯行とも強い非難を免れない。合計で3名の生命を奪った結果はも
とより極めて重大である。また,東京事件は,殺人の点も含めて周到な用意の上で
実行された計画的犯行である。Cが苦しみを訴え,必死に命乞いするにもかかわら
ず,約2時間にわたってたらいの上に座り続けるなどして殺害の目的を遂げてお
り,犯行態様は誠に残忍というほかない。各放火の犯行も危険極まりないものであ
る。東京事件には妻が共犯として関与しているものの,被告人が首謀者であること
は明白で,その責任は妻と比べて格段に重い。いずれの被害者らにも落ち度は全く
なく,遺族らが峻烈な処罰感情を示しているのも当然である。
山形事件については未必的な殺意が認められるにとどまること,被告人が反省の
態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,その
刑事責任は極めて重大というほかなく,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑
は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官野口元郎,同宇川春彦公判出席
(裁判長裁判官千葉勝美裁判官小貫芳信裁判官鬼丸かおる裁判官
山本庸幸)

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