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平成30年9月27日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成29年(ワ)第6293号不正競争行為差止等請求事件
口頭弁論終結日平成30年6月26日
判決
原告任天堂株式会社
同訴訟代理人弁護士松田俊治
同田島弘基
同小槻英之10
被告株式会社MARIモビリティ開発
(以下「被告会社」という。)
同訴訟代理人弁護士長沢幸男15
被告A
(以下「被告A」という。)
被告ら訴訟代理人弁護士鮫島正洋
同高瀬亜富20
同永島太郎
同内田公志
主文
1被告会社は,営業上の施設及び活動(外国語のみで記載されたウェブサイト
及びチラシによるものを除く。)において,別紙被告標章目録第1記載1ない25
し4の各標章を使用してはならない。
2被告会社は,前項記載の標章を,前項記載の営業上の施設,広告宣伝物及び
カート車両から抹消せよ。
3被告会社は,営業上の施設及び活動において,別紙被告標章目録第2記載1
ないし11の各標章を使用してはならない。
4被告会社は,別紙投稿動画目録記載1ないし16の各動画のデータを廃棄せ5
よ。
5被告会社は別紙ドメイン名目録記載1ないし4の各ドメイン名を外国語のみ
で記載されたウェブサイトのために使用する場合を除き使用してはならない。
6被告会社は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成30年3月3
1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。10
7原告のその余の請求をいずれも棄却する。
8訴訟費用は,原告に生じた費用の5分の4と被告会社に生じた費用の5分の
4を被告会社の負担とし,その余は原告の負担とする。
9この判決は,第6項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由15
第1請求
1被告会社は,営業上の施設及び活動において,別紙被告標章目録第1記載1
ないし4の各標章を使用してはならない。
2被告会社は,前項記載の標章を,店舗その他の営業上の施設,広告宣伝物及
び自動車,自転車,軽車両その他の営業表示物件から抹消せよ。20
3被告会社は,東京法務局平成27年6月4日設立の商業登記中,「株式会社
マリカー」の商号登記の抹消登記手続をせよ。
4被告会社は,別紙原告表現物目録記載1ないし4の著作物を複製又は翻案し
てはならない。
5被告会社は,被告会社が運営しているウェブサイトや動画共有サービスにお25
いて,別紙原告表現物目録記載1ないし4の著作物の複製物又は翻案物を自動
公衆送信又は送信可能化してはならない。
6主文第3項同旨。
7被告会社は,別紙掲載写真目録記載1ないし3の各写真をウェブサイトから
削除し,当該写真データを廃棄せよ。
8被告会社は,別紙投稿動画目録記載1ないし16の各動画をウェブサイトか5
ら削除し,当該動画のデータを廃棄せよ。
9被告会社は,別紙ドメイン名目録記載1ないし4の各ドメイン名を使用して
はならない。
10被告会社は,別紙ドメイン名目録記載2及び4の各ドメイン名の登録を抹消
せよ。10
11被告会社は,別紙貸与物目録記載1ないし6の各コスチュームを顧客に貸与
してはならない。
12被告らは,原告に対し,連帯して1000万円及びこれに対する平成29年
3月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要15
本件は,原告が,被告会社による①原告の周知又は著名な商品等表示である
文字表示である「マリオカート」及び「マリカー」(以下,これらを併せて
「原告文字表示」という。)と類似する別紙被告標章目録第1記載の各標章
(以下「被告標章第1」という。)の営業上の使用行為及び商号としての使用
行為が不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号又は2号の不20
正競争に,②原告が著作権を有する別紙原告表現物目録記載の各表現物(以下
「原告表現物」という。)と類似する部分を含む別紙掲載写真目録記載の各写
真(以下「本件各写真」という。)及び同投稿動画目録記載の各動画(以下
「本件各動画」という。)を作成(以下「本件制作行為」という。)してイン
ターネット上のサイトへアップロードする行為(以下,この掲載及びアップロ25
ード行為を「本件掲載行為」という。)が原告の著作権(複製権又は翻案権,
公衆送信権等)侵害に,③原告の周知又は著名な商品等表示である原告表現物
又は別紙原告商品等表示目録記載の商品等表示(以下「原告立体像」という。)
と類似する表示である別紙被告標章目録第2記載の各標章(コスチューム及び
人形,以下「被告標章第2」といい,同目録記載の標章を「被告標章第2のい
1」等と特定する。)を使用する行為である本件掲載行為,従業員のコスチュ5
ーム着用行為及び店舗における人形の設置行為(以下,併せて「本件宣伝行為」
という。)が不競法2条1項1号及び2号の不正競争に,④原告の特定商品等
表示である原告文字表示と類似する別紙ドメイン名目録記載の各ドメイン名
(以下「本件各ドメイン名」という。)の使用が同項13号の不正競争に,⑤
原告表現物の複製物又は翻案物である別紙貸与物目録記載の各コスチューム10
(以下「本件各コスチューム」という。)を貸与する行為(以下「本件貸与行
為」という。)が原告の著作権(貸与権)侵害に,各該当すると主張して,被
告会社に対し,前記各不正競争該当行為(前記①,③及び④)につき不競法3
条1項及び2項に基づき,著作権侵害該当行為(前記②及び⑤)につき著作権
法112条1項及び2項に基づき,前記①につき被告標章第1の使用差止め,15
同抹消及び商号登記の抹消を(請求の趣旨第1ないし3項),前記②につき原
告表現物の複製又は翻案及び複製物等の自動公衆送信等の各差止め並びに本件
各写真及び本件各動画の削除及びデータ廃棄を(請求の趣旨第4,5,7及び
8項),前記③につき被告標章第2の使用差止め並びに本件各写真及び本件各
動画の削除及びデータ廃棄を(請求の趣旨第6ないし8項),前記④につき本20
件各ドメイン名の使用差止め及び同ドメイン名の一部の登録抹消を(請求の趣
旨第9及び10項),前記⑤につき本件貸与行為の差止めを(請求の趣旨第1
1項),被告らに対し,前記各不正競争該当行為(前記①,③及び④)につき
不競法4条,5条3項1号及び4号に基づき,著作権侵害行為(前記②及び⑤)
につき民法709条及び著作権法114条3項に基づき,損害賠償として1025
00万円(一部請求)及びこれに対する不法行為後の日である平成29年3月
18日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による
遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
1前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全
趣旨により認められる事実)
(1)当事者等5
ア原告は,娯楽用品,運動具,音響機器及び乗物の製造及び販売,ゲー
ム,映像及び音楽等のコンテンツの制作,製造及び販売,キャラクター商
品の企画,製造及び販売並びに知的財産権の許諾等を業とする株式会社で
ある。
イ被告会社は,自動車等の売買,リース,レンタル等を業とする株式会10
社であり,平成27年6月4日に設立された。
ウ被告Aは,被告会社の代表取締役である(甲2)。
(2)原告によるゲームソフト「マリオカート」シリーズの開発販売
ア原告は,平成4年8月27日,ゲーム機種スーパーファミコン用のゲ
ームソフトとして「スーパーマリオカート」を発売し,平成26年5月15
29日までの間に,合計8本の「マリオカート」シリーズのゲームソフ
トを販売した(甲7)。
「マリオカート」は,「マリオ」,「ルイージ」,「ヨッシー」,
「クッパ」等のキャラクターが,カートに乗車して様々なコースを走行
し,レースを繰り広げることを特徴とするゲームシリーズである(甲820
の1ないし9)。
イ原告表現物目録記載1の「マリオ」(以下「原告表現物マリオ」とい
い,その他の原告表現物も同様に特定する。),原告表現物ルイージ,
原告表現物ヨッシー及び原告表現物クッパは,人物又は生物のイラスト
で,絵画の著作物であり,原告が著作権を有する。原告表現物は,「ス25
ーパーマリオブラザーズ」をはじめとする原告の一連のゲームシリーズ
である「マリオ」シリーズ等に登場し,「マリオカート」シリーズにも
カートの運転手として登場するキャラクターである「マリオ」,「ルイ
ージ」,「クッパ」及び「ヨッシー」の人物又は生物としての表現上の
特徴を再現したといえるものである。(甲7,8の1ないし9,94の
2)。5
(3)被告会社等による公道カート等のレンタル事業
ア被告会社は,設立時である平成27年6月4日から,少なくとも平成
28年6月23日まで間,「MariCAR」との屋号を用いて,公道を走行す
ることが可能なカート(以下「公道カート」という。)のレンタルとそ
れに付随する事業(以下「本件レンタル事業」という。)を営んでいた。10
なお,被告会社が,平成28年6月24日以降も引き続き本件レンタル
事業を営んでいたか否かについては争いがある(争点1参照)。
イ本件レンタル事業に係るサービスを提供する店舗は,当初は品川店の
みであったが,遅くとも平成29年2月23日までには,渋谷店,秋葉
原第1号店,秋葉原第2号店,秋葉原第3号店,秋葉原第4号店,富士15
河口湖店,大阪店及び沖縄店が加わった(甲3,6の1ないし4)。
ウ平成29年10月6日当時において,被告会社から公道カートの提供
を受けたとして「MariCAR」との屋号を用いて本件レンタル事業に関与し
ていた団体として,品川カート有限事業責任組合(以下「品川組合」と
いう。),秋葉原カート有限事業責任組合(以下「秋葉原組合」とい20
う。),株式会社PLAN–S,株式会社マリカー大阪,沖縄カート有限
事業責任組合(以下「沖縄組合」という)及び合同会社エコカート(以
下,前記の各団体を併せて「関係団体」という。)があった。このうち
品川組合は品川店及び渋谷店の,秋葉原組合は秋葉原第1号店ないし第
4号店の,株式会社PLAN–S社は富士河口湖店の,株式会社マリカー25
大阪は大阪店の,沖縄組合は沖縄店の,合同会社エコカートは六本木店
の,それぞれ運営に関与していた(甲6の1,甲62の1,乙48の1
ないし5,弁論の全趣旨)。
被告会社は,平成28年6月24日から平成29年10月23日まで
の間は品川組合の,同年6月13日から同年10月24日までの間は秋
葉原組合の,同年6月26日から同年11月6日までの間は沖縄組合の,5
各組合員であった(甲121の1,3,4)。
エ被告会社は,平成28年6月24日以降,関係団体に対し公道カート
及びその部品を販売して提供しているとし,また本件レンタル事業等に
供される公道カートのメンテナンスサービスを提供している(以下,同
事業を「本件販売整備事業」という。甲6の1,2,4,甲102の1,10
甲132の1,2,乙1ないし3の2,甲41の5ないし9)。
(4)被告標章第1の使用
ア被告標章目録第1記載1の標章(以下「被告標章第1の1」といい,
その他の被告標章第1も同様に特定する。)(「マリカー」)
(ア)被告会社は,平成27年6月4日の設立時から平成30年3月2115
日まで,「株式会社マリカー」との商号を用いていたが,同月22日
付けで,その商号を「株式会社MARIモビリティ開発」に変更した
(乙84)。
(イ)平成28年10月頃に作成され,同年11月15日当時に品川店に
おいて配布されていた本件レンタル事業に係るチラシ(以下「本件チ20
ラシ」という。)には,「マリカーは,普通免許で運転できる一人乗
りの公道カートのレンタル&ツアーサービスです。」,「マリカーは
普通運転免許(AT可)が必要なアクティビティです!」との記載が
あった(甲3,4,59の1)。
(ウ)被告会社は,平成29年2月23日当時,同社のウェブサイト25
(http://以下省略,以下「被告会社サイト」という。)に,「マリ
カー・ハロウィンイベント実施」,「マリカーAmazon店が正式OPE
N」,「マリカーYahoo!Japanショッピング店が正式」,「マリカー
に乗って道路を走っていると自然と笑顔になれる。」と記載していた
(甲6の3,争いのない事実)。
(エ)品川店のウェブサイト(http://以下省略,以下「品川店サイト1」5
という。)及び富士河口湖店のウェブサイト(http://以下省略,以
下「河口湖店サイト」という。)には,平成29年2月23日当時,
それぞれ,「マリカーとは?」,「マリカーは,日本最大級の公道カ
ートのレンタル&ツアーサービスです」,「みんなで日本一の公道カ
ート『マリカー』を楽しんじゃってください!!ぜひ日本最大級のマ10
リカーに遊びに来て下さい!」等と記載されていた(甲6の1,2)。
(オ)品川店のウェブサイト(http://以下省略,以下「品川店サイト2」
という。)には,平成29年8月10日及び同年11月14日当時,
「私たち,マリカーは,毎日通常通りに営業を行っております。マリ
カーは法律を遵守しており,今後も法律に則って運営して参りま15
す。」,「マリカーに合わせて楽しいオプションをご用意。」等と記
載されていた(甲74,102の1)。
(カ)秋葉原第1号店のウェブサイト(http://以下省略及びhttp://以下
省略,以下,それぞれ「秋葉原第1号店サイト1」及び「秋葉原第1
号店サイト2」という。)には,平成29年10月2日当時は秋葉原20
第1号店サイト2に,平成30年5月7日当時は秋葉原1号店サイト
1及び2に,前記(オ)と同一の記載がされていた(甲132の1,2,
乙41の6)。
(キ)渋谷店のウェブサイト(http://以下省略,以下「渋谷店サイト」と
いう。),大阪店のウェブサイト(http://以下省略,以下「大阪店25
サイト」という。),沖縄店のウェブサイト(http://以下省略,以
下「沖縄店サイト」という。)には,平成29年10月2日当時,そ
れぞれ前記(オ)と同一の記載がされていた(乙41の7ないし9)。
イ被告標章第1の2(「MariCar」)
(ア)本件レンタル事業に供される公道カートの前部及び側面等には,少
なくとも平成28年11月15日から平成30年5月7日頃までの間,5
黄色又は白色の文字で「MariCar」とペイントされていた(甲4,6
の1ないし4,甲74,85の3,甲102の1,甲106の1,2,
6ないし9,甲132の1,2,甲134の2,乙85)。
(イ)被告会社は,平成29年2月23日当時,被告会社サイトに前記標
章をペイントした公道カートの写真を掲載して,同標章を表示してい10
た(甲6の3,争いのない事実)。
ウ被告標章第1の3(「MARICAR」)
(ア)被告会社は,平成29年2月23日当時,被告会社サイトに,
「MARICAR」との文字及びカートに乗った人物を組み合わせたロゴ
(以下「本件ロゴ」という。)を複数箇所に掲示していた(甲6の15
3)。
(イ)品川店サイト1及び2,河口湖店サイトには,平成29年2月23
日当時,それぞれ本件ロゴが掲示されていた(甲6の1,2,4)。
(ウ)品川店サイト2には,平成29年8月10日,同年10月2日及び
同年11月14日当時,本件ロゴが掲示されていた(甲74,10220
の1,乙41の1ないし5)。
(エ)平成29年10月2日当時,秋葉原第1号店サイト2に,平成30
年5月7日当時,秋葉原第1号店サイト1及び2に,それぞれ本件ロ
ゴが掲載されていた(甲132の1,2,乙41の6)。
(オ)渋谷店サイト,大阪店サイト及び沖縄店サイトには,平成29年125
0月2日当時,それぞれ本件ロゴが掲載されていた(乙41の7ない
し9)。
(カ)本件レンタル事業に供される公道カートの前部や側面等には,少な
くとも平成28年11月15日から平成30年5月7日頃までの間,
本件ロゴがペイントされていた(甲4,6の1ないし4,甲132の
1,2,甲134の2,乙85)。5
(キ)本件チラシには,その両面の左上部分に本件ロゴが記載されていた
(甲3,4)。
(ク)品川店においては,平成28年11月15日当時,本件ロゴが印刷
された名刺(以下「本件名刺」という。)を配布していた(甲4,5
7)。10
エ被告標章第1の4(「maricar」)
本件チラシには,「maricar.以下省略」と記載されていた(甲3,
4)。
(5)本件掲載行為
ア本件各写真の掲載15
(ア)別紙掲載写真目録記載1の写真(以下「本件写真1」といい,その
他の本件各写真も同様に特定する。)は,遅くとも平成29年2月2
3日までに,品川店サイト1に掲載された(甲6の1)。
(イ)本件写真2及び3は,遅くとも平成29年2月23日までに,河口
湖店サイトに掲載された(甲6の2)。20
(ウ)本件各写真は,遅くとも平成29年6月16日までに上記の各サイ
トから削除された(弁論の全趣旨)。
イ本件各動画の掲載
(ア)別紙投稿動画目録記載1の動画(以下「本件動画1」といい,その
他の本件各動画も同様に特定する。)は,平成27年11月2日に,25
本件動画2は同月3日に,本件動画3及び本件動画4は同月4日に,
本件動画5は同月22日に,本件動画6は同月23日に,本件動画7
は同年12月5日に,本件動画8は同月22日に,本件動画9及び1
0は同月26日に,本件動画11は平成28年1月6日に,本件動画
12は同月10日に,本件動画13は同月11日に,本件動画14は
同月26日に,本件動画15は同年8月15日に,本件動画16は平5
成29年1月12日に,それぞれインターネット上の動画共有サービ
スであるYouTubeにアップロードされた(弁論の全趣旨)。
本件各動画のうち,本件動画1ないし12及び16は,本件レンタ
ル事業の利用者らが,コスチュームを着用し,公道カートに乗車して
東京都内を走行する様子等を撮影して作成されたものであり,本件動10
画13ないし15は,本件レンタル事業について放映されたテレビ番
組を録画して作成されたものである(甲42の1ないし16,甲43
の1ないし16)。
(イ)本件各動画は,遅くとも平成29年6月16日までに上記のサービ
スから削除された(弁論の全趣旨)。15
(6)従業員によるコスチューム着用行為及び人形の設置行為
ア本件レンタル事業においては,公道カートをレンタルした利用者がガ
イドに案内されて東京都内を走行するツアーが用意されており,平成2
7年6月4日頃から平成29年6月16日頃までの間,「マリオ」,
「ルイージ」,「ヨッシー」,「クッパ」等のコスチュームを着用した20
従業員が公道カートに乗車して利用者を先導することより,ガイドを勤
めていた(甲4,6の1,甲43の13,16,乙63)。
イ品川店においては,遅くとも平成28年6月4日頃から平成29年2
月24日頃までの間,店舗内の入口付近に,入口側に背を向ける方向で,
身長120㎝ほどの「マリオ」の人形(別紙被告標章目録第2記載11,25
以下「本件マリオ人形」という。)が設置されていた(甲4,84,1
08の1,2)。
本件マリオ人形は,遅くとも平成29年6月16日までに撤去された
(弁論の全趣旨)。
(7)本件各ドメイン名の使用
ア被告会社は,遅くとも平成29年1月31日までに,別紙ドメイン名5
目録記載2のドメイン名(以下「本件ドメイン名2」といい,その他の
本件各ドメイン名も同様に特定する。)につきドメイン名登録機関から
登録を受け,平成29年2月23日当時,これを被告会社サイトの開設
に使用していた(甲55の2)。
イ被告会社は,遅くとも平成29年1月31日までに,本件ドメイン名10
4につきドメイン名登録機関から登録を受けたが,平成30年1月31
日までの間に,同登録を抹消した。
本件ドメイン名4は,平成29年2月23日当時には品川店サイト2
の開設に,同年10月2日当時には秋葉原第1号店サイト2,渋谷店サ
イト,大阪店サイト及び沖縄店サイトの開設に,平成30年5月7日当15
時には秋葉原第1号店サイト2の開設に,それぞれ使用されていた(甲
6の4,甲55の4,甲132の2,乙41の5,7ないし9,甲5
6)。
ウ株式会社ゼント社(以下「ゼント社」という。)は,遅くとも平成2
9年1月31日までに,本件ドメイン名1及び3につきドメイン登録機20
関から登録を受けた。
本件ドメイン名1は,平成29年2月23日当時は品川店サイトの開
設に,平成30年5月7日当時は秋葉原第1号店サイト1の開設に,そ
れぞれ使用されていた。
本件ドメイン名3は,平成29年2月23日当時,河口湖店サイトの25
開設に使用されていた(甲6の1,2,甲55の1,3,甲132の
1)。
(8)本件貸与行為
ア品川店においては,少なくとも平成28年1月11日頃から平成29
年11月16日頃までの間,本件貸与行為を行っていた(甲6の1,4,
甲39,甲42の13,甲43の13,甲75の1,甲105の1,甲5
106の5,8)。
イ河口湖店においては,少なくとも平成29年2月23日から同年11
月15日頃までの間,本件貸与行為を行っていた(甲6の2,甲102
の2,甲105の2)。
ウ大阪店においては,少なくとも平成29年5月27日頃から同年1110
月15日頃までの間,本件貸与行為を行っていた(甲105の3,甲1
06の7)。
(9)登録商標
被告会社は,「マリカー」の標準文字からなる以下の商標(以下「本件
商標」という。)に係る商標権を有している(甲66の1ないし3,乙215
1)。
登録番号第5860284号
出願日平成27年5月13日
登録日平成28年6月24日
登録商標マリカー(標準文字)20
指定商品及び指定役務並びに商品及び役務の区分
第39類船舶・航空機・乗物・自動車・オートバイ・自転車・
乳母車・人力車・そり・手押し車・荷車・馬車・リアカーの貸与
及びこれらに関する情報の提供等
2争点25
(1)被告会社が平成28年6月24日以降,被告標章第1の4の使用,本件制
作行為,本件掲載行為を含めた本件宣伝行為,本件ドメイン名1,3及び
4の使用並びに本件貸与行為(以下「本件各行為」という。)を行ったか
否か(争点1)
被告会社が,平成28年6月24日以降,「株式会社マリカー」との商号
を使用するとともに,本件ドメイン名2を使用し,これによって開設した5
被告会社サイトにおいて,被告標章第1の1及び2を表示したことについ
ては争いがなく,本件ロゴを掲載することによって被告標章第1の3を表
示したことは前記前提事実(4)ウ(ア)のとおり容易に認定することができる。
一方,同日以降,原告が不正競争行為,著作権侵害行為に該当すると主張
するその余の本件各行為を行ったのが被告会社であるか否かについては争10
いがある。
(2)不競法に基づく請求について
ア被告標章第1の使用差止及び抹消請求の可否
(ア)被告標章第1の営業上の使用行為及び商号としての使用行為が不競
法2条1項1号又は2号の不正競争に該当するか否か(争点2)15
(イ)登録商標の抗弁の成否(争点3)
(ウ)使用差止及び抹消請求の可否及び範囲(争点4)
イ被告標章第2の使用差止並びに本件各写真等の削除及び廃棄請求の可

(ア)被告標章第2を使用する本件宣伝行為が不競法2条1項1号又は220
号の不正競争に該当するか否か(争点5)
(イ)使用差止及び抹消・廃棄請求の可否及び範囲(争点6)
ウ本件ドメイン名の使用差止及び登録抹消請求の可否
(ア)本件ドメイン名の使用行為が不競法2条1項13号の不正競争に該
当するか否か(争点7)25
(イ)使用差止及び登録抹消請求の可否及び範囲(争点8)
(3)著作権法に基づく請求について
ア原告表現物の複製又は翻案の差止請求並びに本件各写真等の抹消及び
廃棄請求の可否
(ア)本件各写真及び本件各動画が原告表現物の複製物又は翻案物に当た
るか否か(争点9)5
(イ)複製又は翻案の差止請求の可否及び範囲(争点10)
イ本件貸与行為の差止請求の可否
(ア)本件各コスチュームが原告表現物の複製物又は翻案物に当たるか否
か(争点11)
(4)損害論10
ア被告Aに対する損害賠償請求の可否(争点12)
イ原告の損害額(争点13)
3争点に対する当事者の主張
(1)争点1(被告会社が平成28年6月24日以降,本件各行為を行ったか否
か)について15
(原告の主張)
ア被告会社は,平成27年6月4日に設立された後,本件レンタル事業
を開始し,本件訴訟提起後に至るまで,顧客に対して,有償で公道カー
ト,本件各コスチュームその他の機器・物品等をレンタルするビジネス
を営んでいる。20
イ仮に,被告会社が,関係団体に本件レンタル事業を形式的に移管した
と認められるとしても,被告会社は,同事業の具体的な内容及び手順等
を実質的に管理・支配することにより,これら関係団体を自らの手足な
いし道具として侵害行為を行っているにすぎないから,侵害行為の実質
的又は規範的な主体と評価されるべきである。25
(被告らの主張)
ア被告会社は本件レンタル事業を立ち上げたものの,平成28年6月2
4日以降は,本件レンタル事業を関係団体へ移管し,同日以降は関連団
体が同事業を実施している。被告会社は,同日以降は,関係団体に対し,
公道カートを販売したり,メンテナンスの業務を提供したり,可能な範
囲で事業運営に関するアドバイス等を行ったり,自己の有する登録商標5
の使用を許諾する等して本件レンタル事業に関与していたにすぎない。
したがって,被告会社が,平成28年6月24日以降,本件各行為を
行った事実はない。
イ原告は,被告会社が関係団体を管理・支配していたと主張するが,安
全面等について関係者で協力し,情報共有しているというだけの話であ10
り,管理・支配関係は存在しない。
(2)争点2(被告標章第1の営業上の使用行為及び商号としての使用行為が
不競法2条1項1号又は2号の不正競争に該当するか否か)について
(原告の主張)
ア原告文字表示の周知性又は著名性15
(ア)原告文字表示のうち「マリオカート」(以下「原告文字表示マリオ
カート」という。)は,原告が開発販売する著名なゲーム作品である
「マリオ」シリーズに登場する「マリオ」をはじめとするキャラクタ
ーがカートレースを繰り広げるアクションレースゲームの名称であり,
同ゲームシリーズは平成4年8月27日に第一作目が発売されて以降,20
平成28年12月末日時点でシリーズ合計8作の全世界での累計販売
本数は1億1000万本を超え,世界有数のゲームシリーズである上,
原告によるライセンス商品の広告・宣伝及び販売並びにコラボレーシ
ョン活動を通じて,非常に高度な知名度を獲得した。
また,原告文字表示のうち「マリカー」(以下「原告文字表示マリ25
カー」という。)は,「マリオカート」を「マリオ」と「カート」の
二単語に分け,それぞれの冒頭二文字を切り出し,再度結合して作ら
れた「マリオカート」の略称であり,遅くとも平成8年頃から現在に
至るまで,様々なメディア(ゲーム雑誌,テレビ番組,漫画作品等)
や多数のユーザーにおいて広く一般に使用されている。
したがって,原告文字表示マリオカート及びその略称である原告文5
字表示マリカーは,原告の周知かつ著名な商品等表示である。
(イ)被告らは,本件レンタル事業の需要者を訪日外国人に限定されると
主張するが,同事業におけるサービスの提供を受ける者に日本人が含
まれることは明らかであり,被告らの前記主張は前提において誤って
いる。10
また,被告らの主張は訪日外国人が日本語を理解できないことを前
提としているが,在日米軍関係者や在日本大使館員等,日本に居所が
あり一定期間居住している外国人の中には,片仮名の読み書きができ
る者が相当程度存在する上,本件レンタル事業を利用する訪日外国人
は,日本文化,とりわけ原告の「マリオ」シリーズに強い関心を持つ15
者であるから,これらの者には日本語に理解のある者も相当程度存在
し,訪日外国人であれば日本語を理解できないという経験則はない。
イ被告標章第1と原告文字表示との類否
(ア)被告標章第1の1は,原告文字表示マリカーと外観,称呼,観念が
同一であり,類似することは明らかである。20
また,被告標章第1の2ないし4は,原告文字表示マリカーと称呼
において同一であり,「Mari」「MARI」及び「mari」は「マリオ」の
省略形である「マリ」の英語表記,「カー」は「カート」の称呼の省
略形であるか,「カート」を含んだ車両という意味の上位概念である
「カー」(「Car」「CAR」及び「car」)を指すものと理解されるこ25
とからすれば,「マリオカート」の略称である「マリカー」を連想さ
せ,観念においても同一又は極めて類似している。さらに,被告会社
は,前記各標章を「マリオ」シリーズのキャラクターの写真や動画と
ともに使用しているのであるから,取引者又は需要者は,当該具体的
な使用態様の下においては,前記各標章と原告文字表示マリカーを類
似のものとして受け取るといえる。5
(イ)また,被告標章第1は,前記のとおり「マリオカート」の略称であ
る「マリカー」を連想させるといえるから,同時に原告文字表示マリ
オカートを想記させるといえる。
ウ混同を生じさせるおそれの有無
被告会社の営む本件レンタル事業は,需要者から「マリオカート」を10
公道上においてリアルに体験するものであると評価されており,同事業
の平均的な需要者は,被告会社が,原告の関連会社であるか,原告との
間に知的財産権に関するライセンスを受けるといった緊密な営業上の関
係,その他の同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存在して
いると理解することは確実であるから,被告会社による被告標章第1の15
使用行為は,「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」に該当す
る。
(被告らの主張)
ア原告文字表示の周知性又は著名性
本件レンタル事業の需要者は,外国人旅行者,在日米軍関係者又は在20
日大使館員などの訪日外国人であるところ,原告は,原告文字表示マリ
オカート及び原告文字表示マリカーが訪日外国人において周知かつ著名
であることについての主張立証を行っていない。原告が原告文字表示マ
リカーの周知性・著名性の根拠として提出する証拠は,すべて日本語で
表記された日本人向けメディアによるものであり,訪日外国人について25
これを立証する証拠はない。
また,「マリカー」の欧文字は「MariKar」又は「MariKa」となるとこ
ろ,これらの文字列について,インターネットの検索エンジンで検索し
ても「マリオカート」に関するウェブサイトは一切表示されないのであ
るから,片仮名表示による「マリカー」表示が訪日外国人にとって周知
かつ著名といえるはずがない。このことは,訪日外国人に対するアンケ5
ート調査において,「マリカー」の片仮名の表示を原告のビデオゲーム
ソフトの名前として認知している者の割合がわずか0.4%(228名
中1人)にすぎなかったことからも明らかである。
イ被告標章第1と原告文字表示との類否
本件レンタル事業の需要者である訪日外国人にとって,片仮名の原告10
文字表示と被告標章第1が同一でないことはもちろん,類似するともい
えないことは明らかである。
ウ混同を生じさせるおそれの有無
現在では,関係団体のウェブサイト上に,英語,フランス語,中国語,
韓国語及び日本語で,「ゲーム『マリオカート』(MarioKart)とは全15
くの別物です」という趣旨の記載がされており,本件レンタル事業と原
告とは一切関係がないことが明示的かつ対外的に示されているのである
から,将来的にも混同のおそれが生じる可能性はない。
(3)争点3(登録商標の抗弁の成否)について
(被告らの主張)20
被告会社は,本件商標の商標権者であるから,被告会社及び同社から使用
を許諾された関係団体は,「マリカー」という標章を使用する正当な権限
を有する。
なお,平成5年法律第47号による不競法の改正により,それまで同法6
条にあった登録商標の抗弁に係る規定は削除されたが,周知表示の存在に25
もかかわらず商標権者側が登録商標を使用することが可能であることを前
提とする商標法32条2項及び商標権者が指定商品又は指定役務について
登録商標を使用する権利を専有することを規定した同法25条からすれば,
被告会社は登録商標の抗弁を主張することができる。
(原告の主張)
前記不競法6条の削除後においては,不競法に基づく主張と商標権に基づ5
く主張との調整は,権利の行使は濫用にわたらない限り許されるとの一般
原則により行われることになる。そして,原告文字表示が被告会社による
本件商標の出願時において原告の周知かつ著名な商品等表示となっていた
こと,被告会社による本件商標の出願そのものが他人の業務上の信用・顧
客吸引力を利用する意図を持ってなされたこと及び被告会社による被告標10
章第1の使用が,原告の周知かつ著名な原告文字表示が有する顧客吸引力
を利用する意図の下にされたことからすれば,被告会社による商標権の行
使は,権利の濫用として許されない。
(4)争点4(使用差止及び抹消請求の可否及び範囲)について
(原告の主張)15
被告会社による被告標章第1の使用行為は本件訴訟提起後も継続しており,
原告は,長年の営業努力によって獲得した営業上の信用にただ乗りされ,
営業上の信用が損なわれることによって,営業上の利益を侵害されている。
(被告らの主張)
争う。20
被告会社は,平成30年3月22日付けで,その商号を「株式会社マリカ
ー」から「株式会社MARIモビリティ開発」に変更したから,「株式会
社マリカー」の商号登記の抹消登記手続を求める原告の請求には理由がな
い。
(5)争点5(被告標章第2を使用する本件宣伝行為が不競法2条1項1号又は25
2号の不正競争に該当するか否か)について
(原告の主張)
ア原告表現物及び原告立体像の周知性又は著名性
(ア)原告表現物マリオ,原告表現物ルイージ,原告表現物ヨッシー及び
原告表現物クッパは,いずれも原告が販売する主要かつ著名なゲーム
作品である「スーパーマリオブラザーズ」等に登場し,その商品化事5
業を通じて,原告の周知かつ著名な商品等表示となった。
(イ)原告立体像は,「マリオ」シリーズのキャラクターである原告表現
物を三次元のコスチュームに立体的に具体化したものであり,原告が
商品の広告宣伝活動に原告立体像を積極的に活用してきたことに照ら
せば,原告の周知かつ著名な商品等表示である。10
イ原告表現物及び原告立体像と本件宣伝行為との類否
(ア)原告表現物及び原告立体像と,本件各写真及び本件各動画に掲載さ
れた「マリオ」,「ルイージ」,「ヨッシー」及び「クッパ」のキャ
ラクターのコスチューム(被告標章第2のコスチューム)を着た人物
とを比較すると,「マリオ」については,いずれも①全体的に膨らみ15
をもって,正面に半円形のつばがついた形状をして,正面に白い丸の
なかに赤字で大きくMと書かれた赤い帽子をかぶり,②両腕と胸の一
部が赤い長袖シャツ様の模様になっており,③赤い長袖シャツ様にな
っている部分以外は青色で,かつ太い肩紐のような部分があり,胸の
部分に黄色く大きな丸いボタンの柄がついたオーバーオール様の模様20
になっているという点又は①ないし③の主要な点において類似してい
る。
「ルイージ」については,①全体的に膨らみをもって,正面に半円
形のつばがついた形状をして,正面に白い丸の中に緑色の字で大きく
Lと書かれた緑色の帽子をかぶり,②両腕と胸の上部の一部が緑色の25
長袖シャツ様の模様になっており,③緑色の長袖シャツ様になってい
る部分以外は青色で,かつ太い肩紐のような部分があり,胸の部分に
黄色く大きな丸いボタンの柄がついたオーバーオール様の模様になっ
ているという点又は①ないし③の主要な点において類似している。
「ヨッシー」については,①頭部は鼻の部分が丸くて大きな緑色の
球体になっており,その後ろに頭部の大半を占めるように白い縦長の5
丸を二つ重ねた中にそれぞれ黒目を置いた目があり,その周りをなぞ
るように緑色の縁取りがなされるような形状で頭部が形成されており,
頬に当たる部分は白くて丸みを帯びてやや膨らんでいて,後頭部に半
円形の朱色の背びれのようなものがついた恐竜をユーモラスにしたよ
うな生物の顔のかぶり物をして,②四肢と脇腹の部分は緑色,それ以10
外の腹部前面等の部分は白色をしており,背中に大きな赤い丸を白く
縁取った模様があり,円錐に近い形の短い尻尾を付けているという点
又は①及び②の主要な点において類似している。
「クッパ」については,①牛のような二本の角が生えていて,鼻と
唇は一体になっており分厚く肌色で,口の中には牙が生えており,目15
は鋭くつり上がっていて赤く豊かな眉を生やしており,頭頂部から後
頭部にかけて赤く豊かなたてがみが生えているかぶり物をして,②胴
体の中心にはお腹から胸にかけて大きく縦長の円に複数の横線が入っ
た肌色の模様があり,それ以外の四肢と脇腹の部分は黄色く,首並び
に左右の手首及び上腕部には複数の銀色のとげのような飾りの付いた20
黒い首輪及び腕輪をしており,③後ろから見ると複数本の太くて白い
とげがあり,白い縁のついた緑色の甲羅を背負っていて,円錐に近い
形の黄色く短い二本のとげのついた尻尾を有するという点又は前記①
ないし③の主要な点において類似している。
(イ)被告会社が従業員に着用させているコスチュームは,前記(ア)のコス25
チュームと同様のものであるから,原告表現物及び原告立体像と同コ
スチュームを着用した被告会社の従業員とは類似している。
(ウ)被告会社が店舗に設置する本件マリオ人形は,前記(ア)で述べた点に
おいて原告表現物マリオと類似しているから,原告表現物及び原告立
体像の「マリオ」と同人形は類似している。
ウ商品等表示としての使用の有無5
原告の周知かつ著名な原告表現物及び原告立体像と類似する被告標章
第2の各コスチュームを使用することは,視聴者に対して自他商品識別
機能を発揮しているから,これらを表示することは「商品等表示として
の使用」に該当する。
被告会社は,本件各動画には運営主体を示す本件ロゴが付されている10
と主張するが,本件ロゴが映し出されるのは冒頭の数秒である上,本件
ロゴの「MARICAR」は,原告の周知かつ著名な商品等表示である原告文字
表示マリオカート又は原告文字表示マリカーを使用するものであり,原
告の商品又は営業と誤認を生じさせる行為に該当するのであるから,本
件ロゴの表示をもって被告標章第2の使用が「商品等表示としての使用」15
に該当しないということはできない。
また,本件マリオ人形についても,店内が「マリオ」シリーズに登場
するキャラクターによって装飾されている状況に照らせば,入口部分に
設置された同人形には,他の店舗装飾と一体となって同店舗で提供する
サービスの宣伝広告のために使用されていたといえる。20
エ混同を生じさせるおそれの有無
被告会社は,本件レンタル事業における広告宣伝に被告標章第2の各
標章を使用し,本件各写真及び本件各動画を利用し,従業員に原告のキ
ャラクターのコスチュームを着用させて公道カートの先導等の接客業務
を行わせ,店舗の入口部分に本件マリオ人形を設置することによって原25
告のキャラクターを自社の事業に利用していて,これらの行為は,「他
人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」に該当する。
(被告らの主張)
ア原告表現物及び原告立体像の周知性又は著名性
不知ないし争う。
原告が提出する証拠はいずれも日本国内で放映されたテレビコマーシ5
ャルであり,本件レンタル事業の需要者である訪日外国人の間で原告立
体像が周知又は著名であったとは認められない。
イ原告表現物及び原告立体像と本件宣伝行為との類否
否認ないし争う。
ウ商品等表示としての使用の有無10
本件動画4を除く本件各動画の冒頭においては,関係団体の自己識別
表示であり,原告を想記させるような記載がない本件ロゴが表示されて
いることに加え,本件宣伝行為におけるコスチュームを着用した人物の
使用は,「コスプレをして公道をカートで走る」という本件レンタル事
業の内容を説明するためのものであり,「商品等表示としての使用」に15
は当たらない。
また,本件マリオ人形は,店舗内に販売目的で設置されていた商品で
ある。
エ混同を生じさせるおそれの有無
不知ないし争う。20
(6)争点6(使用差止及び抹消・廃棄請求の可否及び範囲)について
(原告の主張)
被告会社による被告標章第2の使用は本件訴訟提起後も継続しており,原
告は,長年の営業努力によって獲得した営業上の信用にただ乗りされ,営
業上の信用が損なわれることによって,営業上の利益を侵害されている。25
(被告らの主張)
争う。
本件各写真及び本件各動画は既に削除され,本件マリオ人形も撤去され,
関係団体は,現在ではコスチュームを着用しての接客は行っていない。
(7)争点7(本件各ドメイン名の使用行為が不競法2条1項13号の不正競争
に該当するか否か)について5
(原告の主張)
ア本件各ドメイン名と原告文字表示の類否
本件各ドメイン名の要部は,いずれも「maricar」であるところ,前記
(2)イ(ア)のとおり,取引者又は需要者からすると,原告文字表示と
「maricar」表示を類似のものとして受け取るおそれがあり,原告文字表10
示と本件各ドメイン名は類似する。
イ図利加害目的の有無
被告会社は,「maricar」表示を使用し,本件各ドメイン名を使用して
開設したウェブサイトにおいて本件掲載行為を行うなど原告の有する顧
客吸引力を不正に利用しており,他人の顧客吸引力を不正に利用して事15
業を行う目的を有していたと認められる。
(被告らの主張)
ア本件各ドメイン名と原告文字表示の類否
本件レンタル事業の需要者である訪日外国人は,日本語が分からない
のであるから,原告文字表示と原告が本件各ドメイン名の要部と主張す20
る「maricar」とを全体的に類似のものとして受けとるおそれはない。
イ図利加害目的の有無
被告会社において他人の顧客吸引力を不正に利用して事業を行う目的
を有していたのであれば,当該他人の表現と同一か類似のドメイン名を
使用するのが自然であるところ,原告文字表示と本件各ドメイン名は同25
一でも類似でもないのであるから,前記目的は認められない。
(8)争点8(使用差止及び登録抹消請求の可否及び範囲)について
(原告の主張)
被告会社は本件各ドメイン名を使用して開設したウェブサイトにおいて本
件掲載行為を行うことによって本件レンタル事業を行っているのであり,
原告の営業上の利益が侵害されている。5
(被告らの主張)
争う。
(9)争点9(本件各写真及び本件各動画が原告表現物の複製物又は翻案物に当
たるか否か)について
(原告の主張)10
ア原告表現物マリオは,①赤い帽子をかぶり,赤い長袖シャツと青いオ
ーバーオールを着た人物であり,②赤い帽子は全体的に膨らみをもって,
正面に半円形のつばがついた形状をしており,帽子の正面には白い丸の
中に赤字で大きくMと書かれた部分があり,③赤い長袖シャツは,両腕
部分及びオーバーオール(つなぎ)に覆われていない首に近い部分が見15
えており,④ゆったりとしたサイズの青いオーバーオールは,長ズボン
部分と,正面の胸当てからなる前面部と,背中部分と当該前面部と背中
部分とをつなぐサスペンダー(太い肩紐からなるズボンつり部分)から
構成され,赤い長袖シャツが見えている部分を除いた足首から肩にかけ
ての全身を覆い,⑤オーバーオールの胸あてのあたりにあるサスペンダ20
ーのすぐ下の部分には黄色く大きな丸いボタンのようなものがついてい
るという特徴を有する。
より詳細には,まず,前記①については,帽子と長袖シャツの赤色は
少し朱色がかった明るく鮮やかな赤色(PANTONE●省略●又は当
該商品の素材等による色味等の制約の下でそれと同様の印象を与える色,25
以下の色名の説明においても,いずれも当該商品の素材等による色味等
の制約の下でそれと同様の印象を与える色を含むものとする。)で,オ
ーバーオールの青色は明るくしっかりとした青色(PANTONE●省
略●)で描かれており,前記②については,帽子の正面に描かれた白い
丸は、完全な円ではなく,帽子のつばの縁に沿って円の下方部が切り取
られた形状の少し横に広い楕円であり,白い丸の中に描かれた赤いMの5
マークは,帽子及び長袖シャツと同一色である赤色であり,Mを上から
つぶして横に広げたような形状で中央のへこみは浅く描かれ,両端の辺
の部分は上部に向けて幅が狭く,他方で下部に向けて広がるように,全
体的に鋭角的に描かれており,帽子の膨らみについては,額の上に当た
る部分に大きな膨らみをもたせるとともに,後頭部に当たる部分に小さ10
な膨らみをもたせ、双方の膨らみの間にくぼみを設けたうえで,正面か
ら見たときに横に広い印象を与えないように描かれている。また,前記
④については,オーバーオールのお腹の部分は,小太りの男性が着用し
たようにゆったりと膨らむように描かれており,胸当てもズボン部分と
幅において一体化し,一般的なオーバーオールよりも極端に横に広く大15
きく,胸のあたりまでをほぼ全て覆うように描かれていて,サスペンダ
ーも一般的なオーバーオールよりも極端に太く短めに描かれている。前
記⑤については,オーバーオールの胸当てとサスペンダーの下部が重な
るように描かれており,当該重なりの部分をほぼ占めるように,一般的
なオーバーオールに使用するには極端に大きく,目立ちすぎる原色の黄20
色(PANTONE●省略●)の円形のボタンがついている。
本件写真1及び2並びに本件動画1ないし16には,前記主要な特徴
を同じくするコスチュームを着た人物が写っているから,その部分は,
原告の著作物である原告表現物マリオの表現内容及び形式を覚知させる
に足りるものであり,少なくともそれらの本質的特徴を直接感得させる25
ものであることは明らかである。
イ原告表現物ルイージは,①緑色の帽子をかぶり,緑色の長袖シャツと
青いオーバーオールを着た人物であり,②緑色の帽子は全体的に膨らみ
をもって,正面に半円形のつばがついた形状をしており,帽子の正面に
は白い丸のなかに緑色の字で大きくLと書かれた部分があり,③緑色の
長袖シャツは、両腕部分及びオーバーオールに覆われていない首に近い5
部分が見えており,④ゆったりとしたサイズの青いオーバーオールは,
長ズボン部分と正面の胸当てからなる前面部と背中部分と当該前面部と
背中部分とをつなぐサスペンダーから構成され,緑色の長袖シャツが見
えている部分を除いた足首から肩にかけての全身を覆い,⑤オーバーオ
ールの胸のあたりにあるサスペンダーのすぐ下の部分には黄色く大きな10
丸いボタンのようなものがついているという特徴を有する。
より詳細には,前記①については,帽子及び長袖シャツの緑色は明る
く鮮やかな緑色(PANTONE●省略●)で,オーバーオールの青色
は「マリオ」のオーバーオールよりも暗めで色の濃い,紺色に近い青色
(PANTONE●省略●)で描かれており,前記②については,帽子15
の正面に描かれた白い丸は,完全な円ではなく,帽子のつばの縁に沿っ
て円の下方部が切り取られた形状のわずかに横に広い楕円であり,白い
丸の中に描かれた緑色のLのマークは,帽子及び長袖シャツと同一色で
ある青色であり,縦の辺と横の辺が接合する箇所に向けてだんだんとや
や狭く,接合箇所と反対方向に向けてやや太くなっていくうえに,縦の20
辺と比べて横の辺が若干太くなるように描かれていて,帽子の膨らみに
ついては,額の上に当たる部分に大きな膨らみをもたせるとともに,後
頭部に当たる部分に小さな膨らみをもたせ、双方の膨らみの間にくぼみ
を設けたうえで,正面から見たときに横に広い印象を与えないように描
かれている。また,前記④については,オーバーオールのお腹の部分は25
若干ゆったりと膨らむように描かれており,胸当てもズボン部分と幅に
おいて一体化し,一般的なオーバーオールよりも極端に横に広く大きく,
胸のあたりまでをほぼ全て覆うように描かれていて,サスペンダーも,
一般的なオーバーオールよりも極端に太く短めに描かれている。前記⑤
については,オーバーオールの胸当てとサスペンダーの下部が重なるよ
うに描かれて,当該重なりの部分をほぼ占めるように,一般的なオーバ5
ーオールに使用するには極端に大きく目立ちすぎる色の黄色(PANT
ONE●省略●)の円形のボタンがついている。
本件写真1及び2並びに本件動画1ないし4,6ないし10,12な
いし16には,前記主要な特徴を同じくするコスチュームを着た人物が
写っているから,その部分は,原告の著作物である原告表現物ルイージ10
の表現内容及び形式を覚知させるに足りるものであり,少なくともそれ
らの本質的特徴を直接感得させるものであることは明らかである。
ウ原告表現物ヨッシーは,①緑と白を基調とした二足歩行の恐竜をユー
モラスにしたような架空の生物であり,②正面から見ると,頭部は鼻の
部分が丸くて大きな緑色の球体になっており,その後ろに頭部の大半を15
占めるように白い縦長の丸を二つ重ねた中にそれぞれ黒目を置いた目が
あり,その周りをなぞるように緑色の縁取りがなされるような形状で頭
部が形成されており,頬に当たる部分は白くて丸みを帯びてやや膨らん
でいて,四肢と脇腹の部分は緑色,それ以外の腹部前面等の部分は白色
をしており,③後ろから見ると,頭部の後ろに半円形で朱色の背びれ様20
のものがついていて,背中に大きな赤い丸を白く縁取った模様があり,
円錐に近い形の短い尻尾があって,両頬の部分と尻尾のうち地面に面し
た部分が白くそれ以外が緑色であるという特徴を有する。
より詳細には,前記①については,皮膚等の緑色は黄緑色に近い緑色
(PANTONE●省略●)であり,頬やお腹及び甲羅の縁の白色は通25
常の白色(PANTONE●省略●)でそれぞれ描かれており,前記②
については,頭部のうち目については,正面から見ても鼻で目が隠れな
いよう,白目,黒目及び緑色の縁取りは十分な高さをもって描かれると
ともに,白目の下端は,横から見ても白目がはっきりと見えるよう,白
い部分がやや幅をもって描かれており,その形状は,楕円の下方部分が
つぶれたようになっており,頬の部分は白い部分が真後ろから見てもは5
っきり分かるように後頭部に至る程度にまで一定の広がりと十分な膨ら
みをもって描かれていて,腹部前面の白い部分は,首から胸部及び腹部
を経由し股のあたりまでを広く覆うように描かれている。前記③につい
ては,背びれは,オレンジ色に近い朱色(PANTONE●省略●)を
しており,半円に近い形で相応の高さをもって描かれており,甲羅にあ10
たる部分の背中の大きな赤い丸を白く縁取った模様のうち,甲羅の赤色
は少し朱色がかった明るく鮮やかな赤色(PANTONE●省略●)で
あり,甲羅の白い縁取りも丸みをもって立体的に描かれていて,尻尾は
根元の部分が太く,横又は後ろから見たときに底面の白い部分が十分見
えるように描かれている。15
本件写真1及び3並びに本件動画1,3,7,8,11ないし16に
は,前記主要な特徴を同じくするコスチュームを着た人物が写っている
から,その部分は,原告の著作物である原告表現物ヨッシーの表現内容
及び形式を覚知させるに足りるものであり,少なくともそれらの本質的
特徴を直接感得させるものであることは明らかである。20
エ原告表現物クッパは,①顔と甲羅が主に緑色で,黄色い胴体を有する
二足歩行の怪物のような生物であり,②正面から見ると,(a)緑色の頭部
には牛のような二本の角が生えていて,鼻と唇は一体になっており分厚
く肌色で,口の中には牙が生えており,目は鋭くつり上がっていて赤く
豊かな眉を生やしており,頭頂部から後頭部にかけて赤く豊かなたてが25
みが生えていて,(b)胴体の中心にはお腹から胸にかけて大きく縦長の円
に複数の横線の入った肌色の模様があり,それ以外の四肢と脇腹の部分
は黄色く,首並びに左右の手首及び上腕部には複数の銀色のとげのよう
な飾りの付いた黒い首輪及び腕輪をしており,③後ろから見ると複数本
の太くて白いとげがあり,白い縁のついた緑色の甲羅を背負っていて,
円錐に近い形の黄色く短い二本のとげのついた尻尾を有するという特徴5
を有する。
より詳細には,前記①については,顔の緑色は少し明るく薄めの緑色
(PANTONE●省略●)である一方,甲羅の緑色はより深く,濃く
鮮やかな緑色(PANTONE●省略●)であり,胴体の黄色は少し黄
土色っぽい濃く明るめの黄色(PANTONE●省略●)でそれぞれ描10
かれおり,前記②については,頭部の角は,甲羅のトゲと同様に肌色に
近いクリーム色がかった白色(PANTONE●省略●)であり,その
根元部分は薄めの茶色(PANTONE●省略●)で描かれており,目
の上部に豊かな眉を生やしており,その色はオレンジ色に近い赤色(P
ANTONE●省略●)であり,鼻と唇については少し黄色に近い肌色15
(PANTONE●省略●)であり,鼻が高くなりすぎないように,ま
た鼻の下の唇の割れ目が深くなりすぎないように描かれているとともに,
黒色の瞳孔の周りはすこしオレンジ色に近い赤色(PANTONE●省
略●)で縁取るように瞳の虹彩の部分が描かれていて,たてがみは後ろ
に流れるように,頭頂部から後頭部までを覆うように描かれており,そ20
の色はオレンジ色に近い赤色(PANTONE●省略●)であり,上腕
部の腕輪は肩に近い部分についているように描かれている。前記③につ
いては,甲羅についているとげの白色は,角と同一の色で肌色に近いク
リーム色がかった白色(PANTONE●省略●)であり,角と同様に
根元が薄めの茶色(PANTONE●省略●)で描かれており,甲羅の25
周りの縁部分の白は通常の白色(PANTONE●省略●)であって,
丸みをもって立体的に描かれている。
本件写真3並びに本件動画1,3,4,7,8,11,12,14及
び16には,前記主要な特徴を同じくするコスチュームを着た人物が写
っているから,その部分は,原告の著作物である原告表現物クッパの表
現内容及び形式を覚知させるに足りるものであり,少なくともそれらの5
本質的特徴を直接感得させるものであることは明らかである。
オ以上のとおり,本件各写真及び本件各動画は,原告の著作物である原
告表現物の複製物又は翻案物であるから,本件制作行為は,原告の複製
権及び翻案権を侵害し,本件掲載行為は原告の公衆送信権ないし送信可
能化権を侵害する。10
(被告らの主張)
ア原告が原告表現物マリオ及び原告表現物ルイージの特徴として主張す
る①ないし⑤は,そもそも表現ではないアイデアか,創作性が認められ
ないありふれた表現であり,表現上の本質的特徴ではあり得ない。すな
わち,特徴②はかぶっている「キャスケット」と呼ばれる種類の帽子の15
形状をありのままに表現したものにすぎず,特徴③及び④はオーバーオ
ールと長袖シャツを着た場合に当然に生じる状態をありのままに表現し
たものにすぎず,特徴⑤はオーバーオールという種類の洋服の特徴をあ
りのままに表現したものにすぎない。
イ具体的表現から離れた抽象的概念としてのキャラクターには著作物性20
は認められないところ,原告が原告表現物ヨッシー及び原告表現物クッ
パの特徴として主張する①ないし③は,具体的表現である原告表現物ヨ
ッシー及び原告表現物クッパの3点のイラストを離れた抽象的概念とし
ての「ヨッシー」及び「クッパ」を観念し,その特徴を述べるものであ
る。25
さらに,本件各写真及び本件各動画に写っているのは「緑と白を基調
とした服を着た人間」あるいは「肌色及び白を基調とした服を着た人間」
であり,原告が原告表現物ヨッシー及び原告表現物クッパの特徴として
主張する①ないし③を直接感得することはできない。
(10)争点10(複製又は翻案の差止請求の可否及び範囲)について
(原告の主張)5
原告は,著作権法112条1項に基づき,原告の著作物の複製又は翻案の
差止め及び原告の著作物の複製物又は翻案物の公衆送信又は送信可能化の
差止めを求める(請求の趣旨第4項及び第5項)。
(被告らの主張)
抽象的,一般的な差止請求は認められない。10
(11)争点11(本件各コスチュームが原告表現物の複製物又は翻案物に当たる
か否か)について
(原告の主張)
ア本件各コスチュームは,キャラクターへのコスプレ等をするために着
用することを望む利用者のために,原告による正規の商品化ライセンス15
に基づいて作成されたものである。そして,一般的な衣料とは大きく異
なる表現上の特徴がコスチュームに確実に再現されるように,原告が,
ライセンシーに対して様々な資料を事前に交付し,サンプル品の提供を
受けて検査し,詳細な修正指示を行うなど詳細な監修を行って製作され
たものである。20
イ原告表現物マリオ,原告表現物ルイージ,原告表現物ヨッシー及び原
告表現物クッパの本質的特徴は前記(9)アないしエで述べたとおりである
ところ,本件各コスチュームは,それらの特徴をいずれも備えており,
原告表現物の本質的特徴を直接感得させ,本件各コスチュームは,原告
の著作物である原告表現物の複製物又は翻案物であるから,本件貸与行25
為は原告の貸与権を侵害する。
(被告らの主張)
ア前記(9)アで述べたとおり,原告が主張する原告表現物マリオ及び原告
表現物ルイージの特徴①ないし⑤は表現上の本質的特徴とはいえず,本
件コスチューム1ないし4から原告表現物マリオ及び原告表現物ルイー
ジの本質的特徴は看取できない。5
原告表現物マリオを「マリオ」たらしめている表現上の本質的な特徴
は,極めて特徴的に描かれている①大きな目,②大きくて丸い鼻,③目
や鼻の下部に沿って生え,その両端が通常の人間ではありえないほどに
上向いた髭,④への字型の眉等といった顔部分であり,「マリオ」が着
用している衣服ではない。10
また,原告が主張する原告表現物マリオの特徴のうち①及び②は帽子
の,①及び③ないし⑤は衣服の特徴をいうものであるが,このような帽
子や衣服のデザインに著作権法の保護を与えれば,新規性や創作容易性
といった厳格な要件をクリアしたもののみ20年に限って独占的実施を
認める意匠制度の存在意義がなくなってしまう。15
イ前記(9)イで述べたとおり,原告が原告表現物ヨッシー及び原告表現物
クッパの特徴として主張する①ないし③は,具体的表現である原告表現
物ヨッシー及び原告表現物クッパの表現上の本質的特徴を主張するもの
ではない。
また,原告が主張する原告表現物ヨッシー及び原告表現物クッパと本20
件コスチューム5及び6の共通点は,いずれもアイデアであるか,恐竜,
悪役怪獣等をイラスト化ないしキャラクター化する際に一般的に用いら
れるありふれた表現であって,これらの点が共通するからといって,本
件コスチューム5及び6が原告表現物ヨッシー及び原告表現物クッパの
複製物又は翻案物となるものではない。25
(12)争点12(被告Aに対する損害賠償請求の可否)について
(原告の主張)
被告Aは,被告会社について放送されたテレビ番組において,「マリオ」
のコスチュームを着用してインタビューを受け,同コスチュームのまま公
道カートに乗車して公道を走行することにより本件レンタル事業を宣伝す
るなどしていたことからすれば,原告の顧客吸引力を不正に利用すること5
について積極的に認識・認容していたと認めるのが相当である。
これらの事実からすれば,被告Aは,被告会社の代表取締役として,被告
会社による不正競争行為及び著作権侵害行為を認識しながらこれに加担し
たのであり,その職務を行うにつき,悪意又は重大な過失があるから,会
社法429条1項に基づき,被告会社と連帯して損害賠償責任を負う。10
(被告らの主張)
原告が主張する事実によって被告Aの違法性の認識及び認容を導くことは
できない。
原告が主張する各行為が不正競争行為又は著作権侵害行為に該当するか否
かについては,過去に類似の裁判例も存在せず,むしろ特許庁は本件商標15
に対する原告の異議申立てを排斥し,商標登録を維持するとの決定を下し
ているのであるから,被告Aが違法性を認識することは困難である。
したがって,被告Aが,被告会社の職務を行うについて,任務懈怠及び悪
意又は重大な過失があったとは認められず,被告Aは損害賠償義務を負わ
ない。20
(13)争点13(原告の損害額)について
(原告の主張)
ア不競法5条3項1号,4号及び著作権法114条3項に基づく損害額
原告は,著作権法114条3項,不競法5条3項1号,4号により推
定される,著作権の行使又は商品等表示の使用若しくはドメイン名の使25
用について受けるべき金銭の額に相当する額を損害額として主張する。
(ア)売上げ
損害賠償額算定の基礎となる売上げは,被告会社から公道カートの
提供を受け,MariCarとの屋号を用いて本件レンタル事業を営んでい
る7店舗(品川店,渋谷店,秋葉原店,河口湖店,大阪店,沖縄店,
六本木店)の売上げの全てである。5
このうち,被告会社設立時(平成27年6月4日)から訴訟提起時
(平成29年2月)までの売上げは,以下のとおり,2億5000万
円を下らない。
すなわち,被告会社においては,同行ガイド付きの2時間ツアーの
料金は1時間当たり8000円であるところ,利用者が平均5人1組10
で来店し,前記ツアーを選択したとすると,1組当たりの売上げは4
万円(8000円×5名)となる。全店舗を通じて,1日当たり10
組が利用したとすると,1日当たりの被告会社の売上げは,少なくと
も40万円(4万円×10組)となるところ,被告会社の設立から訴
訟提起までの期間は1年9か月(630日)であるから,当該期間に15
おける売上げは2億5200万円(40万円×630日)となり,2
億5000万円を下らない。
また,本件訴訟提起後,平成30年3月までの売上げは,以下のと
おり,3億円を下らない。
すなわち,本件訴訟提起後,被告会社は店舗数を拡大し,連日5020
台以上の公道カートを貸し出しているとの報道があることからすれば,
利用者は訴訟提起前の3倍になっていると推測することができる。そ
うすると,1日当たりの被告会社の売上げは120万円(4万円×3
0組)であるから,当該期間における売上げは,4億6800万円
(120万円×390日)となり,少なくとも4億4400万円を下25
らない。
したがって,被告会社の売上げは,合計6億9400万円(2億5
000万円+4億4000万円)を下らない。なお,被告会社が開示
している補助残高一覧表(乙59・別紙3)の金額を基礎としても,
前記期間における売上げは少なくとも●省略●を下らないと合理的に
推計することができる。5
(イ)実施料率
被告会社が侵害する原告の著作権の重要性,原告の商品等表示の著
名性及び顧客吸引力の強さ並びに同著作権及び商品等表示に関連する
約定実施料からすれば,本件における実施料率は10%を下らない。
(ウ)損害額10
損害額は,以下の計算式のとおり,6940万円を下らない。
6億9400万円×0.1=6940万円
イ弁護士費用
被告らによる不正競争行為及び著作権侵害行為と相当因果関係ある弁
護士費用相当損害金は550万円を下らない。15
ウ小括
よって,被告会社は民法709条及び不競法4条に基づき,被告Aは
会社法429条1項に基づき,連帯して7490万円の損害賠償義務を
負うところ,原告は,被告らに対し,その一部である1000万円の支
払を求める。20
エ有限責任事業組合契約に関する法律(以下「LLP法」という。)1
5条に基づく抗弁について
原告は,本件レンタル事業の運営主体である被告会社の行為が不正競
争行為及び著作権侵害行為に該当し被告会社が損害賠償債務を負うと主
張しているのであり,組合員である被告会社が組合の債務として損害賠25
償義務を負うと主張していない。
したがって,LLP法15条に基づく被告らの主張は,実体法上の抗
弁として成り立つものではなく,失当である。
また,被告らの同主張は,損害論の審理に入ってから半年以上が経過
し,審理が終結されるべきことが明らかな段階に至って初めて新たな証
拠を提出してなされたものであり,時機に後れた攻撃防御方法であるか5
ら却下されるべきである。
加えて,被告会社の企業規模や売上げに照らして,被告らが主張する
●省略●という出資の価額は低額にすぎて信用できない。
なお,原告は,予備的に,LLP法3条3項に基づき,本件において
組合契約が濫用されているとの再抗弁を主張する。10
(被告らの主張)
ア不競法5条3項1号,4号及び著作権法114条3項に基づく損害額
(ア)売上げ
本件で損害額算定の根拠となる売上げは,被告会社が本件レンタル
事業を立ち上げた後,関係団体にこれを移管するまでの期間(平成215
7年6月4日から平成28年6月23日)の売上げに限られる。本件
販売整備事業から得た売上げは算定の基礎とされるべきではない。
したがって,損害額算定の基礎となる金額は●省略●となる。
原告による本件レンタル事業の売上げに関する主張は,対象店舗,
1日の平均来客数,一人当たりの平均ツアー料金及び対象期間といっ20
た各要素について,恣意的に数字等を選択した根拠のないもので合理
性がない。
(イ)実施料率
本件レンタル事業は,公道カートやサービス自体の魅力,また営業
努力により,それ自体が高い顧客吸引力を有しており,原告文字表示25
マリカー等自体の売上げに対する寄与は低い。
また,本件販売整備事業については,その取引相手は関係団体であ
って,同団体は被告会社と原告の間に何らの取引関係も存在しないこ
とを理解しているから,原告の顧客吸引力が前記事業の売上げに寄与
することはあり得ない。
したがって,原告文字表示マリカー等に係る実施料率はゼロか大幅5
に減額されるべきである。
イ弁護士費用
争う。
ウLLP法15条に基づく抗弁
被告会社は,関係団体である各組合の業務に関し,原告に対して損害10
賠償責任を負うとしても,その範囲は,被告会社が各組合の組合員であ
った期間に生じた債務に限られ,かつ最大でも組合に出資した金額(●
省略●)が限度となる。
第3当裁判所の判断
1争点1(被告会社が平成28年6月24日以降,本件各行為を行ったか否15
か)について
(1)掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができ
る。
ア被告会社は,平成28年2月1日,公道カートをレンタルする際に適
用される「マリカー利用規約」を作成した。同利用規約には,公道カー20
トのレンタルを受ける利用者は,運営会社と定義される被告会社から車
両及び附属品等を借り受ける旨の記載がある(甲5)。同利用規約は,
同年11月15日当時,品川店の入口の窓ガラスに掲示されていた(甲
4)。
イ被告会社は,平成28年6月24日頃,品川組合に係る組合契約を締25
結し,同組合を結成した。同組合の組合員は,被告会社及びK-Kar
t株式会社の2社であった(甲62の1,5)。
被告会社は,本件訴訟提起後である平成29年10月23日に同組合
を脱退し,その後,同組合は,同年12月6日,組合の名称を東京観光
有限責任事業組合に変更し,同月20日に解散した(甲121の1,甲
122)。5
ウ被告会社は,平成28年9月28日,本件ロゴに関する商標登録の出
願をした(乙29)。
エ株式会社ディー・エヌ・エーの「FindTravel」というウェブサイトは,
平成28年9月28日,「マリオカートをレンタルして公道を走れるっ
て知ってた?実は気軽にできる面白体験をご紹介!」と題する記事を掲10
載し,その中で,品川店を「リアルマリオカートをレンタルできるお店
の株式会社マリカー(X-Kart正規店)品川店」と紹介した(甲3
9)。
オ被告会社は,平成28年10月4日頃,本件レンタル事業を行う各店
舗における店長等を募集する求人広告をした。同広告において,被告会15
社は,同社の事業内容を「普通免許で運転できる一人乗りの公道カート
のレンタル」等と,また「日本最大級の公道カートのレンタル&ツアー
サービスとして,国内外で大きな注目を集める株式会社マリカー。東京
での増店と,大阪・山梨・沖縄での新店オープンが決定しているため,
『店長』『メンテナンススタッフ』を募集します。」,「当社はこれま20
での1年でビジネスの運用を固め,大きな実績を残しましたので,ここ
から爆発的に事業規模を拡大させます。」とし,勤務地として「東京・
沖縄などのマリカー各店グローバルな職場です入社後は東京の店舗
にて研修予定」と記載した(甲59の1)。
カ品川店においては,平成28年11月15日当時,前記アのとおり被25
告会社の作成した「マリカー利用規約」が掲示されていたほか,被告会
社の会社名(株式会社マリカー)が記載された本件名刺が配布され,同
名刺には「車両レンタル・車両販売・カスタム整備・広告企画」と記載
されていた(甲4,57)。また同店においては,同日当時,本件レン
タル事業に係るレンタル料金の支払につき,被告会社名で領収証が発行
されていた(甲4,57,58)。5
キ被告会社は,平成29年2月23日当時,被告会社サイトにおいて,
自社を「公道カート総合サービスを提供する株式会社マリカー」,「日
本最大級の公道カート!レンタル/販売/整備・カスタム/広告宣伝」
と紹介するとともに,同社の事業として「レンタル事業・広告宣伝事業」
と「販売事業・整備陸送事業」の2つを挙げ,「レンタル事業」につい10
ては「日本全国へレンタル加盟店を展開」,「公道カートを製造販売で
きる強みを生かし,レンタル事業の整備も行っております。」と,「販
売事業」については「レンタル事業で公道カートの認知度を上げ,最低
価格保証で公道カートを販売。」と記載していた(甲6の3)。
ク被告会社は,平成29年6月13日頃,秋葉原組合に係る組合契約を15
締結し,同組合を結成した。同組合の組合員は,品川組合と同様に被告
会社及びK-Kart株式会社の2社であった。
被告会社は,平成29年10月24日に同組合を脱退した(甲121
の3,乙48の1)。
ケ被告会社は,平成29年6月26日頃,沖縄組合に係る組合契約を締20
結し,同組合を結成した。同組合の組合員は,品川組合と同様に被告会
社及びK-Kart株式会社の2社であった。
被告会社は,平成29年11月6日に同組合を脱退した(甲121の
4,乙48の4)。
コ平成29年2月23日当時,品川店サイト1及び河口湖店サイトのデ25
ザイン,本件レンタル事業に係る説明等の記載は概ね同一であり,平成
29年10月2日時点においては,品川店サイト2,秋葉原第1号店サ
イト2,渋谷店サイト,大阪店サイト及び沖縄店サイトはいずれも本件
ドメイン名4を使用して開設され,その記載内容も概ね同一であった
(甲6の1,2,乙41の1ないし8)。
(2)以上を前提に,被告会社が平成28年6月24日以降,本件各行為を行5
ったか否かについて検討する。
前記前提事実及び前記(1)の事実によれば,被告会社は,①少なくともそ
の設立時である平成27年6月4日から平成28年6月23日までの間,
本件レンタル事業を営んでいたこと(前記前提事実(3)ア),②関係団体に
同事業を移管したとする同月24日以降も,被告会社サイトにおいて,自10
社を「公道カート総合サービスを提供する株式会社マリカー」とし,同社
の事業の1つとして日本全国への加盟店の展開によるレンタル事業を掲げ,
レンタル事業について「公道カートを製造販売できる強みを生かし」て運
営することができると記載していたこと(前記キ),③雇用主として,秋
葉原店,大阪店,河口湖店,沖縄店等の新規に立ち上げる店舗において同15
事業に従事する店長等の従業員を募集する求人広告を出したこと(前記
オ),④自社が組合員となって本件レンタル事業を運営する3つの有限責
任事業者組合を立ち上げ,同組合に品川店,渋谷店,秋葉原店及び沖縄店
を運営させたこと(前記イ,ク,ケ,前記前提事実(3)ウ)が認められ,被
告会社は,平成28年6月24日以降も,本件レンタル事業の運営に積極20
的に関与したと認めることができる。
また,平成28年6月24日以降の各店舗における本件レンタル事業の
実態をみても,①各店舗において本件レンタル事業に供する公道カートは
いずれも被告会社が販売したとするものであり,そのメンテナンスも被告
会社が行っていること(前記前提事実(3)エ),②品川店においては被告会25
社を運営会社とする「マリカー利用規約」を掲示し,被告会社の名刺を配
布し,被告会社名で領収証を発行しており,本件レンタル事業を取り上げ
たウェブ上の記事においても品川店の運営主体は被告会社であると紹介さ
れていたこと(前記ア,エ及びカ),③品川店,秋葉原第1号店,渋谷店,
河口湖店,大阪店及び沖縄店のウェブサイトのデザイン及び記載内容は酷
似し,平成29年10月頃には河口湖店を除いて同一のドメイン名を使用5
して開設されており,いずれも被告会社が商標登録を出願した本件ロゴを
掲示していたこと(前記前提事実(4)ウ,前記ウ及びコ)が認められる。こ
れらによれば,各店舗における本件レンタル事業の営業は,それぞれが独
立したものではなく,被告会社の関与の下で統一的に実施されていたもの
ということができる。10
そして,前記の各事実からすれば,被告会社は,平成28年6月24日
以降も,引き続き,自らが,全国に本件レンタル事業に係るサービスを提
供する店舗を拡大し,同店舗を運営する有限責任事業者組合を立ち上げる
などして各店舗において自社の定めた規約に従ったサービスを提供させて
いるということができるのであり,その関与の程度の強さから,本件レン15
タル事業に主体的に関与し,少なくとも,関係団体と共同して本件レンタ
ル事業を実施していると認めるのが相当である。
(3)これに対し,被告らは,被告会社の平成29年1月1日以降の売上げに
本件レンタル事業に係る売上げが含まれていないのに対し,品川組合の同
時期の売上げのほとんどがレンタル事業によるものであること(乙2,20
6),品川組合は本件レンタル事業に供する公道カートを所有し,同業務
を行わせるアルバイトを雇用したこと(乙4の1ないし3,乙5の1ない
し3)などを挙げ,被告会社は,平成28年6月24日以降,本件各行為
を行っていない旨主張する。
しかしながら,被告らが主張する前記各事実は,いずれも,被告会社が25
関係団体と共同して本件レンタル事業を営んでいたとの前記認定事実と矛
盾するものではない。
したがって,被告らの前記主張には理由がない。
(4)以上によれば,被告会社は,平成28年6月24日以降も,本件各行為
を行ったものと認めることができる。
2不競法に基づく被告標章第1の使用差止及び抹消請求の可否5
(1)争点2(被告標章第1の営業上の使用行為及び商号としての使用行為が
不競法2条1項1号又は2号の不正競争に該当するか否か)について
ア本件レンタル事業の需要者
(ア)掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることがで
きる。10
a本件レンタル事業について,日本語,英語,中国語,フランス語,
韓国語で記載されたウェブサイトがあり,いずれのウェブサイトに
おいても,本件レンタル事業の内容や料金が説明され,公道カート
の利用に当たって,まず空き状況を確認すること等の予約の流れや,
具体的な利用方法が説明されている。また,店舗(いずれも日本国15
内)の地図が表示され,最寄り駅から店舗への道順なども表示され
る。日本語のサイトには,「公道カートで忘れられない体験を」,
「マリカーでは,普通免許で運転できる一人乗りの公道カートのレ
ンタルや観光ツアーを提供しています。」,「マリカーでは,訪日
旅行客向けに国際免許で運転できる一人乗りの公道カートの観光ツ20
アーを提供しています。(中略)ここでしか体験できない最高の思
い出作りに,公道カート『マリカー』を楽しんじゃってください!」
などという利用者を勧誘する文章が記載されていた(甲6の1ない
し4,乙41の1ないし9)。
b本件レンタル事業のサービスを提供する店舗に置かれるなどしてい25
た本件チラシ(前記前提事実(4)ア(イ))は,日本語と英語が両面印
刷されたものであり,日本語の記載部分には,料金や店舗の所在地
等のほか,「マリカーは,普通免許で運転できる一人乗りの公道カ
ートのレンタカー&ツアーサービスです。」などと記載されていた
(甲3)。
c本件レンタル事業のサービスを提供する店舗において,利用者に記5
入を求めていたアンケート用紙は,日本語と英語が両面印刷された
ものであり,どの地域から来たのか,マリカーに載るのが何回目で
あるか,マリカーをどのように知ったかなどの項目があった(甲4
〔15,17枚目〕,乙14の1,2)。
d株式会社ディー・エヌ・エーが開設する「FindTravel」という名10
称のウェブサイトには,日本語で,「東京観光」の一体験として被
告会社による本件レンタル事業の内容,品川店の所在地,営業時間,
地図等が紹介され,「このカート,専用の技術がある人しか乗れな
いんじゃないの,なんてがっかりしている人に朗報です。普通自動
車第一種免許があれば,誰でも乗ることができちゃうんです!」な15
ど掲載されていた(甲39)。
(イ)前記によれば,本件レンタル事業は,レーシングカートといった競
技用車両によるレースに関心を有する者に限定されず,観光の体験等と
して公道カートを運転してみたい一般人を対象としているといえる。そ
して,ウェブサイトや店舗におけるチラシその他の文書等の言語,内容,20
店舗の所在地等に照らせば,その対象者には,日本語,英語,中国語,
フランス語,韓国語を解する者が含まれ,また,海外から観光等で日本
を訪れる者も含まれるが,日本国内に住んでいる者も含まれる。
したがって,本件レンタル事業の需要者は,観光の体験等として公道
カートを運転してみたい一般人であり,海外から日本を訪れる者と日本25
国内に住んでいる者が含まれ,日本語を解しない者も含まれるが,日本
語を解する者も当然に含まれるといえる。
イ原告文字表示の周知性
(ア)掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることが
できる。
a原告は,平成4年8月27日に「マリオカート」シリーズの第一5
作目として,ゲーム機種スーパーファミコン用ソフト「スーパーマ
リオカート」を発売し,平成8年12月14日にゲーム機種NIN
TENDO64用ソフト「マリオカート64」を,平成13年7月
21日にゲーム機種ゲームボーイアドバンス用ソフト「マリオカー
トアドバンス」を,平成15年11月7日にゲーム機種ニンテンド10
ーゲームキューブ用ソフト「マリオカートダブルダッシュ!!」を,
平成17年12月8日にゲーム機種ニンテンドーDS用ソフト「マ
リオカートDS」を,平成20年4月10日にゲーム機種Wii用
ソフト「マリオカートWii」を,平成23年12月1日にゲーム
機種ニンテンドー3DS用ソフト「マリオカート7」を,平成2615
年5月29日にゲーム機種WiiU用ソフト「マリオカート8」を,
平成29年4月28日にゲーム機種NintendoSwitch
用ソフト「マリオカート8デラックス」を,それぞれ発売した(甲
7,8の1ないし9)。
b前記各ゲームソフトの売上げは,平成28年12月31日時点に20
おいて,概ね以下のとおりであった(甲7,9,10)。
タイトル国内累計
出荷本数
国内・世界累計
出荷本数
スーパーマリオカート382万本876万本
マリオカート64224万本987万本
マリオカートアドバンス●省略●591万本
マリオカートダブルダッシ
ュ!!
●省略●687万本
マリオカートDS402万本2354万本
マリオカートWii383万本3526万本
マリオカート7272万本1303万本
マリオカート8126万本826万本
(合計)●省略●1億1150万本
c前記各ゲームソフトのうち,「マリオカートDS」は,一般社団
法人コンピュータエンターテインメント協会が平成28年7月に発
行した「2016年CESAゲーム白書」における国内歴代ミリオ
ン出荷タイトルの18位に,「マリオカートWii」及び「スーパ
ーマリオカート」は22位及び23位に,「マリオカート7」は45
4位に,それぞれランクインした。また,同様に,「マリオカート
Wii」は世界歴代ミリオン出荷タイトル(国内及び世界における
出荷本数を累計して順位付けしたもの)の3位に,「マリオカート
DS」は11位に,「マリオカート7」は23位に,「マリオカー
ト64」は37位に,「スーパーマリオカート」は43位に,それ10
ぞれランクインした(甲9)。
d前記各ゲームソフトのうち第一作目である「スーパーマリオカー
ト」は,発売直後である平成4年9月から10月にかけて,ゲーム
雑誌の人気ランキングにおいて1位を獲得し,第八作目である「マ
リオカート8」もまた,発売直後である平成26年6月及び同年715
月において,人気ランキング1位を獲得し,一般雑誌のゲームに関
する記事においても「誰もが一度はプレイしたことがある『マリオ
カート』シリーズの8作目」と紹介された(甲11の2ないし5,
甲12の4,6,甲13の2)。
e原告は,上位各ゲームソフトのうち第八作目である「マリオカー
ト8」の発売前後である平成26年5月ないし8月,主要地上波テ
レビ局において少なくとも84回コマーシャルを放映し,原告の放
映した「マリオカート」シリーズに係る国内のテレビコマーシャル5
の放送回数合計は,平成27年7月時点で583回となった(甲1
4,15)。
f原告は,「マリオカート」シリーズについて,平成19年から平
成28年にかけて,株式会社タカラトミー,株式会社バンダイナム
コエンターテインメント及び株式会社サンアートとの間でライセン10
ス契約を締結し,玩具,文具,アーケードゲーム等のライセンス商
品を販売等した(甲16の1の1ないし6,甲16の2の1ないし
3,甲16の6の1ないし7)。
g「マリカー」は,遅くとも,平成8年12月13日発行のゲーム
雑誌「ファミマガ64」において,「マリオカート」の略称として,15
「今や遅しと手ぐすね引いて『マリカー』を待っているファンに贈
る徹底ガイド。」,「プレイに必要な『マリカー』のすべてを解説
するぞ。」という形で使用された。また,例えば,平成13年10
月1日発行のゲーム雑誌「電撃GBアドバンス」において,「ジワ
ジワと販売本数を伸ばしていった今までの『マリカー』シリーズの20
売れ方を考えると・・・」という形で使用され,平成15年11月
1日発行のゲーム雑誌「電撃ゲームキューブ」において,「1人乗
りだったマシンが『マリカーD!』では2人乗りに大きく変更され
た。」という形で使用された(甲17ないし19)。
h「マリカー」は,例えば,平成22年から平成25年にかけて発25
行された3作の漫画作品中で,「マリカーの訓練を…」,「あの2
人から家賃もらった日はマリカーハイスコアが出るんよねえ…」,
「いや~結局マリカー対決10周…」,「マリカーのキラー状態じ
ゃねーか!!」といった台詞において,何らの注釈を付することも
なく「マリオカート」の略称として使用された(甲21の1ないし
23の1)。5
iウェブ上に短文のつぶやき(ツイート)を投稿して共有する情報
サービスであるTwitterにおいては,例えば,被告会社が設立され
る前日である平成27年6月3日,「マリカー」を「マリオカート」
の略称として使用するツイートが600以上投稿された(甲24)。
また,「マリオカート8デラックス」が発売される旨の報道がさ10
れた平成29年1月13日には,同様のツイートが約3000に上
った(甲25)。
j平成28年6月4日に放映された被告Aを取材したテレビ番組に
おいて,出演したタレントが「僕らだって昔からマリオカートゲー
ムでやってて『マリカーやった?』『マリカーやった?』って」言15
っていた旨発言した(甲108の1,2)。
k氏名不詳の一般人複数名は,本件訴訟提起に係る報道がされた平
成29年2月23日から同月26日までの間,被告会社について,
Twitterに,「会社名からしてまんますぎると思うんだ」,「会社
名までマリカーだしさすがになんかの許可もらってるだと思って20
た。」,「まぁ何にせよ会社名からしてもそうだし,(中略)任天
堂に許可を求めなきゃダメだよね。」,「マリカーとまで社名名乗
ってんのに任天堂には許可もらってないとか」,「任天堂に許可貰
って営業してたんじゃないの?違うの?だったら会社名からしてア
ウトだよ。」,「社名にマリカーとまで書いておいて全く許可その25
他諸々クリアしてなかったのがある意味すごいわ」,「社名が『マ
リカー』,かつマリオの衣装貸して公道でカート走らせといて任天
堂に許可取ってなかったんかい。。。そらアカンやろ。」等と投稿
した(甲81の1,3ないし7,9)。
(イ)事案に鑑み,原告文字表示のうち,原告文字表示マリカーである「マ
リカー」の周知性について検討する。5
「マリカー」は,前記(ア)gないしkのとおり,「マリオカート」の
略称として使用されている表示である。「マリオカート」は,原告が平
成4年から順次発売したゲームシリーズの名称である。そして,「マリ
オカート」のゲームシリーズは,累計出荷本数が相当数に及ぶほか,歴
代の出荷本数ランキングにも複数の作品が入り(前記(ア)b及びc),10
人気ゲームとして雑誌に取り上げられたり,人気ゲームのランキングに
も入ったりするなどし(同d),複数のライセンス商品が販売され(同
f),テレビコマーシャルも相当数放送された(同e)ことなどから,
人気ゲームシリーズとして,日本全国のゲームに関心を有する者の間で
相当に広く知られていたといえる。15
そして,「マリカー」は,①ゲームソフト「マリオカート」の略称と
して,遅くとも平成8年頃には,ゲーム雑誌において使用されていて
(前記(ア)g),②少なくとも平成22年頃には,ゲームとは関係性の
薄い漫画作品においても何らの注釈を付することなく使用されることが
あったこと(前記(ア)h),③被告会社が設立される前日である平成220
7年6月3日には,その一日をとってみても,「マリオカート」を「マ
リカー」との略称で表現するツイートが600以上投稿されたこと(前
記(ア)i)が認められる。また,被告会社の設立後においても,テレビ
番組においてタレントが,子供の頃から原告のゲームシリーズである
「マリオカート」の略称として「マリカー」を使用していたと発言し25
(前記(ア)j),本件訴訟提起に係る報道が出された後には,複数の一
般人から,被告会社の社名である「マリカー」が原告のゲームシリーズ
「マリオカート」を意味するにもかかわらず,被告会社が原告から許可
を得ていなかったことに驚く内容の投稿がされた事実が認められる(前
記(ア)k)。
これらの事実からすると,原告文字表示マリカーは,広く知られてい5
たゲームシリーズである「マリオカート」を意味する原告の商品等表示
として,本件証拠上,遅くとも平成22年頃には,日本全国のゲームに
関心を有する者の間で,広く知られていたということができる。そして,
日本においてゲームに関心を有する層は相当広範囲にわたっていること
は明らかであり,観光の体験等で公道カートを運転してみたい一般人も10
含まれ,原告文字表示マリカーは,日本全国の本件レンタル事業の需要
者において広く知られていたと認めることができる。
他方,原告文字表示マリカーは「マリカー」という日本語の表示であ
り,日本語を解しない者の間で,原告の商品等表示として広く知られて
いたとは認められない(乙53)。15
ウ被告標章第1と原告文字表示との類否
被告標章第1のうち被告標章第1の1(マリカー)は,原告文字表示マ
リカーと外観,称呼が同一であるから,同一の標章と認められる。
また,被告標章第1のうち被告標章第1の2ないし4(MariCar,
MARICAR,maricar)は,いずれも大文字と小文字のアルファベットから構20
成されており,原告文字表示マリカーとは外観において異なるものの,称
呼はどちらも「マリカー」であり同一である。また前記各被告標章は,ひ
とまとまりの語として独自の意味をもった英語その他の外国語の単語と認
識されるものではないが,「Car」「CAR」「car」との部分については,
英語における「車」と同一の綴りであるから,全体として「マリ」と「車」25
を結合したものとの観念を生じさせる。そして,前記のとおり「マリオカ
ート」が広く知られており,ゲームシリーズである「マリオカート」が
「マリオ」等のキャラクターがカートに乗車して様々なコースを走行する
ことを特徴とすることなどを考慮すると,「マリ」は「マリオ」を連想さ
せ,「車」はカートを連想させることからすれば,両者の観念は類似する
といえ,前記各被告標章と原告文字表示マリカーは類似のものとして受け5
取られるおそれがあるというべきである。
したがって,被告標章第1は原告文字表示マリカーと同一若しくは類似
の標章と認めることができる。
エ混同を生じさせるおそれの有無
(ア)前記のとおり,原告文字表示マリカーは,本件証拠上,遅くとも平成10
22年頃には,広く知られていたゲームシリーズである「マリオカート」
を意味する原告の商品等表示として,本件レンタル事業の日本全国の需
要者の間においても広く知られていたと認めることができる。
原告の業務に係る商品はゲームソフトであるのに対し,被告標章1の
付された役務は公道カートのレンタルである。しかし,映画やゲームと15
いった二次元の世界をテーマパーク等において現実のアトラクションと
して再現し集客するビジネスが数多く存在し,実際,原告においてもそ
のようなテーマパークの展開を計画しているとの報道発表がされている
上(甲26の1),本件レンタル業務は,キャラクターがカートに乗車
して走行するゲームシリーズ「マリオカート」に登場するキャラクター20
のコスチュームを利用者が着用するなどして公道カートを運転するもの
であるから(甲6の1ないし4等),両者の商品ないし役務の間には強
い関連性が認められる。
これらの事情からすれば,本件レンタル事業において使用された場合,
被告標章第1は,前記のとおり周知性が認められる原告文字表示マリカ25
ーと類似している上,両者の商品ないし役務の間には強い関連性が認め
られるから,これに接した日本全国の需要者に対し,原告文字表示マリ
カーを連想させ,その営業が原告又は原告と関係があると誤信させると
認められる。
なお,実際に,本件訴訟提起に係る報道が出された後には,複数の者
から,Twitterに,被告会社が原告の系列会社か関連会社である,ある5
いは本件レンタル事業が原告による宣伝活動か少なくとも許可を得て行
われていると誤解していた旨の投稿がされており,これらは前記認定を
裏付けるといえる(甲81の1,11,14,18,19,24,2
7)。
他方,前記のとおり,日本語を解しない者の間では原告文字表示マリ10
カーが周知又は著名であったとはいえず,それらの者の間では,原告文
字表示マリカーとの関係において,被告標章第1に接した需要者に対し,
それを付した営業が原告又は原告と関係があるとの混同のおそれを発生
させるものとはいえない。また,原告は原告文字表示マリオカートの周
知又は著名性も主張するが,日本語を解しない者の間で,それが周知又15
は著名であったとはいえない。
(イ)これに対し,被告らは,同事業の需要者は訪日外国人(外国人旅行者,
在日米軍関係者又は在日大使館員等)であり,原告文字表示マリカーは
訪日外国人に周知ではないと主張して被告標章第1に接した需要者の混
同のおそれを否定し,利用者に実施したアンケートの集計結果(乙1420
の1,2)等を根拠に,本件レンタル事業の利用者の約95%は訪日外
国人であると主張する。
しかしながら,上記集計結果は,平成29年2月から4月頃までの3
か月の間に品川店及び渋谷店の利用者に記入させたものであり(乙14
の1,弁論の全趣旨),本件レンタル事業を営む複数の店舗のうちの一25
部における短期間の任意のアンケートの結果であるほか,上記アンケー
トにおいても人数的には相当数の日本人が利用者としてアンケートに答
えていることが示されているだけでなく,前記アで認定したとおり,本
件レンタル事業においては,その宣伝のために日本語による複数のウェ
ブサイトが開設され,日本語のチラシやアンケートが使用されているの
であって,本件レンタル事業の需要者には日本語を解する者が含まれる。5
それら日本語を解する需要者について混同のおそれが認められるにもか
かわらず,被告会社の行為が全て不正競争行為に該当しないとすること
は相当でない。被告らの主張は,本件における需要者として日本語を解
する者が含まれないことを前提とする点においては採用することができ
ない。10
また,被告らは,本件レンタル事業に係るウェブサイトや公道カート
の車体等に,本件レンタル事業とゲーム「マリオカート」とは関連がな
い旨の打ち消し表示を付したから,混同のおそれは生じないと主張する。
ここで,被告会社は,①平成29年10月2日頃,品川店サイト2,
秋葉原第1号店サイト2,渋谷店サイト,大阪店サイト及び沖縄店サイ15
トに,英語,フランス語,中国語,韓国語及び日本語で「注意,マリカ
ーはゲーム『マリオカート』とは全く別物です。」と表示したこと,②
同日頃,本件レンタル事業の利用者が署名する英語の誓約書にも同様の
表示をしたこと(乙42),③平成30年1月18日頃,動画共有サイ
トYouTube上にアップロードされた2つの動画(F1レーサーが公道カ20
ートに乗車するもの,甲103の1及び2,104の1及び2)の映像
中に「MariCARはゲーム『マリオカート』とは無関係です。」との表示
をしたこと(乙57),④同月31日頃,被告会社サイトに「株式会社
マリカーは,任天堂株式会社,ゲーム『マリオカート』とは無関係で
す。」と表示したこと(乙55),⑤同月22日頃,品川店の窓ガラス25
にも同様の表示をしたこと(乙57),⑥同年2月4日頃,本件ドメイ
ン名2及び4を検索するとウェブサイトの紹介文に同様の表示がされる
ようにしたこと(乙57),⑦同年4月26日頃,レンタルする公道カ
ートの車体5か所に同様の表示を付したこと(乙85),⑧同日頃,品
川店のメールアドレスにメールを送信した場合に自動的に返信される電
子メールの文面に同様の表示がされるようにしたこと(乙85)が認め5
られる。
しかしながら,前記のとおり,被告標章第1は,原告文字表示と同一
のものもあり,類似の表示も原告文字表示マリカーと称呼が同一である
など類似の程度は高いといえるものである。他方,前記前提事実(4)で
述べたとおり,被告標章第1は,商号,チラシ,ウェブサイト,公道カ10
ートの車体,ロゴ等の様々な態様で使用され,ウェブサイトにおいても
様々な画面で使用されていること,被告標章第1が前記で認定した打ち
消し表示と常に一体として使用されるとは限らないものであることなど
の事情がある。これらを考慮すると,前記①ないし⑧の事実関係が認め
られるとしても,被告標章第1の使用によって原告又は原告と関係があ15
るとの混同のおそれが生じなくなるということはできない。また,公道
カートの車体に表示された打ち消し表示の文字は,停車中のカートに近
寄って見なければ判読できない程度に小さいから,本件レンタル事業の
利用者に対する効果も確実とは言い難い上,同カートを公道上で目撃す
る需要者が直ちに認識できるものではない。被告らの主張は採用するこ20
とができない。
(2)争点3(登録商標の抗弁の成否)について
被告らは,被告会社は,「マリカー」の標準文字からなる本件商標を有し
ており,「マリカー」という標章を使用する正当な権限を有するから,不競
法3条1項に基づく差止請求は認められない旨主張する。25
しかしながら,被告会社が本件商標の登録を出願したのは平成27年5月
13日であるところ(前記前提事実(9)),前記2(1)イ(イ)で述べたとおり,
その5年程度前である平成22年頃には,既に原告文字表示マリカーは原告
の商品を識別するものとして需要者の間に広く知られていたということがで
きる。
被告標章第1を使用する被告会社の行為は不正競争行為となるところ,上5
記事情を考えると,原告に対して,被告会社が本件商標に係る権利を有する
と主張することは権利の濫用として許されないというべきである。
したがって,被告会社の前記主張には理由がない。
(3)争点4(使用差止及び抹消請求の可否及び範囲)について
ア被告標章第1の使用差止及び抹消請求10
被告会社は,前記前提事実(4)のとおり,被告標章第1の1及び4(マ
リカー,maricar)を平成28年11月15日頃に本件レンタル事業の宣
伝のために配布した本件チラシに記載し,また被告標章同第1の1を少な
くとも平成30年5月7日まで各店舗のウェブサイトで表示し,被告標章
第1の2(MariCar)を,少なくとも同日頃までレンタルに供する公道カ15
ートに表示し,被告標章第1の3(MARICAR)を含む本件ロゴを,少なく
とも同日頃まで各店舗のウェブサイトに表示したと認められる。
これらの事実からすれば,被告会社は,被告標章第1の使用行為を継続
する可能性があるというべきであるから,原告は,前記使用行為により事
業活動に対する信用等の営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれ20
があると認められる。
したがって,原告は,被告会社に対し,不競法3条1項に基づき,営業
上の施設及び活動において被告標章第1を使用してはならないことを求め
ることができる。また,原告は,同条2項に基づき,侵害行為の停止又は
予防に必要な行為として,営業上の施設,ウェブサイトを含む広告宣伝物25
及びカート車両から被告標章第1を抹消することを求めることができる。
他方,原告は,自動車,自転車及び軽車両からも被告標章第1を抹消す
るよう求めているが,カート車両以外の上記自動車等に被告標章第1が表
示されたことを認めるに足りる証拠もなく,またそのおそれも認められな
い。
また,前記2(1)イ(イ)で述べたとおり,原告文字表示マリカーは,日本5
語を解しない者の間では周知性が認められない。そして,本件レンタル事
業の需要者には日本語を解しない者もいるところ,被告会社は,外国語の
みが記載されたウェブサイトやチラシを作成等していて(甲3,乙41の
2ないし41の4),日本語のウェブサイト等がある状況でこれらは日本
語を解しない者のみを対象とするといえる。前記に照らし,日本語を解し10
ない需要者のみを対象とする行為において被告標章第1を表示することを
差し止め,これらの広告宣伝物から同標章を抹消させることは認められず,
外国語のみで記載されたウェブサイト及びチラシにおける被告標章第1の
使用についての差止及び抹消請求は認められない。
イ「株式会社マリカー」の商号登記の抹消登記手続請求15
原告は,不競法3条2項に基づき,「株式会社マリカー」との商号登記
の抹消登記手続を求めているが(請求の趣旨第3項),被告会社は,平成
30年3月22日付けで,「株式会社マリカー」との商号を「株式会社M
ARIモビリティ開発」に変更した(前提事実(4)ア(ア),乙84)。した
がって,原告の上記請求には理由がない。20
3不競法に基づく被告標章第2の使用差止並びに本件各写真等の削除及び廃
棄請求の可否
(1)争点5(被告標章第2を使用する本件宣伝行為が不競法2条1項1号又
は2号の不正競争に該当するか否か)について
ア原告表現物の周知性25
(ア)掲記の証拠によれば,以下の事実を認めることができる。
a原告表現物(原告表現物マリオ,原告表現物ルイージ,原告表現物
クッパ及び原告表現物ヨッシー)は,前記前提事実(2)イのとおり,
人物又は生物のイラストである。原告表現物は,「スーパーマリオ
ブラザーズ」を初めとする原告の一連のゲームシリーズである「マ
リオ」シリーズ等に登場するキャラクターである「マリオ」,「ル5
イージ」,「クッパ」及び「ヨッシー」の人物又は生物としての表
現上の特徴を再現したものといえる。
b「マリオ」は,原告が昭和58年9月9日に発売したゲームソフト
「マリオブラザーズ」のメインキャラクターである。原告は,前記
ゲームソフトに続き,「マリオ」が登場する一連のゲームシリーズ10
を順次発売して,その全世界における累計販売本数は,平成28年
8月当時で3億2000万本に及んでいた(甲45,46)。
また,一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が平成
28年7月に発行した「2016年CESAゲーム白書」において,
前記「マリオ」シリーズのゲーム作品のうち,「スーパーマリオブ15
ラザーズ」は国内歴代ミリオン出荷タイトルの1位(681万本)
に,「Newスーパーマリオブラザーズ」は2位(649万本)に,
「NewスーパーマリオブラザーズWii」は11位(467万本)
に,「スーパーマリオランド」は15位(419万本)に,「スー
パーマリオブラザーズ3」は21位(384万本)に,「スーパー20
マリオワールド」は30位(355万本)に,「スーパーマリオラ
ンド2:6つの金貨」は45位(270万本)に,「スーパーマリ
オブラザーズ2(書き換えディスク)」は48位(265万本)に,
それぞれランクインした。同様に,「スーパーマリオブラザーズ」
は国内及び世界における出荷本数を累計して順位付けした世界歴代25
ミリオン出荷タイトルの2位(4024万本)に,「Newスーパ
ーマリオブラザーズ」は5位(3072万本)に,「Newスーパ
ーマリオブラザーズWii」は7位(2846万本)に,「スーパ
ーマリオワールド」は14位(2061万本)に,「スーパーマリ
オランド」は16位(1814万本)に,「スーパーマリオブラザ
ーズ3」は18位(1728万本)に,「スーパーマリオギャラク5
シー」は25位(1213万本)に,「スーパーマリオ64」は2
7位(1191万本)に,「スーパーマリオランド2:6つの金
貨」,「スーパーマリオ64DS」,「スーパーマリオ3Dラン
ド」,「スーパーマリオコレクション」及び「Newスーパーマリ
オブラザーズ2」は,31位ないし35位(1118万本,11010
1万本,1063万本,1055万本及び1004万本)に,「マ
リオパーティDS」は39位(931万本)に,「マリオパーティ
8」は42位(885万本)に,それぞれランクインした(甲9)。
c「マリオ」は,「ギネス世界記録」(GuinnessWorldRecords)が
平成23年11月頃に発表した「ゲーム史上最も有名なゲームキャ15
ラクターTop50」において,1位を獲得した(甲48)。
d「マリオ」シリーズにおいて,「ルイージ」は昭和58年9月9日
に発売された「マリオブラザーズ」から,「クッパ」は昭和60年
9月13日に発売された「スーパーマリオブラザーズ」から,「ヨ
ッシー」は平成2年11月21日に発売された「スーパーマリオワ20
ールド」から登場する(甲45)。
また,「ルイージ」を主役とするゲーム作品として,平成13年9
月14日に「ルイージマンション」が,平成25年3月20日に
「ルイージマンション2」がそれぞれ発売され,このうち「ルイー
ジマンション2」は前記国内歴代ミリオン出荷タイトルの173位25
(118万本),世界歴代ミリオン出荷タイトルの96位(475
万本)にランクインした(甲9,45)。
「ヨッシー」を主役とするゲーム作品として,平成7年8月5日に
「スーパーマリオヨッシーアイランド」が発売され,同ゲームは前
記国内歴代ミリオン出荷タイトルの90位(177万本),世界歴
代ミリオン出荷タイトルの108位(412万本)にランクインし5
た(甲9,45)。
e「ヨッシー」は,「ギネス世界記録」が発表した前記「ゲーム史上
最も有名なゲームキャラクターTop50」において,21位を獲
得した(甲48)。
また,「クッパ」は,「ギネス世界記録」が平成25年1月頃に発10
表した「ビデオゲーム史に名を残す悪役トップ50」において,1
位を獲得した(甲49)。
f「マリオ」,「ルイージ」,「ヨッシー」及び「クッパ」の造形は,
それぞれがゲーム作品に登場した当初から現在に至るまで,ゲーム
作品の画面やパッケージ,当該作品を取り上げた書籍や雑誌記事等15
に掲載されてきた。
原告表現物の人物又は生物としての基本的な表現上の特徴として,
後記イ(ア)のとおりの各特徴を挙げることができる(原告表現物マリ
オについてイ(ア)a(A)ないし(G),同ルイージについてイ(ア)b(A)な
いし(G),同ヨッシーについてイ(ア)c(A)ないし(D),同クッパにつ20
いてイ(ア)d(A)ないし(C))。前記ゲーム作品の画面等に掲載された
表現は,多くは,原告表現物の人物又は生物としての前記の表現上
の特徴をいずれも備えていた(「マリオ」について甲8の1ないし
9,甲10,11の1,3ないし6,甲16の1の1,甲16の1
の2,3,5,6,甲16の2の2,3,甲16の3,甲16の425
の2,甲16の5,甲16の6の1ないし7,甲17,19,20,
45,69の2,甲94の2ないし4,6,7,「ルイージ」につ
いて甲8の2,6,7,甲11の3,4,甲16の1の1,甲16
の1の2,3,6,甲16の3,甲16の4の2,甲16の5,甲
16の6の3,7,甲18,19,69の4,5,甲94の2,3,
5,7,「ヨッシー」について甲8の2,7,甲11の4,甲165
の1の1,甲16の1の3,甲16の3,甲17,94の2,3,
5,「クッパ」について甲8の2,7,11の4,甲16の1の1,
甲16の1の2,3,甲16の3,甲16の6の3,甲17,甲9
4の3,5)。
(イ)これらの事実によれば,原告表現物マリオは,その人物のイラストと10
しての基本的な表現上の特徴を同じくする「マリオ」が登場する原告の
ゲームソフトである「マリオ」シリーズの長年にわたる販売及び人気に
より,原告の商品の出所を表示する商品等表示となったというべきであ
り,遅くとも,国内出荷本数ランキングで2位を,国内及び世界におけ
る出荷本数ランキングで5位を獲得する売上げを記録した「Newスー15
パーマリオブラザーズ」が発売された平成18年5月には,日本全国の
者の間で,原告の商品等表示として少なくとも周知性を得ており,また,
遅くとも,「マリオ」が「ギネス世界記録」が発表した「ゲーム史上最
も有名なゲームキャラクターTop50」において1位を獲得した平成
23年11月には,外国に在住して日本を訪問する者の間でも,原告の20
商品等表示として広く認識されていたと認めることが相当である。
さらに,原告表現物ルイージ,原告表現物ヨッシー及び原告表現物ク
ッパについても,その人物又は生物のイラストとしての基本的な表現上
の特徴を同じくする「ルイージ」,「ヨッシー」及び「クッパ」が登場
する原告のゲームソフトである「マリオ」シリーズ等の長年にわたる販25
売及び人気により,原告の商品の出所を表示する商品等表示となったと
いうべきであり,遅くとも,前記「Newスーパーマリオブラザーズ」
が発売された平成18年5月には,日本全国の者の間で,原告の商品等
表示として広く認識されていたと認められ,また,①「マリオカート」
シリーズ及び「マリオ」シリーズが日本国内のみならず海外においても
大きな売上げを記録したこと(b),②「ルイージ」や「ヨッシー」5
を主役とするゲーム作品も世界歴代ミリオン出荷タイトルの96位及び
108位にランクインしたこと(d),③「ヨッシー」は「ギネス世
界記録」が平成23年11月に発表した「ゲーム史上最も有名なゲーム
キャラクターTop50」において21位を,「クッパ」は同じく「ギ
ネス世界記録」が発表した「ビデオゲーム史に名を残す悪役トップ50」10
において1位をそれぞれ獲得したこと(e)からすれば,原告表現物
ルイージ,原告表現物ヨッシー及び原告表現物クッパもまた,遅くとも,
前記ギネス記録が発表された平成25年1月までには,外国に在住して
日本を訪問する者の間でも,原告の商品等表示として広く認識されてい
たと認めることが相当である。15
イ原告表現物と本件宣伝行為との類否
(ア)原告表現物の特徴
a原告表現物マリオは別紙原告表現物目録記載1のとおりである。
その人物のイラストとしての表現上の特徴として,(A)赤い帽子を
かぶり,赤い長袖シャツと青いオーバーオールを着た人物であり,20
(B)顔は,目は楕円形を縦長にした形で瞳はより小さな青色と黒色の
楕円形で表現され,つり上がった「へ」の字型の眉をし,大きな横
長の楕円形の鼻と,その下に両端が上を向き下が波形になった形の
ひげを生やし,(C)帽子は正面前方に大きな膨らみと後方に小さな膨
らみをもたせ,双方の膨らみの間にくぼみを設け,正面に半円形の25
つばがついた形状であり,正面中央につばの縁に沿って円の下方部
が切り取られた横長の楕円状の白い丸があり,その中に帽子及び長
袖シャツと同色の赤色でM(上からつぶして横に広げたような形状
で中央のへこみは浅く描かれ,両端の辺の部分は上部に向けて幅が
狭く,下部に向けて広がる形状)と書かれた部分があり,(D)赤い長
袖シャツは,両腕部分及びオーバーオールに覆われていない首下部5
分が表面に見えており,(E)オーバーオールは,長ズボン部分と,正
面の胸当てからなる前面部と,背中部分と,当該前面部と背中部分
とをつなぐサスペンダー(太い肩紐からなるズボンつり部分)から
構成され,赤い長袖シャツが見えている部分を除いた足首から肩に
かけての全身を覆い,腹部はゆったりと膨らんで前方にせり出し,10
胸当てとサスペンダーの下部が重なるように描かれ,当該重なり部
分に,サスペンダーの幅と直径が概ね一致する大きさの円形の黄色
いボタンが付され,(F)白い手袋をし,(G)茶色の靴を履いていると
いう特徴がある(甲112。以下,これらを「原告表現物マリオの
特徴(A)」などといい,その他の原告表現物の特徴についても同様に15
いうことがある。)。
b原告表現物ルイージは別紙原告表現物目録記載2のとおりである。
その人物のイラストとしての表現上の特徴として,(A)緑色の帽子
をかぶり,緑色の長袖シャツと紺色に近い青いオーバーオールを着
た人物であり,(B)顔は,目は楕円形を縦長にした形で瞳はより小さ20
な青色と黒色の楕円形で表現され,つり上がった「へ」の字型の眉
をし,大きな横長の楕円形の鼻と,その下に両端が上を向き下が弧
を描く形のひげを生やし,(C)帽子は正面前方に大きな膨らみと後方
に小さな膨らみをもたせ,双方の膨らみの間にくぼみを設け,正面
に半円形のつばがついた形状であり,正面中央につばの縁に沿って25
円の下方部が切り取られた横長の楕円状の白い丸があり,その中に
帽子及び長袖シャツと同色の緑色でL(縦の辺と横の辺が接合する
箇所に向けてだんだんとやや狭く,接合箇所と反対方向に向けてや
や太くなっていく形状)と書かれた部分があり,(D)緑色の長袖シャ
ツは,両腕部分及びオーバーオールに覆われていない首下部分が表
面に見えており,(E)オーバーオールは,長ズボン部分と,正面の胸5
当てからなる前面部,と背中部分と,当該前面部と背中部分とをつ
なぐサスペンダーから構成され,緑色の長袖シャツが見えている部
分を除いた足首から肩にかけての全身を覆い,腹部はゆったりと膨
らんで前方にせり出し,胸当てとサスペンダーの下部が重なるよう
に描かれ,当該重なり部分に,サスペンダーの幅と直径が概ね一致10
する大きさの円形の黄色いボタンが付され,(F)白い手袋をし,(G)
茶色の靴を履いているという特徴がある(甲113)。
c原告表現物ヨッシーは別紙原告表現物目録記載3のとおりである。
その生物のイラストとしての表現上の特徴として,(A)黄緑の近い
緑と白を基調とした二足歩行の恐竜をユーモラスにしたような生物15
であり,(B)正面から捉えたイラストでは,頭部は鼻の部分が丸くて
大きな緑色の球体になっており,その後ろに頭部の大半を占めるよ
うに白い縦長の丸を二つ重ねた中にそれぞれ黒目を置いた目があり,
その周りをなぞるように緑色の縁取りがなされるような形状で頭部
が形成されており,頬に当たる部分は白くて丸みを帯びてやや膨ら20
んでいて,四肢と脇腹の部分は緑色,それ以外の腹部前面等の部分
は白色をしており,腹部前面の白い部分は,首から胸部及び腹部を
経由し股のあたりまでを広く覆うように描かれ,(C)後ろ及び横方向
から捉えたイラストでは,後頭部に半円形で朱色の背びれ様のとげ
が3つついていて,背中には大きな赤い丸及びこれを白く縁取った25
甲羅様の突起物があり,尻尾は根元が太く,円錐形に近い形で短く,
先端が背中の甲羅様の部分とほぼ水平になる位置まで上を向き,(D)
茶色のブーツを履いているという特徴がある(甲114)。
d原告表現物クッパは別紙原告表現物目録記載4のとおりである。
その生物のイラストとしての表現上の特徴として,(A)顔と甲羅が
主に緑色で,黄色い胴体を有する二足歩行の怪物のような生物であ5
り,(B)正面から捉えたイラストでは,(a)緑色の頭部には牛のよう
な二本の角(全体が肌色で根元部分に茶色の縁取りがある)が生え
ていて,鼻と唇は一体になっており分厚く肌色で,口の中には白い
牙が生えており,目(虹彩部分はオレンジに近い赤色,瞳孔部分は
黒色)は鋭くつり上がっていて赤く豊かな眉を生やしており,頭頂10
部から後頭部にかけて赤く豊かなたてがみが生えていて,(b)胴体の
中心にはお腹から胸にかけて大きく縦長の円に複数の横線の入った
肌色の模様があり,それ以外の四肢と脇腹の部分は黄色く,首並び
に左右の手首及び上腕部には複数の銀色のとげ様の飾りの付いた黒
い首輪及び腕輪をしており,(C)後ろ及び横方向から捉えたイラスト15
では,複数本の太いとげ(頭部と同様に全体が肌色で根元部分に茶
色の縁取りがある)があり,白い縁のついた緑色の甲羅を背負って
いて,尻尾は根元が太く,円錐形に近い形で短く,上側に尻尾と同
色の短い二本のとげを有するという特徴がある(甲115)。
(イ)本件各写真20
a本件写真1には,複数の人物が表示されているが,画像が不鮮明で
あることからその詳細は不明であり,原告表現物に類似するとは認め
られない。
なお,原告は,本件写真1について,原告立体像の複製物又は翻
案物である人物が表示されているとも主張しているが,前記と同様の25
理由により,原告立体像に類似する表示があるとは認められない。
b本件写真2には,公道カートに乗車した人物が2名表示されている
ところ,手前の人物は,少なくとも,原告表現物マリオの特徴(C)な
いし(E)を備えているコスチューム(以下,同様の特徴を備えたコス
チュームを「本件マリオコスチューム」という。)を着用しており,
本件写真3には,公道カートに乗車した人物が2名表示されていると5
ころ,手前の人物は,原告表現物ヨッシーの特徴(A)及び(B)を備えて
いるコスチューム(以下,同様の特徴を備えたコスチュームを「本件
ヨッシーコスチューム」という。)を着用している。
c本件写真2及び3は,河口湖店サイトに掲載されていたものである。
公道カートのレンタル事業のサイトにおいて,原告の商品等表示と10
いえる原告表現物と同一又は類似の表示がされた場合,その表示は,
少なくとも,提供している役務に関する広告において営業の出所を
示す表示としてされたということができる。
そして,本件写真2及び3において,いずれも原告表現物マリオ及
びヨッシーの特徴の一部を備えたコスチューム(被告標章第2の115
ないし3,8,9のいずれかのコスチューム)を着用した人物が表
示されていること,これらの人物は,いずれも公道カートに乗車し
ていること,「マリオ」,「ヨッシー」等がカートの運転手となる
ゲームシリーズ「マリオカート」が日本及び全世界において相当の
出荷本数を有すること(前記2(1)イ(ア)),これらの写真が「マリ20
カー」と称する本件レンタル事業を宣伝するウェブサイトにおいて
掲載されていたことからすれば(甲6の2),これらのコスチュー
ムを着用した人物の表示は,本件レンタル事業の需要者をして,ゲ
ームシリーズ「マリオカート」のキャラクターである「マリオ」,
「ヨッシー」を連想させるといえる。そして,これらの人物と,本25
件レンタル事業の需要者において周知の商品等表示である原告表現
物マリオ,原告表現物ヨッシーとを類似のものと受け取り,前記2
(1)エで述べたとおり,その商品等表示が示す原告の業務と被告会社
が行っている役務には関連性があるといえることから,被告会社と
原告との間に同一の営業を営むグループに属する関係又は原告から
使用許諾を受けている関係が存すると誤信させるおそれがある。5
(ウ)本件各動画
本件各動画については,少なくとも,以下のとおり,原告表現物の特
徴の少なくとも一部を備えたコスチュームを着た人物が表示されている。
a本件動画1
本件動画1は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD10
GO-KARTINGTOKYOTOUR」,「公道カート東京ツアーbyマリカー」と
の表示がある画面から始まり,本件動画1の0:09秒及び0:1
3秒時点には,原告表現物クッパの特徴(A)ないし(C)を備えたコス
チューム(以下,同様の特徴を備えたコスチュームを「本件クッパ
コスチューム」という。)を着用して公道カートに乗車する人物が15
表示されている。上記人物は「マリカー」による「カート」ツアー
の利用者として表示されている(甲42の1,甲43の1)。
b本件動画2
本件動画2は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「マリカー公
道カート東京ツアー」との表示がある画面から始まり,本件動画220
の0:07秒時点には,本件マリオコスチュームを着用して公道カ
ートに乗車する人物が表示されている。上記人物は「マリカー」に
よる「カート」ツアーの利用者として表示されている(甲42の2,
甲43の2)。
c本件動画325
本件動画3は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD
GO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件動画
3の0:59ないし1:09秒時点には,本件クッパコスチューム
を着用して公道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物
は「MARICAR」による「KARTING」のツアーの利用者として表示され
ている(甲42の3,甲43の3)。5
d本件動画4
本件動画4の3:09秒時点には,本件マリオコスチュームを着用
して,公道カートに乗車する人物が表示されている。本件動画4に
は「ハロウィンの当日にあの『マリカー』で渋谷を走ってみたら大
変なことになった」との表示が挿入されており,上記人物は「マリ10
カー」による公道カートのツアーの利用者として表示されている
(甲42の4,甲43の4)。
e本件動画5
本件動画5は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD
GO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件動画15
5の12:57秒時点には,本件マリオコスチュームを着用して公
道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は「MARICAR」
による「KARTING」のツアーの利用者としてとして表示されている
(甲42の5,甲43の5)。
f本件動画620
本件動画6は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD
GO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件動画
6の1:50秒時点には,本件マリオコスチュームを着用して公道
カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は「MARICAR」に
よる「KARTING」のツアーの利用者として表示されている(甲42の25
6,甲43の6)。
g本件動画7
本件動画7は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD
GO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件動画
7の0:09秒時点には,本件ヨッシーコスチュームを着用して公
道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は「MARICAR」5
による「KARTING」のツアーの利用者として表示されている(甲42
の7,甲43の7)。
h本件動画8
本件動画8は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD
GO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件動画10
8の0:19ないし0:20秒時点には,本件クッパコスチューム
を着用して公道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物
は「MARICAR」による「KARTING」のツアーの利用者として表示され
ている(甲42の8,甲43の8)。
i本件動画915
本件動画9は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLICROAD
GO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件動画
9の0:17秒時点には,原告表現物ルイージの特徴(C)ないし(E)
の少なくとも一部を備えたコスチューム(以下,同様の特徴を備え
たコスチュームを「本件ルイージコスチューム」という。)を着用20
して,公道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は
「MARICAR」による「KARTING」のツアーの利用者として表示されて
いる(甲42の9,甲43の9)。
j本件動画10
本件動画10は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLIC25
ROADGO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件
動画10の0:16秒時点には,本件ルイージコスチュームを着用
して,公道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は
「MARICAR」による「KARTING」のツアーの利用者として表示されて
いる(甲42の10,甲43の10)。
k本件動画115
本件動画11は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLIC
ROADGO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件
動画11の0:03秒時点には,本件マリオコスチュームを着用し
て公道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は
「MARICAR」による「KARTING」のツアーの利用者として表示されて10
いる(甲42の11,甲43の11)。
l本件動画12
本件動画12は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「PUBLIC
ROADGO-KARTINGTOKYOTOUR」との表示がある画面から始まり,本件
動画12の0:03秒時点には,本件マリオコスチュームを着用し15
て公道カートに乗車する人物が表示されている。上記人物は
「MARICAR」による「KARTING」のツアーの利用者として表示されて
いる(甲42の12,43の12)。
m本件動画13
本件動画13の0:27ないし0:32秒時点には,本件ヨッシー20
コスチュームを着用して公道カートに乗車しようとする人物が表示
されている。本件動画13は品川店による本件レンタル事業の内容
を取材して作成されたものであり,上記人物は同事業によるカート
レンタルサービスの内容を実演する者として表示されている(甲4
2の13,甲43の13)。25
n本件動画14
本件動画14の1:22秒時点には,本件クッパコスチュームを着
用して公道カートに乗車する人物が表示されている。本件動画14
の中において,上記人物は「マリカー」によるカートツアーの利用
者とされ,本件レンタル事業の概要が説明されている(甲42の1
4,甲43の14)。5
o本件動画15
本件動画15の0:33ないし0:36秒時点には,本件ヨッシー
コスチュームを着用して本件ロゴ等がペイントされた公道カートに
乗車する人物が表示されており,「マリオカートの運転手」と説明
されている(甲42の15,甲43の15)。10
p本件動画16
本件動画16は「MARICAR」との表示を含む本件ロゴと「Street
Go-KartingTour」との表示がある画面から始まり,本件動画16の
0:14秒時点には,本件ルイージコスチュームを着用して公道カ
ートに乗車する人物が表示されている。上記人物は「MARICAR」によ15
る「Karting」のツアーの利用者として表示されている(甲42の1
6,甲43の16)。
(エ)本件動画1ないし16は,インターネット上の動画共有サービスで
あるYouTubeにアップロードされたものであり,本件動画1ないし3,
5ないし12及び16については,その冒頭において被告会社が行う本20
件レンタル事業に関する動画であることが表示されている。また,本件
動画4は本件レンタル事業に係る利用者がコスチュームを着用して公道
カートを運転する様子が撮影された動画であり,本件動画13及び14
は本件レンタル事業について紹介するテレビ番組の当該紹介部分を切り
取って作成された動画であり,本件動画15は本件ロゴ等がペイントさ25
れた公道カートを運転する本件レンタル事業の利用者を撮影したテレビ
番組の当該部分を切り取って作成された動画であり,いずれも被告会社
あるいは関係団体が,本件レンタル事業を広く紹介するために動画共有
サービスにアップロードしたものと認められる。
そして,被告がその役務である本件レンタル事業を紹介する動画にお
いて,原告の商品等表示といえる原告表現物と類似の表示がされた場合,5
その表示は,少なくとも被告会社が提供している役務に関する広告にお
いて営業の出所を示す表示としてされたということができる。
本件動画1ないし16においては,いずれも原告表現物の特徴の一部
を備えたコスチューム(被告標章第2の1ないし10のいずれかのコス
チューム)を着用した人物が表示されていること,これらの人物はいず10
れも公道カートに乗車していること,「マリオ」,「ルイージ」,「ヨ
ッシー」,「クッパ」がカートの運転手となるゲームシリーズ「マリオ
カート」が日本及び全世界において相当の出荷本数を有すること(前記
2(1)イ(ア)),これらの動画の冒頭に「MARICAR」などという表示がさ
れていたことからすれば,これらのコスチュームを着用した動画上の人15
物は,本件レンタル事業の需要者をして,ゲームシリーズ「マリオカー
ト」のキャラクターである「マリオ」,「ルイージ」,「ヨッシー」,
「クッパ」を連想させ,上記各人物と,本件レンタル事業の需要者にお
いて周知の商品等表示である原告表現物とを類似のものと受け取らせ,
その商品等表示と被告会社が行っている役務に関連性があると誤認させ,20
被告会社と原告との間に同一の営業を営むグループに属する関係又は原
告から使用許諾を受けている関係が存すると誤信させるおそれがある。
(オ)コスチュームを着用した被告従業員
前記(イ)及び(ウ)のとおり,本件マリオコスチューム,本件ルイージコ
スチューム,本件ヨッシーコスチューム及び本件クッパコスチューム25
(被告標章第2の1ないし10の各コスチューム)は原告表現物の特徴
の一部を備えるところ,これらを着用し,カートツアーの先導者として
「MARICAR」「MariCar」といった被告標章第1を表示する公道カートに
乗車することは,前記(ウ)と同様の理由により,需要者をして,ゲーム
シリーズ「マリオカート」のキャラクターである「マリオ」,「ルイー
ジ」,「ヨッシー」及び「クッパ」を連想させ,その先導者と,本件レ5
ンタル事業の需要者の間において周知の商品等表示である原告表現物と
を類似のものと受け取らせ,被告会社と原告との間に同一の営業を営む
グループに属する関係又は原告から使用許諾を受けている関係が存する
と誤信させるおそれがある。
(カ)本件マリオ人形10
本件マリオ人形(被告標章第2の11の人形)は,原告表現物マリオ
の特徴を全て備えており,原告表現物マリオと類似するといえる。
そして,本件マリオ人形が設置されている被告会社の店舗において本
件レンタル事業が行なわれていること,「マリオ」等がカートの運転手
となるゲームシリーズ「マリオカート」が日本及び全世界において相当15
の出荷本数を有すること(前記2(1)イ(ア))からすると,同設置行為は,
少なくとも提供している役務に関する広告において営業の出所を示す表
示としてされたものといえ,原告表現物マリオが本件レンタル事業の需
要者において周知の原告の商品等表示であることから,被告会社と原告
との間に同一の営業を営むグループに属する関係又は原告から使用許諾20
を受けている関係が存すると誤信させるおそれがある。
ウ以上によれば,被告が,被告標章第2を使用して行った本件宣伝行為
(本件写真1の表示を除く,以下同じ。)は,原告の周知の商品等表示と
類似する標章を商品等表示として使用しているものであり,これに接した
需要者に対し,被告会社と原告との間に,原告と同一の商品化事業を営む25
グループに属する関係又は原告から使用許諾を受けている関係が存するも
のと誤信させるものと認められる。
エ以上に対し,被告は,本件各動画のほとんどには冒頭に本件ロゴが表示
されており原告を想起させるような表示はないから,本件宣伝行為は商品
等表示としての使用には該当しない旨主張する。しかし,本件ロゴは原告
の周知表示である「マリカー」と類似する被告標章第1の3「MARICAR」5
を含むものであるから,原告を想起させるような表示がない旨の前記主張
は前提において理由がなく,前記に述べたところにより,本件宣伝行為は
商品等表示としての使用に該当する。
また,被告は,本件マリオ人形は販売目的で設置されていたから,商品
等表示としての使用に該当しない旨主張するが,同人形が売り物であった10
と認めるに足りる証拠はない上,仮に被告会社に同人形を販売する意図が
あったとしても,これを需要者の目に止まる店舗内に展示することによっ
て,需要者に対し,同店舗におけるサービスの提供が原告と関連するもの
であると推認させるといえるから,商品等表示としての使用に当たるとい
える。15
(2)争点6(使用差止及び抹消・廃棄請求の可否及び範囲)について
ア原告は,原告表現物が原告の周知な商品等表示であると主張して,被告
会社がこれと類似する被告標章第2の各標章を営業上の施設及び活動にお
いて使用することの差止めを求める(請求の趣旨第6項)。
原告表現物は,原告の周知な商品等表示である(前記(1)ア)。そして,20
上記請求において,差止めの対象となる標章は別紙被告標章目録第2にお
ける各標章(コスチューム又は人形)として特定されているところ,これ
らの被告標章第2の各標章は原告表現物の特徴の一部又は全部を備えてい
る。そして,被告会社がこのような標章を使用する場合,その営業の内容,
「マリオカート」のゲームの内容,出荷本数等のほか,原告表現物の周知25
性の程度の高さからも,被告標章第2の各標章は商品等表示として使用さ
れたものとなり,それに接した需要者に対して,被告会社と原告との間に
同一の営業を営むグループに属する関係又は原告から使用許諾を受けてい
る関係が存すると誤信させるといえるものである。また,後記イのとおり,
本件においては,差止めの必要性もあるというべきである。
そうすると,被告会社に対し,被告標章第2を営業上の施設及び活動に5
おいて使用することの差止めを求める原告の請求には理由がある。したが
って,被告会社は,上記標章を営業上の施設及び活動において使用しては
ならない。これによって,被告会社は,上記標章が使用された本件写真2
及び3を同社が運営するウェブサイトに掲載すること,本件各動画を動画
共有サービスに掲載すること,従業員に被告標章第2の1ないし10のコ10
スチュームを着用させること,店舗内に同目録記載11の人形を設置する
ことや,営業活動において上記標章である上記各コスチュームを貸与とい
う形で使用すること(上記各コスチュームを貸与すること)など,被告標
章第2の各標章を営業上の施設及び活動において使用することが禁止され
ることとなる。15
なお,原告は,原告立体像の周知性又は著名性も主張するが,原告表現
物が原告の周知な商品等表示として認められ,それにより原告が問題とす
る行為に対する差止め等が認められるため,原告立体像が原告の周知な商
品等表示であるか否かについては,判断しない。
イ被告会社は,前記前提事実(5),(6)及び(8)で述べたとおり,被告標章20
第2を使用した本件写真2及び3を遅くとも平成29年2月23日から同
年6月16日まで河口湖店サイトに掲載し,被告標章第2を使用した本件
各動画を平成27年11月2日から平成29年1月12日までの間に順次
YouTubeにアップロードして,遅くとも平成29年6月16日まで視聴可
能な状態にし,平成27年6月4日頃から平成29年6月16日頃までの25
間,従業員に被告標章第2の各コスチュームを着用させてカートツアーの
先導をさせ,平成28年6月4日頃から平成29年2月24日頃までの間,
品川店の店舗内に被告標章第2の11である本件マリオ人形を設置して展
示したと認められる。また,利用者に対し,口頭弁論終結時に至るまで,
少なくとも被告標章第2の2,3,5,6,8及び10の各コスチューム
(本件各コスチューム)の貸与行為を継続していたと認められる(弁論の5
全趣旨)。
被告会社は,本件各写真及び本件各動画の掲載,従業員による被告標章
第2の各コスチュームを着用させての先導,本件マリオ人形の設置につい
ては本件の口頭弁論終結時までに中止したと認められるものの,中止した
行為も再開するのは容易であることなどから,原告には,なお同行為によ10
り事業活動に対する信用等の営業上の利益が侵害されるおそれがあると認
められる。
ウ原告は,本件各写真及び本件各動画の削除及び当該データの廃棄を求め
る(請求の趣旨第7項,第8項)。しかし,これらの写真及び動画は既に
ウェブサイトに掲載されていなくて視聴可能な状態ではないから,それら15
の削除の請求には理由がなく,本件各写真のデータ自体は,その内容に照
らせば不正競争行為とならない利用方法があることからその廃棄は認めら
れない。広告のために作成されたといえる本件各動画のデータの廃棄の請
求には理由がある。
4不競法に基づく本件ドメイン名の使用差止及び登録抹消請求の可否20
(1)争点7(本件ドメイン名の使用行為が不競法2条1項13号の不正競争
に該当するか否か)について
ア本件ドメイン名と原告文字表示の類否
原告の特定商品等表示である原告文字表示マリカーと,本件各ドメイン
名の類否について,本件ドメイン名のうち「.jp」,「.co.jp」及び25
「.com」部分は多くのドメイン名に共通して用いられるものであるから,
出所を表示する機能を有する部分は「maricar」又は「fuji-maricar」で
あり,同部分が本件各ドメイン名の要部と認められる。このうち
「maricar」部分については,前記2(1)イで述べたとおり,原告文字表示
マリカーと類似すると認められる。
また,「fuji-maricar」について,前記のとおり「maricar」部分が原5
告文字表示マリカーと類似し,「fuji-」の部分は「maricar」に付加され
たものと受け取ることができるものであり,「fuji-maricar」も,原告文
字表示マリカーと類似するものといえる。
したがって,本件ドメイン名はいずれも原告文字表示マリカーと類似す
る。10
イ図利加害目的の有無
前記2(1)イ(イ)で述べたとおり,原告文字表示マリカーは,被告会社が
設立された平成27年6月4日の相当程度以前である平成22年頃から,
原告の販売するゲームシリーズ「マリオカート」の略称として,ゲームに
関心を有する需要者の間で全国的に知られており,被告会社がこれを認識15
していなかったとは認め難いこと,被告会社は,本件訴訟提起前の平成2
9年2月23日当時,本件ドメイン名1ないし3を使用して開設したサイ
ト(被告会社サイト,品川店サイト1,河口湖店サイト)において,「マ
リオカート」シリーズに登場する主要キャラクターである「マリオ」「ル
イージ」等のコスチュームを着用した利用者が公道カートを運転するとい20
う本件レンタル事業のサービス内容を写真等と共に宣伝し,「みんなでコ
スプレして走れば,リアルマリカーで楽しさ倍増。」と記載しており,被
告会社の意図が,原告の「マリオカート」シリーズにおけるゲームの世界
を現実世界で体験することを売りにして顧客を惹きつけようとするもので
あったと推認できることからすれば(甲6の1ないし3),被告会社は,25
原告文字表示マリカーと類似する本件各ドメイン名を使用することにより,
同文字表示が有する高い知名度を利用し,原告の公認あるいは協力の下で
本件レンタル事業を営んでいるかのような外観を作出し,不当に利益を上
げる目的があったものと認めることができる。
したがって,本件各ドメイン名の使用につき,「不正の利益を得る目的」
を有していたと認めることができる。5
ウ小括
以上によれば,被告会社は,本件レンタル事業の宣伝行為のために,不
正の利益を得る目的をもって,原告の特定商品等表示である原告文字表示
マリカーと類似する本件各ドメイン名を使用したと認められるから,同行
為は不競法2条1項13号所定の不正競争行為に該当する。10
(2)争点8(使用差止及び登録抹消請求の可否及び範囲)について
ア被告会社は,前記前提事実(7)で述べたとおり,少なくとも平成29年
2月23日から平成30年5月7日までの間,本件各ドメイン名を使用し
て被告会社サイト,品川店サイト,秋葉原第1号店サイト1,2,渋谷店
サイト,大阪店サイト及び沖縄店サイトを開設し,本件レンタル事業の宣15
伝行為を行っていたと認められる。
そして,被告会社が,平成30年5月16日頃にはmarimobility.以下
省略との新たなドメイン名を使用して同社のサイトを開設したとの事実は
認められるものの(乙88の1),本件各ドメイン名を営業活動に使用し
ていないと認めるに足りる証拠はない。20
そうすると,被告会社は,本件各ドメイン名の使用行為を継続する可能
性が高いというべきであるから,原告は,前記使用行為により事業活動に
対する信用等の営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあると
認められる。
したがって,原告は,被告会社に対し,不競法3条1項に基づき,本件25
各ドメイン名の使用の差止めを求めることができる。
ただし,前記2(1)イ(イ)で述べたとおり,本件各ドメイン名は原告の特
定商品等表示である原告文字表示マリカーと類似するためにその使用が不
競法2条1項13号所定の不正競争行為に該当するところ,原告文字表示
マリカーは,日本語を解しない者の間では周知性が認められず,原告に生
じる前記営業上の利益侵害は,被告会社が本件各ドメイン名を外国語のみ5
で記載されたウェブサイトのために使用する場合には認められないから,
上記差止めは,本件各ドメイン名を外国語のみで記載されたウェブサイト
のために使用する場合には認められない。
イ被告会社は,前記のとおり本件ドメイン名2を本件レンタル事業の宣伝
をするウェブサイトの開設に使用しているところ,前記アのとおり,その10
使用の差止めが認められない場合があり,被告会社に対してその登録の抹
消を求める原告の請求は認められない。また,前記前提事実(7)イのとお
り,被告会社は平成30年1月31日までに本件ドメイン名4に係る登録
を抹消しており,被告会社に対して本件ドメイン名4の登録の抹消を求め
る原告の請求には理由がない。15
5著作権法に基づく原告表現物の複製又は翻案の差止請求並びに本件写真等
の抹消及び廃棄請求の可否
(1)争点10(複製又は翻案の差止請求の可否及び範囲)について
原告は,請求の趣旨第4項において,原告表現物の複製又は翻案の差止
めを求め,請求の趣旨第5項において,原告表現物の複製物又は翻案物の20
自動公衆送信又は送信可能化の差止めを求めている。
原告表現物を複製又は翻案する行為には,広範かつ多様な行為があると
ころ,原告の請求は,絵画の著作物である原告表現物を絵画上複製すると
いう行為がされていない本件において,差止めの対象となる行為を具体的
に特定することなく,広範かつ多様な態様な行為のすべてを差止めの対象25
とするものといえ,自動公衆送信又は送信可能化の差止めについても,そ
の差止めの対象自体を複製物又は翻案物とすることから,同様のものとい
える。このような無限定な内容の行為について,被告会社がこれを行うお
それがあるものとして差止めの必要性を認めるに足りる立証はされていな
い。原告の前記請求には理由がない。
(2)争点9(本件各写真及び本件各動画が原告表現物の複製物又は翻案物に5
当たるか否か)及び争点11(本件各コスチュームが原告表現物の複製物
又は翻案物に当たるか否か)について
本件各写真及び本件各動画が原告表現物の複製物又は翻案物に当たるか
否か(争点9)については,これらが複製物又は翻案物に当たることを前
提とする請求である請求の趣旨第4項,第5項に係る請求が前記3(1)の10
理由により認められないため,判断するに及ばない。
また,原告は,請求の趣旨第11項において,本件各コスチュームが原
告表現物の複製物又は翻案物に当たることを前提として会社である被告会
社にその貸与の禁止を求めている。本件各コスチュームである別紙貸与物
目録記載1ないし6の各コスチュームは,それぞれ,被告標章第2の2,15
3,5,6,8,10のコスチュームである。ここで,不競法に基づく請
求の趣旨第6項に係る請求には被告会社がこれらのコスチュームを使用
(貸与)することの禁止を求める請求が含まれると解され,この部分は,
請求の趣旨第11項に係る請求と選択的併合の関係に立つと解される。前
記3のとおり,不競法に基づき被告会社がこれらのコスチュームの貸与を20
することが禁止されることによって,請求の趣旨第11項に係る請求につ
いて判断をするに及ばなくなるから,本件各コスチュームが原告表現物の
複製物又は翻案物に当たるか否か(争点11)は判断するには及ばない。
6損害
(1)争点12(被告Aに対する損害賠償請求の可否)について25
原告は,被告会社の代表取締役である被告Aが,被告会社について放送
されたテレビ番組において,「マリオ」のコスチュームを着用してインタ
ビューを受け,同コスチュームのまま公道カートに乗車して公道を走行す
るなど本件レンタル事業を宣伝していたことからすれば,同人は被告会社
による不正競争行為及び著作権侵害行為を認識しながらこれに加担したの
であり,会社法429条1項に基づき,被告会社と連帯して損害賠償責任5
を負う旨主張する。
しかしながら,被告Aの前記行為から,直ちに,同人が被告会社による
被告標章1の使用行為等の原告が本件で問題とする行為が不正競争又は著
作権侵害に当たると認識していたと認めることはできず,その他,同人が
これを認識しながら,あるいは容易に認識できたにもかかわらず,前記各10
行為を推進したと認めるに足りる証拠はない。
したがって,被告Aに被告会社の職務を行うにつき悪意又は重大な過失
があったとは認められず,原告の前記主張には理由がない。
(2)争点13(原告の損害額)について
ア被告会社による不正競争行為15
これまで検討したとおり,被告会社は不正競争行為を行ったと認めるこ
とができ,このうち被告標章第1及び被告標章第2の使用は不競法2条1
項1号所定の不正競争行為に,本件各ドメイン名の使用は同項13号所定
の不正競争行為に,それぞれ該当し,被告会社には少なくとも過失が認め
られるから,被告会社は,原告に対し,不競法4条本文に基づき,原告に20
生じた損害を賠償する責めに任ずる。
また,原告は,被告会社が設立された平成27年6月4日から平成30
年3月31日までに行われた行為の損害を主張しているから,前記期間の
行為によって生じた損害の賠償を請求するものと解される。
イ不競法5条3項1号,4号に基づく損害25
(ア)売上げ
前記1で述べたとおり,被告会社は,平成27年6月4日から平成2
8年6月24日までは単独で,同月25日以降は少なくとも関係団体と
共同して本件レンタル事業を行い,その過程で不正競争行為を行ったと
認めることができるから,損害賠償額算定の基礎となる売上げは,関係
団体が運営する各店舗における売上げを含めた本件レンタル事業による5
全売上げとすることが相当である。そして,証拠(乙59)によれば,
平成27年6月4日から平成28年6月30日までの本件レンタル事業
による売上げは,●省略●と認められる。
被告会社は,平成28年7月1日以降の売上げを明らかにしないが,
①本件レンタル事業に係るサービスを提供する店舗は,当初は品川店の10
みであったが,少なくとも,同日以降,大阪店,富士河口湖店,沖縄店,
秋葉原第1ないし第4号店が開業したことがうかがわれ(前記1(1)オ,
ク),平成29年2月23日までには9店舗まで拡大したこと(前提事
実(3)イ),②平成27年6月4日から平成28年6月30日までの売
上げの推移をみると,●省略●と認められることからすれば(乙59),15
平成28年7月1日以降の一日当たりの売上げは,その直近の6か月
(平成28年1月から同年6月まで,売上合計額は●省略●)の一日当
たりの売上げの●省略●は下らないものと推認することができる。
そうすると,平成27年6月4日から平成30年3月31日までの本
件レンタル事業に係る売上げは,以下の計算式のとおり,少なくとも,20
●省略●
(イ)使用料相当損害
原告が原告の商品等表示及び著作物に関してこれまで締結したライセ
ンス契約における実施料率(甲128の1,2),本件レンタル事業の
態様,原告文字表示マリカーや特に原告表現物に強い顧客吸引力が認め25
られること等の諸般の事情を勘案すれば,使用料相当損害として,●省
略●を認めるのが相当である。なお,被告標章第1及び本件各ドメイン
名の使用に関して不正競争行為が認められるのは日本語を解する者を対
象とする場合に限定されるが,その他の不正競争行為についてはそのよ
うな限定はなく,特に原告表現物に強い顧客吸引力が認められるため,
使用料相当損害として上記の額を認める。5
(ウ)これに対し,被告会社は,同社が各組合の行なった不正競争行為につ
いて損害賠償責任を負うとしても,その範囲は,LLP法15条に基づ
き,最大でも同社が各組合の組合員として出資した金額(●省略●)が
限度となる旨主張する。
しかしながら,LLP法15条は「組合員は,その出資の価額を限度10
として,組合の債務を弁済する責任を負う。」と規定し,有限責任事業
者組合の事業活動によって生じた組合の債務について,組合員は出資の
価額を限度として弁済を負う旨を定めているところ,原告は,被告会社
の行為のみを請求原因として主張しており,各組合の行為によって同組
合が損害賠償義務を負い,各組合の組合員である被告会社が組合の債務15
を弁済する債務を負うとの主張をしていないから,被告会社の前記主張
は,同社の債務の発生を一部阻止する抗弁として機能するものではない。
したがって,被告らの前記主張は,時機に後れた攻撃防御方法に当た
るか否か等,その余の点を判断するまでもなく,失当である。
ウ弁護士費用20
本件事案の性質・内容,本件訴訟に至る経緯,本件審理の経過等の諸
般の事情に鑑みれば,被告会社の不正競争行為と相当因果関係がある原
告の弁護士費用相当額は,93万円と認めるのが相当である。
エ総計
以上を合計すると,原告が,被告会社の不正競争行為によって被った25
損害は1026万4609円と認められるため,原告の被告会社に対す
る請求はその全額(1000万円)を認容すべきである。
また,遅延損害金は,原告が請求する前記期間(平成27年6月4日
から平成30年3月31日)に係る不正競争行為の最終日である平成3
0年3月31日から生じるものと解される。
7結論5
以上のとおりであるから,原告の請求は,主文の限度で理由があるからこ
れを認容し,その余の請求は理由がないから棄却し,主文第1項ないし第5
項については,相当でないから仮執行宣言を付さず,主文第6項には仮執行
宣言を付すことが相当であるから,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部10
裁判長裁判官柴田義明
裁判官安岡美香子15
裁判官佐藤雅浩
(別紙)
被告標章目録第1
1マリカー
2MariCar5
3MARICAR
4maricar
(別紙)
原告表現物目録
1[「マリオ」]
2[「ルイージ」]
3[「ヨッシー」]
4[「クッパ」]
(別紙)
原告商品等表示目録
1[「マリオ」]
2[「ルイージ」]
3[「ヨッシー」]
4[「クッパ」]
(別紙)
被告標章目録第2
1[下記写真中の人物が着用する「マリオ」のコスチューム]
写真省略5
2[「マリオ」のコスチューム1]
[表面]
[裏面]5
3[「マリオ」のコスチューム2]
[表面]
[裏面]5
4[下記写真中の人物が着用する「ルイージ」のコスチューム]
写真省略
5[「ルイージ」のコスチューム1]
[表面]
[裏面]5
6[「ルイージ」のコスチューム2]
[表面]
[裏面]5
7[下記写真中の人物が着用する「ヨッシー」のコスチューム]
写真省略
8[「ヨッシー」のコスチューム]
[表面]
[裏面]
9[下記写真中の人物が着用する「クッパ」のコスチューム]
写真省略
10[「クッパ」のコスチューム]
[表面]
[裏面]
11[被告マリカーの店舗入口に設置された「マリオ」の人形]
(別紙)
掲載写真目録

写真省略5
掲載URL:http://以下省略

写真省略
掲載URL:http://以下省略

写真省略
掲載URL:http://以下省略
(別紙)
投稿動画目録
1投稿日時:平成27年11月2日
題名:マリカー/PublicRoadGo-KartingTokyoTour公道カート東京ツア5

投稿URL:https://以下省略
2投稿日時:平成27年11月3日
題名:リアルマリカー公道カート東京ツアー/PublicRoadGo-Karting
TokyoTour10
投稿URL:https://以下省略
3投稿日時:平成27年11月4日
題名:[2015/11/01]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour
投稿URL:https://以下省略
4投稿日時:平成27年11月4日15
題名:[2015]渋谷のハロウィンでリアルマリカーした結果・・・
投稿URL:https://以下省略
5投稿日時:平成27年11月22日
題名:[2015/11/21][Full]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour
投稿URL:https://以下省略20
6投稿日時:平成27年11月23日
題名:[2015/11/24]マリカー公道カート渋谷・六本木ツアー
投稿URL:https://以下省略
7投稿日時:平成27年12月5日
題名:[2015/11/28][Full]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour25
投稿URL:https://以下省略
8投稿日時:平成27年12月22日
題名:[2015/11/28]マリカー公道カート東京ツアー
投稿URL:https://以下省略
9投稿日時:平成27年12月26日
題名:[2015/11/29][Full]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour5
投稿URL:https://以下省略
10投稿日時:平成27年12月26日
題名:[2015/11/29]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour
投稿URL:https://以下省略
11投稿日時:平成28年1月6日10
題名:[2015/12/05]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour
投稿URL:https://以下省略
12投稿日時:平成28年1月10日
題名:[2016/01/09][FULL]マリカー公道ツアー
投稿URL:https://以下省略15
13投稿日時:平成28年1月11日
題名:[2016/01/11][TV番組]NHKBSTOKYOディープ
投稿URL:https://以下省略
14投稿日時:平成28年1月26日
題名:[2016/02/25][TVSHOW]TVTOKYOユーは何しに日本へ?20
投稿URL:https://以下省略
15投稿日時:平成28年8月15日
題名:[2016/08][TVSHOW]とくダネ!雨の中のマリカー
投稿URL:https://以下省略
16投稿日時:平成29年1月12日25
題名:[20XX/XX/XX]MariCARPublicRoadGo-KartingTokyoTour
投稿URL:https://以下省略
(別紙)
ドメイン名目録
1maricar.以下省略
2maricar.co.以下省略5
3fuji-maricar.以下省略
4maricar.以下省略
(別紙)
貸与物目録
1[「マリオ」のコスチューム1]
[表面]
[裏面]
2[「マリオ」のコスチューム2]
[表面]
[裏面]
3[「ルイージ」のコスチューム1]
[表面]
[裏面]5
4[「ルイージ」のコスチューム2]
[表面]
[裏面]5
5[「ヨッシー」のコスチューム]
[表面]
[裏面]5
6[「クッパ」のコスチューム]
[表面]
[裏面]

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