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平成13年(ネ)第3411号 不正競争行為差止請求控訴事件(平成13年9月1
8日口頭弁論終結。原審・静岡地方裁判所平成11年(ワ)第860号)
     判    決
 控訴人(被告) トーアエイト株式会社
 訴訟代理人弁護士 廣瀬清久
 被控訴人(原告) 株式会社新トーア
 訴訟代理人弁護士 増田堯、松田康太郎
     主    文
 本件控訴を棄却する。
 控訴費用は控訴人の負担とする。
     事実及び理由
 1 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。」との判決を
求めた。
 2 被控訴人は、控訴人が被控訴人の営業秘密であるカートクレーンの設計図
(本件各設計図)を不正取得し、これを使用してクレーンを製造販売したために、
被控訴人の営業上の利益が侵害されているとして、不正競争防止法3条1項に基づ
き、クレーンの製造、展示及び譲渡の禁止を求め、また、同条2項に基づき、クレ
ーン及び半製品の廃棄等を求めたのに対し、原判決は、被控訴人の請求を認容し
た。事案の概要は、原判決事実及び理由の第2に記載のとおりである。
 3 控訴理由の骨子は次のとおりである。
  (1) 被控訴人の本訴請求は、平成8年11月1日付けの被控訴人と株式会社ト
ーア(旧トーア)との間で締結された営業譲渡契約(乙5)の締結が根拠となって
いるが、未清算金1億7601万0611円が、被控訴人から旧トーアに支払われ
ておらず、被控訴人は債務不履行状態にあったから、旧トーアの本件第2次解除
(原判決事実及び理由第2の1(14))は有効に効力を生じている。
  (2) 旧トーアは被控訴人に対し、平成10年9月25日付け書面にて本件第1
次解除(原判決事実及び理由第2の1(6))及び財産返還請求の通知をしている。こ
の時点で、被控訴人は旧トーアが本来持つべき本件各設計図に対し、権利の帰属を
主張し得ない立場にあった。しかも、被控訴人は、平成10年9月10日には手形
不渡事由を発生させている。このような状況の下では、旧トーアの代表者Aが本件
各設計図を複写してコピーを保持することは、やむを得なかったものである。した
がって、控訴人の本件各設計図の取得も不正なものではない。
  (3) 本件第2次解除後に至っても、被控訴人は前記営業譲渡契約の清算を長引
かせた。そのため、旧トーアないし控訴人がクレーンの製造、販売ができないの
は、法的均衡、公平の原則に反する。被控訴人の本訴請求は権利の濫用である。
 4 原判決事実及び理由中の第2の1の争いのない事実等及び第3の争点に対す
る判断で認定された事実(当裁判所も、原判決がそこで説示するとおりの事実関係
を認めるものである。)によれば、以下のとおり評価することができる。
 平成8年9月20日付け営業譲渡契約書(甲12)に基づいて、旧トーアが被控
訴人に本件各設計図の一部を含む旧トーアの財産を譲渡したにもかかわらず(この
契約書が有効なことは、旧トーアと被控訴人との間の平成10年12月25日付け
本件和解協定(乙3)によって、確認されている。)、旧トーアの代表取締役であ
ったAは、被控訴人に無断で平成10年9月15日ころから本件各設計図(被控訴
人が旧トーアから譲り受け、また、被控訴人において新たに作成し、被控訴人内に
おいて保管していたもの)のコピーを開始していたものである。Aによって設立さ
れた控訴人は、このコピーされた本件各設計図を取得したものであるが、これが、
不正競争防止法2条1項4号所定の「その他の不正の手段」によったものであるこ
とは明らかである。
 本件第2次解除が効力を生じないものであることは、原判決事実及び理由第3の
1(2)イ(ウ)cに説示のとおりであり、本件第1次解除が本件和解協定において旧ト
ーアにより撤回されたものであることは、原判決事実及び理由第2の1(8)、第3の
1(2)イ(ウ)a(a)に説示のとおりである。そして、本訴請求をもって権利の濫用に該
当するものということができないのは、原判決事実及び理由第3の4において説示
するとおりである。
 その他、被控訴人の本訴請求を認容すべき理由については、原判決事実及び理由
第3において説示されているとおりであり、控訴人の当審における主張をもってし
ても、この説示は左右されない。
 5 本件控訴は理由がなく、主文のとおり判決する。
 東京高等裁判所第18民事部
         裁判長裁判官   永   井   紀   昭
            裁判官   塩   月   秀   平
            裁判官   古   城   春   実

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