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最高裁判例


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主文
1本件訴えのうち別紙請求目録記載(1)に係る部分をいずれも却下する。
2原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
別紙請求目録(1)及び(2)記載のとおり
第2事案の概要
本件は,国土交通大臣の権限の委任を受けた関東運輸局長が,道路運送法
(平成18年法律第19号による改正前のもの。以下同じ)9条の3第1項。
に基づいて,一般乗用旅客自動車運送事業者であるP1株式会社ほか7社に対
し,運賃及び料金の変更を認可する処分をしたところ,原告らのうち,これら
8社のタクシー会社に勤務するタクシー運転者らが,上記各認可処分のうち営
業的割引(いわゆる大口割引)の認可に係る部分は,同条2項の認可基準に違
反するなど違法な処分であるとして,被告に対し,各々の勤務会社を処分の相
手方とする上記認可処分のうち営業的割引(いわゆる大口割引)の認可に係る
部分の取消しを求め,また,これら8社を含むタクシー会社13社に勤務する
原告らが,これらの違法な処分によって精神的損害を被ったとして国家賠償法
1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。
1前提となる事実等
(1)道路運送法の定め
ア道路運送法1条は,同法は,貨物自動車運送事業法と相まって,道路運
送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより,道路運送の利用
者の利益を保護するとともに,道路運送の総合的な発達を図り,もって公
共の福祉を増進することを目的とすると規定している。
イ道路運送法9条の3は,1項において,一般乗用旅客自動車運送事業者
は,旅客の運賃及び料金を定め,国土交通大臣の認可を受けなければなら
ず,これを変更しようとするときも同様とすると規定し,2項において,
国土交通大臣は,上記の認可(以下「運賃認可処分」という)をしよう。
とするときは,次の基準(同項1号ないし4号)によって,これをしなけ
ればならないと規定している。
(ア)能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを
超えないものであること(同項1号)。
(イ)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと(同。
項2号)
(ウ)他の一般旅客自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこ
ととなるおそれがないものであること(同項3号)。
(エ)運賃及び料金が対距離制による場合であって,国土交通大臣がその
算定の基礎となる距離を定めたときは,これによるものであること。
(同項4号)
(2)本件各認可処分の存在(当事者間に争いがない)。
国土交通大臣の権限の委任を受けた関東運輸局長は,道路運送法9条の3
第1項に基づいて,次のとおり,P1株式会社ほか7社に対し,一般乗用旅
客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分(以下「本件各認可
処分」という)をした。。
ア処分の日付平成17年6月20日
処分の番号関自旅二第858号
処分の相手方P1株式会社,P2株式会社,P3株式会社,P4株式
会社,P5株式会社,P6株式会社
認可項目別紙認可項目1記載のとおり
イ処分の日付平成17年6月30日
処分の番号関自旅二第928号
処分の相手方株式会社P7
認可項目別紙認可項目2記載のとおり
ウ処分の日付平成17年7月29日
処分の番号関自旅二第1200号
処分の相手方P8株式会社
認可項目別紙認可項目3記載のとおり
2本案前の争点及び当事者の主張
本件においては,本案前の争点として,本件各認可処分の取消しを求める原
告らが本件各認可処分の取消訴訟を提起する原告適格を有するか否かが争われ
ている。
(本件各認可処分の取消しを求める原告らの主張)
本件各認可処分の取消しを求める原告らは,本件各認可処分の相手方である
P1株式会社ほか7社のタクシー会社に勤務するタクシー運転者である。
タクシー運転者の賃金は,歩合給であるから,道路運送法9条の3第2項の
基準に基づいて運賃及び料金が認可されるならば,それは,タクシー運転者の
賃金をはじめとする労働条件に直接に影響を及ぼすものであり,その内容いか
んによっては低賃金,長時間乗務などの劣悪な労働条件の下での運行を余儀な
くされるのであって,運賃及び料金の認可は,タクシー運転者の賃金等の労働
条件に直接的に連結するものであり,タクシー運転者は運賃認可処分について
法律上保護された利益を有する。また,道路運送法は,同法1条によれば,道
路運送事業の運営を適正かつ合理的なものにすることにより,道路運送の利用
者の利益を保護すること等を目的としているところ,これらと密接に関連する
輸送の安全の確保は,タクシー運転者の長時間運転防止,過労運転防止などの
労働条件の保持なくしては達成できないものであり,そのため,道路運送法及
び関係法令は,タクシー運転者の労働条件保護の利益を,輸送の安全という道
路運送の利用者の利益と不可分一体のものととらえて制度の構築を行っている。
このように,タクシー運賃及び料金に対する認可処分によって不利益な労働
条件を強いられないというタクシー運転者の利益は,法的な利益として道路運
送法及びその関係法令の趣旨,目的に包含されていると解されるから,タクシ
ー運転者である原告らは,各々の勤務先会社を処分の相手方とする運賃認可処
分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者(行政事件訴訟法9条」
1項)に該当し,その取消訴訟を提起する原告適格を有する。
(被告の主張)
道路運送法の趣旨及び目的は,道路運送の利用者の利益を保護し,道路運送
の総合的な発達を図ることにあり,タクシー運転者の賃金の額を含む労働条件
は,事業者の経営判断と労使交渉等を前提として締結される雇用契約により定
められるものであって,運賃認可処分が違法にされることによる直接的かつ重
大な被害としてタクシー運転者の賃金額の低下や労働条件の悪化が必然的にも
たらされるものではない。したがって,道路運送法が,不特定多数者であるタ
クシー運転者の労働条件保護の利益を一般的公益の中に吸収解消させるにとど
めず,個々のタクシー運転者の個別的利益としても保護しているということは
できず,タクシー運転者の賃金額等の労働条件保護の利益は,運賃認可処分の
取消しを求めるについての法律上の利益に該当しない。
また,道路運送法及びその関係法令には,輸送の安全,利用者の安全を確保
する趣旨の規定があり,輸送の安全,利用者の安全を確保するために,タクシ
ー運転者の一定の労働条件の確保が望ましいとしても,これらの規定は,一般
的に輸送の安全,利用者の安全を確保することを趣旨,目的としており,その
反射的利益としてタクシー運転者の労働条件を一定以上に保持する利益が事実
上一般的に保護されることになるにとどまり,およそ個別の労働契約によりそ
の内容も千差万別となり得るタクシー運転者の個々の労働条件を,道路運送法
及びその関係法令が個別的に保護しようとするものとは解し難いから,これら
の規定の存在をもって,個々のタクシー運転者の労働条件保護の利益が運賃認
可処分の取消しを求めるについての法律上の利益に該当するとはいえない。
3本案の争点及び当事者の主張
本案の争点としては,本件各認可処分の適法性に関し,本件各認可処分のう
ちいわゆる大口割引(営業所において一定期間以上継続して相当の額の運送契
約が締結される場合に適用する運賃の割引をいう(乙2。以下同じ)に係)。
る認可項目が道路運送法9条の3第2項各号の認可基準に適合しているか否か,
本件各認可処分について運輸審議会への諮問及び利害関係人等に対する意見聴
取手続を経ていないことが手続上の瑕疵に当たるか否かが争われている。また,
国家賠償法に基づく損害賠償請求権の存否に関しては,関東運輸局長が本件各
認可処分をしたことが同法1条1項の適用上違法の評価を受けるか否かが争わ
れている。
(1)認可基準適合性について
(本件各認可処分の取消しを求める原告らの主張)
大口割引の設定を可能とする国土交通省自動車交通局長の通達(平成16
年9月16日国自旅第148号)は道路運送法9条の3第2項1号ないし3
号に違反して違法であり,同通達に基づいてされた本件各認可処分も違法で
ある。
すなわち,大口割引は,一般乗客に比べて大企業や官庁など特定の大口利
用者のみを不当に利するものであるから,道路運送法9条の3第2項2号に
いう「特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするもの」に該当し,同号に
違反する。
また,大口割引は,歩合給であるタクシー運転者の賃金を減少させ,タク
シー運転者に過酷な長時間労働を強制し,利用者の利益や道路運送の安全性
を害するものであるから,道路運送法9条の3第2項3号にいう「不当な競
争を引き起こすこととなるおそれ」のある運賃及び料金に該当し,同号に違
反する。
さらに,道路運送法9条の3第2項1号は,同項3号と合わせて解すれば,
「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」を著し
く下回り不当な競争を引き起こす危険のある運賃及び料金は認可しないとの
趣旨も含むものと解すべきであるから,大口割引は,同項1号にも違反する。
(被告の主張)
利用延べ人数及び利用回数の多い大口の顧客に対し,一定の割引を認めて
そのタクシー利用を促進することは,より積極的な顧客へのサービス提供と
いう観点から重要であり,また,多彩な運賃及び料金が設定されることがタ
クシー事業の活性化,ひいては利用者の利便の向上につながると考えられる
から,大口割引には合理性が認められ,道路運送法9条の3第2項2号の
「不当な差別的取扱い」には当たらない。
また,道路運送法9条の3第2項3号は,タクシー運転者の過労運転の常
態化の防止を目的とする規定ではなく,事業者が,競争事業者を排除し又は
弱体化させるため,意図的に短期的利益を犠牲にして,事業採算性を度外視
した運賃及び料金の設定を行うことがないようにするための規定であるとこ
ろ,大口割引制度を採用したからといって,当然に競争事業者を排除し又は
弱体化させることにはならないから,大口割引の認可は同号に違反しない。
さらに,道路運送法9条の3第2項1号は,その文言から明らかなとおり,
利用者保護のため運賃及び料金の上限を定めた基準であるから,同号の規定
が適正原価を下回る運賃及び料金を禁止しているとする原告らの主張には理
由がない。
(2)手続上の瑕疵について
(本件各認可処分の取消しを求める原告らの主張)
国土交通大臣は,その権限の委任を受けた地方運輸局長が運賃認可処分を
行おうとするときにも,道路運送法88条の2に基づき,運輸審議会に諮ら
なければならないのに,本件各認可処分は,同審議会への諮問を経ずに行わ
れているから,違法である。
また,本件各認可処分に際し,輸送の安全の担い手である原告らタクシー
運転者に対して,道路運送法89条に基づく意見聴取を行うことは必須の手
続であるのに,これが行われていないから,違法である。
(被告の主張)
国土交通大臣の権限の委任を受けた地方運輸局長が運賃認可処分を行う場
合には,道路運送法88条の2の運輸審議会への諮問は要しないと解される
から,本件各認可処分に関し同審議会に諮られた事実がないからといって,
このことが同条違反となるものではない。
また,道路運送法がタクシー運転者の利益を保護するものでないことは前
記2の被告の主張のとおりであり,タクシー運転者は道路運送法89条にい
う「利害関係人」に該当しないから,原告らに対して意見聴取を行わなかっ
たことが同条違反となるものではない。
(3)国家賠償法上の違法について
(原告らの主張)
行政処分が違法であれば,当然にその行政処分を行った公務員の行為も国
家賠償法上違法となると解すべきところ,本件各認可処分は,前記(1)及び
(2)の原告らの主張のとおり違法であるから,本件各認可処分を行った関東
運輸局長の行為も国家賠償法上違法である。
仮に,国家賠償法上の違法について職務義務違反が必要であるとしても,
国土交通大臣又はその権限の委任を受けた地方運輸局長は,道路運送法の規
定に基づいて運賃認可処分をするに当たり,タクシー運転者の賃金が歩合給
であるため違法な運賃認可処分がされればタクシー運転者は直接に賃金の低
下という重大な不利益を受けることを考慮し,タクシー運転者の適正な労働
条件の確保について十分に配慮しなければならず,それは個々のタクシー運
転者に対する法的義務でもあると解すべきところ,本件各認可処分前に既に
種々の規制緩和によってタクシー運転者の労働条件が極めて劣悪な状況に陥
っていたという状況の下で,関東運輸局長が,大口割引導入によるタクシー
運転者の労働条件のさらなる悪化について何ら考慮することなく,違法であ
ることが明白な本件各認可処分を行ったことは,原告らに対する上記職務上
の法的義務に違反するものであることが明らかである。
(被告の主張)
国家賠償法1条1項にいう「違法」と評価されるためには,公務員が損害
賠償を求めている国民との関係で個別具体的な職務上の法的義務を負担し,
かつ,その行為がその職務上の法的義務に違反してされた場合でなければな
らないから,本件各認可処分の違法のみをいう原告らの主張は失当である。
また,国家賠償法1条1項の「違法」が認められるためには,公務員が法
律上保護された権利利益を侵害したことが必要であると解すべきところ,本
件各認可処分の判断に際して,処分の相手方であるタクシー事業者に勤務す
る個々のタクシー運転者の利益を考慮する余地がないことは前記2の被告の
主張のとおりであり,仮に本件各認可処分が取り消された場合に,タクシー
運転者である原告らが何らかの利益を受けるとしても,そのような利益は,
事実上もたらされる反射的利益であって,法律上保護された利益ではなく,
本件各認可処分によって原告らの法律上保護された権利利益が侵害されたと
認める余地はないから,本件各認可処分が国家賠償法1条1項の適用上違法
と評価されることはないし,これにより原告らの保護法益が侵害されたとも
認められない。
第3当裁判所の判断
1本案前の争点(本件各認可処分の取消しを求める原告らが本件各認可処分の
取消訴訟を提起する原告適格を有するか否か)について
(1)行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するところ,
同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する
者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害
され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を
定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収
解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを
保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もこ
こにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又
は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告
適格を有するものというべきである(最高裁平成17年12月7日大法廷判
決・民集59巻10号2645頁参照。)
そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有
無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみに
よることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮される
べき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び
目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令がある
ときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに
当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害され
ることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘
案すべきものである(行政事件訴訟法9条2項。)
上記の見地に立って,一般乗用旅客自動車運送事業に従事する運転者が,
その労働条件の適正を保護される利益を有する者として,一般乗用旅客自動
車運送事業者を処分の相手方とする運賃認可処分の取消訴訟を提起する原告
適格を有するか否かについて検討する。
(2)まず,本件各認可処分の根拠法規である道路運送法9条の3第1項及び
2項について検討する。
ア道路運送法9条の3第1項及び2項は,一般乗用旅客自動車運送事業者
が旅客の運賃及び料金を定め又はこれを変更しようとするときは,国土交
通大臣の認可を受けなければならないとした上で(1項,国土交通大臣)
が当該運賃認可処分をしようとするときの基準を定めている(2項。そ)
して,同条2項が定めている運賃認可の基準は,(1)能率的な経営の下に
おける適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること
(1号,(2)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものでないこ)
と(2号,(3)他の一般旅客自動車運送事業者との間に不当な競争を引)
き起こすこととなるおそれがないものであること(3号,(4)運賃及び)
料金が対距離制による場合であって国土交通大臣がその算定の基礎となる
距離を定めたときはこれによるものであること(4号)の4つである。そ
して証拠(乙8)によれば,このような運賃認可基準は,一般乗用旅客自
動車運送事業の高度の公共性に鑑み一般公衆に与える影響が重大であるこ
とから設けられたものであることが認められるところ,道路運送法1条が,
同法の目的について「道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとす,
ることにより,道路運送の利用者の利益を保護するとともに,道路運送の
総合的な発達を図り,もって公共の福祉を増進することを目的とする」。
と規定していることを考え合わせれば,1号は,利用者の利益を保護する
ために,不適正に高額な運賃又は料金の設定を許さないことを,2号は,
事業の公共性に鑑み,全ての利用者に対してサービスの提供が公平に行わ
れることを,3号は,不公正競争を防止し,道路運送事業全体の健全な発
達をはかることを,4号は,利用者の利益を保護するために,運賃及び料
金の設定を適正なものにすることをそれぞれ規定したものと認めるのが相
当である。
そうすると,本件各認可処分の根拠法規である道路運送法9条の3第1
項及び2項から,直ちに,一般乗用旅客自動車運送事業に従事する個々の
運転者の賃金等の労働条件を保護するという要請を見出すことはできない
といわざるを得ない。
イこの点につき,原告らは,タクシー運転者の賃金は歩合給であるから,
道路運送法9条の3第2項の基準に基づいて運賃及び料金が認可されるな
らば,それは,タクシー運転者の賃金をはじめとする労働条件に直接に影
響を及ぼすものであり,その内容いかんによっては低賃金,長時間乗務な
どの劣悪な労働条件の下での運行を余儀なくされるのであって,運賃及び
料金の認可は,タクシー運転者の賃金等の労働条件に直接的に連結するも
のであるから,タクシー運転者は,運賃認可処分について法律上保護され
た利益を有する旨主張する。
しかしながら,そもそも一般乗用旅客自動車運送事業に従事するタクシ
ー運転者の賃金等の労働条件は,各企業ごとの労使間の交渉等に基づく個
別の労働契約によって原則として自由に定められるものであって,ある事
業者が新たな運賃又は料金の認可を受けたからといって,それによって,
当然にタクシー運転者の賃金等の労働条件に変更が生じるという関係は認
められない。すなわち,新たな運賃又は料金の認可を受けることに伴って,
タクシー運転者の賃金等の労働条件をどのようなものにするかは,各企業
ごとの労使間の交渉等を通じて原則として自由に定められるものであって,
一般乗用旅客自動車運送事業者が新たに認可を受けた運賃又は料金が上昇
すれば,当然に運転者の賃金等が上昇し,認可を受けた運賃又は料金が下
降すれば,当然に運転者の賃金等が下降するという関係にあるものではな
いことは言うまでもないところである。
そして,国土交通大臣による運賃認可処分は,一般乗用旅客自動車運送
事業者が,自ら決定して申請した運賃又は料金について行われるものであ
るところ,認可を申請する一般乗用旅客自動車運送事業者は,当然に,認
可後の運転者の賃金等の労働条件の内容等を検討し,収支予測等を行った
上での経営判断に基づいて認可の申請をするものであると解され,認可後
のタクシー労働者の賃金等の労働条件に看過し得ないような変更が生じる
のであれば,申請に当たって,その労働条件の変更について労使間の交渉
や協議がされること等によって是正されるべきものである。
そうすると,認可処分がされた新たな運賃又は料金の内容と,それに伴
うタクシー運転者の賃金等の労働条件の内容が,直接的に連結する関係に
ないことはもとより,むしろ,各企業ごとに,労使間の交渉等などによっ
て賃金等の労働条件が決定されることから,運賃認可の内容と運転者の労
働条件の内容の関係は,その意味で制度上明確に分断されているというこ
とができる。
それゆえに,運賃又は料金の認可基準を定める道路運送法9条の3第2
項は,前記のとおり,1号から4号に,利用者の利益の保護や道路運送の
発達を図るという公益的な見地からの基準のみを設け,労働者の労働条件
の保護については,認可申請をする各企業の事情に応じて企業内の労使間
の交渉等によって行われるべきであることから,何ら認可基準に掲げなか
ったものであると解される。
したがって,運賃及び料金の認可が,タクシー運転者の賃金等の労働条
件に直接的に連結するから,タクシー運転者は運賃認可処分について「法
律上の利益を有する(行政事件訴訟法9条1項)旨の原告らの主張は理」
由がない。
ウまた,原告らは,タクシー運転者の賃金が歩合給であることを動かし難
い所与の前提であるかのように主張するが,タクシー運転者の賃金が歩合
給であることは,何ら法令等によって定められているものではなく,タク
シー運転者の賃金は,本来,事業者との間の労働契約によっていかように
も定めることができるものであり,労使間の交渉等によっては,歩合給制
度から,より安定的な固定給制度に変更することも考えられ,仮に一部は
歩合給制度を採用するにしても,固定給部分と歩合給部分の割合を変えた
り,歩合給部分の事業者と運転者の取り分の比率を変えたりと各企業ごと
の労使間の交渉等によって,賃金等の定め方を変更することが可能なので
あるから,固定的な歩合給を前提とする原告らの主張は,前提において失
当というほかない。
エさらに,原告らは,一般乗用旅客自動車運送事業については「定額認,
可制」が採用されているところ,他の運送事業である一般乗合旅客自動車
運送事業(道路運送法9条1項,鉄道運送事業(鉄道事業法16条1)
項)及び本邦航空運送事業(航空法105条1項)に係る運賃及び料金に
ついては「上限認可制」や「届出制」が採用されており,これは,一般,
乗用旅客自動車運送事業,すなわちタクシー事業においては,人件費が
「原価(道路運送法9条の3第2項1号)の相当部分を占め,運賃及び」
料金の低下(割引)はすなわち歩合給で働くタクシー運転者の賃金の低下
を意味し,また「不当な競争(同項3号)であるダンピングが行われ,」
れば,タクシー運転者の賃金の低下を招くことになるという特殊性を有し
ているからであり,このような法の定め方によれば,一般乗用旅客自動車
運送事業の運賃認可処分については,個別の運転者の賃金等の労働条件の
保護もまた,その趣旨,目的とされていると解すべきである旨主張する。
しかしながら,各種運送事業の運賃及び料金における定額認可制,上限
認可制及び届出制等の規制態様の違いは,当該事業において想定される事
業者の数や路線の多様性の程度などの事業形態の違いに由来するものと解
される上,そもそも,前記のとおり,タクシー運転者に関する賃金等の労
働条件は,それぞれの企業における労使間の交渉等を踏まえて,最終的に
は事業者と運転者との間の個々の労働契約によって定まるものであって,
道路運送法の一般乗用旅客自動車運送事業に関する運賃及び料金の認可等
に関する規定が,歩合給制などの特定の賃金体系を前提として定められて
いると解することはできない。
そして,道路運送法9条の3第2項1号の「能率的な経営の下における
適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること」という
定めは,運送事業の運賃及び料金の上限を規制する他の法律の定めに共通
してみられるものであり(道路運送法9条2項,鉄道事業法16条2項,
海上運送法8条4項等,その規制の趣旨は,前記のとおり当該運送事業)
の利用者の利益を保護するため,不適正に高額な運賃又は料金の設定を許
さないとするところにあるものと解され,また,道路運送法9条の3第2
項3号のように,他の同種の運送事業者との間に不当な競争を引き起こす
こととなるおそれのある運賃又は料金を許容しない旨の定めもまた,各種
運送事業の運賃及び料金の規制に関する法律の定めに共通してみられるも
のであり(道路運送法9条5項3号,鉄道事業法16条5項2号,海上運
送法8条2項3号,航空法105条2項3号等,その規制の趣旨は,前)
記のとおり,他の事業者を排除する目的をもって採算を度外視した運賃又
は料金を設定することは,不公正な競争行為であって,事業全体の健全な
発達を阻害するものであることから,これを許さないとするところにある
ものと解されるのであって,いずれも,一般乗用旅客自動車運送事業に特
有なものではなく,その趣旨も労働者の適正な労働条件を保護するという
ものではない。
したがって,一般乗用旅客自動車運送事業の運賃認可に関する法の定め
方から,これらの規定が,他の運送事業とは異なり,一般乗用旅客自動車
運送事業に従事する運転者の適正な労働条件の確保という趣旨又は目的を
持つ規定であると解することはできないことが明らかであり,この点に関
する原告らの主張も理由がない。
オ以上によれば,本件各認可処分の根拠法規である道路運送法9条の3第
1項及び2項が,個々のタクシー運転者の賃金等の労働条件という個別的
利益を保護すべきであるとする趣旨を含むと解することはできない。
。(3)そこで次に,道路運送法及び関係法令の趣旨や目的等について検討する
ア道路運送法の目的を定めた同法1条は「この法律は,貨物自動車運送,
事業法と相まって,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとするこ
とにより,道路運送の利用者の利益を保護するとともに,道路運送の総合
的な発達を図り,もって公共の福祉を増進することを目的とする」旨規。
定する。このように,道路運送法の目的を定めた1条には,道路運送事業
に従事する運転者の労働条件の保護という内容は直接規定されてはいない。
イところで,道路運送法は,輸送の安全及び旅客の利便の確保のために一
般旅客自動車運送事業者が遵守すべき事項を国土交通省令で定めるべきも
のとした上で(同法28条1項,一般旅客自動車運送事業者が上記の国)
土交通省令で定める事項を遵守していないため輸送の安全が確保されてい
ないと認められるときは,国土交通大臣は,当該一般旅客自動車運送事業
者に対し,その是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることがで
きるとし(同条2項,これを受けて制定された国土交通省令である旅客)
自動車運送事業運輸規則(平成18年国土交通省令第78号による改正前
のもの。以下「運輸規則」という)は,事業用自動車の運転者の勤務時。
間及び乗務時間,乗務員の休憩,睡眠又は仮眠のための施設の整備,乗務
員の健康状態の把握等に関して旅客自動車運送事業者が遵守すべき事項を
定めている(同規則21条等。)
また,道路運送法は,一般旅客自動車運送事業に従事する運転者に対し
ても,国土交通省令で定める運行の安全を確保するための事項を遵守すべ
きものとし(同法28条3項,これを受けた運輸規則が,旅客自動車運)
送事業者の従業員は,その職務に従事する場合は,輸送の安全を確保する
ことに努めなければならないと定めるとともに(同規則2条4項,旅客)
自動車運送事業者の事業用自動車の運転者が遵守すべき事項として,疾病,
疲労,飲酒その他の理由により安全な運転をすることができないおそれが
あるときは,その旨を当該旅客自動車運送事業者に申し出ること,旅客の
現在する事業用自動車の運行中重大な事故が発生するおそれがあると認め
たときは,直ちに,運行を中止することなどと規定している(同規則50
条1項。)
ウしかしながら,これらの運輸規則の規定は,委任規定である道路運送法
28条が明記するように「輸送の安全及び旅客の利便の確保(同条1,」
項)又は「運行の安全の確保(同条3項)のための遵守事項として定め」
られているものであり,あくまで,輸送や運行の安全等を確保するために,
事業者及び運転者に一定の事項を遵守させることによって,道路運送法1
条に定める,道路運送の利用者の利益の保護や道路運送の総合的な発達を
図るという目的を達成するための規定であると解され,これらの規定から,
道路運送法及び運輸規則が,個別のタクシー運転者の賃金等の労働条件の
保護自体をその趣旨ないし目的としていると解することはできず,他に,
道路運送法及び運輸規則等関係法令において,個別のタクシー運転者の賃
金等の労働条件の保護自体がその趣旨又は目的とされていると解すべきも
のは見出し難い。
そして,利用者の利益を保護する等の道路運送法の目的を達成するため
に,利用者の安全を確保する必要があり,それゆえにタクシー運転者の労
働条件を一定以上に保持すべく求められるとしても,それは,輸送の安全,
利用者の安全を確保することの反射的利益として事実上一般的に保護され
るものであり,労働契約によりその内容も千差万別となり得るタクシー運
転者の個々の労働条件を個別的に保護しようとするものであるとは解され
ないから,道路運送法1条はもとより,道路運送法28条及びその委任を
受けた運輸規則の規定が,個々のタクシー運転者の労働条件を保持する利
益を,個別的利益として保護しようとするものであるということはできな
い。
エまた,道路運送法1条が同法と目的を共通にする関係法として掲げる貨
物自動車運送事業法(平成18年法律第19号による改正前のもの。以下
同じ)においても,事業用自動車の運転者は,運行の安全を確保するた。
め,国土交通省令で定める事項を遵守しなければならないと規定されてい
るが(同法17条4項,同法1条は,貨物自動車運送事業の健全な発達)
を図ること等を目的に掲げるにとどまり,他に運転者の賃金等の労働条件
の保護自体をその趣旨又は目的としていると解すべき規定は見受けられな
いのであって,同法の趣旨又は目的を参酌しても,道路運送法が,一般乗
用旅客自動車運送事業に従事する運転者の賃金等の労働条件の保護自体を
その趣旨ないし目的としていると解することはできないといわざるを得な
い。
(4)さらに,一般乗用旅客自動車運送事業者に対する運賃認可処分が道路運
送法9条の3第2項の認可基準に違反してされた場合に,一般乗用旅客自動
車運送事業に従事する運転者が,その適正な労働条件保護等の利益を害され
ることとなるか否かという観点から考察するに,そもそも前記のとおり,運
賃認可処分の内容は,タクシー運転者の賃金等の労働条件の内容と直接的に
連結する関係を有するものではなく,両者は明確に分断されているものであ
るから,認可基準に反する認可がされたからといって,直ちにタクシー運転
者の利益が害されるという関係にならない。また,仮に一般乗用旅客自動車
運送事業者の申請した運賃及び料金が認可基準に違反してされ,運転者の賃
金等の適正な労働条件が害されることになるとしても,タクシー運転者は,
労使の交渉等を通じて,認可された運賃及び料金を前提とした上での賃金等
の労働条件の適正化を求めることができるのであって,一般乗用旅客自動車
運送事業者に対する運賃認可処分が道路運送法の認可基準に違反してされた
場合に,当該一般乗用旅客自動車運送事業者の従業員である運転者が,直ち
にその労働条件保護の利益を害されることになるとはいえない。
すなわち,そもそも原告らが問題とするような,タクシー運転者らの賃金
等の個別的な労働条件の内容については,それぞれの企業内の問題として,
当該企業の実情等に応じた労使交渉等の中で,協議して決着していくべき問
題であって,それを運賃認可処分の違法事由に連結させることには無理があ
るといわざるを得ないのである。
(5)なお,原告らは,道路運送法89条が利害関係人からの意見聴取の制度
を設けているところ,ここにいう「利害関係人」には当然にタクシー運転者
も入ると解すべきであるから,道路運送法はタクシー運転者の個別的利益を
も保護する趣旨であると解すべきである旨主張する。しかしながら,同法8
9条にいう「利害関係人」を具体的に定義した同法施行規則56条によれば,
この「利害関係人」とは,認可申請者,認可申請者と競争の関係にある者及
び利用者その他の者のうち地方運輸局長が当該事案に関し特に重大な利害関
係を有すると認める者をいうとされており,その文言からは当然に一般乗用
旅客自動車運送事業に従事する個々のタクシー運転者が含まれると解すべき
理由はない。むしろ,前記のとおり,道路運送法は,個々のタクシー運転者
の労働条件等の保護をその目的ないし趣旨としているとは解されないのであ
るから,同法施行規則56条が,タクシー運転者を当然に上記の「特に重大
な利害関係を有する」者として予定しているとは解し難いといわざるを得な
いのであって,この点についての原告らの主張は採用できない。そして,他
に,原告らが原告適格を有するとして述べる主張に,当裁判所として与する
べきであるものは見当たらない。
(6)以上のとおりであって,運賃認可処分に関する根拠法令の内容やその趣
旨及び目的,関係法令の趣旨及び目的,当該処分がその根拠となる法令に違
反してされた場合に害されることとなる利益の内容等や害される態様等を検
討しても,運賃認可処分に関する道路運送法の規定が,一般乗用旅客自動車
運送事業に従事する運転者の適正な労働条件を保護するという具体的な利益
を,専ら一般的公益の中に吸収解消させることなく,運転者個々人の個別的
利益としても保護すべきものとする趣旨を含むとは到底解することができな
い。
そうすると,本件各認可処分の取消しを求める原告らの主張する,運賃認
可処分によって不利益な労働条件を強いられないというタクシー運転者の利
益は「法律上保護された利益」であるということはできず,他に,上記原,
告らについて,本件各認可処分の取消しを求めるについての原告適格を基礎
付けるに足りる法律上の利益(行政事件訴訟法9条)を見出すことはできな
いから,上記原告らは,本件各認可処分の取消訴訟を提起する原告適格を有
しないものというべきである。
したがって,本件訴えのうち本件各認可処分の一部の取消しを求める部分
はいずれも不適法である。
2本案の争点(国家賠償法上の違法)について
(1)国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員
が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害
を加えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定す
るものであり,国又は公共団体の公務員が行った行政処分が適法要件を欠く
違法なものであったとしても,そのことから直ちに当該処分を行った公務員
の行為に同項にいう違法があったと評価されることにはならず,公務員によ
る公権力の行使に同項にいう違法があるというためには,公務員が,当該行
為によって損害を被ったと主張する者に対して負う職務上の法的義務に違反
したと認められることが必要である(最高裁昭和60年11月21日第一小
法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁平成元年11月24日第二小
法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁平成5年3月11日第一小
法廷判決・民集47巻4号2863頁,最高裁平成17年9月14日大法廷
判決・民集59巻7号2087頁,最高裁平成19年11月1日第一小法廷
判決・民集61巻8号2733頁,最高裁平成20年4月15日第三小法廷
判決・裁判所時報1458号1頁参照。)
,(2)これを本件についてみるに,まず,原告らは,行政処分が違法であれば
当然にその行政処分を行った公務員の行為も国家賠償法上違法となると解す
べきであると主張する。しかしながら,このような主張が失当であることは
上記(1)に説示したところから明らかである。
また,原告らは,仮に国家賠償法上の違法について職務義務違反が必要で
あるとしても,国土交通大臣又はその権限の委任を受けた地方運輸局長は,
道路運送法の規定に基づいて運賃認可処分をするに当たり,タクシー運転者
の適正な労働条件の保護について十分に配慮しなければならず,それは個々
のタクシー運転者に対する法的義務でもあると解すべきであると主張する。
しかしながら,前記1に説示したとおり,運賃認可処分に関する道路運送法
の規定は,一般乗用旅客自動車運送事業に従事する個々の運転者の適正な労
働条件を保護する趣旨を含むものではないと解されるから,国土交通大臣又
はその権限の委任を受けた地方運輸局長は,道路運送法の規定に基づいて運
賃認可処分をするに当たり,一般乗用旅客自動車運送事業に従事する個々の
運転者に対する関係で,その適正な労働条件の保護について配慮すべき職務
上の法的義務を負わないものと解するのが相当である。したがって,本件各
認可処分を行った関東運輸局長が,原告ら個々人に対し,その適正な労働条
件の保護について配慮すべき職務上の法的義務を負っていたとは認められず,
本件各認可処分を行った関東運輸局長の行為に原告らが主張するような国家
賠償法上の違法があったということはできない。
以上によれば,本件各認可処分の適法性及び原告らの損害等その余の点に
ついて判断するまでもなく,原告らの国家賠償法1条1項に基づく損害賠償
請求は,いずれも理由がないものというべきである。
第4結論
以上によれば,本件訴えのうち本件各認可処分の一部の取消しを求める部分
はいずれも不適法であるから却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由が
ないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事
訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(なお,原告らは,当裁判所が平成19年12月11日に行われた第10回口
頭弁論期日に弁論を終結したことに対し,裁判官忌避申立てに加え「弁論終,
結に対する異議申立「弁論再開申立書」等の書面を当裁判所に提出し,縷」,
々意見を述べているところ,一件記録から明らかなとおり,本件の訴えは,平
成17年12月16日に提起され,被告は,平成18年3月10日に行われた
第1回口頭弁論期日において,原告らは本件各認可処分の取消訴訟を提起する
原告適格を有しないからその取消訴訟は却下されるべきである等の主張を記載
した答弁書を陳述し,さらに被告は,同年5月25日に行われた第2回口頭弁
論期日において,原告らが原告適格を有しないと解すべき理由,及び原告らの
法律上保護された利益は害されないから国家賠償請求は理由がないと解すべき
理由について詳細に記載した準備書面(1)を陳述し,これに対し,原告らは,
同年7月31日に行われた第3回口頭弁論期日において,これらの被告の主張
について詳細に反論をした準備書面1を陳述した。そして,その後,平成19
年12月11日の第10回口頭弁論期日に至るまで,合計10回の口頭弁論期
日が重ねられ,訴え提起から約2年,第1回口頭弁論期日から約1年9か月の
時間が経過し,その間に種々の訴訟活動が行われ,上記の各点についての主張
立証等についても双方当事者に十分な機会が与えられたことは記録上からも明
らかであり,このような審理を踏まえて当裁判所は,裁判に熟すると判断した
ことから口頭弁論を終結したのであって,そこに原告らが指摘するような不適
法な点は何ら見受けられない)。
東京地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官定塚誠
裁判官工藤哲郎
裁判官古田孝夫は,転補のため署名押印することができない。
裁判長裁判官定塚誠
(別紙)
請求目録(1)
1原告P9の請求
関東運輸局長がP2株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
2原告P10の請求
関東運輸局長がP3株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
3原告P11の請求
関東運輸局長がP8株式会社に対し平成17年7月29日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目3記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
4原告P12の請求
関東運輸局長がP8株式会社に対し平成17年7月29日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目3記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
5原告P13の請求
関東運輸局長が株式会社P7に対し平成17年6月30日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目2記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
6原告P14の請求
関東運輸局長が株式会社P7に対し平成17年6月30日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目2記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
7原告P15の請求
関東運輸局長が株式会社P7に対し平成17年6月30日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目2記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
8原告P16の請求
関東運輸局長がP1株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
9原告P17の請求
関東運輸局長がP1株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
10原告P18の請求
関東運輸局長がP1株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
11原告P19の請求
関東運輸局長がP1株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
12原告P20の請求
関東運輸局長がP4株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
13原告P21の請求
関東運輸局長がP5株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
14原告P22の請求
関東運輸局長がP6株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
15原告P23の請求
関東運輸局長がP6株式会社に対し平成17年6月20日付けでした一般乗
用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の変更を認可する処分のうち別紙認可項
目1記載の各認可項目中,Ⅱの3並びにⅢの4(3)及び(5)の部分を取り消す。
以上
(別紙)
請求目録(2)
1原告P24の請求
被告は,原告P24に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告P9の請求
被告は,原告P9に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3原告P10の請求
被告は,原告P10に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4原告P25の請求
被告は,原告P25に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5原告P11の請求
被告は,原告P11に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6原告P12の請求
被告は,原告P12に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7原告P13の請求
被告は,原告P13に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8原告P14の請求
被告は,原告P14に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9原告P15の請求
被告は,原告P15に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
10原告P26の請求
被告は,原告P26に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
11原告P27の請求
被告は,原告P27に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
12原告P16の請求
被告は,原告P16に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
13原告P17の請求
被告は,原告P17に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
14原告P18の請求
被告は,原告P18に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
15原告P19の請求
被告は,原告P19に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
16原告P20の請求
被告は,原告P20に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
17原告P28の請求
被告は,原告P28に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
18原告P21の請求
被告は,原告P21に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
19原告P22の請求
被告は,原告P22に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
20原告P23の請求
被告は,原告P23に対し,50万円及びこれに対する平成18年1月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
以上

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒105-0003 東京都港区西新橋2-7-4 CJビル6F
ITJ法律事務所 採用担当宛
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71期修習生 72期修習生 求人
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ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
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履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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