弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人城田冨雄、同岩田洋明の上告理由第一、第二について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ
とができない。
 同第三について
 被上告人らの上告人に対する本訴請求は、訴外亡Dの相続人である被上告人らが、
上告人その他共同相続人とともに相続により共有持分権(被上告人らの持分割合は
各七分の一)を取得した第一審判決別紙物件目録記載の各土地を順次訴外静岡市、
同静岡県、同日本道路公団に売却し、その代金の受領を上告人に委任したところ、
上告人が受任者として代金を受領したので、上告人に対し民法六四六条所定の受任
者の受取物引渡義務の履行としてその交付を求めるというものであつて、所論相続
回復請求権を行使する場合にはあたらず、その請求について相続回復請求権の消滅
時効を定めた民法八八四条の適用の問題を生じる余地はない。もつとも、所論は、
被上告人らの右各土地の相続(共有)持分権、ないしは相続財産譲渡の対価が相続
財産に加えられるとの前提のもとに右持分権売却の対価たる代金債権が侵害された
にもかかわらず、被上告人らが相続回復請求権によつてその侵害の排除を求めなか
つたため、同請求権が民法八八四条所定の時効により消滅し、その結果土地相続持
分権ないしこれに対応する代金債権を行使することができなくなり、これに伴つて
上記委任契約に基づく受領代金の交付をも請求することができなくなつた、との趣
旨を主張するものとも解される。しかし、原審が適法に確定した事実関係によれば、
被上告人らは右各土地売却の時に共同相続人の一員としてそれぞれ共有持分権を有
し、かつ、共有者の一員として右売買に加わつており、それらの権利についてなん
らの侵害を受けていなかつたことが、明らかである。また、共有持分権を有する共
同相続人全員によつて他に売却された右各土地は遺産分割の対象たる相続財産から
逸出するとともに、その売却代金は、これを一括して共同相続人の一人に保管させ
て遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情のない限り、相続財産には
加えられず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得すべきものであると
ころ(最高裁昭和五二年(オ)第五号同年九月一九日第二小法廷判決・裁判集民事
一二一号二四七頁参照)、前記各土地を売却した際本件共同相続人の一部は上告人
に代金受領を委任せずに自らこれを受領し、また、上告人に代金受領を委任した共
同相続人もその一部は上告人から代金の交付を受けているなど、原審の適法に確定
した事実関係のもとでは、右特別の事情もないことが明らかであるから、被上告人
らは、代金債権を相続財産としてでなく固有の権利として取得したものというべき
であり、したがつて、同債権について相続権侵害ということは考えられない。これ
を要するに、被上告人らの土地相続持分権、ないしその売却代金債権が相続財産に
加えられるものとして同債権が侵害されたことを前提とする所論は、その前提を欠
いて失当である。論旨は、採用することができない。
 同第四について
 記録によれば、訴外亡Dの代襲相続人である訴外E、同Fが前記各土地につき相
続持分権を取得せず、右各土地について被上告人らの取得した相続持分権の持分割
合は各七分の一であることは、原審で上告人及び被上告人らの双方が主張し、争い
のない事実として適法に確定されていることが明らかである。所論は、原審で適法
に確定された事実と異なる事実を主張して原判決を論難するものであつて、適法な
上告理由にあたらない。論旨は、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    団   藤   重   光
            裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    本   山       亨
            裁判官    戸   田       弘
            裁判官    中   村   治   朗

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛