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平成29年(行ヒ)第226号違法公金支出損害賠償請求事件
平成30年11月6日第三小法廷判決
主文
原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき,被上告人らの控訴を棄却する。
控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする。
理由
上告代理人山本英雄ほか及び同緒方俊平ほかの各上告受理申立て理由(ただし,
排除されたものを除く。)について
1本件は,大竹市(以下「市」という。)による市の土地の譲渡につき,市の
住民である被上告人らが,当該譲渡は地方自治法237条2項にいう適正な対価な
くしてされたにもかかわらず,同項の議会の議決によるものでないことなどから違
法であるとして,同法242条の2第1項4号に基づき,上告人を相手に,当時市
長の職にあった者に対して損害賠償請求をすること等を求める住民訴訟である。
2原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1)市は,平成3年,市の財産である,市内の大願寺地区に所在する原判決別
紙物件目録記載の土地(面積6万2000.43㎡。以下「本件土地」という。)
から大竹港埋立ての土砂を採取し,跡地を住宅団地とする計画を立てた。
市は,平成10年12月,本件土地の宅地造成事業を開始したが,同15年,需
要が少ないとの理由から上記事業を断念した。また,市は,平成17年,本件土地
を工業用地に転換する事業計画を立てたが,その事業も実現しなかった。
市は,平成20年2月,学校を統合して大願寺地区に移転し,本件土地を住宅地
とする計画を表明した。
(2)市は,本件土地を売り払うこととし,平成20年10月17日,本件土地
につき,不動産鑑定士による同月1日時点の鑑定評価額と同額である10億540
0万円を予定価格として公表し,一般競争入札に付したが,申込みをした者はいな
かった。その後,市は,同年11月14日,本件土地につき,予定価格を非公表と
し,再度一般競争入札に付したが,申込みをした者はいなかった。
(3)ア大願寺地区には,平成25年4月までに小中学校を移転することとされ
ていたところ,市議会においては,防犯や児童生徒の安全のため,同地区に小中学
校を移転するまでに本件土地が住宅地とされている必要があるという意見があっ
た。
イ市は,平成22年秋,本件土地について3回目の売却手続の開始を計画した
が,その際,本件土地の一部についてでも買受けの応募があれば売払いが可能とな
るようにするため,応募者から土地利用計画等の事業実施に係る提案を受け,これ
らを審査して事業実施者を選定する手法であるプロポーザル方式を採用することと
した。
市は,同年9月17日,市が市議会の重要議題について全議員に対して議題の説
明を行う会議である議員全員協議会において,大願寺地区に移転する小中学校の配
置計画を説明したほか,本件土地の売払いについて,前回の入札時と異なり,一括
ではなく4万㎡以上を購入するという条件で購入を希望する面積及び価格の提示を
受けること,予定価格は非公表とすること,プロポーザル方式によって相手方を選
定する方針であること等について説明した。
ウ市不動産評価審議会は,平成22年9月,本件土地の現在の価格として,そ
の評価額を4万㎡につき5億0566万円とした。
市は,同月30日,本件土地について,予定価格を非公表として,プロポーザル
方式により事業実施者を公募し,同年10月18日,本件土地が大規模であり近隣
に類似する適切な取引事例が存在しないとして取引事例比較法による比準価格を採
用せず,事業実施者が本件土地の造成及び販売に要する期間を考慮して5年後の価
格を予測することとして,その予定価格を4億5657万1166円(4万㎡につ
き2億9458万円)と定めた。
エ平成22年10月26日,上記ウの公募に対して1社から応募があったが,
購入を希望する面積は4万㎡,価格は2億5800万円であり,予定価格を約1
2.4%下回っていた。その頃,本件土地から約200mの距離にある大手企業の
社宅跡地が売却され,宅地化されるという報道があり,上記応募をした会社は,同
年11月24日,上記応募を撤回した。
(4)ア市は,本件土地について4回目の売却手続を行うこととし,不動産鑑定
士に対して本件土地の鑑定評価を依頼し,平成23年10月1日時点の鑑定評価額
を7億1300万円とする鑑定書の提出を受けた(以下,この鑑定評価額を「平成
23年鑑定評価額」という。)。市不動産評価審議会は,同年11月4日,本件土
地の評価額を同額とした。そして,市は,同月8日,議員全員協議会において,本
件土地につき4回目の売却手続を行うことを説明した。
イ市は,平成23年11月9日,本件土地について,売払い最低面積を4万
㎡,予定価格を非公表として,プロポーザル方式により事業実施者を公募し,同月
18日,本件土地全体の予定価格を,前記(3)ウの公募の際とおおむね同様の理由
により,市不動産評価審議会の評価額より低い3億3777万8342円(以下
「本件予定価格」という。)と定めた(以下,この公募を「本件公募」とい
う。)。
ウエポックワン有限会社及びアオイ不動産有限会社(以下「エポックワンら」
という。)は,平成23年11月25日,共同で,本件土地全体を3億5000万
円で買い受け,宅地及び施設用地とするという内容で本件公募に応募した。他に応
募した者はいなかった。
エ市長であったA(以下「A市長」という。)は,平成23年12月5日,市
を代表して,エポックワンらとの間で,大竹市議会の議決に付すべき契約及び財産
の取得又は処分に関する条例(昭和39年大竹市条例第19号。以下「本件条例」
という。)3条の規定による市議会の議決を得ることを停止条件として,本件土地
全体を3億5000万円(以下「本件譲渡価格」という。)で譲渡する旨の土地売
買仮契約(以下「本件仮契約」といい,これによる本件土地の譲渡を「本件譲渡」
という。)を締結した。
(5)ア市は,平成23年12月8日,議員全員協議会において,市大願寺地区
造成土地売払い事業の事業実施者にエポックワンらを選定し,本件土地全体を3億
5000万円で売却する予定であることを説明した。その際,市は,本件土地を売
り渡す必要性と,本件予定価格が数年後の地価を想定して決定されたことについて
説明した。
イ市は,本件譲渡価格が地方自治法96条1項6号にいう適正な対価の範囲内
であるという認識の下に,平成23年12月12日,同項8号の委任を受けた本件
条例3条に基づき,本件土地をエポックワンらに対し3億5000万円で売り払う
旨の議案(以下「本件議案」という。)を市議会に提出し,市議会は,生活環境委
員会に審議を付託した。
市は,同日,生活環境委員会において,本件土地の鑑定評価額が7億円であるこ
と,本件予定価格が3億3777万8342円であることを説明し,同委員会は,
本件議案を可決する議決をした。
ウ市議会は,平成23年12月15日の本会議において,生活環境委員会の審
査報告を基に,質疑及び討論を行い,本件議案を可決する議決(以下「本件譲渡議
決」という。)をした。
上記本会議において,出席した議員からは,本件土地の鑑定評価額は1坪当たり
約3万8000円であるところ,本件譲渡価格では1坪当たり約1万8000円で
売却することになるなどの発言があった。
(6)市議会は,平成24年10月4日,決算特別委員会を開催し,平成23年
度土地造成特別会計決算(以下「本件決算」という。)の審議において,本件譲渡
に関し,①本件土地の適正な対価は平成23年鑑定評価額であるか否か,②本件譲
渡が適正な対価なくしてされるものである場合に議会の議決があったか否か等につ
いて質疑及び討論を行った。
決算特別委員会は,本件決算を不認定とする議決をしたものの,市議会は,平成
24年12月14日,本会議において,本件譲渡による収入3億5000万円を含
め,本件決算を賛成多数により認定する議決(以下「本件決算議決」という。)を
した。
3原審は,上記事実関係等の下において,本件譲渡は適正な対価なくしてされ
たものであるとした上,地方自治法237条2項の議会の議決の有無について要旨
次のとおり判断して,A市長に対する損害賠償請求をすることを求める被上告人ら
の請求のうち本件土地の適正な対価の下限であるという金額4億9910万円と本
件譲渡価格との差額である1億4910万円に相当する部分を認容した。
本件議案については,市議会において,本件譲渡価格が平成23年鑑定評価額よ
りも低額であることが示された上で審議がされ,これを可決する本件譲渡議決がさ
れたものである。しかし,本件議案が,地方自治法96条1項6号ではなく,同項
8号の委任を受けた本件条例3条に基づいて提出され,可決されたものであること
に加え,本会議や生活環境委員会における審議の内容をみても,平成23年鑑定評
価額が適正な対価であることや,本件譲渡価格が適正な対価を下回ることを前提と
して譲渡の必要性及び相当性に関する討議がされたとは認められず,せいぜい代金
額を含めた本件譲渡の妥当性についての議論がされたにとどまる。したがって,本
件譲渡議決につき,本件譲渡が適正な対価によらないものであることを前提として
審議がされた上これを行うことを認める趣旨の議決がされたと評価することはでき
ず,同法237条2項の議会の議決があったということはできない。
また,本件決算議決についても,本件譲渡が適正な対価によらないものであるこ
とを前提として審議がされた上これを行うことを認める趣旨の議決が事後に行われ
たものということはできない。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1)地方自治法237条2項は,条例又は議会の議決による場合でなければ,
普通地方公共団体の財産を適正な対価なくして譲渡し,又は貸し付けてはならない
旨規定しているところ,同項の趣旨は,適正な対価によらずに普通地方公共団体の
財産の譲渡又は貸付け(以下「譲渡等」という。)がされると,当該普通地方公共
団体に多大の損失が生ずるおそれや特定の者の利益のために財政の運営がゆがめら
れるおそれがあるため,条例による場合のほかは,適正な対価によらずに財産の譲
渡等を行う必要性と妥当性を議会において審議させ,当該譲渡等を行うかどうかを
議会の判断に委ねることとした点にあると解される。そうすると,同項の議会の議
決があったというためには,財産の譲渡等が適正な対価によらないものであること
を前提として審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたこ
とを要するというべきである(最高裁平成15年(行ヒ)第231号同17年11
月17日第一小法廷判決・裁判集民事218号459頁参照)。もっとも,当該譲
渡等が適正な対価によるものであるか否かは評価に関わる事項であって見解が分か
れることもあり得るところ,当該譲渡等が適正な対価によるものであるとして議案
が提出された場合であっても,議会において,これが適正な対価によらないもので
あることを前提として審議した上これを認める趣旨で当該議案を可決することに制
約が存するものではないから,そのように提出された議案を可決する議決であるか
らといって,直ちに同項の議会の議決でないということはできないし,また,当該
譲渡等が適正な対価によらないものである旨の議会の認識を明らかにした上でされ
た議決でなければ,同項の議会の議決でないということもできない。
そして,上記のような同項の趣旨に鑑みると,当該譲渡等が適正な対価によるも
のであるとして普通地方公共団体の議会に提出された議案を可決する議決がされた
場合であっても,当該譲渡等の対価に加えてそれが適正であるか否かを判定するた
めに参照すべき価格が提示され,両者の間に大きなかい離があることを踏まえつつ
当該譲渡等を行う必要性と妥当性について審議がされた上でこれを認める議決がさ
れるなど,審議の実態に即して,当該譲渡等が適正な対価によらないものであるこ
とを前提として審議がされた上これを認める趣旨の議決がされたと評価することが
できるときは,同項の議会の議決があったものというべきである。
(2)これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,市議会は,本件譲
渡が適正な対価によるものであるとして提出された本件議案について,生活環境委
員会において,本件土地の鑑定評価額が7億円であることや,本件予定価格が3億
3777万8342円であることの説明を受け,本会議において,議員から平成2
3年鑑定評価額と本件譲渡価格とでは坪単価が大きく異なることを指摘する趣旨の
発言があった上で,本件譲渡議決をしたというのである。そうすると,市議会は,
本件議案について,相応の根拠を有する平成23年鑑定評価額と本件譲渡価格との
間に大きなかい離があることを踏まえて審議し,これを可決する議決をしたものと
いうことができる。
さらに,市は,学校を統合して大願寺地区に移転し,同地区に所在する本件土地
を住宅地とする計画を表明しており,市議会においては,防犯や児童生徒の安全の
ため,同地区に小中学校が移転する平成25年4月までに本件土地が住宅地とされ
ている必要がある旨の意見があったところ,本件土地については,2回一般競争入
札に付されたが申込みはなく,その後に実施された公募においては大幅に減額され
た予定価格を下回る応募しかなかった上,その応募も撤回されたのであり,更にそ
の後,本件公募によりエポックワンらが事業実施者として選定されたという経緯を
経て本件仮契約の締結に至ったものである。そうすると,市議会においては,本件
土地を譲渡して住宅地とする必要があったにもかかわらず,容易に本件土地を売り
払うことができなかったという経緯を踏まえて本件議案の審議がされたものという
べきであり,本件譲渡が適正な対価によらずにされたものであったとしてもこれを
行う必要性や妥当性に係る事情が審議に表れているということができる。
本件譲渡議決に係る審議の実態がこのようなものであったことは,本件決算を認
定する本件決算議決がされたことに照らしても明らかである。
以上の事情を総合的に考慮すれば,本件譲渡議決に関しては,市議会において,
本件譲渡価格に加えて平成23年鑑定評価額を踏まえた上で,本件譲渡が適正な対
価によらずにされたものであったとしてもこれを行う必要性と妥当性についても審
議がされており,審議の実態に即して,本件譲渡が適正な対価によらないものであ
ることを前提として審議がされた上これを行うことを認める趣旨でされたものと評
価することができるから,本件譲渡議決をもって,地方自治法237条2項の議会
の議決があったということができる。
(3)そして,本件譲渡の方式等についてみても,前記事実関係等に照らせば,
プロポーザル方式により本件公募をし,エポックワンらを選定した経緯等に関し,
A市長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことをうかがわせる事情は存し
ない。
したがって,本件譲渡に財務会計法規上の義務に違反する違法はなく,A市長
は,本件譲渡に関して,市に対する損害賠償責任を負わないというべきである。
5以上と異なる原審の前記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決中上告人敗訴
部分は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,上記部分に関す
る被上告人らの請求は理由がなく,これを棄却した第1審判決は相当であるから,
上記部分につき,被上告人らの控訴を棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官山崎敏
充,同宮崎裕子の各補足意見がある。
裁判官山崎敏充の補足意見は,次のとおりである。
私は,本件譲渡について地方自治法237条2項の議決があったということがで
きるとする法廷意見に賛成するものであるが,本件の事実関係に照らし,そもそも
本件譲渡が適正な対価なくしてされたといえるかという点についていささか疑問を
感じるので,若干の意見を付加しておきたい。
本件譲渡に至った経過をみると,市は,本件土地を対象とした宅地造成事業等の
計画が頓挫した後,この地区に学校を統合移転し,本件土地を住宅地とする計画を
表明して,その売却を試みたが,2度にわたって実施した一般競争入札による売却
が不首尾に終わった結果を踏まえ,平成22年10月に行われた3回目の売却に際
し,本件土地の住宅地造成と販売の事業実施者を公募するプロポーザル方式を採用
することとし,最低売却面積を4万㎡とし,市の不動産評価審議会による評価額が
4万㎡で5億0566万円であったにもかかわらず予定価格(非公表)を本件土地
全体で4億5657万余円(4万㎡につき2億9458万円)と定めて公募を実施
したところ,1社が応募したものの,その応募価格は4万㎡で2億5800万円と
上記予定価格を約12.4%下回るものであり,しかも,その応募はその後近隣の
大手企業の社宅跡地の売出しの報道がされた後に撤回されたというのである。そし
て,その結果を受けて更に平成23年11月に至って4回目の売却が試みられ,そ
の際,不動産鑑定士による平成23年鑑定評価額が7億1300万円であったもの
の,予定価格(非公表)を3億3777万8342円と定めて前回同様のプロポー
ザル方式による本件公募が行われ,応募価格3億5000万円をもって唯一公募に
応じたエポックワンらに対し,同価格をもって本件譲渡が行われたというのであ
る。
実際に行われた以上のような売却の経過と状況に鑑みると,上記3回目の売却手
続が実施されてから1年程度経過したにすぎず,その間に不動産市況が大きく変化
したような事情も認められない本件譲渡の時点においては,平成23年鑑定評価額
7億1300万円あるいはこれに近似する価格をもって本件土地の売却が可能であ
ったというには大きな疑問があり,現に,本件公募に対しては応募価格3億500
0万円をもってエポックワンらが唯一応募したにすぎないのである。上記鑑定評価
額は,現実に4回にわたって実施された売却手続の状況からうかがえる本件土地を
めぐる不動産市況の現況,特に具体的な立地条件を踏まえた本件のような大規模土
地の需要の状況,宅地造成とその分譲販売という事業が抱えるリスクなどが的確に
反映されたものか疑問を挟む余地があり,それが不動産鑑定評価基準に則って算出
されたものであり,その過程に特段の不合理な点が指摘できないとしても,上記の
諸点を十分に考慮に入れた別異の評価もあり得たのではないかと思われる。他方,
本件公募に際して定められた予定価格は,市の担当部局において,鑑定評価額を参
照しつつ,本件土地が大規模であることから取引事例比較法による比準価格を採用
せず,また,事業実施者の本件土地の造成及び販売に要する期間を考慮して5年後
の価格を予測することとして算出されたものであって,鑑定評価額を大きく下回る
ものの,それ相応の理由に基づくもので恣意的に定められたものとはいえないし,
その価格水準においても,3回目の売却手続における唯一の応募でその後撤回され
た応募者の提示した応募価格と対比して,低廉にすぎるということはできない。そ
して,本件譲渡がプロポーザル方式による公募で競争性のある手続によって行われ
たもので,その過程において競争が実質的に制限されていたとか手続の公正が人為
的に歪められていたような事情はうかがえないことからは,その対価は市場価格を
相当程度反映したものという見方ができるように思う。以上の点を勘案すると,本
件譲渡に係る対価が平成23年鑑定評価額の約50%にとどまる価格であったとし
ても,それを適正なものではなかったということには疑問を禁じ得ない。
以上述べたとおり,本件譲渡が適正な対価なくしてされたという点について疑問
を感じるところであるが,その旨の原審判断を誤りと断ずるには,不動産鑑定評価
の妥当性や鑑定評価額と時価との関係をどのように考えるべきか,また,財産の譲
渡が競争性のある手続で行われたことをその対価が適正であったか否かという点に
ついてどのように考慮するべきかなど,なお十分な議論と検討を必要とする事項が
あるように思われる。冒頭述べたとおり,本件譲渡について地方自治法237条2
項の議決があったということができ,その理由によって本件譲渡に違法はないとい
う結論が導けるので,本件においては上記の点を取り上げることは控え,若干の意
見を述べて他日の議論を期することとしたい。
裁判官宮崎裕子の補足意見は,次のとおりである。
私も,法廷意見に賛同するものであるが,若干の意見を付加する。不動産の鑑定
評価額は不動産鑑定評価基準に則り,一定の条件を満たすことを前提としてされる
評価額として意味があることは認められるものの,そのことと公募で競争性のある
手続によって行われる不動産売却における対価の適正性との関係については,考え
るべき点が多々あると思われる。本件の事実関係の下においては,本件譲渡価格が
平成23年鑑定評価額の約50%にとどまるとしても,それを適正なものでなかっ
たということには,私も山崎裁判官と同様の疑問を持つところであり,本件におい
ては上記の点を取り上げることは控えるという点も含め同裁判官の補足意見に同調
する。
(裁判長裁判官山崎敏充裁判官岡部喜代子裁判官戸倉三郎裁判官
林景一裁判官宮崎裕子)

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