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平成30年10月5日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成29年(ワ)第13794号特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日平成30年7月13日
判決
当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり5
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求10
1被告シチズンは,別紙被告製品目録記載1の各製品の生産,譲渡,譲渡の
申出(譲渡のための展示を含む。以下同じ。),輸入又は輸出をしてはならな
い。
2被告シチズンは,その占有に係る上記各製品を廃棄せよ。
3被告日亜は,別紙被告製品目録記載2の各製品の生産,譲渡,譲渡の申出15
又は輸出をしてはならない。
4被告日亜は,その占有に係る上記各製品を廃棄せよ。
5被告大光は,別紙被告製品目録記載3の各製品の生産,譲渡,譲渡の申出,
輸入又は輸出をしてはならない。
6被告大光は,その占有に係る上記各製品を廃棄せよ。20
7被告シチズンは,原告に対し,1億1000万円及びこれに対する平成2
9年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8被告日亜は,原告に対し,1億1000万円及びこれに対する平成29年
6月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9被告大光は,原告に対し,2481万8000円及びこれに対する平成225
9年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,名称を「LED照明装置およびLED照明光源」とする特許第398
9794号の特許権(以下「本件特許権」といい,この特許を「本件特許」という。
また,本件特許の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。)
を有する原告が,被告シチズンにおいて業として製造,販売,販売の申出(販売のた5
めの展示を含む。以下同じ。),輸入又は輸出(以下「製造等」という。)をしてい
る別紙被告製品目録記載1の製品(以下「被告照明光源1」という。),被告日亜に
おいて業として製造等(ただし,被告日亜については輸入を除く。以下同じ。)をし
ている同目録記載2の製品(以下「被告照明光源2」といい,被告照明光源1と併せ
て「被告各照明光源」という。),被告大光において業として製造等をしている同目10
録記載3の製品(以下「被告照明装置」といい,本件各照明光源と併せて「被告各製
品」という。)について,被告各照明光源は本件特許の特許請求の範囲請求項7(以
下「本件発明1」という。)の技術的範囲に属し,本件照明装置は本件特許の特許請
求の範囲請求項1(以下「本件発明2」といい,本件発明1と併せて「本件各発明」
という。)の技術的範囲に属し,被告らによる被告各製品の製造等は本件特許権を侵15
害する(いずれの行為も直接侵害を構成し,そのうち被告シチズン及び被告日亜によ
る本件各照明光源の製造等は,本件発明2に関して,特許法101条1号又は2号の
間接侵害を構成する。)と主張して,①被告シチズンに対し,特許法100条1項に
基づき,被告照明光源1の生産,譲渡,譲渡の申出,輸入又は輸出の差止め,並びに,
同条2項に基づき,被告照明光源1の廃棄を,②被告日亜に対し,同条1項に基づき,20
被告照明光源2の生産,譲渡,譲渡の申出又は輸出の差止め,並びに,同条2項に基
づき,被告照明光源2の廃棄を,③被告大光に対し,同条1項に基づき,被告照明装
置の生産,譲渡,譲渡の申出,輸入又は輸出の差止め,並びに,同条2項に基づき,
被告照明装置の廃棄を,④被告シチズンに対し,不法行為による損害賠償請求権に基
づく一部請求として,1億1000万円(特許法102条2項により算定される逸失25
利益1億円及び弁護士費用相当額1000万円)及びこれに対する不法行為後の日で
ある平成29年6月8日(訴状送達日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の
割合による遅延損害金の支払を,⑤被告日亜に対し,不法行為による損害賠償請求権
に基づく一部請求として,1億1000万円(特許法102条2項により算定される
逸失利益1億円及び弁護士費用相当額1000万円)及びこれに対する不法行為後の
日である平成29年6月9日(訴状送達日の翌日)から支払済みまでの民法所定年55
分の割合による遅延損害金の支払を,⑥被告大光に対し,不法行為による損害賠償請
求権に基づき,2481万8000円(特許法102条3項により算定される逸失利
益2281万8000円及び弁護士費用相当額200万円)及びこれに対する不法行
為後の日である平成29年6月8日(訴状送達日の翌日)から支払済みまでの民法所
定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。10
2前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によ
り容易に認められる事実。なお,証拠番号は特記しない限り枝番を含む。)
⑴当事者
ア原告
原告は,台湾法に基づき設立された法人であり,LED発光素子(光源)の製造販15
売等を業としている。
イ被告ら
被告シチズンは,電子及び電気部品並びに電子及び電気機器の製作並びに売買等を
業とする株式会社である。
被告日亜は,半導体及び関連材料,部品,応用製品の製造,販売並びに研究開発等20
を業とする株式会社である。
被告大光は,電気照明器具の製造及び販売等を業とする株式会社である。
⑵本件特許権
ア原告は,パナソニック株式会社から次の内容の本件特許権を譲り受け,平成2
6年9月8日,移転登録を受けた。25
出願日平成14年8月8日
優先権主張番号特願2001-242857
優先日平成13年8月9日
優先権主張国日本国
登録日平成19年7月27日
特許番号特許第3989794号5
発明の名称LED照明装置およびLED照明光源
イ本件各発明の特許請求の範囲
本件各発明の特許請求の範囲の記載は,次のとおりである。
本件発明1(請求項7)
「基板と,前記基板の片面に実装されたLEDとを備えたLED照明光源であって,10
前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面の一端側に,当該LED
照明光源が取り付けられるLED照明装置のコネクタによって前記基板片面から基
板裏面への方向に押圧されて前記コネクタに接続される給電端子が設けられており,
前記コネクタによって前記基板片面から基板裏面への方向に押圧されて前記LE
D照明装置に着脱可能に固定される,LED照明光源。」15
本件発明2(請求項1)
「LEDが片面に実装された基板の当該面に給電端子を有する着脱可能なLED照
明光源と,
前記基板のうち前記LEDが実装されていない基板裏面と接触する熱伝導部材と,
前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しながら前記給電端子に接続される少な20
くとも1つのコネクタと,
前記コネクタを介して前記LED照明光源と電気的に接続される点灯回路と,
を備えるLED照明装置であって,
前記コネクタは,前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けることによって前記L
ED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に固定する,LED照明装置。」25
ウ本件各発明の構成要件の分説
本件発明1は,次のとおり,構成要件に分説される(以下,頭書の記号に従っ
て,「構成要件1A」などという。)。
1A基板と,前記基板の片面に実装されたLEDとを備えたLED照明光源で
あって,
1B前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面の一端側に,当5
該LED照明光源が取り付けられるLED照明装置のコネクタによって前
記基板片面から基板裏面への方向に押圧されて前記コネクタに接続される
給電端子が設けられており,
1C前記コネクタによって前記基板片面から基板裏面への方向に押圧されて
前記LED照明装置に着脱可能に固定される,10
1DLED照明光源。
本件発明2は,次のとおり,構成要件に分説される(以下,頭書の記号に従っ
て,「構成要件2A」などという。)。
2ALEDが片面に実装された基板の当該面に給電端子を有する着脱可能なL
ED照明光源と,15
2B前記基板のうち前記LEDが実装されていない基板裏面と接触する熱伝導
部材と,
2C前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しながら前記給電端子に接続され
る少なくとも1つのコネクタと,
2D前記コネクタを介して前記LED照明光源と電気的に接続される点灯回路20
と,を備えるLED照明装置であって,
2E前記コネクタは,前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けることによっ
て前記LED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に固定する,
2FLED照明装置。
⑶訂正請求,訂正後の特許請求の範囲及び構成要件の分説25
ア訂正請求
被告シチズン及び被告日亜は,平成29年11月30日,本件特許について特許無
効審判を請求した(無効2017-800144号)ところ,原告は,上記特許無効
審判において,平成30年3月26日,訂正の請求をした(甲12,乙20。以下,
この訂正の請求を「本件訂正請求」といい,この請求に係る訂正内容を「本件訂正」
という。また,訂正後の請求項7及び1記載の各発明を,それぞれ「本件訂正発明1」,5
「本件訂正発明2」といい,これらを併せて「本件各訂正発明」という。)。
イ本件各訂正発明
本件各訂正発明の特許請求の範囲の記載は,次のとおりである(下線部は本件訂正
に係る部分である。)。
本件訂正発明110
「基板と,前記基板の片面に実装されたLEDとを備えたLED照明光源であっ
て,
前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面の一端側に,当該L
ED照明光源が取り付けられるLED照明装置のコネクタによって前記基板片
面から基板裏面への方向に押圧されて前記コネクタに接続される給電端子が設15
けられており,
前記基板の一部にマークが形成されており,
前記コネクタに設けられたバネ性を有する端子部が前記給電端子を押圧する
ことにより,前記基板片面から基板裏面への方向に押圧されるとともに,前記コ
ネクタにより,前記基板片面において,隣接する少なくとも3つの外周辺が,そ20
れぞれその過半が覆われて,前記LED照明装置に着脱可能に固定される,LE
D照明光源。」
本件訂正発明2
「LEDが片面に実装された基板の当該面に給電端子を有する着脱可能なLE
D照明光源と,25
前記基板のうち前記LEDが実装されていない基板裏面と接触する熱伝導部
材と,
前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しながら前記給電端子に接続される
少なくとも1つのコネクタと,
前記コネクタを介して前記LED照明光源と電気的に接続される点灯回路と,
を備えるLED照明装置であって,5
前記基板の一部にマークが形成されており,
前記コネクタに設けられたバネ性を有する端子部が前記給電端子を押圧する
ことにより,前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けるとともに,前記コネク
タにより,前記基板片面において,隣接する少なくとも3つの外周辺が,それぞ
れその過半が覆われて,前記LED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に10
固定する,LED照明装置。」
ウ本件各訂正発明の構成要件の分説
本件訂正発明1は,次のとおり,構成要件に分説される。
1A基板と,前記基板の片面に実装されたLEDとを備えたLED照明光源で
あって,15
1B前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面の一端側に,当
該LED照明光源が取り付けられるLED照明装置のコネクタによって前
記基板片面から基板裏面への方向に押圧されて前記コネクタに接続される
給電端子が設けられており,
1E´前記基板の一部にマークが形成されており,20
1C´前記コネクタに設けられたバネ性を有する端子部が前記給電端子を押
圧することにより,前記基板片面から基板裏面への方向に押圧されると
ともに,前記コネクタにより,前記基板片面において,隣接する少なくと
も3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われて,前記LED照明装置に
着脱可能に固定される,25
1DLED照明光源。
本件訂正発明2は,次のとおり,構成要件に分説される。
2ALEDが片面に実装された基板の当該面に給電端子を有する着脱可能なL
ED照明光源と,
2B前記基板のうち前記LEDが実装されていない基板裏面と接触する熱伝導
部材と,5
2C前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しながら前記給電端子に接続され
る少なくとも1つのコネクタと,
2D前記コネクタを介して前記LED照明光源と電気的に接続される点灯回路
と,を備えるLED照明装置であって,
2G´前記基板の一部にマークが形成されており,10
2E´前記コネクタに設けられたバネ性を有する端子部が前記給電端子を押
圧することにより,前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けるとともに,
前記コネクタにより,前記基板片面において,隣接する少なくとも3つの
外周辺が,それぞれその過半が覆われて,前記LED照明光源を前記LE
D照明装置に着脱可能に固定する,15
2FLED照明装置。
⑷被告らの行為等
ア被告シチズンは,被告照明光源1を,業として,製造,販売,販売の申出,輸
入又は輸出をしている。
被告日亜は,被告照明光源2を,業として,製造,販売,販売の申出又は輸出をし20
ている。
被告大光は,被告照明装置を,業として,製造,販売,販売の申出,輸入又は輸出
をしている。被告各照明光源のうち,一部の型番に係る製品は,被告照明装置に搭載
されている。
イ被告各照明光源は構成要件1A及び1Dを充足し,被告照明装置は構成要件225
Fを充足する。原告の主張する被告各製品の構成は,別紙被告製品説明書のとおりで
ある。
3争点
⑴被告各製品は,本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)
ア被告各照明光源は「一端側」(構成要件1B)を充足するか(争点1-1)
イ被告各製品は「着脱可能」(構成要件1C,2A及び2E)を充足するか(争点5
1-2)
ウ被告照明装置は「基板裏面と接触する熱伝導部材」(構成要件2B)を充足する
か(争点1-3)
エ被告照明装置は「コネクタ」(構成要件2C及び2E)を充足するか(争点1-
4)10
⑵被告各照明光源の製造等は間接侵害を構成するか(争点2)
⑶本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点3)
ア本件発明1について(争点3-1)
本件特許は特許法36条6項2号に違反しているか(無効理由1・争点3-1
⑴)15
本件特許は特許法36条6項2号に違反しているか(無効理由2・争点3-1
⑵)
本件発明1は新規性又は進歩性を欠くものであるか(無効理由3・争点3-1
⑶)
イ本件発明2について(争点3-2)20
本件特許は特許法36条6項1号及び2号に違反しているか(無効理由1・争
点3-2⑴)
本件特許は特許法36条6項2号,同条4項1号,同条6項1号に違反してい
るか(無効理由2・争点3-2⑵)
本件特許は特許法29条の2に違反しているか(無効理由3・争点3-2⑶)25
本件特許は乙12に基づき新規性又は進歩性を欠くものであるか(無効理由
4・争点3-2⑷)
本件特許は乙13に基づき新規性又は進歩性を欠くものであるか(無効理由
5・争点3-2⑸)
本件特許は乙5に基づき新規性又は進歩性を欠くものであるか(無効理由6・
争点3-2⑹)5
本件特許は乙15に基づき新規性又は進歩性を欠くものであるか(無効理由
7・争点3-2⑺)
本件特許は乙16に基づき新規性又は進歩性を欠くものであるか(無効理由
8・争点3-2⑻)
⑷訂正の再抗弁は認められるか(争点4)10
⑸損害の発生の有無及びその額(争点5)
第3争点に対する当事者の主張
1争点1(被告各製品は本件各発明の技術的範囲に属するか)について
⑴争点1-1(被告各照明光源は「一端側」〔構成要件1B〕を充足するか)につ
いて15
【原告の主張】
構成要件1Bは,「前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面の一
端側に,…給電端子が設けられており,」と規定しているところ,「基板片面の一端側
に」とは,基板の中心部ではなく,周辺部に給電端子を形成することを規定する
ものであり,また,「一端側のみに」と規定していないことからすれば,一端側に20
給電端子が設けられていれば足り,それ以上に一端側「のみ」に集中的に給電端
子が設けられている必要はない。
被告各照明光源の給電端子は,基板の対角付近に設けられている。基板の対角
付近は,まさに基板の周辺部に当たり,基板の「一端側」に位置していることか
ら,被告各照明光源の給電端子は,基板片面の「一端側に」設けられている。し25
たがって,被告各照明光源は本件発明1の構成要件1Bを充足する。
【被告シチズン及び被告日亜の主張】
「一端」とは,「一方のはし。かたはし。」の意味であり,「のみ」という限定を含意
する言葉であるから,構成要件1Bの「一端」とは,基板の複数の辺のうちの1つの
辺を意味するものであり,本件明細書の段落【0142】及び【0143】の記載を
併せて考えると,「一端側に」給電端子を設けるとは,「基板の4辺のうちの1辺のみ5
に集中的に」給電端子を設ける構成を意味する。しかるに,被告各照明光源の給電端
子は,基板片面の一対の対角付近に設けられているため,被告各照明光源はいずれも
基板の4辺のうちの1辺のみに集中的に給電端子を設ける構成を有しない。したがっ
て,被告各照明光源は本件発明1の構成要件1Bを充足しない。
⑵争点1-2(被告各製品は「着脱可能」〔構成要件1C,2A及び2E〕を充足10
するか)について
【原告の主張】
ア構成要件1Cは,「…前記LED照明装置に着脱可能に固定される」と規定す
るところ,「可能」とは,「(しようと思えば)できる」などの意味で用いられる語
であるから,着脱可能とは「着脱しようと思えばできる」という意味に理解され15
る。本件明細書の記載からすれば,本件各発明において光源部分を着脱可能とす
ることの技術的意義は,光源が故障した場合,光源の発光光量を変更したい場合,
光源が短期間で劣化した場合,光源の光色を変更したい場合などに,照明装置の
光源以外の構造体の使用を継続することができるという点にある。このような意
味における「着脱可能」という構成による効果を実現するためには,照明装置を20
使用する者が,照明光源を着脱して照明装置の使用を継続することができれば
「着脱可能」に該当する。あるいは,「着脱可能」を限定的に解釈するとしても,
一般の照明器具使用者(以下「一般使用者」という。)において,特別な道具や器
具(以下,道具や器具を単に「道具」という。)を用いずに,一般的な家庭にも備
えられているような一般的な道具を使用して照明光源を着脱することができれ25
ば,「着脱可能」に該当する。
被告各照明光源は,一般的な家庭にも備えられている一般的な道具であるスク
リュードライバーを使用するだけで,それ以上に特別な道具を使用することなく,
被告照明装置から着脱できるのであるから,「着脱可能」に該当し,構成要件1C,
2A及び2Eを充足する。
イ被告シチズン及び被告日亜は,「着脱可能」は,取付け及び取外しが容易にで5
きる構造にすることを意味すると主張するが,「可能」という用語の意義に照らせば,
「可能」である以上に「容易」であるか否かを問題とすること自体誤りである。
ウ被告大光は,「着脱可能」という語を「人の指により容易に取り付けたり取
り外したりができること」と限定解釈するが,そのような根拠はない。また,被
告大光は,被告照明装置から照明光源を取り外すには,ドライバー等の道具を用10
いて相当複雑な工程を経ることが必要である旨を主張するが,ドライバーは一般
的な家庭にも備えられているごく一般的な道具であり,取外しの工程が複雑であ
るか否かは,「着脱可能」とは関係がない。また,電気用品安全法による規制は,
本件各発明の技術的範囲とは無関係である。
【被告シチズン及び被告日亜の主張】15
構成要件1Cは,「…前記LED照明装置に着脱可能に固定される」と規定すると
ころ,「着脱」とは「身につけたり脱いだりすること。その部分につけたり,はずした
りすること」との意味であるから,「着脱可能」は,取り付けたり取り外したりするこ
とが容易にできる構造にすることを意味する。
そして,本件明細書には,従来の技術では,多数のLED素子を基板上に高密度で20
実装し,かつ,各LED素子に大きな電流を流した場合,LEDの発熱量が過大なレ
ベルに達し,LEDの寿命が短縮されるという問題があり,このことがLED照明装
置の実用化を阻んでいたのに対し,本件各発明では,照明装置の光源部分を着脱可能
なカード状構造物によって構成し,各LEDで発生した熱をスムーズに熱伝導させる
効果を高めるとともに,熱の影響等で寿命の尽きた光源だけを新しい光源と取替え可25
能とすることにより,LED照明装置の光源以外の構造体を長期間使用できるように
していることが説明されている。
そして,このような本件明細書の記載と出願経過からすると,本件発明1の「着脱
可能」とは,一般使用者による照明光源の取替えを予定して,一般使用者において容
易に照明光源を取り付けたり取り外したりすることが可能なように設計されている
構造,すなわち照明光源を着脱することを予定した構造を意味するものである。5
しかるに,被告照明装置は,照明光源の交換が予定されておらず,むしろ禁止さ
れている。そのため,実際にも,被告照明装置は,複雑な工程を経なければ分解で
きない構造となっており,また,使用時の熱によって被告各照明光源と被告照明装
置の間に設けられた放熱シートまたは放熱グリースが焼き付き,光源と装置が容易
に引きはがせない状態となっている。さらに,被告各照明光源と被告照明装置を無10
理に引きはがすと,放熱シートや放熱グリースの一部が被告照明装置の表面に付着
するなどして残ってしまうことは明らかであり,ここに別の照明光源を搭載して
も,被告照明装置と照明光源の間に空気が入り,熱伝導性,ひいては製品の安全性
が著しく害されることになる。
したがって,被告各照明光源は,一般使用者による照明光源の取替えを予定し15
て,一般使用者において容易に照明光源を取り付けたり取り外したりすることが可
能なように設計されている構造,すなわち照明光源を着脱することを予定した構造
とはなっていないから,構成要件1Cの「着脱可能」を充足しない。
【被告大光の主張】
本件明細書の記載や出願経過からすると,本件発明2は,LED照明光源を人間の20
指により容易に着脱可能として,従来の電球や蛍光管のようにその取替えが一般使用
者により容易に行えることとなり,その当時普及していた電球や蛍光管に代替できる
という点に発明の本質的特徴があるのであり,「着脱可能」とは,LED照明光源の容
易な取替えを前提とし,人の指によって容易に取り付けたり取り外したりができるこ
とと解釈される。25
他方,被告照明装置においては,ホルダーに照明光源がセットされたうえでヒート
シンクにねじ止めされているところ,照明光源の基板裏面には,放熱シートないしグ
リースが貼付され,照明光源が一旦被告照明装置に備えられた後に取り外された場合
には,照明光源とヒートシンクの間に空気が入り込み,放熱シートあるいはグリース
の機能が失われ,被告照明装置における放熱性や熱伝導性が著しく低下してしまい,
放熱性を維持できない。しかも,被告照明装置が熱を帯び,放熱シートないしグリー5
スが介在して(それらが介在するがために)照明光源を被告照明装置から引き剥がせ
なくなり,照明光源は簡単には取り外せない状態になる。また,被告照明装置は,ド
ライバー等の道具を使用しなければそもそも外側カバーを取り外すことはできな
いうえ,照明光源に人の指が触れるまでには,道具を用いて相当複雑な工程を経
ることが必要となる。さらに,電気用品安全法等の関係法令上,人の指による取替10
えが許されていないものである。したがって,被告照明装置における照明光源は,
人の指により容易に取り付けたり取り外したりができないから,着脱可能とはいえず,
被告照明装置は,着脱可能なLED照明光源を備えていない。したがって,被告照明
装置は,構成要件2A及び2Eを充足しない。
⑶争点1-3(被告照明装置は「基板裏面と接触する熱伝導部材」〔構成要件215
B〕を充足するか)について
【原告の主張】
構成要件2Bは,「基板裏面と接触する熱伝導部材」と規定している。本件明細書に
おいて,「熱伝導部材」としては放熱シートや放熱グリースをヒートシンクと組み合
わせてもよいことが明記されているから,それらの放熱シートや放熱グリースを含め20
て「熱伝導部材」に相当する。そして,放熱シートや放熱グリースはもともと再利用
を目的としておらず,使い捨てで使用されるものであるから,これらを再利用しなけ
ればならないものではない。したがって,被告照明装置の照明光源の基板裏面は,こ
の熱伝導部材に接触しており,構成要件2Bを充足する。
【被告シチズン及び被告日亜の主張】25
照明装置は,照明光源を取り外した場合に再利用できる部材で構成されていなけ
ればならない。被告照明装置で本件発明2の「熱伝導部材」に対応するものは,「放
熱シート(又は放熱用グリース)」及び「ヒートシンク」を一体としてみた部材とな
るが,放熱シートは照明光源を取り外してしまえばもはや再利用することはできな
いから,「放熱シート(又は放熱用グリース)及びヒートシンクの2つを一体とし
てみた部材」は本件発明2の「熱伝導部材」には該当せず,構成要件2Bを充足し5
ない
【被告大光の主張】
被告照明装置の基板裏面には,放熱用のシートないしグリースのいずれかが貼付さ
れているが,かかる放熱シート又は放熱グリースは熱伝導部材ではないのであるから,
基板裏面は熱伝導部材に「接触」しておらず,構成要件2Bを充足しない。10
⑷争点1-4(被告照明装置は「コネクタ」〔構成要件2C及び2E〕を充足する
か)について
【原告の主張】
ア構成要件2Cは,「前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しながら前記給電
端子に接続される…コネクタ」と規定し,構成要件2Eは,「前記コネクタは,前記基15
板裏面を前記熱伝導部材に押し付けることによって前記LED照明光源を前記LE
D照明装置に着脱可能に固定する」構造を有すると規定している。本件明細書によれ
ば,本件発明2における「押圧」又は「押し付ける」態様として,コネクタ側のバネ
性を有する給電端子で行うことも可能であるとされているところ,被告照明装置のホ
ルダーの電極部は,バネのように付勢されているから,ホルダーが基板裏面と熱伝導20
部材を押圧し,基板裏面を熱伝導部材に押し付けて固定しているといえ,構成要件2
C及び2Eを充足する。
イ被告シチズン及び被告日亜は,ホルダーの電極部のみを取り出して照明光源の
固定に寄与していない旨を主張するが,ホルダー全体として照明光源を固定している
ものである。また,被告シチズン及び被告日亜は,押し付ける力が加わった状態にお25
いて,照明光源を着けたり外したりできない部材は,本件発明2の「コネクタ」とは
いえない旨を主張するが,本件発明2においては,照明光源の固定後の使用時に押圧
されていれば足り,着脱時に押圧されているか否かは問題とならない。
被告大光は,上記バネ部分は給電端子の接続のためにすぎないと主張するが,
ホルダーの給電端子がバネ性を有している以上,ホルダーがねじで固定されれば,
バネの作用によって照明光源の基板裏面が熱伝導部材に押し付けられることは5
自明である。また,給電端子の接続のためだけであれば,給電端子にバネ性を持
たせる理由はないのであり,被告大光の主張は不合理である。
【被告シチズン及び被告日亜の主張】
本件発明2における「コネクタ」は,「前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しな
がら前記給電端子に接続」する力で「前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けるこ10
とによって前記LED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に固定する」部材で
あると理解される。しかるに,被告照明装置において,ホルダーの電極部の押圧力は
ねじによる押圧力に依存したものであって,照明光源の「固定」にまったく寄与して
いないから,被告照明装置のホルダーは「前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧し
ながら前記給電端子に接続」する力で「前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付ける15
ことによって前記LED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に固定する」部材
とはいえない。
また,「コネクタ」は,「前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けることによって」
「前記LED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に固定する」部材でなければ
ならず,したがって,押し付ける力が加わった状態において(「押し付けることによっ20
て」),照明光源を着けたり外したりできない(「着脱可能に固定」されていない)部材
は,本件発明2の「コネクタ」とはいえない。しかるに,被告照明装置では,被告照
明装置にホルダーを固定する際にはねじ止めをしているところ,1本のねじの押圧力
は,例えば93kgであり,これを2本使用しているから,その押圧力は約200k
gにもなるのであり,被告照明装置ではこのような力で照明光源を強固に固定してい25
るから,本件発明2とは取付け方の技術思想自体がまったく異なる。したがって,被
告照明装置には本件発明2の「コネクタ」が存在しない。
【被告大光の主張】
ア構成要件2Cは,「前記基板裏面と前記熱伝導部材とを押圧しながら前記給電
端子に接続される…コネクタ」と規定しているところ,被告照明装置のホルダーは,
単にねじで熱伝導部材に止められているだけであり,ホルダーが基板裏面と熱伝導部5
材を押圧しているのではなく,ねじで止まっているにすぎないから,基板裏面と熱伝
導部材とを押圧していない。
また,構成要件2Eは,「コネクタは,前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付ける
ことによって前記LED照明光源を前記LED照明装置に着脱可能に固定する」構造
を有すると規定しているところ,被告照明装置が備えるホルダーは,単にねじで熱伝10
導部材に止められているだけであり,基板裏面を熱伝導部材に押し付けていない上,
基板裏面を熱伝導部材に押し付けることによってLED照明光源をLED照明装置
に着脱可能に固定する構造も備えていない。
イ原告は,被告照明装置のホルダーの電極部は,バネのように付勢されており,
ホルダーに被告照明光源を配置し,照明装置本体にねじ止めすることにより,ホルダ15
ーが基板表面から基板裏面の方向に押圧されて被告照明装置に固定されると主張す
る。しかし,被告照明装置のうち電極部のバネ部分は給電端子の接続のためのものに
すぎず,基板裏面と熱伝導部材を押圧する,あるいは,ホルダーが基板裏面を熱伝導
部材に押し付けることによって照明光源を固定する作用を有さない。ホルダー自体に,
何ら基板裏面と熱伝導部材を押圧するような構造がないことは明らかである。20
また,本件発明2において,構成要件2Eは,人の指による照明光源の容易な着脱
操作のために必須となる本質的要素であって,それは,コネクタが基板裏面と熱伝導
部材を押し付けることにより照明光源を着脱可能に固定する構造により達成される
のである。被告照明装置のホルダーには,基板裏面と熱伝導部材を押し付けることに
よって照明光源を着脱可能に固定する構造などなく,本件特許発明2の本質的な特徴25
を全く具備していない。
2争点2(被告各照明光源の製造等は間接侵害を構成するか)について
【原告の主張】
被告各照明光源は,本件発明2に係る照明装置の生産にのみ用いる物であるから,
これらを業として製造等をする行為は,本件特許権の間接侵害(特許法101条1号)
を構成する。5
仮に,被告各照明光源がこれに該当しないとしても,少なくとも,本件発明2によ
る課題の解決に不可欠なものであり,被告シチズン及び被告日亜は,遅くとも本件訴
状送達後には,本件発明2が特許発明であること及び被告各照明光源がその発明の実
施に用いられることを知りながら製造等を行っているから,これらを業として製造等
をする行為は,本件特許権の間接侵害(同条2号)を構成する。10
【被告シチズン及び被告日亜の主張】
被告各照明光源は被告照明装置と組み合わせて用いられるだけではなく,コネクタ
を有しない照明装置に電線を直接はんだ付けして使用することも可能であり,そのよ
うな形態で使用されることも多い。その場合,明らかに被告各照明光源は照明装置に
対して「着脱可能」ではないし,そもそも「コネクタ」がないから,本件発明2の技15
術的範囲には含まれない。したがって,被告各照明光源は本件発明2の生産に「のみ」
使用するものではないから,同条1号の間接侵害は成立しない。
また,本件照明装置による直接侵害が成立しない以上,同条2号の間接侵害は成立
しない。
3争点3(本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)20
について
⑴争点3-1(本件発明1)について
ア争点3-1⑴(無効理由1・本件特許は特許法36条6項2号に違反している
か)について
【被告らの主張】25
本件発明1はLED照明光源に関する発明であるが,LED照明光源自体の構成要
素として特定されているのは,「基板」,「前記基板の片面に実装されたLED」,「前記
基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面の一端側に,給電端子が設けら
れており」のみであり,その他はLED照明光源の構成外の事情である照明装置やそ
のコネクタによって規定されている。これにより,本件発明1のLED照明光源は全
く構成が特定されたものとはなっていない。本件発明1が規定するLED照明光源の5
構成はその外にある照明装置の構成によって特定されている以上,少なくとも,照明
装置の構造が照明光源の具体的な構造を特定し得る程度にまで明確に特定されてい
なければ本件発明1の内容は特定できないが,特許請求の範囲はおろか,本件特許明
細書を見ても,何ら特定されていない。
したがって,本件発明1は発明の内容がまったく特定されていないから,明確性要10
件(特許法36条6項2号)に違反する。
【原告の主張】
本件発明1は,LED照明光源が照明装置に備え付けられた際にどのような状
態となるのかということをもってLED照明光源の構成を特定しているもので
あり,具体的には構成要件1Bや1Cでは,照明光源を照明装置に備え付ける際15
に直接的に関係するコネクタについて規定しているのであり,LED照明光源の
特定として十分かつ明確である。
イ争点3-1⑵(無効理由2・本件特許は特許法36条6項2号に違反している
か)について
【被告らの主張】20
本件発明1の「給電端子」は,本件発明2の「給電端子」と同じ意味に理解される
ところ,本件発明2の請求項に記載された「給電端子」はLED照明光源の構成要素
とされているのに対し,本件明細書に記載された「給電端子」は照明光源外の機構と
されているから,両者は整合せず,その意味は不特定である。したがって,本件発明
1は明確性要件(特許法36条6項2号)に違反する。25
【原告の主張】
「端子」とは,電気回路の接続をするために設けた電流の出入口のことであり,2
つの要素(例えば照明装置と照明光源)を電気的に接続する際には,その双方に
存在し,一方にとっては電流の出口となるし,他方にとっては電流の入口となる。
したがって,「給電端子」は,照明光源の側にも照明装置の側にも存在するのであ
り,当業者であれば,「端子」という以上は接続された両側に存在すると理解し,5
本件明細書の「給電端子」というのが照明装置側,照明光源側のいずれの給電端
子を指しているのかは容易に理解することができるから,明確性要件に違反しな
い。
ウ争点3-1⑶(無効理由3・本件発明1は新規性又は進歩性を欠くものである
か)について10
【被告らの主張】
本件発明1は,本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明である特開昭
62-211973号公報(乙5)に記載された発明(以下「乙5発明」という。)と
同一であるか,何らかの相違点があるとしても,当業者が出願時の技術常識を用いて
容易に想到できるものであるから,同発明に基づいて容易に発明することができた。15
よって,本件発明1は,新規性又は進歩性を欠く。
【原告の主張】
被告らの主張は,構成要件1Bのうちの「当該LED照明光源が取り付けられる
LED照明装置のコネクタによって前記基板片面から基板裏面への方向に押圧
されて前記コネクタに接続される」との構成及び構成要件1Cを無視すべきとの20
独自の解釈を前提としているので,その前提自体が誤りである。また,乙5発明
は上記構成を備えておらず,本件発明1とこの点が相違するところ,この相違点
については何らの副引例も動機付けも主張されていないから,当業者が容易に想
到できたとはいえない。
⑵争点3-2(本件発明2)について25
ア争点3-2⑴(無効理由1・本件特許は特許法36条6項1号及び2号に違反
しているか)について
【被告らの主張】
本件発明2は,「給電端子」を備えるが,請求項に記載された「給電端子」はLED
照明光源の構成要素とされているのに対し,本件明細書に記載された「給電端子」は
照明光源外の機構とされているから,両者は整合せず,また,請求項1を引用する請5
求項2に係る発明は「給電電極」なる要素を備えるとされているが,本件発明2の「給
電端子」と請求項2に記載された「給電電極」との関係も不明である。
したがって,本件発明2の「給電端子」がいかなる構成・意味であるのかを特定で
きていないから,本件発明2は,サポート要件(特許法36条6項1号)及び明確性
要件(同項2号)に違反する。10
【原告の主張】
争点3-1⑵で主張したのと同様に,「給電端子」は照明光源の側にも照明装置の
側にも存在するから,本件発明2は,サポート要件及び明確性要件に違反しない。
イ争点3-2⑵(無効理由2・本件特許は特許法36条6項2号,同条4項1号
及び同条6項1号に違反しているか)について15
【被告らの主張】
本件発明2は,「LED照明装置」を構成する要素として,「熱伝導部材」や「コネ
クタ」を備えるが,「コネクタ」と「熱伝導部材」とはどのような関係にあるのか,ま
た,「コネクタ」及び「熱伝導部材」は,それぞれいかなる部材であるか不明であり,
本件発明2を特定することができない。20
したがって,本件発明2の構成は,明確でない点で明確性要件(特許法36条6項
2号)に違反する。また,本件特許の発明の詳細な説明の記載は,当業者が本件発明
2を実施することができる程度に明瞭かつ十分に記載されていない点で,実施可能要
件(同条4項1号)に違反する。さらに,本件発明2は,本件特許の明細書の発明の
詳細な説明に記載された発明であるということができない点で,サポート要件(同条25
6項1号)に違反する。
【原告の主張】
本件発明2における「コネクタ」も「熱伝導部材」も,本件発明2において果
たすべき機能・機構から特定されるものであり,「コネクタ」は照明光源との電気
的接続と固定という機能・機構を有し,「熱伝導部材」は照明光源の基板裏面から
熱を受け取るという機能・機構を有する部材であるから,明確性要件,実施可能要5
件及びサポート要件に違反しない。
ウ争点3-2⑶(無効理由3・本件特許は特許法29条の2に違反しているか)
について
【被告らの主張】
本件発明2は,本件特許の基礎出願(特願2001-242857号:平成13年10
8月9日出願)の明細書及び図面のいずれにも記載されていない。したがって,本件
発明2についての拡大先願(特許法29条の2)の規定の適用にあたっては,その出
願日として,優先権主張出願(特願2002-231765号:平成14年8月8日
出願)の出願日を基準とすべきである。
そうすると,本件発明2は,その出願の日前の特許出願であって,その出願後に出15
願公開がされた特願2002-207158号(特開2004-55160号公報
〔乙11〕)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(以下「乙1
1発明」という。)と同一であり,しかも発明者も出願人も同一ではないので,特許法
29条の2の規定により,特許を受けることができないものであり,無効である。
【原告の主張】20
乙11発明は,本件発明2の各構成のうち,少なくとも構成要件2C及び2E
に相当する構成を備えておらず,この点が相違するから,本件発明2と乙11発
明とは同一の発明ではない。
エ争点3-2⑷(無効理由4・本件特許は乙12に基づき新規性又は進歩性を欠
くものであるか)について25
【被告らの主張】
本件発明2は,本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明である特開昭
62-229987号公報(乙12)に記載された発明(以下「乙12発明」という。)
と同一であるか,何らかの相違点があるとしても,当業者が出願時の周知技術を用い
て容易に想到できるものであるから,同発明に基づいて容易に発明することができた。
よって,本件発明2は,新規性又は進歩性を欠く。5
【原告の主張】
乙12発明は,構成要件2C及び2Eに相当する構成を備えていないから,本件発
明2と同一の発明ではないし,相違点についての容易想到性の主張もない。
オ争点3-2⑸(無効理由5・本件特許は乙13に基づき新規性又は進歩性を欠
くものであるか)について10
【被告らの主張】
本件発明2は,本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明である特開平
2-43059号公報(乙13)に記載された発明(以下「乙13発明」という。)と
同一であるか,何らかの相違点があるとしても,当業者が出願時の周知技術を用いて
容易に想到できるものであるから,同発明に基づいて容易に発明することができた。15
よって,本件発明2は,新規性又は進歩性を欠く。
【原告の主張】
乙13発明は,構成要件2A,2C,2E及び2Fに相当する構成を備えていない
から,本件発明2と同一の発明ではないし,相違点についての容易想到性の主張もな
い。20
カ争点3-2⑹(無効理由6・本件特許は乙5に基づき新規性又は進歩性を欠く
ものであるか)について
【被告らの主張】
本件発明2は,乙5発明と同一であるか,何らかの相違点があるとしても,当業者
が出願時の周知技術を用いて容易に想到できるものであるから,同発明に基づいて容25
易に発明することができた。よって,本件発明2は,新規性又は進歩性を欠く。
【原告の主張】
乙5発明は,構成要件2C及び2Eに相当する構成を備えていないから,本件発明
2と同一の発明ではないし,相違点についての容易想到性の主張もない。
キ争点3-2⑺(無効理由7・本件特許は乙15に基づき新規性又は進歩性を欠
くものであるか)について5
【被告らの主張】
本件発明2は,本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明である実願昭
59-155864号(実開昭61-70306号)のマイクロフィルム(乙15)
に記載された発明(以下「乙15発明」という。)と同一であるか,何らかの相違点が
あるとしても,当業者が出願時の周知慣用技術(乙17ないし19)を用いて容易に10
想到できるものであるから,同発明に基づいて容易に発明することができた。よって,
本件発明2は,新規性又は進歩性を欠く。
【原告の主張】
乙15発明は,構成要件2C及び2Eに相当する構成を備えていないから,本件発
明2と同一の発明ではないし,相違点について容易想到でもない。15
ク争点3-2⑻(無効理由8・本件特許は乙16に基づき新規性又は進歩性を欠
くものであるか)について
【被告らの主張】
本件発明2は,本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明である実願昭
63-156954号(実開平2-76038号)のマイクロフィルム(乙16)に20
記載された発明(以下「乙16発明」という。)と同一であるか,何らかの相違点があ
るとしても,当業者が出願時の周知技術を用いて容易に想到できるものであるから,
同発明に基づいて容易に発明することができた。よって,本件発明2は,新規性又は
進歩性を欠く。
【原告の主張】25
乙16発明は,構成要件2A,2C,2E及び2Fに相当する構成を備えていない
から,本件発明2と同一の発明ではないし,相違点についての容易想到性の主張もな
い。
4争点4(訂正の再抗弁は認められるか)について
【原告の主張】
ア本件訂正請求は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであ5
り,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないから,訂正要件を満たす。
イ仮に,被告ら主張の無効理由が認められたとしても,本件各訂正発明と被告ら
が引用する発明とは以下の点においても相違するので,新規性及び進歩性を有するこ
とが明らかであり,本件訂正請求によって無効理由が解消される。
本件発明1に対する無効理由3及び本件発明2に対する無効理由6(乙5発明)10
について
本件各訂正発明と乙5発明とは,構成要件1E´及び2G´において相違すると
ともに,構成要件1C´及び2E´のうち,コネクタにより,基板片面において,
隣接する少なくとも3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われているか否か及
びコネクタに設けられたバネ性を有する端子部が給電端子を押圧するか否かに15
おいても相違する。
本件発明2に対する無効理由3(乙11発明)について
本件訂正発明2と乙11発明とは,構成要件2G´において相違するとともに,
構成要件2E´のうち,コネクタにより,基板片面において,隣接する少なくと
も3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われているか否か及びコネクタに設け20
られたバネ性を有する端子部が給電端子を押圧するか否かにおいても相違する。
本件発明2に対する無効理由4(乙12発明)について
本件訂正発明2と乙12発明とは,構成要件2G´において相違するとともに,
構成要件2E´のうち,コネクタにより,基板片面において,隣接する少なくと
も3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われているか否か及びコネクタに設け25
られたバネ性を有する端子部が給電端子を押圧するか否かにおいても相違する。
本件発明2に対する無効理由5(乙13発明)について
本件訂正発明2と乙13発明とは,構成要件2G´において相違するとともに,
構成要件2E´のうち,コネクタにより,基板片面において,隣接する少なくと
も3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われているか否か及びコネクタに設け
られたバネ性を有する端子部が給電端子を押圧するか否かにおいても相違する。5
本件発明2に対する無効理由7(乙15発明)について
本件訂正発明2と乙15発明とは,構成要件2G´において相違するとともに,
構成要件2E´のうち,コネクタにより,基板片面において,隣接する少なくと
も3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われているか否か及びコネクタに設け
られたバネ性を有する端子部が給電端子を押圧するか否かにおいても相違する。10
本件発明2に対する無効理由8(乙16発明)について
本件訂正発明2と乙16発明とは,構成要件2G´において相違するとともに,
構成要件2E´のうち,コネクタにより,基板片面において,隣接する少なくと
も3つの外周辺が,それぞれその過半が覆われているか否か及びコネクタに設け
られたバネ性を有する端子部が給電端子を押圧するか否かにおいても相違する。15
ウ争点1において主張したのと同様に,被告各製品はいずれも本件各訂正発明の
技術的範囲に属する。
【被告らの主張】
ア構成要件1C´及び2E´は,特許請求の範囲を変更するものであり,本件明
細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正ではなく新規事項の追加に20
当たるから,本件訂正請求は,訂正要件を満たさない。
また,本件訂正により構成要件1C´は全体として不明確な記載となっており,新
たな明確性要件違反が存在する。
イ仮に,本件訂正が認められたとしても,以下のとおり,本件各発明の無効理由
は解消されない。25
本件発明1に対する無効理由1について
争点3-1⑴において主張したのと同様に,本件発明1は明確性要件(特許法36
条6項2号)に違反するところ,このことは本件訂正発明1においても同様である。
本件発明1に対する無効理由2について
争点3-1⑵において主張したのと同様に,本件発明1は明確性要件(特許法36
条6項2号)に違反するところ,このことは本件訂正発明1においても同様である。5
本件発明1に対する無効理由3(乙5発明)について
原告が主張する相違点のうち,構成要件1C´は,照明光源外の構成であり,発明
特定事項としては無視すべきであるから相違点にはならず,構成要件1E´は,相違
点ではあるが,周知技術の付加にすぎないから,容易に想到できるものである。
本件発明2に対する無効理由1について10
争点3-2⑴において主張したのと同様に,本件発明2はサポート要件(特許法3
6条6項1号)及び明確性要件(同項2号)に違反するところ,このことは本件訂正
発明2においても同様である。
本件発明2に対する無効理由2について
争点3-2⑵において主張したのと同様に,本件発明2は明確性要件(特許法3615
条6項2号),実施可能要件(同条4項1号)及びサポート要件(同条6項1号)に違
反するところ,このことは本件訂正発明2においても同様である。
本件発明2に対する無効理由3(乙11発明)について
乙11発明には,構成要件2E´及び2G´に相当する構成が記載されており,
本件訂正発明2の構成を全て有するから,相違点は存在しない。20
本件発明2に対する無効理由4(乙12発明)について
乙12発明には,構成要件2E´及び2G´に相当する構成が記載されているか,
記載されておらず相違点であるとしても,周知技術又は慣用技術を組み合わせる
ことにより容易に想到できるものである。
本件発明2に対する無効理由5(乙13発明)について25
乙13発明には,構成要件2E´及び2G´に相当する構成が記載されているか,
記載されておらず相違点であるとしても,周知技術を組み合わせることにより容
易に想到できるものである。
本件発明2に対する無効理由6(乙5発明)について
乙5発明には,構成要件2E´及び2G´に相当する構成が記載されているか,
記載されておらず相違点であるとしても,周知技術又は慣用技術を組み合わせる5
ことにより容易に想到できるものである。
本件発明2に対する無効理由7(乙15発明)について
乙15発明には,構成要件2E´及び2G´に相当する構成が記載されているか,
記載されておらず相違点であるとしても,周知技術を組み合わせることにより容
易に想到できるものである。10
本件発明2に対する無効理由8(乙16発明)について
乙16発明には,構成要件2E´及び2G´に相当する構成が記載されているか,
記載されておらず相違点であるとしても,周知技術を組み合わせることにより容
易に想到できるものである。
ウ争点1において主張したのと同様に,被告各製品はいずれも本件各訂正発明の15
技術的範囲に属しない。
5争点5(損害の発生の有無及びその額)について
【原告の主張】
⑴被告らによる被告各製品の製造等により,本件特許権の登録日である平成19
年7月27日から本件特許権侵害による損害賠償請求権が発生しているところ,原告20
は,平成26年9月8日にパナソニック株式会社から本件特許権を譲り受けて移転登
録を受けるとともに,それまでに発生していた損害賠償請求権についても譲り受けた。
⑵ア被告照明光源1の単位数量当たりの利益の額は500円を下らず,販売数量
は合計で100万枚を下らないから,被告シチズンの被告照明光源1の製造等による
本件特許権侵害行為によって得た利益額は5億円を下らない。また,弁護士費用相当25
額は5000万円を下らない。
イ被告照明光源2の単位数量当たりの利益の額は500円を下らず,販売数量は
合計で100万枚を下らないから,被告日亜の被告照明光源2の製造等による本件特
許権侵害行為によって得た利益額は5億円を下らない。また,弁護士費用相当額は5
000万円を下らない。
被告照明装置のうち,別紙被告製品目録記載3⑴の照明装置の価格は1万45
904円であり,販売数量は1000台を下らず,原告が本件発明2の実施に対し受
けるべき金銭の額に相当する額は販売価格の10%を下らないから,被告大光の上記
照明装置の製造等による本件特許権侵害行為によって受けた損害の額は,149万円
を下らない。
被告照明装置のうち,別紙被告製品目録記載3⑵の照明装置の価格は1万3210
84円であり,販売数量は1000台を下らず,原告が本件発明2の実施に対し受け
るべき金銭の額に相当する額は販売価格の10%を下らないから,被告大光の上記照
明装置の製造等による本件特許権侵害行為によって受けた損害の額は,132万80
00円を下らない。
被告照明装置のうち,別紙被告製品目録記載3⑶の照明装置の価格は2万円を15
下らず,販売数量は合計1万台を下らず,原告が本件発明2の実施に対し受けるべき
金銭の額に相当する額は2000円を下らないから,被告大光の上記照明装置の製造
等による本件特許権侵害行為によって受けた損害の額は,2000万円を下らない。
よって,原告が被告大光による本件特許権侵害行為によって受けた損害の額は,
2281万8000円を下らない。また,弁護士費用相当額は200万円を下らない。20
【被告らの主張】
否認又は争う。
第4当裁判所の判断
1本件各発明の意義について
⑴本件明細書の発明の詳細な説明の記載25
本件明細書の発明の詳細な説明は,別紙特許公報(甲1)の該当欄記載のとおりで
あるが,概要,次のとおりである。
ア技術分野
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,LED照明装置およびカード型LED照明光源に関する。より詳細には,5
複数のLEDが実装されたカード型LED照明光源を用いるLED照明装置と,この
LED照明装置に好適に用いられるカード型LED照明光源とに関している。」
イ従来技術
「【0002】
【従来の技術】10
照明器具や看板の光源として,従来から白熱電球,蛍光ランプ,高圧放電ランプな
どが使用されている。これらの光源に変わる新しい照明光源として,LED照明光源
の研究が進められている。このLED照明光源は,上記の光源と比べて寿命が長いと
いう優れた利点があり,次世代の照明光源としての期待は大きい。しかし,1個のL
ED素子では,光束が小さいため,白熱電球,蛍光ランプと同程度の光束を得るため15
には,複数のLED素子を配置してLED照明光源を構成する必要がある。」
ウ発明が解決しようとする課題
「【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記構成のLED照明光源では,発光に伴ってLEDベアチップ220
2が多量の熱を発生する。発生した熱は,素子基板31を介して基板21から放散す
ることが意図されている。しかし,このようなLED照明装置の実用化にあたっては,
以下のような解決すべき課題が残っている。」
「【0013】
以上の理由から,多数のLEDベアチップ22を高密度で実装したLED照明装置25
を実用化するには,従来以上に高い放熱性を実現し,ベアチップ温度を低く抑えなけ
ればならない。また,LEDベアチップ22から発する光をできる限り無駄なく照明
光として使用できるように,光の利用効率を高くする必要もある。」
「【0021】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり,これらのすべての課題(高密度
化,放熱性,光利用効率)を同時に解決できるLED照明光源およびLED照明装置5
を提供することを目的とする。」
エ課題を解決するための手段
「【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明によるLED照明装置は,基板の片面にLEDが実装された着脱可能なLE10
D照明光源に接続される少なくとも1つのコネクタと,前記コネクタを介して前記L
ED照明光源と電気的に接続される点灯回路とを備えている。」
オ発明を実施するための実施形態
「【0052】
【発明の実施の形態】15
本発明のLED照明装置は,着脱可能なカード型LED照明光源に電気的に接続さ
れるコネクタと,このコネクタを介してカード型LED照明光源と電気的に接続され
る点灯回路とを備えており,カード型LED照明光源を装着することにより,照明光
を放射することができる。カード型LED照明光源は,後に詳しく説明するように,
複数のLEDが放熱性に優れた基板の片面に実装された構成を有している。20
【0053】
従来のLED照明光源について説明したように,多数のLED素子を基板上に高密
度で実装し,かつ,各LED素子に大きな電流を流した場合,LEDの発熱量が過大
なレベルに達し,LEDの寿命が短縮されるという問題があり,このことがLED照
明装置の実用化を阻んでいた。25
【0054】
本発明では,照明装置の光源部分を着脱可能なカード状構造物によって構成し,各
LEDで発生した熱をスムーズに放熱させる効果を高めるとともに,寿命の尽きた光
源だけを新しい光源と取替え可能とすることにより,LED照明装置の光源以外の構
造体を長期間使用できるようにしている。」
「【0077】5
上述のカード型LED照明光源10は,正方形のカード型形状を有しているが,本
発明は,これに限定されない。給電用の電極(給電電極)は,カード型LED照明光
源10の基板上において,LEDが配列されている領域の周辺部に形成されることが
好ましい。より望ましい態様では,基板周辺の一端(一辺)の近傍に複数の給電電極
が配列される。…」10
「【0142】
本実施形態では,図12に示すように,給電電極54が多層配線基板51の上面に
おける4つの辺のうちの1つの辺の側に集中的に配列されているため,カード型LE
D照明光源は,図中の矢印Aの方向に押されて,コネクタに差し込まれることになる。
【0143】15
図12からわかるように,給電電極54が設けられる領域の広さだけ,多層配線基
板51のサイズは光学反射板52のサイズよりも大きくなる。このため,本実施形態
では,LEDベアチップ53がマトリックス状に実装されている領域(光出射領域ま
たはLEDクラスタ領域)の中心位置(光学中心)と基板の中心位置とが一致せず,
カード型LED照明光源の曲げの応力中心が,もろい光学系の中心と一致せず,強度20
が向上している。また,給電電極54を基板の一端に集中させることにより,多層配
線基板51の上面における他の3つの辺に対応する端部は,必ずしもコネクタの内部
に完全に嵌め込まれる必要がなくなり,形状などの設計自由度が向上する。」(図12
は別紙「本件明細書の図面」記載1のとおりである。)
「【0167】25
熱伝導材部材とカード型LED照明光源との熱的接触を高めるに
ママ
ためには,熱伝導
材部材をカード型LED照明光源に対して押圧する機構を採用することが好ましい。
このような押圧はバネ性を有した給電端子で行うことが可能である。しかし,これだ
けで充分な押圧力を得るためには給電端子のバネ性を充分に強くする必要が生じる。
給電端子との電気的コンタクトのために必要な機械的押圧力が端子当たり50~1
00g程度の場合,これよりも強い押圧力を付与する押圧手段を追加的に設けること5
が好ましい。このような押圧手段として,カード型LED照明光源における給電端子
以外の部分に対して200g以上の加圧を行うバネ性部材を配置することができる。
このような押圧手段を複数個設けても良い。
【0168】
上記の押圧手段を設ければ,給電端子への機械的押圧をあまり大きくする必要がな10
くなるので,カード型LED照明光源の着脱を人間の指によって行うことが容易にな
る。ユーザは,カード型LED照明光源をLED照明装置のコネクタに装着した後,
上記押圧手段によってカード型LED照明光源の基板裏面を熱伝導部材に強固に押
し付けることができる。このような押し付けにより,カード型LED照明光源はLE
D照明装置に一種のロックされた状態になり,不用意にカード型LED照明光源が装15
置から抜け落ちることが防止される。」
カ発明の効果
「【0234】
【発明の効果】
本発明のLED照明装置によれば,光源部分を着脱可能なカード状構造物によって20
構成することにより,光源における各LED素子で発生した熱をスムーズに放熱させ
る効果を高めるとともに,寿命の尽きた光源だけを新しい光源と取替え可能とするこ
とによって照明装置の光源以外の構造体を長期間使用できるようになる。
【0235】
また,本発明のカード型LED照明光源によれば,LED素子の高密度化,良好な25
放熱性,および,発生した光の利用効率の向上を同時に実現することができ,カード
型LED照明光源の実用化が可能となる。」
⑵本件特許の出願経過
証拠(丙5ないし7)及び弁論の全趣旨によれば,本件特許の出願経過として,以
下の事実が認められる。すなわち,特許庁審査官は,平成19年3月20日を起案日
とする拒絶理由通知書(丙5)において,当時の特許請求の範囲請求項1ないし175
に係る各発明について,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない
旨を通知した。これに対し,出願人は,平成19年5月21日提出の手続補正書(丙
7)において明細書を補正し,請求項1に「前記コネクタは,前記基板裏面を前記熱
伝導部材に押し付けることによって前記LED照明光源を前記LED照明装置に着
脱可能に固定する,」との構成を付加して変更した。そして,出願人は,上記補正をす10
るに当たり,特許庁審査官に対して意見書(丙6)を提出したところ,同意見書には,
「「LED照明装置がコネクタの押圧によってLED照明装置に固定される」という
発明特定事項は,本願明細書(…)の段落【0168】に記載されています。段落【0
168】では,特別の押圧手段を設けた場合に給電端子への機械的押圧をあまり大き
くする必要がない旨,記載されています。このことは,特別の押圧手段の有無にかか15
わらず,図14(b)に示されるようなコネクタ電極56が給電端子を押すことにより,
LED照明光源がLED照明装置に対して(着脱可能に)固定されることを意味して
います。」(図14(b)は別紙「本件明細書の図面」記載2のとおりである。),「上記の
構成を有する発明によれば,明細書の段落【0168】などに記載されている通り,
LED照明光源をコネクタに装着することにより,LED照明光源の基板裏面が熱伝20
導部材に押し付けられ,LED照明装置に固定されるため,人の指によるLED照明
光源の着脱操作が容易に行えます。このため,LED照明光源の取替えが一般の照明
器具使用者によっても容易に行えるため,現在普及している電球や蛍光管をLED照
明光源で代替してゆくことが可能になります。」との記載がある。その結果,特許庁審
査官は上記補正がされた後の出願に対して特許査定をした。25
⑶本件各発明の意義
以上の本件明細書の発明の詳細な説明の記載,本件特許の特許請求の範囲請求項1
及び7の記載並びに本件特許の出願経過によれば,本件各発明は,LED照明装置及
びカード型LED照明光源に関するものであり,LED素子の高密度化,放熱性,及
び光利用効率の向上を同時に解決できるLED照明光源及びLED照明装置を提供
することを目的とするものであって,本件発明2において,照明光源を着脱可能なカ5
ード状構造物によって構成することにより,照明光源における各LED素子で発生し
た熱をスムーズに放熱させる効果を高めるとともに,寿命の尽きた照明光源だけを新
しい照明光源と取り替え得るようにすることによって照明装置の照明光源以外の構
造体を長期間使用できるようにするとともに,本件発明1において,LED素子の高
密度化,良好な放熱性及び発生した光の利用効率の向上を同時に実現するものである,10
と認められる。
2争点1(被告各製品は,本件各発明の技術的範囲に属するか)について
⑴争点1-1(被告各照明光源は「一端側」(構成要件1B)を充足するか)につ
いて
ア構成要件1Bは,「前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片面15
の一端側に,…給電端子が設けられており,」と規定している。
「一端」とは,一般に「一方のはし。かたはし。」を意味する用語であるとされてい
るから,「基板片面の一端側に,…給電端子が設けられて」いる構成とは,給電端子は
基板片面の一方のはしに設けられており,他方のはしには設けられていないこと,す
なわち,給電端子は基板片面の一方のはしのみに設けられている構成を意味すると解20
するのが自然かつ合理的な解釈である。そして,本件明細書の段落【0077】,【0
142】及び【0143】の記載において,「一端」という表現は,給電端子が基板片
面の4辺のうちの1辺のみに設けられていることを意味するものとして使用されて
おり,本件明細書において上記の態様以外の給電端子を設ける態様の記載も見当たら
ないことを考慮すると,「基板片面の一端側に,…給電端子が設けられて」いる構成と25
は,基板片面の複数の辺のうち1つの辺のみに給電端子を設ける構成を意味するもの
と解される。
これに対し,原告は,「基板片面の一端側に」とは,基板の中心部ではなく,周辺
部に給電端子を形成することを規定しているものであるから,一端側に給電端子
が設けられていれば足り,それ以上に一端側「のみ」に集中的に給電端子が設け
られている必要はない旨を主張する。しかしながら,「一端側」が周辺部を意味す5
るものであるとすれば,日本語の通常の用法とは離れた意味となるし,段落【0
077】において,「周辺部」と「一端(一辺)」とを異なった態様として使用してい
ることとも整合しないから,上記主張を採用することはできない。
イそして,証拠(甲3,4,6及び7)及び弁論の全趣旨によれば,被告各照明
光源の給電端子は,略正方形状の基板片面の一対の対角付近に設けられていることが10
認められる。そうすると,「前記基板のうち前記LEDが実装されている前記基板片
面の一端側に,…給電端子が設けられて」いる構成を有しているとはいえず,他にこ
れを認めるに足りる証拠はない。したがって,その余の点を判断するまでもなく,被
告各照明光源は,構成要件1Bを充足しないから,本件発明1の技術的範囲に属する
とは認められない。15
⑵争点1-4(被告照明装置は「コネクタ」(構成要件2C及び2E)を充足する
か)について
ア構成要件2Cは,「コネクタ」について,「前記基板裏面と前記熱伝導部材とを
押圧しながら前記給電端子に接続される」と規定し,構成要件2Eは,「前記コネクタ
は,前記基板裏面を前記熱伝導部材に押し付けることによって前記LED照明光源を20
前記LED照明装置に着脱可能に固定する」と規定している。そして,前記1⑵にお
いて認定したとおり,上記構成要件2Eは出願過程において拒絶理由を回避するため
に補正されたものであり,その際に提出された意見書において,この構成要件は,コ
ネクタ電極が給電端子を押すことにより,LED照明光源がLED照明装置に対して
固定されることを意味する旨記載されている。そうすると,本件発明2における「コ25
ネクタ」とは,その電極が基板裏面と熱伝導部材とを押圧しながら給電端子に接続さ
れるとともに,その押圧力により基板裏面が熱伝導部材に押し付けられ,それによっ
てLED照明光源をLED照明装置に着脱可能に固定する構成を有するものである
と解される。
イこれを被告照明装置についてみるに,証拠(甲6,8,11,乙1,2,丙1,
2)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,甲6及び11にお5
いて「コネクタ」と示されているものは,甲8によればホルダーに該当すると解され
る。)。すなわち,被告照明装置のうち,別紙被告製品目録記載3⑴の製品(型番「LZS-
92134YW」)は,被告照明光源1を搭載しており,同目録記載3⑵の製品(型番「LZD-
91835AW」)は,被告照明光源2を搭載しているものであるが,いずれも,被告各照明
光源の裏面をヒートシンクに接するように置き,それをホルダーで覆った上で,ホル10
ダーをヒートシンクにねじ止めすることにより,被告各照明光源が被告照明装置に固
定される。そして,ホルダーには,被告各照明光源が収納される形状の凹部が設けら
れ,その範囲内に被告各照明光源の形状よりも狭い面積の円形状の開口部が設けられ
ているところ,被告各照明光源をホルダーで覆うことにより,被告各照明光源の周辺
部がホルダーに接し,被告各照明光源が固定される。他方,ホルダーの電極部は,バ15
ネのように付勢されており,これが被告各照明光源の給電端子に接触してはいるが,
被告各照明光源をホルダーで覆ってねじ止めすれば,電極部の接触の有無にかかわら
ず,被告各照明光源は固定される。
そして,ホルダーの電極部の押圧力が被告各照明光源を固定する役割を担っている
ことを認めるに足りる証拠はない。20
このように,被告照明装置は,被告各照明光源の周辺部に接するように置かれたホ
ルダーがヒートシンクにねじ止めされることにより,被告各照明光源を固定している
のであり,ホルダーの電極部の押圧力が被告各照明光源を固定する役割を担っている
とは認められない。したがって,被告照明装置におけるコネクタは,そのホルダーの
電極部の押圧力により被告各照明光源の裏面がヒートシンクに押し付けられ,これに25
よって被告各照明光源を被告照明装置に着脱可能に固定しているということはでき
ないから,「コネクタ」に関する上記構成を有すると認めることはできず,その余の被
告照明装置についても,上記構成を有することを認めるに足りる証拠はない。
ウこれに対し,原告は,被告照明装置のホルダーの電極部は,バネのように付勢
されているから,ホルダーが基板裏面と熱伝導部材を押圧し,基板裏面を熱伝導部材
に押し付けて固定しているといえ,構成要件2C及び2Eを充足する旨を主張する。5
しかしながら,前記イのとおり,被告照明装置では,ホルダーの電極部の被告各照
明光源への接触の有無にかかわらず,被告各照明光源が固定されているのであり,ホ
ルダーのバネのように付勢されている電極部の押圧力が被告各照明光源を固定する
役割を担っているとは認められないのであって,原告の上記主張は採用することがで
きない。10
エしたがって,その余の点を判断するまでもなく,被告照明装置は,構成要件2
C及び2Eを充足しないから,本件発明2の技術的範囲に属するとは認められない。
⑶小括
以上のとおり,被告各製品は,本件各発明の技術的範囲に属するものとは認められ
ない。15
3結論
以上によれば,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなくいずれも理
由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部20
裁判長裁判官
山田真紀
裁判官
伊藤清隆
裁判官
棚橋知子
(別紙)
当事者目録
原告億光電子工業股份有限公司5
同訴訟代理人弁護士伊藤真
同平井佑希
被告シチズン電子株式会社
(以下「被告シチズン」という。)10
被告日亜化学工業株式会社
(以下「被告日亜」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士牧野知彦
同加治梓子15
同補佐人弁理士日向寺雅彦
同小崎純一
同市川浩
被告大光電機株式会社20
(以下「被告大光」という。)
同訴訟代理人弁護士加藤幸江
同中務尚子
同訴訟代理人弁理士清水義仁
(別紙)
被告製品目録
1被告照明光源1
「CLL022」,「CLL032」若しくは「CLL042」という型番又は「CLU」から始まる型5
番のLED照明光源。
2被告照明光源2
「NSBL」,「NSBW」,「NFCL」,「NFCW」,「NTCL」,「NTCW」,「NFDL」,「NFDW」,「NJCL」,
「NJCW」,「NVCL」,「NVCW」,「NVEL」,「NVEW」,「NVNW」,「NFEW」,のいずれかから始10
まる型番のLED照明光源。
3被告照明装置
⑴「LZS-92134YW」という型番のLED照明装置
⑵「LZD-91835AW」という型番のLED照明装置15
⑶「LZ」から始まる型番のLED照明装置であって,COBタイプ(チップオン
ボードタイプ。LEDチップを基板上に直接実装したもの)の光源を用いる照明
装置。ただし,上記⑴及び⑵の照明装置を除く。
(別紙)
被告製品説明書
1被告照明光源1
⑴被告照明光源1は,略正方形状の薄板の基板の片面(以下,この面を「表面」5
という。)に円形状のLEDを実装したLED照明光源である。この被告照明光
源1を,LED照明装置に搭載し,電気的に接続することで,被告照明光源1が
発光し,照明装置として使用することができる。
⑵被告照明光源1は,LEDが実装されている基板表面の略正方形状の一端側に
LED照明装置と電気的に接続するための給電端子が設けられている。略正方形10
状の他端側,対角線方向の箇所にも同様の給電端子が設けられている。
⑶被告照明光源1を,LED照明装置のコネクタに取り付けて,LED照明装置
の熱伝導部材(ヒートシンク)にねじ止めすることで,被告照明光源1がLED
照明装置に着脱可能に固定される。このとき,被告照明光源1は,その裏面がL
ED照明装置の熱伝導部材と接触する。LED照明装置のコネクタの電極部はバ15
ネのように付勢されており,被告照明光源1は,基板表面から基板裏面への方向
に押圧されて,コネクタと給電端子が電気的に接続される。
2被告照明光源2
⑴被告照明光源2は,略正方形状の薄板の基板の片面(以下,この面を「表面」20
という。)に円形状のLEDを実装したLED照明光源である。この被告照明光
源2を,LED照明装置に搭載し,電気的に接続することで,被告照明光源2が
発光し,照明装置として使用することができる。
⑵被告照明光源2は,LEDが実装されている基板表面の略正方形状の一端側に
LED照明装置と電気的に接続するための給電端子が設けられている。略正方形25
状の他端側,対角線方向の箇所にも同様の給電端子が設けられている。
⑶被告照明光源2を,LED照明装置のコネクタに取り付けて,LED照明装置
の熱伝導部材(ヒートシンク)にねじ止めすることで,被告照明光源2がLED
照明装置に着脱可能に固定される。このとき,被告照明光源2は,その裏面がL
ED照明装置の熱伝導部材と接触する。LED照明装置のコネクタの電極部はバ
ネのように付勢されており,被告照明光源2は,基板表面から基板裏面への方向5
に押圧されて,コネクタと給電端子が電気的に接続される。
3被告照明装置
⑴被告照明装置は,光源として薄板状のLED照明光源を用いるLED照明装置
である。10
⑵被告照明装置に用いるLED照明光源は,略正方形状の薄板の基板の片面(以
下,この面を「表面」という。)に円形状のLEDを実装したLED照明光源であ
る。このLED照明光源を,被告照明装置に搭載し,電気的に接続することで,
LED照明光源が発光し,照明装置として使用することができる。
⑶LED照明光源は,LEDが実装されている基板表面の略正方形状の一端側に15
被告照明装置と電気的に接続するための給電端子が設けられている。略正方形状
の他端側,対角線方向の箇所にも同様の給電端子が設けられている。
⑷LED照明光源を,被告照明装置のコネクタに取り付けて,被告照明装置の
熱伝導部材(ヒートシンク)にねじ止めすることで,LED照明光源が被告照
明装置に着脱可能に固定される。このとき,LED照明光源は,その裏面が被20
告照明装置の熱伝導部材と接触する。被告照明装置のコネクタの電極部はバネ
のように付勢されており,LED照明光源は,基板表面から基板裏面への方向
に押圧されて,コネクタと給電端子が電気的に接続される。
(別紙)
※特許公報(甲1)添付略
(別紙)
本件明細書の図面
1図12
2図14(b)

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