弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由は末尾添附別紙記載の通りでありこれに対する当裁判所の判断は次の如
くである。
 第一点について。按するに、第一審における証人Dの証言と、原審における同人
の証言との間に相違の点のあることは、所論の通りである。しかし、かように相違
の点がある場合は、其何れの証言も措信することは許されないという法則はないか
ら、原審において、Dの第一審及第二審における証言中の各一部を証拠として採用
したとしても、何等違法はない。なお乙第一号証の一乃至三の告訴状作成に関し、
被上告人本人が第一審口頭弁論期日においてなした供述が、原審証人Eの証言と相
違しているとしても、右Eの証言は原審において採用しないものであるから、これ
を基礎として原判決を攻撃するのは上告の理由とならない。
 次に論旨後段において、原判決は、乙第三号証乃至第五号証及び乙第七号証の記
載は措信しないのであるが、右乙第三、五、七号証は被上告人自らが、そして乙第
四号証はDが、検事や裁判官に対し本件不動産の一部は上告人の所有物であると述
べた旨の記載のある証拠であるから、その内容を信用しないということは偏見に基
く速断であると主張するが、検事や裁判官に対し眞実でないととを述べることは絶
対に無いと断定しなければならない理由はないから、原審において右乙各号証の記
載内容を措信しないからとて偏見に基く速断であるとはいゝ得ない、なお論旨は、
原判決が乙第一号証の一、二、三(告訴状)及び乙第六号証、乙第八号証(刑事記
録)の記載内容を措信しないことを非難するが、証拠の取捨判断は事実審たる原審
の自由裁量にまかせられているのであり、且つ原審においては証拠の採否について
法則に違背したと認むべき点はないから、論旨は理由がない。
 第二点について。
 しかし原判決の認定した事実は、被上告人が昭和五年四月一日から五十日間御油
警察署に拘束されている間に、Dと上告人と相謀つて、被上告人には何の相談もせ
ずに、本件不動産の所有権移轉登記手続をしたものであるというのであつて、主要
な点は、所有権移轉行為についてDに正当な代理権が有つたか無かつたかにあるの
で、当時被上告人が御油警察署に拘束中であつたか、或は千種刑務所において労務
に服していたかは、直接代理権の有無とは関係はない道理である。唯上告人はFと
Dとが同道して、当時千種刑務所に服役中の被上告人に面会して本件不動産の所有
権を上告人に移轉することの承諾を得たものであると主張するので、当時被上告人
は、千種刑務所にいたか、或は御油警察署にいたかが問題となるにすぎない、しか
しDは千種刑務所に行つて被上告人に面会したことはないと証言し、また被上告人
本人の供述によつてもDとFとが千種刑務所に被上告人をたづねて来たこともなく、
また本件不動産の所有権を上告人に移轉することの承諾を与えたことはない旨を供
述していることは、記録上明白であるから原判決において、所論乙各号証を採用し
ないで右Dの証言及び被上告人本人の供述と併せて甲第九号証を採用して事実を認
定したとしても、採証上何等違法はない。
 第三点について。
 按ずるに、憲兵隊といえども、私人間の物の所有関係について取調べをすること
はないとは限らないし、長年月を経たからとて必ずしも記憶がないとは判定できな
いから、所論Gの証言は、いゝ加減な疑わしいものであると断定すべき理由はない。
論旨は、上告人獨自の推測に基いて、原審において採用した証拠を非難するにすぎ
ない。従つて原判決が甲第一一号証並に原審証人Gの証言を採用したことは、何等
違法はない。
 第四点について。
 論旨前段は、原審証人H、同Iの各証言を吟味すれば、Dは無権代理をしたもの
ではなく、完全な代理権に基いて本件物件の所有権移轉行為をしたものであること
が明らかなるのに、原判決は右各証言を採用しないでDの行為は無権代理行為であ
ると認定した誤りがあるというのであるが、証拠の取捨判断は原審の自由裁量の範
囲に属するところであるから、右各証言を採用しないからとて違法はない。
 次に論旨は、仮りに原判決認定の如く、Dの行為は、無権代理行為であるとして
も、前後一切の事情経過により、追認があつたものと認めるのが妥当であるのに、
原判決において上告人は追認のあつたことの立証も、追認のあつたことの主張もし
なかつたと判示したことは、証拠の価値判断を誤り、誤つた採証によりて事実を誤
認した違法あるものであるというのであるが、記録に徴するに上告人は、終始Dは
本件不動産の所有権移轉行為をなす完全な代理権を有する者であると主張している
ことは明白であり、Dの無権代理行為について追認があつた旨を主張した形跡もな
く、また追認があつた事実の立証をした形跡もないから、原判決が追認の主張も立
証もなかつたと判示したことは正当である。論旨は理由がない。
 よつて民事訴訟法第四〇一条同第九五条同第八九条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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