弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主    文
1 甲事件原告の請求をいずれも棄却する。
2 甲事件原告は,乙事件原告に対し,49万7656円及び内49万6036円に対
する平成13年6月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払
え。
3 乙事件原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,甲事件に関して生じたものについては全部甲事件原告の負担
とし,乙事件に関して生じたものについては,これを3分し,その1を甲事件原
告の負担とし,その余を乙事件原告の負担とする。
5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。
        事 実 及 び 理 由
第1 請求の趣旨
(甲事件)
1 被告らは,甲事件原告に対し,それぞれ194万4186円及びこれに対する平成1
3年7月25日から支払済みまで年21.9パーセント(年365日として計算する。)の
割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
3 第1項につき,仮執行宣言。
(乙事件)
1 甲事件原告は,乙事件原告に対し,142万7941円及びこれに対する平成13年
6月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は甲事件原告の負担とする。
3仮執行宣言。
第2 事案の概要等
1 事案の概要
本件のうち,甲事件は,貸金業を営む甲事件原告が,主債務者の連帯保証人で
ある被告らに対し,天引利息についても貸金業法43条のみなし弁済の規定を適用
した計算による貸金残元金及び遅延損害金の支払を求めた事案であり,乙事件
は,同貸金の主債務者である乙事件原告が,甲事件原告に対し,天引利息につい
ては貸金業の規制等に関する法律(以下,「貸金業法」という。)43条のみなし弁
済の規定の適用はないとしたうえで,平成6年当時からの貸金は一連のものであ
るとして過払金を元本充当した結果,なお過払金があるとして,その返還を求めた
事案である。
2 争いのない事実
(1) 甲事件原告は,昭和59年5月30日,登録番号福岡財務支局長(1) 第000
27号(平成11年5月30日変更後は(6)第00027号)の登録を受け,貸金業を
営んでいるものである。
(2) 甲事件原告は,平成13年3月15日,乙事件原告との間で,元本極度額360
万円の範囲内で証書貸付・手形貸付の方法で貸付をすること,遅延損害金は年
29.0パーセントとすること,利息・損害金の計算にあたっては1年を365日とす
ること,元利金の支払を1回でも怠ったときは期限の利益を喪失することなどを
内容とする貸付取引契約を締結し,被告らは,同日,甲事件原告に対し,乙事
件原告の債務を連帯保証する旨約した。
(3) ところで,甲事件原告と乙事件原告との間には,平成6年3月7日から平成13
年5月31日にかけて,別表1「借入金明細表」に記載のとおり,計47回の金銭
消費貸借契約が締結され,これらの貸借に際しては,乙事件原告は,甲事件原
告に対し,同表の借入額欄に記載の天引前の名目上の貸付金額を手形金額と
し,弁済日を支払期日とする1通ないし数通の約束手形を交付し,これと引換え
に,甲事件原告は,乙事件原告に対し,利息金を天引した同表の受取額欄に記
載の金額を交付してその金額を貸し付け,乙事件原告が手形を決済する方法で
その支払を行っていた。
以上のとおりに行われた甲事件原告と乙事件原告との間の各貸借にかかる
借入日,名目上の借入額,天引後の現実の受取額,返済日(支払のために交付
した約束手形の支払期日)及び返済額(上記約束手形の手形金額)は,別表1
「借入金明細表」に記載のとおりである。
(4) 乙事件原告は,別表1「借入金明細表」の借入番号45までの借入のために交
付した約束手形は全て決済日に決済している。
3 争点及び当事者の主張
(1) 天引利息に対するみなし弁済規定(貸金業法43条1項)の適用(争点1)
(甲事件原告の主張)
貸金業法43条は,借主の弁済額が利息制限法1条1項に定める制限利息を
超える場合について,法定の要件を充足するときは,超過部分の支払は利息と
みなす旨規定し,利息制限法2条にいう利息を天引した場合についてこの規定
から除外する趣旨ではない。
したがって,本件契約の天引部分について,貸金業法43条に定めるみなし弁
済の適用がある。
(乙事件原告の主張)
天引利息については,天引の時点で利息としての具体的請求権は発生してお
らず,利息として支払ったものと同視することはできないから,貸金業法43条に
定めるみなし弁済の適用がない。
(2) 弁済の任意性(争点2)
(甲事件原告の主張)
本件契約は,いずれも乙事件原告との合意に基づいて行われたものであり,
天引を強制して無理矢理貸し付けたわけではない。なお,利息を天引して貸し付
けるというやり方は,商工ローン業者に限ったことではなく,銀行等の金融機関
においても通常採られている貸付慣行であり,貸金業法の適用を受ける商工ロ
ーン業者だけが,利息天引の場合には利息支払の任意性がないとして,利息制
限法の利率に引き直した貸付を強制されるとすれば,「最初から利息制限法に
基づく貸付業務をやりなさい。」ということと同じことである。
(乙事件原告の主張)
貸金業法43条にいう「利息として任意に支払った」とは,債務者が,約定利率
による利息を下回る利息を支払うことが可能な状態にあったにもかかわらず,利
息制限法に定める上限利率を超えた利率の利息を支払った場合をいうと解され
る。しかし,貸付に当たり利息を天引する場合は,債権者は天引する利息額を控
除した金額を債務者に交付するのであるから,債務者には約定利率より下回る
利率による利息を支払うことが可能な状態にあったとはいえない。したがって,
利息が天引される場合には,その利息の支払は「任意に支払った」とはいえな
い。
(3) 本件の47回にわたる貸付は一連の1個の貸付か個々の貸付か(争点3)
(甲事件原告の主張)
本件貸付は,一連の貸付ではなく,個々の貸付である。
(乙事件原告の主張)
乙事件原告と甲事件原告は,平成4年10月6日に,貸付極度額を240万
円,期間を平成4年10月6日から平成7年10月5日までと定める継続的金融取
引に関する基本取引契約を締結し,その後,両者間に期間と貸付極度額を下記
のとおりとする基本取引契約を順次締結した(なお,当初の契約当事者の名称
である「株式会社大証」とその後の「株式会社アプレック」とは,単に前者が後者
に社名変更されただけで,同一法人である。)。

①平成7年10月5日から平成10年10月5日まで極度額240万円
②平成11年3月3日から平成12年3月2日まで極度額360万円
③ 平成12年3月3日から平成13年3月2日まで極度額480万円
④ 平成13年3月15日から平成16年3月14日まで極度額360万円
本件の各金銭消費貸借契約は,上記継続的金融取引契約に基づいて行わ
れた一連の貸借である。
第3 当裁判所の判断
1争点1及び2について
(1)貸金業法43条1項は,金銭消費貸借上の利息の契約に基づき,債務者が貸
金業者に対して利息制限法の制限利率を超える利息を任意に支払った場合に
は,一定の法的要件を充足する場合に限って,その超過部分の支払を有効な利
息の債務の弁済とみなす旨を規定しているところ,同規定が適用されるための
法的要件の個々の解釈については,これを厳格に狭く解する立場から緩やかに
広く解する立場まで,見解が別れている現状にある。
    そして,天引された利息に対しても貸金業法43条1項を適用し得るかに関して
も,見解が大きく別れている。
(2) 貸金業法43条1項は,債務者の弁済額が利息制限法1条1項に定める利息
の制限額を超える場合において,法定の要件を充足するときは,超過部分の支
払を利息とみなす旨規定するが,利息制限法2条にいう利息を天引した場合に
ついては,明文で触れていない。そこで,貸金業法43条1項は,利息制限法1
条1項の特則であるにとどまり,同法2条(利息の天引)に対する特則ではないと
して,天引された利息に対して貸金業法43条1項のみなし弁済の規定が適用さ
れる余地はなく,天引に際して,法定の契約書面,受取証書を交付するなど貸
金業法43条1項の適用要件を充足しても,利息制限法2条の規定が適用され
て,同条により計算される超過部分は常に元本の支払に充てたものとみなされ
るとする見解も存在する。
しかしながら,利息制限法2条が利息が天引された場合における同法1条1項
の適用方法(計算方式)を規定したものであることは,その条文の文言自体から
明らかであるから,貸金業法43条1項が利息制限法1条1項にのみ言及して同
法2条には言及していないことをもって,直ちに,利息制限法2条が適用される
場合にあっては貸金業法43条1項が適用される余地はないと解釈することは相
当でなく,天引利息に対する貸金業法43条1項の適用の可否については,貸金
業法43条1項が,利息制限法1条1項の規定にかかわらず,利息として有効に
受領することを認めた趣旨との関連で検討されるべきものと思料する。
(3)そこで検討するに,貸金業法は,貸金業に登録制度を導入するとともに,貸金
業者に対して必要な規制を課することによって,業務の適正な運営を確保し,も
って資金需要者等の利益の保護を図るとともに,国民経済の適切な運営に資す
ることを目的として施行されたものである(貸金業法1条)ところ,同法43条1項
の規定の趣旨は,契約内容を記載した書面及び法定事項を記載した受取書面
の交付を罰則付で貸金業者に義務づける一方で,利息制限法の制限利率を超
える利息であっても,債務者がこれを任意に支払った場合には,これを正当に受
領できる権限を貸金業者に与えることによって,後日になって,交付された書面
を証拠資料として,一旦は任意に支払った利息のうちの利息制限法の制限利率
を超過する部分を元本に充当するよう主張したり,過払金として返還請求すると
いう債務者の恣意的行為に対する対抗手段を与えることとし,このように,貸金
業者にも一定の保護を与えることによって,厳しい業務規制による一方的な不
利益を回避する目的から登録を受けずに貸金業を営む者が続出する事態を避
けることにあると解される。
したがって,貸金業法43条1項の規定が適用されるための法的要件の解釈
に当たっては,貸金業法の本来の立法目的である資金需要者等の利益の保護
が害されることのないように充分な配慮をしつつ,同法43条1項の規定の趣旨
が没却されないような解釈をすることが要求される。
(4)以上に述べたところを前提として,天引利息に対する貸金業法43条1項の適
用の可否について検討する場合,利息の天引の場合にあっては,債務者の直
接的な支払行為を介さずに貸金業者が利息に相当する金額を取得するもので
あるため,貸金業者の取得する利息相当額の部分に関し,貸金業法43条1項
に規定する「債務者が利息として任意に支払った金銭」に該当するといえるか否
かが問題となる。
ア 一般に,「任意に」支払うとは,他人などの強制によらず,債務者が自己の
自由な意思に基づいて支払うことをいうと解される。そして,利息制限法の制
限利率を超過する利息の支払は,法的には,本来,支払う義務のないもので
あり,そのような債務の支払について貸金業法43条1項で有効な弁済とみな
されるのは,法律上は存在しない債務であるにしても,債務者が敢えてこれを
支払ったからであり,このような「敢えて支払う」という債務者の意思が,他人
の詐欺や心理的な強制によるものであるときや,債務者自身の錯誤に基づく
ときは,もはや債務者の自由な意思に基づくものということはできない。ただ
し,利息の支払が任意性があるというためには,債務者が,利息の契約に基
づく利息の支払に充当されることを認識した上で,自己の自由な意思によって
これを支払ったことをもって足り,更に,債務者において,その支払った金銭
の額が利息制限法の制限利率を超過すること,あるいは当該超過部分の契
約が無効であることまでの認識は要しないと解すべきである。蓋し,利息制限
法の制限利率を超過する利息の契約部分が無効であるという法律理論まで
知っている債務者は極めて稀であり,また,立証の面からみても,貸金業者と
しては,債務者が同業者であるとか,以前にサラ金調停を申し立てたことがあ
るなどといった極めて例外的な事由を主張,立証する以外には,債務者が利
息制限法の制限利率を超過する利息の契約部分が無効であることを知って
いたことを証明する手だてがないのが通常だからである。
イ次に,貸金業法43条1項は,「債務者が……支払った金銭」と規定している
ところから,「支払った」との点を,文字どおりにいえば金銭を現実に交付して
支払った場合をいうと解せられるが,この点は,必ずしも現実の金銭の交付に
限定して解する必要はなく,金銭を現実に交付して支払ったと同視し得るよう
な場合には,「支払った」場合に当たるものと解する余地があると思料する。
ウ更に,貸金業法43条1項が適用されるためには,債務者が「利息として」支
払ったことが必要であるところ,「利息として」して支払うとは,債務者が,その
支払の際に,利息と指定するか,少なくとも,貸金業者において,その支払が
利息の支払であることを明示したのに対し,債務者が何らの異議を述べなか
ったなど,債務者において,利息として支払うものであることを明確に認識しう
ることが必要であると解すべきである。
エ 以上によれば,貸金業者が,貸付に際して行う利息の天引については,債
務者が金銭を現実に交付して支払ってはいない点を捉えて,直ちに貸金業法
43条1項の適用がないとすることは必ずしも相当でないが,債務者は,借入
金を受領するに際して,貸金業者から交付される受取書面を精査することに
よって貸付に際して天引される金額が利息の支払として天引されるものであ
ること,また,その利率がどの程度であるかについては明確に認識し得るとし
ても,その天引が借入金の受領に際してなされるところから,利息制限法の制
限利率を超過する利息の天引(支払)に対して不満を抱いたとしても,これを
拒否する場合には当該貸付が受けられなくなるという弱い立場から,不本意
ながらも天引(支払)に応じているのが通常の場合であると考えられるから,
利息の天引の場合における支払の任意性の判断は,最終的には,天引がな
された状況等を総合的に検討して判断されるべきものではあるが,天引に際
しての債務者の了解もしくは納得の態度は,債務者が,既に借入金を手中に
納めた後に自らの意思で利息を支払う場合とは格段の質的な差異があるとい
うことができるから,利息の天引であるにもかかわらず,債務者の自発的意思
に基づいて任意に支払ったと同視できるような特段の事情の認められない限
り,利息の天引による支払の任意性は否定される場合が多いものと解され
る。
(5) これを本件についてみるに,前記争いのない事実と証拠(甲2の1及び2,6の
1ないし3,10の1ないし19,乙2の1ないし47の各1,3,4)及び弁論の全趣
旨によれば,甲事件原告と乙事件原告は,平成4年10月6日に,貸付極度額を
240万円,期間を平成4年10月6日から平成7年10月5日までと定める継続的
金融取引に関する基本取引契約を締結し,その後も貸付極度額を増減させなが
らも基本取引契約を順次更新する一方,これらの基本取引契約に基づき,平成
6年3月7日から平成13年5月31日にかけて,別表1「借入金明細表」に記載の
とおり,計47回の金銭消費貸借契約が締結されたこと,これらの貸借に際して
は,乙事件原告は,甲事件原告に対し,同表の借入額欄に記載の天引前の名
目上の貸付金額を手形金額とし,弁済日を支払期日とする1通ないし数通の約
束手形を交付し,これと引換えに,甲事件原告は,乙事件原告に対し,利息金を
天引した同表の受取額欄に記載の金額を交付してその金額を貸し付け,乙事件
原告が手形を決済する方法でその支払を行っていたものであるところ,乙事件
原告は,これらの貸付に際しては,甲事件原告から貸付計算書を交付されて,
各貸付における約定利率,天引される利息額,及び,天引された金額の全額が
利息に充当されるものであることを知らされていたこと,これに対し,乙事件原告
は,本件訴訟を提起されるまでは一度も異議を述べることなく,別表1「借入金明
細表」の借入番号45までの借入のために交付した約束手形は全て決済日に決
済してきたものであること,乙事件原告は,甲事件原告に対し,上記天引による
方法以外の方法で利息を支払ったことは一度もなかったこと,乙事件原告は,こ
れらの各借入を受ける時点では,甲事件原告に対して,常に数十万円ないし20
0万円程度の借入金債務を有しており,これらの新たな借入金をそのままその
返済に宛てていたか否かはともかく,甲事件原告からの新たな借入金によって
なんとか資金繰りを続けていたことが認められ,乙事件原告としては,利息制限
法の制限利率を超過する利息の天引(支払)に対して不満を抱いたとしても,こ
れを拒否する場合には当該貸付が受けられなくなるという弱い立場から,天引
(支払)に応じていたものであることが強く窺われるところ,本件に提出された全
証拠を検討しても,乙事件原告が,利息の天引であるにもかかわらず,その自
発的意思に基づいて任意に支払ったと同視できるような特段の事情も認められ
ないから,本件における47回の金銭消費貸借契約に際して天引された各利息
の支払については,任意に支払われたものと解することはできず,貸金業法43
条1項のみなし弁済の規定が適用される余地はないものといわなければならな
い。
2争点3について
乙事件原告は,本件の各金銭消費貸借契約は,甲事件原告と乙事件原告との
間に締結された上記継続的金融取引契約に基づいて行われた一連の貸借である
旨主張する。
しかしながら,本件の各金銭消費貸借は,いずれも,乙事件原告が,甲事件原
告に対し,別表1「借入金明細表」の借入額欄に記載の天引前の名目上の貸付金
額を手形金額とし,弁済日を支払期日とする1通ないし数通の約束手形を交付し,
これと引換えに,甲事件原告は,乙事件原告に対し,利息金を天引した同表の受
取額欄に記載の金額を交付してその金額を貸し付け,乙事件原告が手形を決済
する方法でその支払を行っていたものであることは,上記認定のとおりであるとこ
ろ,仮に,新たな借入金が先の借入れに伴う手形の決済資金に用いられることが
多かったとしても,各借入金の返済日とその後の借入金の借入日は,必ずしも互
いに連動性,連続性を有しておらず,新たな借入金を先の借入れに伴う手形の決
済資金以外の用途に宛てることも可能であったことなどからみて,本件の各金銭消
費貸借は,法形式的には別個,独立の金銭消費貸借というほかなく,この点に関
する乙事件原告の主張は採用できない。
3 以上によれば,平成6年3月7日から平成13年5月31日にかけて,甲事件原告
と乙事件原告との間になされた計47回の金銭消費貸借契約における天引利息の
支払は,利息制限法1条1項の制限利率を超える部分は無効であるから,甲事件
原告は,乙事件原告に対し,過払金として返還すべき義務がある。なお,甲事件原
告が,乙事件原告に対して貸し付けた際に徴収した「お取扱手数料」は,実質上利
息に該当するものと認められるので,利息としての天引額に加えるのが相当であ
る。
そして,甲事件原告が乙事件原告に対して返還すべき過払金の額は,別表2
「過払金計算書」のとおりであり,平成13年4月25日現在における過払金及び遅
延損害金の状況は,別表3「平成13年4月25日現在における過払金及び遅延損
害金の計算表」のとおりである。
4 乙事件原告は,平成13年4月25日借入にかかる借入金(受取金額93万3280
円)及び同年5月31日借入にかかる借入金(受取金額93万3280円)の返済を行
っていないことは上記認定のとおりであるところ,弁論の全趣旨によれば,乙事件
原告は,本件口頭弁論において,甲事件原告に対し,上記過払金返還請求権を自
働債権として,上記各借入金債務と対当額で相殺する旨の意思表示をしているも
のと認められる。
そうすると,平成13年4月25日借入にかかる借入金と相殺後の同日時点にお
ける乙事件原告の甲事件原告に対する過払金返還請求債権は136万9171円で
あり,同債権に関しては,同日から同年5月30日までの間に,更に8102円の遅
延損害金と,新たな過払金2万5370円及びその遅延損害金4円が発生するの
で,同年5月31日借入にかかる借入金と相殺後の同日時点での過払金返還請求
債権は46万9367円の限度で残存する計算となり,更に同年6月20日に2万66
69円の過払金が発生するので,乙事件原告の甲事件原告に対する過払金返還
請求債権は,最終的には,49万6036円及び46万9367円に対する同年5月31
日から同年6月20日までの遅延損害金1620円,並びに,49万6036円に対す
る平成13年6月21日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金となる。
5 よって,甲事件原告の請求は理由がないから棄却し,乙事件原告の請求は,49
万7656円及び内49万6036円に対する平成13年6月21日から支払済みまで
年6分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余の
部分は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61
条,64条に従い,仮執行宣言につき同法259条1項を適用して,主文のとおり判
決する。
    福岡地方裁判所小倉支部第3民事部
        裁 判 官 杉  本  正  樹
(別表2)
     過払金計算書
番号借入日受取額返済日返済額利率日数利息残元金過払金
  1H6.3.71352592H6.6.217500000.15107594766620680
 H6.7.277500000.15369794078138
 2H6.6.291115140H6.11.75000000.15132604926756320
H6.11.287500000.15215830068538
 3H6.7.27663207H6.12.227500000.1814948732038061
 4H6.11.28678166H7.3.287500000.1812140467031367
 5H6.12.26452111H7.4.255000000.1812126978020911
6H6.12.26662673H7.5.247500000.1815049019038308
7H6.12.30380779H7.2.214000000.18541014009081
8H7.3.8364253H7.6.274000000.1811220118015629
9H7.3.30679234H7.7.267500000.1811939860030906
10H7.4.27450686H7.8.295000000.1812527782021532
11H7.5.25674960H7.9.287500000.1812742272032768
12H7.7.27463152H7.10.245000000.189020556016292
13H7.8.9272667H7.11.293000000.1811315194012139
14H7.8.30454604H7.12.215000000.1811425557019839
15H7.9.29942843H8.1.185000000.18112520754949180
H8.2.215500000.18348298046784
16H7.10.25441782H8.3.225000000.1815032679025539
17H7.11.30272763H8.3.223000000.1811415334011903
18H7.12.22466001H8.3.125000000.188218844015155
19H8.1.19462796H8.4.175000000.189020540016664
番号借入日受取額返済日返済額利率日数利息残元金過払金
20H8.3.18989964H8.5.165000000.1860292925192560
H8.5.295500000.18133328027416
21H8.3.27729931H8.6.274000000.1893334763634070
H8.7.304000000.18335914030679
22H8.9.272194494H8.11.256000000.15605411016486040
H8.12.246000000.15291964710682510
H9.1.276000000.1534149264831770
H9.2.246000000.152855590111264
23H8.11.30546149H9.3.256000000.1811631242022609
24H8.12.26542533H9.4.246000000.1812032106025361
25H9.4.31635359H9.6.256000000.15845645310918120
H9.7.236000000.1528125635043750
H9.8.256000000.15336840088785
26H9.7.301628093H9.10.276000000.15906021710883100
H9.11.256000000.1529129705012800
H9.12.256000000.15306180092540
27H9.8.28531300H10.1.206000000.1814638253030447
28H9.11.281100212H10.2.236000000.1588397885400000
H10.3.236000000.15286213053787
29H10.3.201619118H10.6.236000000.15966387710829950
H10.7.226000000.1529129064959010
H10.8.246000000.15336725097374
30H10.9.222189311H10.11.246000000.15645758116468920
H10.12.246000000.15302030410671960
番号借入日受取額返済日返済額利率日数利息残元金過払金
H11.1.206000000.1527118414790370
H11.2.236000000.153466930114270
31H11.3.32804006H11.4.2715000000.15566453013685360
H11.5.2715000000.1530168720114592
32H11.5.312816944H11.7.710000000.15384399018609340
H11.8.410000000.1528214138823470
H11.9.610000000.1533119660105687
33H11.8.311870024H11.10.2510000000.1556430369130600
H11.11.2510000000.153111632075308
34H12.2.42771590H12.4.2015000000.15778770313592930
H12.5.1115000000.1521117300128977
35H12.3.3937829H12.6.2610000000.181165364808523
36H12.4.261428771H12.7.2415000000.159052844018385
37H12.5.19917247H12.8.2410000000.189844329038424
38H12.8.41876509H12.10.1210000000.1570539819304900
H12.11.910000000.152810707058803
39H12.8.28927768H12.12.410000000.189945295026937
40H12.10.16927768H13.1.2210000000.189945295026937
41H12.11.13927768H13.2.1910000000.189945295026937
42H12.12.5927768H13.3.1310000000.189945295026937
43H13.1.25934662H13.4.2310000000.188941022024316
44H13.2.26931891H13.5.2910000000.189342739025370
45H13.3.15928460H13.6.2010000000.189844871026669
46H13.4.25933280
47H13.5.31933280
 なお,
過払金
額の計
算に当
たって
は,1円
未満を
切り捨
て,閏年
は1年を
365日
として,
計算し
た。
(別表3)
平成13年4月25日現在における過払金及び遅延損害金の計算表
番号過払金額過払金の発生日H13.4.25までの日数遅延損害金(年6分)
1 78138H6.7.276年271日31609
2 68538H6.11.286年147日26329
3 38061H6.12.226年123日14470
431367H7.3.286年27日11431
520991H7.4.255年364日7524
638308H7.5.245年335日13601
79081H7.2.216年62日3361
815629H7.6.275年301日5461
930906H7.7.265年272日10652
1021532H7.8.295年238日7301
1132768H7.9.285年208日10950
1216292H7.10.245年182日5374
1312139H7.11.295年146日3932
1419839H7.12.215年124日6355
1546784H8.2.215年63日14519
1625539H8.3.225年33日7799
1711903H8.3.225年33日3635
1815155H8.3.12195年43日4653
1916664H8.4.175年7日5018
2027416H8.5.29 4年330日8066
2130679H8.7.304年268日8713
22111264H9.2.244年59日27782
番号過払金額過払金の発生日H13.4.25までの日数遅延損害金(年6分)
2322609H9.3.254年30日5537
2425361H9.4.244年6086
2588785H9.8.253年242日19512
2692540H9.12.253年120日18482
2730447H10.1.203年94日5950
2853787H10.3.233年32日9963
2997374H10.8.242年243日15573
30114270H11.2.232年61日14857
31114592H11.5.271年332日13128
32105687H11.9.61年230日10336
3375308H11.11.251年150日6374
34128977H12.5.11348日7378
358523H12.6.26302日423
3618385H12.7.24274日828
3738424H12.8.24243日1534
3858803H12.11.9166日1604
3926937H12.12.4141日624
4026937H13.1.2292日407
4126937H13.2.1964日283
4226937H13.3.1342日 185
4324316H13.4.23 1日3
4425370H13.5.29
4526669H13.6.20
合計1976888377602
なお,遅延損害金の計算に当たっては,1円未満を切り捨てた。

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