弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由は、末尾に添えた書面記載の通りでめる。
 上告理由一について。
 上告人が原審において本件売買契約に要素の錯誤があり無効であることを主張し
たのは、昭和二三年九月二五日の控訴審における最終口頭弁論期日においてゞある
ことは記録上明らかである。そして、上告人所論の準備書面に基く陳述並びに証拠
の申出は、本件建物の賃貸借契約が右建物の売買契約の成立と同時に成立したかど
うかに関するものであつて、上告人の主張するように要素の錯誤に関するものでは
ない。されば、原審が上告人に右の主張を許すとすれば、さらにこの点に関する上
告人の新な証拠の申出をも許さなければならず、従つてこれがために訴訟の完結を
遅延させることは明らかである。それ故、原審が上告人の右の主張を民訴訟第一三
九条により却下したのはもとより正當であつて原判決には所論のような違法はない
から論旨は理由がない。
 同二について。
 原判決は、上告人の主張にかゝる本件売買契約の履行期日が昭和二一年一一月一
五日と約定されたという事実を排斥して、その履行期日については當事者問に確た
る取極めのなかつたことを証拠によつて認定している。所論の乙第一、二号証は上
告人の右主張事実を表明した回答書にすぎないのであつて、その記載は上告人の主
張と異ならない。従つて、右事実の主張を否定した原審の判断にはおのずから右乙
号証を排斥した趣旨が含まれているのである。また、所論の甲第三号証の登記期日
というのは、上告人から解除の通告が来たのに対して、被上告人が反対に上告人に
履行の誠意がないことを責めた際の字句であるから、厳格な意味での履行期日を指
したものではないので、これに拘わる論旨は理由がない。なお、上告人は被上告人
において殘代金支払の準備があつたことを原審は証拠によつて認定しなければなら
ないと論じているが、原判決は所論残代金の支払と引換に本件登記手続をなすべき
ことを命じているのであるから、この点についても原判決には所論のような違法は
なく論旨は理由がない。
 同三について。
 契約上の債務の履行につき期限の定めがない場合にその履行を催告する必要があ
ることは當然であるから、原判決が論旨に指摘するごとく履行を促したこを判示し
たからといつて、原判決には所論のように理由に齟齪があるものではない。また、
論旨は、原判決が一一月一三日に「Dも大いに満足し速かに登記手続を履行するこ
とを誓つた」と認定しながら、わずか三日を過ぎたばかりの同月一六日「突如被控
訴人(被上告人)の不履行をして本件契約を解除」する旨の通告をして来たと認定
したことは、理由に不備があるというのであるが、短時日の間に意思の豹変するこ
ともあり得ないわけではないから、原判決の認定には所論のような違法はない。
 同四について。
 上告人の原審における所論の主張は、本件當事者間に昭和二一年一一月一一日を
履行期とする約定が成立しなかつたとしても、被上告人は大阪より帰宅次第契約を
履行することを約したのであり、同人は同月六日頃帰宅したのであるから、遅くも
同月一一日には被上告人は履行遅滞の責に任すべきであるというのである。ところ
で、原審は昭和二一年一一月六日の登記期日が當事者の合意によつて延期されてか
ら以後、その履行の期日については當事者間に確たる取極めがなく被上告人にはな
んら契約不履行の事実が認められないことを認定しているのであるから、所論の主
張事実を排斥した趣旨であることおのずから明らかである。されば、原審には所論
のような判断遺脱の違法はなく論旨は理由がない。
 よつて、本件上告を理由のないものと認め、民訴法第四〇一条、第九五条第八九
条に従い主文の通り判決する。
 以上は、當小法廷裁判官全員の一致した意見である。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛