弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、上告人らの予備的請求に関する部分を破棄し、右部分につき
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
     上告人らのその余の上告を棄却する。
     前項に関する上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人椎木緑司の上告理由第一点について
 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、上告人らの被上告人に対する自
動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)一六条一項による損害賠償額支払
の請求権が時効により消滅したものと認めた原審の判断は、正当として是認するこ
とができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第二点について
 原審は、(一) 被上告人は保険会社であるところ、訴外Dとの間で同人所有の普
通乗用自動車山E号につき昭和四五年五月二九日から二年間を保険期間とする自動
車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)契約を締結した、(二) 上告
人A1の妻であり、かつ、上告人A2の母にあたる訴外Fと上告人A2とは、昭和
四六年五月六日山口市内の路上において前記自動車に衝突され、右Fは即死し、上
告人A2は負傷した、(三) 上告人らは、右死亡若しくは負傷により自ら損害を被
つた者又は右Fからその死亡による損害賠償請求権を相続した者として、Dを相手
どつて損害賠償請求の訴を提起し、昭和四九年七月二六日その請求を認容する判決
の言渡を受け、右判決はその後確定した、(四) Dが被上告人に対し前記自賠責保
険契約に基づいて有する保険金請求権のうち右Fの死亡を原因とするものにつき、
上告人A2は一一五万五八六六円の、上告人A1は五七万七九三三円の各範囲でそ
れぞれ前記判決を債務名義とする差押及び転付命令を得、右命令は同年一一月二五
日被上告人に送達された、との事実関係を確定したうえ、右転付命令に基づき被上
告人に対し自賠責保険金の支払を求める上告人らの予備的請求につき、自賠法一五
条によれば加害者の自賠責保険金請求権が生ずるためには被保険者たる加害者が被
害者に対し賠償額の支払を現実にしたことを要するものとされるところ、Dにおい
て上告人らに被転付債権相当額の支払をしていないことは弁論の全趣旨によつて明
らかであるから、右転付命令は未発生の債権について発せられたものというべく、
これによつて当該債権が上告人らに移転するいわれはない、また、転付命令が送達
されたからといつてDから上告人らに現実の支払がなされたものとはいい難い、と
の理由により右請求を排斥した。
 しかしながら、自賠責保険契約に基づく被保険者の保険金請求権は、被保険者の
被害者に対する賠償金の支払を停止条件とする債権であるが、自賠法三条所定の損
害賠償請求権を執行債権として右損害賠償義務の履行によつて発生すべき被保険者
の自賠責保険金請求権につき転付命令が申請された場合には、転付命令が有効に発
せられて執行債権の弁済の効果が生ずるというまさにそのことによつて右停止条件
が成就するのであるから、右保険金請求権を券面額ある債権として取り扱い、その
被転付適格を肯定すべきものと解するのを相当とする。したがつて、本件の各転付
命令における執行債権が被転付債権たる保険金請求権と同じくFの死亡に基づくも
のである限り、右各転付命令により右保険金請求権は上告人らに移転し、これと同
時に前記の停止条件も成就したものというべきである。右と趣旨を異にする原判決
は法令の解釈適用を誤つたものというべく、右違法が判決に影響を及ぼすことは明
らかである。論旨は理由があり、原判決中上告人らの予備的請求に関する部分は破
棄を免れない。そして、前記の別件確定判決の既判力は本件の当事者間に及ぶもの
ではないから、右予備的請求については、被転付債権の成立要件たるDの上告人ら
に対する損害賠償債務の成否等につき更に審理を尽くさせる必要があり、このため
本件を原審に差し戻すのが相当である。
 よつて、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条、九三条に
従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    環       昌   一
            裁判官    横   井   大   三
            裁判官    寺   田   治   郎

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