弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
 被告が平成13年5月7日付けで原告に対してした,調布・狛江地区保護司会の
うち,調布分区の保護司名簿(名前のみ)を開示しない旨の決定を取り消す。
第2 事案の概要
 本件は,原告が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第
42号)3条に基づき,調布・狛江地区保護司会の調布分区の保護司名簿の開示を
求めたところ,被告が,同法5条1号に定める個人に関する情報に該当することを
理由として,上記名簿を開示しない旨の決定をしたため,原告がこれを不服とし
て,上記決定の取消しを求めているものである。
1 法令の定め
(1) 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。
ただし,平成13年法律第140号による改正前のもの。以下「情報公開法」とい
う。)3条は,何人も,この法律の定めるところにより,行政機関の長に対し,当
該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる旨を,同法5条は,
行政機関の長は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に同条各号が
掲げる不開示情報のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当
該行政文書を開示しなければならない旨をそれぞれ規定しているが,同条1号は,
下記のとおり不開示情報を定めている。
       記
 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で,当該
情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することが
できるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができる
こととなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にする
ことにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる
情報を除く。
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されてい
る情報
ロ 人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると
認められる情報
ハ 当該個人が公務員である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報
であるときは,当該情報のうち,当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部

(2) 情報公開法7条は,行政機関の長は,開示請求に係る行政文書に不開示情
報が記録されている場合であっても,公益上特に必要があると認めるときは,開示
請求者に対し,当該行政文書を開示することができると定めている。
2 前提となる事実(以下の事実はいずれも当事者間に争いがない。)
(1) 開示請求等
ア 原告は,平成13年4月16日,被告に対し,請求する行政文書を「調布地区
の保護観察司名簿(但し氏名の部分のみ)」として,行政文書の開示請求をした
(以下「本件開示請求」という。)。
イ 被告は,同年5月7日付けで,本件開示請求について,原告に対し,「開示請
求に係る行政文書は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第1号に
規定された個人に関する情報と認められる。つまり,氏名は特定の個人を識別する
ことができる情報であり,同号イ,ロ及びハに列挙された個人情報のうち開示する
必要性のある情報にも該当しないので不開示とした。」との理由で,調布・狛江地
区保護司会のうち,調布分区の保護司名簿(名前のみ)(以下「本件名簿」とい
う。)を開示しない旨の決定をした(以下「本件決定」という。)
(2) 審査請求
ア 原告は,平成13年7月6日,本件決定を不服として,法務大臣に審査請求を
行った。
イ 法務大臣は,平成13年10月16日,上記審査請求を棄却する裁決をした。
3 当事者の主張
(被告の主張)
(1) 情報公開法5条1号該当性について
 本件名簿には,保護司個人の氏名が記録されているところ,ある氏名の個人が調
布分区の保護司であるという情報は,個人に関する情報であって,その氏名により
特定の個人を識別することができるものであることが明らかである。
 したがって,本件名簿には,情報公開法5条1号の不開示情報が記録されている
から,本件不開示決定は適法というべきである。
(2) 情報公開法5条1号ただし書について
 情報公開法5条1号ただし書は,同号本文によって不開示とされる情報から例外
的に除外されるものを定めたものであり,開示請求者がその適用を求めるべき規定
であるから,同規定への該当性については,原告がその主張立証責任を負うと解す
べきである。
 ところが,本件において,原告は情報公開法5条1号ただし書に該当する事実を
何ら主張していないから,原告の本訴請求は失当である。
 なお,保護司の名簿は公刊されておらず,その氏名を公開することを定めている
法令の規定も慣行も存在しない。
(3) 原告の主張に対する反論
ア 原告は,①情報公開法5条1号にいう「個人に関する情報」とは,プライバシ
ーに関する情報をいう,②上記「個人に関する情報」とは,「個人の権利を害する
おそれ」があるものをいう,と主張している。
 しかし,情報公開法5条1号は,その規定及び立法過程からみて,プライバシー
等の個人の権利利益を害するおそれのあるものに限って不開示とする,いわゆるプ
ライバシー型を採らず,特定の個人が識別され得る情報を広く不開示とする,いわ
ゆる個人識別型の法制度を採用したものであるから,同号にいう「個人に関する情
報」とは,その文言のとおり,個人に関連する情報全般を意味するものと解すべき
であって,個人のプライバシーに関する情報か否かによって,その該当性が決せら
れるものではない。
 また,情報公開法5条1号は,「個人に関する情報であって,当該情報に含まれ
る氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」
と「特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権
利利益を害するおそれがあるもの」とを,それぞれ独立した不開示情報と定めてお
り,前段に定める個人識別型情報については,後段にいうような「個人の権利利益
を害するおそれ」があることを要件とはしていない。
 したがって,原告の上記主張は,いずれも失当である。
イ 原告は,およそ公務員である限りその氏名が開示されなければならない旨主張
するようである。
 しかし,情報公開法5条1号は,公務員・非公務員を問わず,個人に関する情報
であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を
識別することができるものを不開示情報とした上で,政府の諸活動を説明する責務
が全うされるようにする観点から,同号ハにおいて,当該個人が公務員である場合
において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,
当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分については,個人に関する情報
としては,不開示としないこととしているが,公務員の氏名は,公務員の職務遂行
に係る情報に含まれるものであっても,なお,これを公にした場合,公務員の私生
活に影響を及ぼすおそれがあり得るため,依然として個人情報としての保護に値す
ると位置づけ,同号イに該当する場合以外にはこれを不開示とすることとしている
のである。
 したがって,原告の上記主張は,独自の見解に基づくものというほかない。
ウ 原告は,名簿に記載された個人の氏名は,個人識別機能を喪失すると主張す
る。
 しかし,一般に名簿とは,個人の氏名,住所等の特定の個人を識別することがで
きる一つ一つの情報を集積してとりまとめたものであり,名簿として集積されたか
らといって,その中に含まれる個別の氏名等が,特定の個人を識別することができ
る機能を喪失することはあり得ない。
エ 原告は,本件決定が憲法15条に違反すると主張する。
 しかし,憲法15条が「公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有
の権利である。」とする趣旨は,あらゆる公務員の終局的任免権が国民にあるとい
う国民主権の原理を説明したものであって,必ずしもすべての公務員を国民が直接
に選定し,罷免すべきことを意味するものではなく,憲法が,国民が公務員を直接
的に選定すべき場合(43条,93条2項)及び罷免の権利の認められるべき場
合,あるいは独自の選定罷免権者を規定している場合(6条,67条,68条,7
9条,80条)を別とすると,公務員について,国民の選定罷免権をいかに具体化
するかは,法律により定められるべき事柄である。
 したがって,憲法の定める国民の公務員選定罷免権を根拠として,直接に,個々
の公務員について国民に「能力・識見において然るべき者が公務員に選任され,ま
たいかがわしい人物が公務員から排除されることを求める固有の権利」という具体
的権利が憲法15条により保障されているとは到底解し得ない。原告の上記主張は
前提において失当である。
 また,上記の点を措いて,憲法15条1項は,上記に述べた意味における公務員
の選定罷免権について定めているのみであり,同条から直ちに,「公務員の氏名の
開示を求めること」や「公務員の能力・識見に関する情報も知る権利」が国民に保
障されているとみることもできないことは明らかである。特定の種類の公務員につ
いて,その選定罷免に係る情報を開示することを求める権利を何人かに付与するか
どうか,いかなる要件の下にいかなる種類の情報を開示するかは,立法により決せ
られるべき事柄であり,法律の規定を離れて,個々の国民に,特定の公務員の選定
罷免に係る情報を開示する請求権が与えられていると解し得るものではない。
 したがって,国の行政機関の保有する情報に対する開示請求権の範囲等について
は,それを具体的請求権として創設した情報公開法の内容に即して決すべきであ
り,同法の規定を離れて憲法の趣旨・目的等から直ちに解釈基準を導き出したり,
それらに沿うように法の規定の文理を離れて情報公開請求権の範囲を決したりすべ
きではない。
 以上のとおり,憲法15条は,原告の主張する権利の根拠とはならないから,原
告の主張は失当である。
(原告の主張)
(1) 公務員である保護司の氏名を記録した本件名簿は,情報公開法5条1号の
定める不開示情報を記録したものには当たらないというべきであり,本件決定は,
同号の解釈を誤ったものであり,違法である。
ア 情報公開法5条1号の定める「個人に関する情報」とは,特定の個人のプライ
バシーに関する情報をいうものと解すべきである。
 ところが,公務員の氏名は,個人のプライバシーに関する情報には該当しないと
いうべきである。
 すなわち,名誉ある地位にあるものとして個人の氏名を公表されることは,その
個人の名誉となるものであって,そのような場合には個人情報の開示が許されると
いう社会的慣行が成立しており,プライバシー侵害となるものではないと解され
る。そして,公務員であることも,また,名誉ある地位であり,公務員の名簿に登
載されることも名誉であるから,公務員の氏名を公表することはプライバシーを害
することにはならない。
 したがって,公務員の氏名は,上記「個人に関する情報」には該当しないという
べきである。
イ 情報公開法5条1号の立法趣旨は,同号後段に規定されている「個人の権利を
害するおそれがあるもの」を不開示とすることにあるというべきであり,同号前段
の「個人に関する情報」は,個人の権利・利益を害するおそれがある情報として規
定されたものにすぎない。
 そうであるとすれば,情報公開法5条1号によって不開示情報となるのは,個人
の権利・利益を害するおそれがある場合に限られると解すべきである。
 しかし,個人の氏名は,他人に公表するためにあるものであり,公務員個人の氏
名の公表をすることは,その個人の権利・利益を侵害するものではない。
 したがって,この点からも,公務員個人の氏名は,情報公開法5条1号にいう
「個人に関する情報」に該当しないというべきである。
ウ 個人の氏名は当該個人を識別できる情報であるが,名簿に記載された個人の氏
名は,名簿として大勢の氏名に紛れることにより,特定の個人を識別する機能を喪
失する。
 したがって,公務員の名簿に記録された氏名は,特定の個人を識別することがで
きるものには当たらないというべきである。
(2) 憲法15条違反
 公務員の選任及び罷免は,主権者たる国民の固有の権利として憲法15条によっ
て保障されている。しかし,多数の公務員すべてを選挙により選任することは,時
間的,労力的,費用的に困難であるため,公務員組織の基本を構成する公務員のみ
を選挙で選任し,その他の公務員は選挙によって選任された公務員がその責任にお
いて任命又は委嘱によって選任するという制度が採用されている。
 そこで,ある公務員が真面目にその職務を尽くしているかどうかは,一般国民も
監視する必要があり,そのためには,一般国民がその公務員の氏名をいつでも知り
得ることが必要である。
 このように,能力・識見においてしかるべき者が公務員に選任され,またはいか
がわしい人物が公務員から排除されることを求める国民固有の権利を適切に行使す
るためには,何人が公務員になっているかを知る必要がある。
 したがって,公務員のプライバシーは,一般人より保護されないことになるので
あり,国民に対し公務員の氏名を開示することは憲法上の要請である。
 現に,公務員の氏名を公表するべく,上級の公務員一般の氏名については,職員
録という形で出版されているし,市役所等において職員が自分の氏名を表示した名
札をつけて公務に従事することなどが行われている。
 以上によれば,本件決定は,憲法15条に違反する違法があるというべきであ
る。
(3) 仮に,本件名簿に登載された公務員の氏名が個人情報であるとしたとして
も,いかがわしい人物を公務員から排除するという真面目な目的を有する本件開示
請求に応じて本件名簿を開示することは公益上の必要性があるので,情報公開法7
条に基づいて開示されるべきである。
4 争点
 以上によれば,本件の争点は次のとおりである。
(1) 本件名簿は,情報公開法5条1号の規定する不開示情報を記録したものと
いえるか否か。 (争点1)
(2) 本件決定は,憲法15条に違反するか否か。 (争点2)
(3) 本件決定は,情報公開法7条に基づく開示を行わなかった点において違法
であるか否か。 (争点3)
第3 当裁判所の判断
1 争点1について
(1) 本件名簿は,保護司個人の氏名が記録されているものであるところ,ある
氏名の個人が調布分区の保護司であるという情報は,「個人に関する情報であっ
て,当該情報に含まれる氏名,生年月日,その他の記述等により特定の個人を識別
することができるもの」に該当するというべきであり,また,上記の情報は,情報
公開法5条1号ただし書が例外事由として掲げるイ,ロ,ハのいずれにも該当しな
いものと認められる。
 したがって,本件名簿には,情報公開法5条1号が定める不開示情報が記録され
ているものと認められる。
(2) これに対し,原告は,①情報公開法5条1号の規定する「個人に関する情
報」とは個人のプライバシーに関する情報をいうものであり,公務員の氏名は個人
のプライバシーに関する情報ではない,②同号の規定する「個人に関する情報」と
して不開示情報とされるべきものは,個人の権利利益を害するおそれがあるものに
限られると解すべきであり,公務員の氏名の公表は個人の権利利益を害するもので
はないなどと主張して,公務員の氏名は上記「個人に関する情報」には該当しない
旨主張する。
 しかし,情報公開法5条1号は,個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業
に関する情報を除く。)については,「当該情報に含まれる氏名,生年月日その他
の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と「特定の個人を識別す
ることはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれあ
あるもの」を,それぞれ独立の不開示情報として明確に定め,その除外事由とし
て,①法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されて
いる情報,②人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要
であると認められる情報,③当該個人が公務員である場合において,当該情報がそ
の職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員の職及び当該
職務遂行の内容に係る部分,の3つを挙げている。
 そして,情報公開法5条1号が,上記のような規定の仕方を採ったのは,いわゆ
るプライバシーの概念が必ずしも明確ではなく,その具体的な内容及び範囲は,情
報の客観的内容,個人の置かれた状況,公開される状況等に左右され,価値観によ
っても見解が分かれることが少なくないことから,客観的に判別の容易な基準に拠
ることによって不開示の範囲を明確にし,制度の安定的運用を図る趣旨に出たもの
と解されるから,個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除
く。)で特定の個人を識別することができるものについては,同号イ,ロ,ハのい
ずれかに該当するものを除き,一律に不開示情報とすることとし,さらに,個人を
識別することができない情報であっても,公にすることにより個人の権利利益を害
するおそれのあるものについて,独立の不開示情報として定めたものと解される。
 また,情報公開法5条1号ハには,当該個人が公務員である場合における例外事
由が定められていることからすれば,同号にいう「個人に関する情報であって,特
定の個人を識別することができるもの」には,「公務員である個人に関する情報で
あって,特定の個人を識別することができるもの」を含むものであることは明らか
である。
 以上のとおり,情報公開法5条1号は,当該個人が公務員であるか否かを問わ
ず,「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であ
って,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別
することができるもの」については,同号ただし書のイ,ロ,ハのいずれかに該当
するものを除き,一律に不開示とする旨を定めたものと解すべきである。
 したがって,公務員の氏名については,情報公開法5条1号の定める「個人に関
する情報」に当たらないとの原告の上記主張は,同号の趣旨及び文言に反するもの
であって採用できない。
(3) 原告は,大勢の氏名に紛れた氏名は,特定の個人を識別する機能を喪失し
てしまうから,大勢の氏名の記載された名簿は,情報公開法5条1号の定める「個
人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当
該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別すること
ができるもの」に該当しないと主張する。
 しかし,多くの氏名を集積した名簿に記載されているからといって,そのため
に,そこに記載された氏名が特定の個人を識別する機能を喪失するとは解されない
から,原告の上記主張は失当というほかない。
2 争点2について
 原告は,憲法15条によって保障された公務員の選定罷免権を行使するために,
公務員の氏名を開示することは憲法上の要請であるから,公務員である保護司の氏
名が記載された本件名簿を開示しないとした本件決定は,同条に違反すると主張す
る。
 しかし,憲法15条が「公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有
の権利である。」とする趣旨は,あらゆる公務員の終局的任免権が国民にあるとい
う国民主権の原理を説明したものであって,必ずしもすべての公務員を国民が直接
に選定し,罷免すべきことを意味するものではなく,憲法上明記された公務員(憲
法6条,67条,68条,43条,79条,80条,93条2項)以外について,
国民の上記選定罷免権をいかに具体化するかは,立法により定められるべき事柄で
あると解される。
 そうであるとすれば,特定の種類の公務員について,その選定罷免に係る情報を
開示することを求める権利を何人かに付与するか否かについても,立法により決せ
られるべき事柄であり,憲法15条によって,直接,個々の国民に,特定の公務員
の選定罷免に係る情報を開示する請求権が与えられていると解することはできない
というべきである。
 したがって,憲法上,公務員の氏名を開示することが必要とされているとは解さ
れず,本件決定が,憲法15条に違反するとの原告の主張は,その前提において失
当といわざるを得ない。
3 争点3について
 原告は,真面目な目的による開示請求に基づく開示は,情報公開法7条にいう公
益上必要な開示に当たると主張する。
 しかし,情報公開法7条は,同法5条により開示が禁止される情報について,公
益上特に必要がある場合に,行政機関の長の高度な行政的判断により裁量的開示を
行うことができる旨を定めたものであって,同条の規定に基づいて開示するかしな
いかは,上記行政機関の長の裁量にゆだねられているものであり,同条の規定に基
づいて開示しなかったことが違法となるのは,当該行政機関の長が,与えられた裁
量権の範囲を逸脱,又は濫用したと認められる場合に限られるものと解するのが相
当である。
 しかし,本件においては,被告が,その裁量権の範囲を逸脱,又は濫用したこと
を窺わせるような事情は何ら主張,立証されていないから,情報公開法7条に基づ
いて開示しなかったから本件決定が違法であるとの原告の主張はその前提を欠いて
おり,失当といわざるを得ない。
第4 結論
 以上によれば,本件名簿を不開示とした被告の本件決定に違法はないというべき
である。
 よって,原告の請求は理由がないから,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官 市村陽典
裁判官 森英明
裁判官 馬渡香津子

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