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最高裁判例


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平成20年(モ)第1076号移送申立事件(基本事件・平成20年(ワ)第519
8号商標権侵害差止等請求事件)
決定
千葉市〈以下略〉
申立人(基本事件被告)A
千葉市〈以下略〉
申立人(基本事件被告)B
上記両名代理人弁護士村上典子
同湊弘美
千葉市〈以下略〉
相手方(基本事件原告)株式会社大宗
千葉市〈以下略〉
相手方(基本事件原告)C
上記両名代理人弁護士吉澤功
同森屋有紀
同清水純子
主文
本件訴訟を千葉地方裁判所に移送する。
理由
第1申立ての趣旨及び理由
1申立ての趣旨
主文と同旨
2申立ての理由
別紙「移送申立書」及び「補充意見書」記載のとおり
第2当裁判所の判断
1基本事件の記録によれば,同事件は,①相手方株式会社大宗(以下「相手方
会社というが申立人らは申立人らが所有する建物に相手方会社が商」。),,,
標権を保有する別紙商標目録記載の商標(以下「本件商標」といい,本件商標
に係る商標権を本件商標権というと同一の標章以下申立人標章と「」。)(「」
。),,,いうを付して使用しているとして申立人らに対し本件商標権に基づき
申立人標章の使用の差止めを求めるとともに,②相手方会社が,相手方C及び
(,「」。)その親族並びに相手方会社関係者以下総称して相手方関係者という
,(。),は亡D申立人ら及び相手方Cの母親の相続に関する遺産分割協議により
申立人らが所有する駐車場の無償使用権を有しているにもかかわらず,申立人
らは,相手方関係者から,駐車料金として合計1800円を徴収し,相手方会
社は,相手方関係者に対し,同額の金員を支払ったとして,申立人らに対し,
不当利得返還請求権に基づき,連帯して,1800円及びこれに対する平成1
9年6月1日(相手方会社が,相手方関係者に対し,最後に駐車料金相当額の
金員を支払った日の翌日)から支払済みに至るまで民法所定年5分の割合によ
る利息の支払,③相手方らが,申立人らによる,相手方会社の顧客からの駐車
料金徴収により,相手方Cの名誉感情及び相手方会社の営業上の名誉が侵害さ
れたとして,申立人らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権(共同不法行
為)に基づき,慰謝料として,相手方会社につき50万円,相手方Cにつき1
50万円,及びこれらに対する平成19年6月1日(不法行為後の日)から支
払済みに至るまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払,をそれぞれ
求める事案である。
2本件記録及び基本事件記録によれば,以下の事実が認められる。
(1)亡Dは,平成13年8月5日に死亡し,その相続人は,亡Dの子である申
立人ら及び相手方Cのほか,E,F,G,Hの計7名である。Fは,千葉市
〈以下略〉内に,その余の者は,いずれも千葉市〈以下略〉内に居住してい
る。
相手方会社は,同〈以下略〉内に本店を置き,不動産の売買,仲介,賃貸
借及び管理を主な目的とする株式会社である。
相手方会社は従前大宗建物管理株式会社と称していたが平成15,,「」,
年6月2日,株式会社大宗(相手方会社と同名であるが,別法人である。以
下「前大宗」という)を吸収合併し,同日,現商号に変更した。。
(2)前大宗は平成4年8月26日本件商標につき建物の貸与建物の管,,,「,
理,土地の貸与,土地の管理,損害保険契約の締結の代理」を指定役務とし
て,商標登録出願をし,本件商標は,平成7年8月31日に登録され,平成
17年7月5日,存続期間の更新登録がされた。
相手方会社と前大宗の合併に伴い,現在は,相手方会社が本件商標権を保
有している。
(3)前大宗は,平成4年ころ,亡Dが所有していた別紙物件目録記載1の建物
以下センタービルというを含む複数の建物に本件商標と同一の申(「」。),
立人標章を設置した。なお,当時の前大宗の代表者は,申立人Bであった。
同標章は,現在も,センタービル上部の南北2か所において使用されてい
る。
(4)申立人らは,平成14年5月31日,遺産分割協議により,センタービル
の持分2分の1を,それぞれ相続した。
また同日付け遺産分割協議書8(3)項にはBAは中略千葉市以,,「,()〈
下略,同〈以下略,同〈以下略〉および同〈以下略〉の各土地上の駐車施〉〉
設ならびに家屋番号7番6の2および7番7の駐車場を,Cおよび親族の使
用する車両および株式会社大宗関係車両については従来どおり無償で利用さ
せること(中略)を承認した」旨の定めがある。。
(5)申立人らは,現在,業としてセンタービルを第三者に貸与している。
また,相手方関係者は,平成19年4月26日から同年5月31日にかけ
て,センターパーキングの駐車料金として,合計1800円を支払った。
,,,,(6)相手方らは平成20年2月28日当庁に対し申立人らを被告として
基本事件を提起した。
,,,(「」。)申立人らは同年4月6日当庁に対し民事訴訟法以下法という
17条に基づき,基本事件を千葉地方裁判所に移送することを求める本件申
立てをし,同月22日,相手方会社が本件商標権を保有していること,及び
本件商標と同一の申立人標章がセンタービルに設置されていることについて
は争わない旨を記載した「補充意見書」を提出した。
3(1)基本事件に係る訴えの管轄に関しては被告である申立人らの住所地並び,
に不当利得金及び損害賠償金の各支払義務の履行地である相手方らの住所地
を管轄する千葉地方裁判所に加えて,基本事件において商標権に関する訴え
が含まれていることから,法6条の2により,当庁も管轄権を有する。
(2)ところで法6条の2が商標権等に関する訴えにつき法4条又は5条,,,
の規定による管轄に加えて,当庁又は大阪地方裁判所に,競合管轄を認めて
,,,いるのは両裁判所には知的財産権に関する専門的知見が集積されており
商標権等に関する事件の適正かつ迅速な審理の実現を図ることができるから
であると解される。
しかしながら本件の基本事件においては上記2(6)のとおり本件商標,,,
権の存否及び帰属並びに本件商標とセンタービルに設置されている申立人標
章の同一性については争いがなく,商標権に関する訴えの主たる争点は,当
事者間の合意に基づく本件商標の使用権の有無及びその内容であると認めら
れる。そして,上記使用権の有無及びその内容の審理に当たっては,一般的
に,知的財産権に関する専門的知見が必要不可欠であるとはいえず,基本事
件においても,このような専門的知見を必要とすることをうかがわせる特段
の事情は認められない。
そうすると,基本事件については,当庁又は大阪地方裁判所に競合管轄を
認めた法6条の2の趣旨は,必ずしも妥当しないというべきである。
(3)また基本事件の記録によれば上記使用権の有無及びその内容を認める,,
に足りる的確な書証は提出されておらず,申立人標章を設置した当時のセン
タービルの所有者は亡D,前大宗の代表者は申立人Bであって,両名が親子
であることに照らせば,本件商標の使用に関する取決めが口頭でされた可能
性も否定できないのであるから,本件商標の使用権の有無及びその内容を認
定するに当たり,当事者尋問又は関係者の証人尋問を実施しなければならな
い必要性が高いというべきである。
そして,上記2認定のとおり,基本事件のその余の訴えも,相続した財産
についての親族間における使用方法に関する紛争であり,申立人ら及び相手
方C,並びに亡Dのその余の相続人は,いずれも千葉市〈以下略〉内又は同
市〈以下略〉内に居住していること,相手方会社及び前大宗の所在地がいず
れも千葉市〈以下略〉内であること,その他本件に顕れた一切の事情を考慮
すると,訴訟の著しい遅滞を避け,又は当事者間の衡平を図るためには,千
葉地方裁判所において基本事件を審理する必要があると認められる。
(4)以上によれば法17条に基づき基本事件を千葉地方裁判所に移送する,,
のが相当である。
,,,4よって申立人らの本件申立ては理由があるからこれを認容することとし
主文のとおり決定する。
平成20年5月9日
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官清水節
裁判官國分隆文
裁判官間明宏充

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