弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     一、 原判決を左のとおり変更する。
     新潟市a字bc番宅地(登記簿上の面積二、一七八平方メートル)
     と同所c番d田(登記簿上の面積八一六平方メートル)及び同所e番f
田(登記簿上の面積六五四平方メートル)との境界は本判決添付図面の(イ)点と
(ロ)点を結ぶ直線であると確定する。
     二、 右の同所c番宅地のうち同図面の(イ)、(ロ)、(ニ)、
(ハ)、(イ)の各点を順次結ぶ直線によつて囲まれた部分の土地一一七・三六三
七平方メートルにつき被控訴人が所有権を有することを確認する。
     三、 訴訟費用は第一、二審とも各自の負担とする。
         事    実
 控訴人は、主文第一項同旨及び訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とす
る、との判決を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めるとともに、本件予備的
反訴の請求の趣旨1を本判決主文第二項のとおり訂正した。
 当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は左のとおり附加するほか、原判決事実
欄に記載されているとおりであるから、これをここに引用する。
 (当審において控訴人が附加した主張)
 一般に、換地処分は換地計画においてその内容が定められ、関係権利者にこれが
通知されることによつて始めてその効果を生ずるものであるが、右通知は換地確定
図等の換地関係書類に基いて行われるもので、現地における換地に関する指示は右
通知の補助的手段にすぎない。従つて、換地相互の境界は換地確定図等の換地関係
書類によつて定められるというべきであつて、現地における右指示によつて左右さ
れないと解すべきである。
 本件控訴人地(原判決にいう原告地、以下同じ)と被控訴人地(原判決にいう被
告地、以下同じ)の両地は、g土地改良区の土地改良事業による換地計画に基く換
地処分により区画、換地された土地であり、右両地はいずれも一時利用地に指定さ
れた後それがそのまま右換地処分により本換地となつたものである。ところで、右
の一時利用地の指定の際両地の当時の権利者に対する通知に用いられた一時利用地
指定通知書、土地使用区域調書、略図等の一時利用地指定関係書類、右の換地処分
の際両地の当時の権利者に対する通知に用いられた換地計画書、確定図等の換地関
係書類からみて、特に、右各関係書類記載の両地の間口、面積からみて、両地の境
界が、控訴人の主張する本判決添付図面の(イ)点と(ロ)点とを結ぶ直線である
ことは明らかである。
 加えて、右各関係書類の基礎となつた前記土地改良区作成の換地測量図(甲第二
九号証)、更正図原図(甲第四六号証)記載の両地の間口、面積並びに、本件換地
処分後になされ、又はなされようとした両地の地先の用悪水路の当事者双方に対す
る払下に関する払下関係書類記載の両地の間口および本件換地処分後になされた両
地の登記にかかる登記簿記載の面積からみても右のことは極めて明らかである。
 (当審において被控訴人が附加した主張)
 控訴人の右主張は争う。
 (当審における新たな証拠関係)(省略)
         理    由
 一 控訴人が新潟市a字bc番宅地、その登記簿上の面積二、一七八平方メート
ル(以下単に控訴人地という)を所有し、被控訴人が同所e番h田、その登記簿上
の面積八一六平方メトトル及び同番f田、その登記簿上の面積六五四平方メートル
(以下両地を単に被控訴人地という)を所有していること、被控訴人抗弁にかかる
取得時効の点を別にすると、控訴人地と被控訴人地の両地が隣接していることは当
事者間に争がない。
 二 そこで両地が接する部分の土地(本判決添付図面の(イ)、(ロ)、
(ニ)、(ハ)、(イ)の各点を順次結ぶ直線によつて囲まれた土地、以下単に本
件係争地という)附近の占有状況等について検討する。本件係争地附近の写真であ
ることが当事者間に争がない甲第四三号証の一ないし二九、原審証人A1の証言に
よつて同所附近の写真であると認められる乙第五号証、原審における検証の結果に
よると、本判決添付図面の(ハ)点には木製杭とコンクリート杭が、同図面の
(ニ)点にはコンクリート杭がそれぞれ存在し、右(ハ)点と右(ニ)点を結ぶ直
線(以下(ハ)(ニ)線という)上に控訴人が設置した有刺鉄線を張つた木柵があ
り、その北側(本件係争地を含む側)は約七〇センチメートル土盛りされて南側の
控訴人地より高くなつており、右木柵から南方五〇センチメートルを隔てたところ
に控訴人方の倉庫の北側壁が位置し、控訴人が(ハ)(ニ)線より南側を、被控訴
人が同線より北側をそれぞれ占有、使用していることが認められ、これに反する証
拠はない。
 次に、控訴人地、被控訴人地の両地及び、本件係争地の沿革等について検討す
る。昭和三〇年当時、右両地を含む附近一帯の土地が訴外g土地改良区の行う土地
改良事業の施行地域であつたことは当事者間に争がなく、前掲証拠に成立に争のな
い甲第一ないし第三号証、第六、第七号証、第二九号証、原本の存在とその成立に
つき争のない甲第四六号証、成立に争のない乙第一号証の一ないし三、第二、第三
号証の各一ないし四、第四号証の一、二、及び成立に争いのない乙第六号証と本件
弁論の全趣旨とによつて原本の存在とその成立(同原本は同土地改良区の作成)を
認めうる甲第五号証、並びに原審証人B1、C1、D1、E1、F1、G1の各証
言を総合すると次のとおり認定することができる。同土地改良区は、昭和三〇年五
月二日頃訴外F1に対し被控訴人地並びにこれの北側に隣接する同所i番j田およ
び同番k田(この二つの田を以下単に北側隣接地という)を、訴外C1に対し控訴
人地を、それぞれ一時利用地として指定した。同土地改良区は、一時利用地の指定
に当つては被指定者に対し、一時利用地指定関係書類による指定地の通知をするほ
か、同区係員が現地に赴き、各指定地の境界に畦畔を設置し、その両端に木製境界
杭を打ち込むこと等により現地においても各指定地を指示するのが通常であつた
が、控訴人地と被控訴人地の指定についても右の例外ではなく、同土地改良区は右
F1、右C1に対し一時利用地指定関係書類により通知するとともに同区係員を派
遣して現地における指示をした。その際同区係員は(ハ)(ニ)線上に畦畔を設置
し、本判決添付図面の(ハ)点、(ニ)点に木製杭を打ち込んだ。F1、C1はと
もに右指示による(ハ)(ニ)線が両地の境界として正しいものと信じて疑わず、
両地の実測等をすることもなく、右(ハ)(ニ)線を両地の境界として、それぞれ
自己に指定された一時利用地として両地(F1についてはその北側隣接の指定地を
含めて)の使用を開始した。両名は、昭和三〇年六、七月頃右(ハ)点、(ニ)点
の木製杭が腐るおそれがあるところから、双方合意、立会の上、右(ハ)点と
(ニ)点にさらにコンクリート杭を打ちこんだ。その後本件土地改良事業の換地計
画に基きF1、C1に対して換地処分がなされ、両名に対し換地関係書類による本
換地の通知がなされて、右換地処分は昭和三五年九月一四日頃その効力が生じた
が、右処分によりF1、C1に本換地された土地は前記一時利用地として指定され
た土地と全く同一の場所、区画、範囲の土地であつた。そのため両名は、本換地の
際も本換地された土地につき実測等をすることもなく、前記(ハ)(ニ)線の境界
を本換地された被控訴人地、控訴人地の境界と信じて疑わず、同線を境界としてそ
れぞれ自己に本換地された当該土地(F1については北側隣接の本換地を含めて)
につき所有者としての使用、占有を開始した。控訴人は右C1から昭和三六年四月
頃及び翌三七年四月頃の二回にわけて、本換地された控訴人地を、これが右各関係
書類記載の面積六五九坪あるものとして買受けたが、この売買に際し控訴人は現地
で前記畦畔と右(ハ)点、(ニ)点のコンクリート杭を確認したので、(ハ)、
(ニ)線を被控訴人地との境界と信じ、特に実測等をすることもなく、昭和三六年
秋頃に右畦畔を基準にして控訴人地の埋立てをし、昭和三七年一〇月二二日頃
(ハ)(ニ)線から五〇センチメートル隔てて自己の倉庫を建築し、同線上に木柵
をつくり、有刺鉄線を張つた。一方被控訴人は右F1から昭和三八年一〇月頃及び
翌三九年二月頃の二回に分けて、本換地された被控訴人地及び北側隣接地を、これ
らの合計が右各関係書類記載の合計面積六七六坪のものとして買受けたが、この売
買に際し被控訴人組合長理事らはF1の指示により現地で前記畦畔と右(ハ)点、
(ニ)点のコンクリート杭を確認し、かつ、前記のように埋立てられた控訴人地、
前記のように建てられた控訴人の倉庫をみて、(ハ)(ニ)線が被控訴人地と控訴
人地との境界と信じて、特に実測等をすることもなく、その頃被控訴人地及び北側
隣接地の引渡しをうけてこれの占有をはじめた。その後控訴人は、昭和四七年に新
潟県が県道和合線を拡幅するため控訴人地先を測量するに際し、同県からその測量
を請負つた測量会社に指摘されてはじめて前記換地処分関係書類記載の控訴人地と
被控訴人地との境界と現地のそれとの間に齟齷があり、控訴人地の間口、面積は
(ハ)(ロ)線をもつて劃する現地の間口、面積より本来広いものであることに気
付き、このため本件紛争が惹起されるにいたつた。かように認めることができ、こ
の認定を覆えすに足りる証拠はない。
 三 進んで、本件係争地附近の関係書類の記載について検討する。
 本件係争地の占有状態とその沿革等については右二に認定したとおりであるが、
この認定事実に前出甲第一ないし第三号証、第五ないし第七号証、第二九号証、第
四六号証、乙第二、第三号証の各一ないし四、第四号証の一、二、成立に争のない
甲第一八、第一九号証、第二二、第二三号証、第三〇ないし第三二号証、第三四号
証、原本の存在とその成立に争のない甲第四七号証、原審証人B1、C1、D1、
E1、H1、F1、G1、I1、原審における鑑定人J1の鑑定の結果、原審にお
ける検証の結果を総合すると次のとおり認定することができる。
 前記C1に通知された前記認定の一時利用地指定関係書類及び換地関係書類記載
の控訴人地の面積、右各関係書類等によつて本件換地処分後なされた控訴人地の登
記簿上の面積はいずれも本判決添付図面の(イ)、(ロ)、(2)、(7)、
(イ)の各点を順次結ぶ直線で囲まれた土地の面積にほぼ等しく、この面積はまた
右各関係書類の基礎となつた換地測量図(甲第二九号証)、更正図原図(甲第四六
号証)各記載の控訴人地の面積にほぼ等しく、右更正図原図記載の同地の間口は本
判決添付図面の(7)、(イ)の各点間及び(2)、(ロ)の各点間の各距離にほ
ぼ等しく、この各距離は、本件換地処分後の昭和四二年九月四日なされた控訴人地
先の用悪水路の控訴人に対する払下に関する払下関係書類中の控訴人地の間口の当
初の記載にほぼ等しい(成立に争のない甲第三〇号証によると右の当初の右間口の
記載三三・一八メートルが昭和四六年一二月二八日に三一・五八メートルと訂正さ
れていることが分るが、前掲各証拠からすると、右訂正は右に説示した各書類、更
正図原図の控訴人地及びその附近の土地の面積、間口に関する記載と符合しないの
みならず、訂正当時の右用悪水路の権利者たる控訴人の充分な了解をえることなく
右土地改良区においてこれをなしたものであることが認められるのであつて、右訂
正の正確性、正当性はとうてい首肯しえない。)。
 また、前記F1に通知された前記認定の一時利用地指定関係書類及び換地関係書
類記載の被控訴人地及び北側隣接地の各面積、右各関係書類等によつても本件換地
処分後なされた被控訴人地及び北側隣接地の登記の登記簿上の各面積はいずれもそ
れぞれ本判決添付図面の(イ)、(ロ)、(D)、(I)、(イ)の各点を順次結
ぶ直線で囲まれた土地の面積及び同図面の(I)、(D)、(へ)、(ホ)、
(I)の各点を順次結ぶ直線で囲まれた土地の面積にほぼ等しく、この各面積はま
た右各関係書類の基礎となつた換地測量図(甲第二九号証)、更正図原図(甲第四
六号証)各記載の被控訴人地及び北側隣接地の各面積にほぼ等しく、右更正図原図
記載の両地の間口は本判決添付図面の(イ)、(I)(又は(ロ)、(D))の各
点間及び(I)、(ホ)(又は(D)、(へ)の各点間の各距離にほぼ等しく、同
図面の(イ)、(ホ)(又は(ロ)、(へ))の各点間の距離は昭和四二年九月一
三日頃なされようとした被控訴人地及び北側隣接地先の用悪水路の被控訴人に対す
る払下関係書類中の両地の間口の合計の記載にほぼ等しい。かように認めることが
でき他にこれを左右すべき証拠はない。
 四 次に本件境界について考察する。
 以上、二、三に各認定した事実及び本件弁論の全趣旨からすると、本件換地計画
によつて定立され、本件換地関係書類によつて本件各当事者の前所有者たる前記C
1、F1に対し通知された換地処分により本換地となつた控訴人地と被控訴人地と
は、本判決添付図面の(イ)、(ロ)の各点を結ぶ直線(以下(イ)、(ロ)線と
いう)で隣接するものであるが、g土地改良区係員が前記のように現地において同
境界を指示した際誤つてこれを(ハ)、(ニ)線であると指示し、そのため両地に
つき、換地関係書類及び公簿上の面積と実測上の面積との間に通常許容されうる測
量上の誤差を超える齟齬が生じ、これが本件紛争を惹起したと認められ、他にこの
判断を左右すべき資料はない。右の事実によれば、本件両土地の境界は、換地計画
に基づきなされた前記換地処分により成立したものであるから、一時利用地指定の
際に土地改良区係員による現地における境界の指示がこれと異つていたとしても、
右換地処分により設定された両地の境界に影響を及ぼすものではないというべきで
ある。従つて、本件境界は(イ)(ロ)線であると認めるのが相当である。
 五 そこで、被控訴人の抗弁について判断する。本件係争地の所有権を時効によ
つて被控訴人が取得したことは後記説示のとおりであるところ、これにより控訴人
が本件境界確定の訴について当事者たる適格を失うか否かについて考察する。
 <要旨>後記認定のとおり、被控訴人によつて本件係争地が時効取得される結果、
同所c番の土地中控訴人の所有する土地部分は被控訴人地と隣接しないこと
になる。しかしながら、本件においては、公簿上控訴人を所有名義人とする同所c
番の土地と被控訴人地とは隣接する関係にあり、かつ、右のように被控訴人により
時効取得された本件係争地は、登記簿上控訴人地すなわち同番の土地と表示されて
いる土地の一部であつて、控訴人は依然として同番の土地の他の部分の所有者であ
る。そして、同番の土地につき被控訴人による取得時効が成立するか否か及びその
対象となる土地部分の範囲は本件両地の境界が奈辺にあるかにより定まる関係にあ
り、右取得時効にかかる土地部分を含めて控訴人所有地として公示されている同番
の土地と被控訴人所有にかかる隣接地番の土地との境界が不明確であることが両者
間の本件紛争の基本的原因をなしているものであるから、控訴人は、本件境界を確
定するにつき法律上の利益を未だ失わず、当事者たる適格を有するものと認めるべ
きである。
 従つて、本件係争地を被控訴人が時効により取得したので、本件境界確定の訴に
ついては控訴人は当事者適格を欠くものであるとする被控訴人の抗弁はこの点で採
用できないものであり、本件につき本件境界は控訴人主張のとおり(イ)、(ロ)
線と確定する本案裁判をするのが相当である。
 六 被控訴人の予備的反訴につき判断する。
 前記二、三に認定した事実からすると、被控訴人は本件係争地の占有をF1から
承継し、F1は昭和三〇年五月二日頃本件係争地の占有を開始したことが明らかで
あるが、F1の右の占有は本件一時利用地の指定に基づいて開始されたものである
から、同人が本件係争地につき所有の意思をもつて占有を開始したということはで
きず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。従つて、被控訴人の同日頃を起算日
とする取得時効の主張は、再抗弁1を判断するまでもなくこの点で理由がなく採用
し難い。
 しかし、前記二、三に認定した事実によれば、F1は本件換地処分が効力を生じ
た昭和三五年九月一四日頃本件係争地を自己所有のものと信じ、所有の意思をもつ
てこれの占有を開始したこと、その後本件係争地につき被控訴人がF1の占有承継
人となり、昭和四五年九月一四日頃もこれを占有していたことが明らかである。控
訴人は、F1は本件係争地の占有開始にあたりこれが自己所有のものでないことを
知つていたと再抗弁(再抗弁2)するが、これの理由のないことは前記二、三の認
定事実から明らかであり、右再抗弁は排斥を免れない。
 そしてF1が右のように本件係争地を自己のものと信じたことについては右認定
事実およびこの認定に用いた各証拠によつて次の事実を認めることができる。
 (1)前記のとおり本件一時利用地指定の際前記土地改良区の係員は現地におい
て本件境界を畦畔、木製杭等により(ハ)(ニ)線であると明示した。(2)当時
同土地改良区の係員による右の指示に前記のような過誤があるなどとはF1にとつ
てとうてい考え難いところであつた。(3)当時本件係争地及びその附近の土地に
つき登記簿、公図等が未整備であつてF1はこれらの閲覧をすることができなかつ
た。(4)本件係争地の面積は被控訴人地の面積に較べて僅少であつたので、当時
F1にとつて本件係争地が被控訴人地に含まれていないと気付くことは困難であつ
た。(5)右指定の際、F1は被控訴人地とともに北側隣接地についても同時に一
時利用地の指定を受けたので、右のことはF1にとつて一そう気付きにくいもので
あつた。(6)昭和三五年九月一五日頃効力を生じた本件換地処分によりF1に本
換地された被控訴人地、北側隣接地は同人に対する一時利用地と同一の場所、区
画、範囲の土地とされたので、右の本換地についても右(1)ないし(5)の状況
はそのまま引継がれ、F1は前記一時利用地がそのまま本換地として自己のものに
なり、(ハ)、(ニ)線の境界に変動はないと信じて疑わなかつた。(7)前記C
1もまた右と同様(ただし右(5)を除く)の状況の下で本件境界は(ハ)、
(ニ)線であると信じ、本件係争地は自己の所有に属しないものと考えていたの
で、当時は格別の問題も生じなかつた。
 かように認められるのであつて、これらの事実に鑑みるとき、F1が昭和三五年
九月一四日頃本件係争地を自己のものと信じてこれの占有を開始するにあたり、同
人がそう信じたことについて同人に過失がなかつたと認むべきであり、他にこの判
断を左右すべき証拠はない。
 そうすると、F1の占有承継人たる被控訴人は本件換地処分後一〇年を経過した
昭和四五年九月一四日頃時効により本件係争地を取得したというべきであり、同地
の所有権の帰属につき当事者間に争があることは本件弁論の全趣旨により明らかで
あるから、同地に対する被控訴人の所有権の確認を求める被控訴人の予備的反訴請
求は理由がある。
 七 以上の次第で、控訴人の本訴請求については控訴人主張のとおり本件境界を
確定すべきであり、これと異る原判決は本判決主文第一項のとおり変更を免れず、
控訴人の本件控訴は理由があるが、被控訴人の予備的反訴請求もまた理由があり、
本判決主文第二項のとおり認容すべきものである。
 よつて、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九六条、第九二条本文に従い、主
文のとおり判決する。
 (裁判長判事 外山四郎 判事 海老塚和衛 判事 鬼頭季郎)
(別 紙)
<記載内容は末尾1添付>

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛