弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人三宅正太郎上告趣意第一点について。
 原審は、所論「刑法の一部を改正する法律」の施行後において判決するに当り、
被告人の本件犯行の日時を、右法律の施行前たる昭和二二年七月二日頃と認定して、
刑法第五五条を適用したのであるから、「この法律施行前の行為については、刑法
第五五条の改正規定にかかわらず、なお従前の例による」旨の前記法律附則第四項
に従つたことは、おのずから明かである。有罪判決において、罪となるべき事実の
認定に法令の適用を示すには、その事実に対し現に効力を有する法規の適用を示せ
ば足りるのであつて、その法規が現に効力を有する事由に関する法規にまで遡つて
これを示す必要はない。されば、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判決はその主文において、本件銀塊を何人から没収するかを明示していないこ
とは所論のとおりであるが、その趣旨とするところは、共同被告人たる被告人等三
名に対して没収を附加したこと、判文上十分認められる。されば、原判決には所論
のような違法はなく論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原審は、被告人の原審公判廷における供述を採用して所論の金額を認定し、この
点に関する第一審公判調書記載のAの供述を排斥したものであることは、原判決の
認定事実と原判決の引用した証拠の内容とを対照すれば明かである。しかのみなら
ず、被告人がAから所論の金額を借受けたことは、本件犯罪の罪となるべき事実で
はないから、これを認めた理由を証拠によつて説明することは法律の要求するとこ
ろではない。従つてこの点に関する論旨も理由がない。
 同第四点及び第五点について。
 記録を調べて見ると、所論の銀地金九貫匁は、Aが提出したものを司法警察官が
証拠品として領置したこと、領置品目録と題する書面によつて明かである。同書面
の備考欄及び銀地金引渡書と題する書面によれば、右銀塊は札幌警察署から連合国
軍政部に移管されたことは所論のとおりであるが、押収物については、所有者その
他の者をしてこれを保管せしめ得ること、刑事訴訟法第一六四条第二項の規定する
ところであるから、他に移管した事実のみによつて、押収の効力は消滅するもので
はない。そして第一審及び第二審の公判調書によれば、裁判長は公判廷で右銀塊を
被告人に示して適法に証拠調べをしていることが明かであるから、右銀塊は押収物
として現存したものと言わなければならない。されば、右銀塊の存在しないことを
前提とする論旨はいずれも理由がない。
 同第六点について。
 自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には被告人は有罪とされないことは
憲法第三十八条第三項の規定するところである。被告人の自由が、当該被告人以外
の者の供述その他の証拠によつて、補強せられる場合には有罪の認定がなされるこ
とは論を待たない。そして、自白を補強する証拠は、それによつて自白の真実であ
ることが肯認され得るものであることを要するが、補強証拠の種類については法定
の制限はない。共同被告人の供述といえども、右の要件を具えるかぎり補強証拠と
して役立つものである。そして、共同被告人の供述が右の要件を具えるかどうかは
事実審たる裁判所の自由心証によつて定まる問題である。今、本件について、原判
決は被告人の原審公判廷における自白の外、原審共同被告人Bの供述、第一審共同
被告人Aの第一審公判調書中の供述記載及び押収に係る銀地金九貫匁の存在(この
押収物が現存することは前論点において説明したとおりである)を証拠として引用
しているので原判決は被告人の自白を唯一の証拠として所論の事実を認定したもの
ではないから論旨は理由がない。
 よつて、裁判所法第一〇条第一号刑事訴訟法第四四六条により主文のとおり判決
する。この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二十三年七月十四日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    三   淵   忠   彦
            裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
 裁判官庄野理一は退官につき署名捺印することが出来ない。
         裁判長裁判官    三   淵   忠   彦

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