弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人の請求をいずれも棄却する。
     訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人加藤和夫、同中野哲弘、同飯村敏明、同青木明、同岡崎謙琇、同後藤
晴男、同杉本文一、同本川のり子の上告理由について
一 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。(1) 被上告人は自己
の登録意匠(以下「本件本意匠」という。)を本意匠とする類似意匠の意匠登録出
願をしたが(以下、右出願に係る意匠を「本願意匠」という。)、本願意匠は先に
意匠登録出願がされた他人の意匠(以下「本件引用意匠」という。)に類似してい
た。(2) 本件引用意匠は、本件本意匠の意匠登録出願後、本願意匠の出願前に意
匠登録出願がされたものであるところ、右出願については拒絶査定が確定している。
(3) 被上告人は、本願意匠の意匠登録出願につき拒絶査定を受けたので、これを
不服として審判請求をしたところ、特許庁は、本件引用意匠と本件本意匠との類否
について判断することなく、本願意匠は本件引用意匠に類似するから意匠法九条一
項所定の登録要件を充足せず、意匠登録を受けることができないとして、被上告人
の審判請求は成り立たない旨の審決(以下、これを「本件審決」という。)をした。
 原審は、右事実関係の下において、次のとおり判断して本件審決を取り消した。
(1) 類似意匠の意匠登録出願の際に、右出願より先に意匠登録出願がされた他人
の意匠(以下「先願意匠」という。)が存在し、かつ、前者の意匠が先願意匠に類
似する場合でも、先願意匠が本意匠の意匠登録出願後に出願され、本意匠に類似す
るときは、先願意匠は、本来、本意匠の意匠権の及ぶ範囲に属するものとして実施
が許されないはずのものであるから、そのような先願意匠に類似意匠の意匠登録出
願との関係で先願としての地位を認めることはできない。(2) したがって、類似
意匠の意匠登録出願に係る意匠が先願意匠に類似する場合であっても、先願意匠が
本意匠の意匠登録出願後に出願され、本意匠に類似するものであって、その出願が
拒絶されたものであるときは、類似意匠の意匠登録出願に係る意匠は、本意匠に類
似するものである限り、意匠法一〇条一項により意匠登録を受けることができると
解するのが相当である。(3) そうすると、本件審決が、本件引用意匠と本件本意
匠との類否について判断することなく、本件引用意匠に本願意匠に対する先願とし
ての地位を認めたのは違法である。
二 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のと
おりである。
 類似意匠の意匠登録出願に係る意匠が先願意匠と類似する場合には、先願意匠の
意匠登録出願が取り下げられ又は無効にされたときを除き、先願意匠が本意匠に類
似するかどうかにかかわらず、右類似意匠の意匠登録出願は、意匠法九条一項によ
り拒絶されるべきものと解するのが相当である。けだし、意匠法九条一項の規定の
適用上、意匠登録出願が初めからなかったものとみなされるのは、同条三項により
その意匠登録出願が取り下げられ、又は無効にされたときに限られていることから
すれば、先願の意匠登録出願につき拒絶査定が確定したとしても、その意匠登録出
願が先願としての地位を失うものではないと解すべきだからである。右のように解
したとしても、本意匠の範囲には影響しないから、本意匠の保護を目的とする類似
意匠登録制度の趣旨を損なうものではない。また、右の場合に本意匠の意匠権者が
類似意匠の意匠登録を受けることができなくなるのは、その意匠登録出願が先願意
匠の意匠登録出願に後れたためであって、意匠法が類似意匠の意匠登録出願の時期
について本意匠の意匠権者を優遇する特別の規定を設けていない以上、やむを得な
いものというべきである。
 これと異なる判断の下に本件審決に違法があるとした原判決には法令の解釈適用
を誤った違法があり、この違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、前記事実関係の下において
は、本願意匠が意匠法九条一項所定の登録要件を充足せず、意匠登録を受けること
ができないとした本件審決に違法はなく、他に被上告人は本件審決の取消事由を主
張していないから、その取消しを求める被上告人の本訴請求は理由がないのでこれ
を棄却すべきである。
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、九六条、八九条に従い、裁判官全
員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   西   勝   也
            裁判官    中   島   敏 次 郎
            裁判官    根   岸   重   治
            裁判官    河   合   伸   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛