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平成20年6月24日判決言渡
平成19年(行ケ)第10394号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成20年4月22日
判決
原告株式会社ワンズハート
被告Y
訴訟代理人弁理士高良尚志
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が取消2006−31210号事件について平成19年10月15
日にした審決を取り消す。
第2争いのない事実等(証拠を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)
1特許庁における手続の経緯
(1)原告及び訴外K(以下「K」という。)は,「マイクロクロス」の文字
を標準文字で書してなり,指定商品を第24類「織物(畳べり地を除
く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,タオルその他の
布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,ま
くらカバー,毛布,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,布製ラベ
ル」とする,登録第4706725号の商標(平成14年10月30日登
録出願,平成15年9月5日設定登録。以下「本件商標」という。)に係
る商標権(以下「本件商標権」という。)の共有者であった(甲20,2
1)。
(2)被告は,平成18年9月26日,本件商標の指定商品中「ふきん」につ
いて登録の取消しを求める商標法50条に基づく審判を請求し(取消20
06−31210号事件,以下「本件審判」という。),同請求は,同年
10月18日,登録された(以下「本件予告登録」という。甲20)。
(3)その後,平成19年2月6日に,本件商標権中,Kの持分が原告に移転
された旨の登録がされた(甲20)。
(4)特許庁は,平成19年10月15日,「登録第4706725号商標の
指定商品中『ふきん』については,その登録は取り消す。」との審決(以
下「審決」という。)をし,同月25日,その謄本を原告に送達した。
2審決の理由
別紙審決書写しのとおりである。要するに,審決は,以下のとおり,本件
商標の通常使用権者である訴外株式会社マイクロクロス社(以下「マイクロ
クロス社」という。)が使用したと主張する商品(以下「使用商品」とい
う。)は,指定商品「ふきん」に該当するとはいえないと判断した。
(1)原告(被請求人)がマイクロクロス社の業務に係るものと主張する使用
商品(甲10〔審決における乙5〕,枝番号の表記は省略する,以下同
じ。)の包装袋(以下「本件包装袋」という。甲9〔審決における乙4
〕)の表面には,看者の注意を強く引く態様で「食器類のふきんに最適」
などと記載されているものの,本件包装袋の裏面の「ご使用用途」にふき
んについての記載がないことからすると,本件包装袋の表面の上記記載は
極めて不自然である。
本件包装袋の裏面には,「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」と記載され
ているが,一般に,ふきんは,洗剤も水もつけず,乾いた状態で食器類を
拭くものであって,食器類の汚れを落とすものではないこと,ふきんの材
質は,吸水性があり,手や器になじむしなやかさのあるものが使いやすさ
の点から求められるところ,使用商品の材質は,ポリエステル70%,ナ
イロン30%であって,吸水性があり,手や器になじむしなやかさのある
材質とは言い難いこと,及び,本件包装袋の裏面のその余の記載に照ら
し,使用商品はふきんに最適であるとは到底認められない。
したがって,本件包装袋の表面に「ふきん」の文字が表示されていると
しても,これのみをもってしては,使用商品が本件審判請求に係る指定商
品に該当するということはできない。
(2)甲9〔審決における乙4〕には,発行年月日の記載がなく,いつ使用さ
れたのか不明である。また,甲8,11,13〔審決における乙3,6,
8〕は,マイクロクロス社に対する依頼書,発注書であるが,作成者が明
示されておらず,また,甲12,14〔審決における乙7,9〕は,マイ
クロクロス社の納品書であるが,納品先が明示されていない上,これらの
書証には,本件審判請求に係る指定商品についての記載が一切ない。
第3当事者の主張
1取消事由についての原告の主張
本件商標は,本件予告登録前3年以内に日本国内において,本件審判請求
に係る指定商品「ふきん」について,通常使用権者及び商標権者が,その使
用をしていた。したがって,指定商品「ふきん」に使用した事実が証明され
ていないとした審決は誤りであり,取り消されるべきである。
(1)取消事由1(マイクロクロス社による使用)
ア審決は,「ふきん」の一般的な用途,性質,大きさ,材料などと対比
して,使用商品が,指定商品「ふきん」に用いられているとの原告の主
張は不自然であると判断した。すなわち,「ふきん」は,一般に,「食
器をふいたり,食物を濾(こ)したり,あるいは蒸すときなどに用いる
布。普通食卓や調理台をふく台ぶきんとは区別している」,「洗剤も水
もつけず,乾いた状態で食器類を拭くものであるし,食器類の汚れを落
とすものではない。」,「大きさは35センチ×45センチのものが一
般的で,材質には木綿のほかに麻,混紡(綿と麻,綿とレーヨン,綿と
ポリージック),不織布,使い捨てのペーパータオルなどもある。吸水
性があってけば立たず,手や器によくなじむしなやかさのあるもの,ま
た乾きやすくてじょうぶなもの」,「材質は,吸水性があり,手や器に
なじむしなやかさのあるものが使いやすさの点から求められる」などの
特徴を有しているから,使用商品が「ふきん」に該当するとはいえない
と判断した。
しかし,審決の上記判断は,以下のとおり誤りである。
すなわち,①食物を濾すという行為は調理の際に行う動作であり,こ
れに用いる布は,主に「ガーゼ」,「さらし」,「麻」と表記されてお
り,また,今日では濾し器も販売されているから,食物を濾す際にふき
んを使用するというのは,一般的ではない,②「ふきん」の大きさにつ
いて規格があるわけではなく,どのような大きさの商品を製造販売する
かは,当該製造者の判断によるものであって,市場では様々な製造者に
より多種多様な大きさのふきんが販売されている,③「ふきん」の材料
としては,「綿と麻」,「綿とレーヨン」,「綿とポリージック」など
の混紡に限られず,使用商品に用いられているマイクロファイバーも用
いられ,また,市場で販売されている「ふきん」の素材には,ポリエス
テル70%,ナイロン30%のものや,ポリエステル80%,ナイロン
20%のものがある。
これに対して,使用商品は,ポリエステル70%,ナイロン30%と
いう素材で単純に構成されているものではなく,超極細繊維(マイクロ
ファイバー,1本の太さが1デニール以下〔髪の毛の100分の1〕)
からなるものであって,従来の製品と比べ,水分を数倍以上吸収するも
のであるから(甲19),食器類をから拭きする場合により高い効果を
発揮するものであり,しなやかで,速乾性に優れ,超極細繊維(マイク
ロファイバー)を用いているため,原糸が切れにくく,食器等をから拭
きする場合,けば立たず,きれいに拭くことができるし,洗剤を使用せ
ず,クスミや曇りを取り除くことができ,環境にやさしいという特徴が
ある。
したがって,「ふきん」の一般的な用途,性質等から,使用商品が「
ふきん」に含まれないとした審決には誤りがある。
イ審決は,使用商品において,その包装袋の裏面の「ご使用用途」にふ
きんについての記載がないにもかかわらず,表面には,看者の注意を強
く引く態様で「食器類のふきんに最適」などと記載されている点におい
て不自然であると判断している。
しかし,審決の上記判断は,以下のとおり誤りである。
(ア)台所,窓ガラス,家具,浴室,床,網戸等の汚れを拭き取るため
の「雑巾」として用いられる商品について,食器類の「ふきん」にも
最適であると表示することが,不自然であるとはいえない。
また,使用商品において,本件包装袋の表面に貼り付けられた赤地
楕円片の「食器類のふきん」との記載も,以下の事情に照らすなら
ば,何ら不自然な点はない。すなわち,使用商品の納品先は住宅販売
の大手企業であり,マイクロクロス社は,住宅全般(キッチン周りを
含む。)に使用できるような説明表記とすることを求められたことか
ら,その意向に添って本件包装袋の表記・図案を作成した。その後,
上記納品先が,その顧客から,グラスを拭くととてもきれいになると
いう指摘を受けたことから,食器拭きであることをわかりやすくする
ために,赤地楕円片を貼付し,納品するようにしたとの事情がある。
なお,本件包装袋の裏面に,「漆製品等にはご使用にならないで下
さい。表面にキズが付く場合があります。」という記載があるのは,
食器を拭く「ふきん」として使用することを想定したものである。
(イ)被告は,甲4に,「ハイテク繊維の力で水拭きだけで汚れを落と
す便利なダスターです。カラ拭きでも使えます。洗って繰り返し使え
ます。」と記載されていることから,本件商品は,ダスター,すなわ
ち「雑巾」であり,「ふきん」ではないと主張する。しかし,甲4
は,使用商品の納品先が作成したものであって,マイクロクロス社が
作成したものではない。甲9には,「ダスター」あるいは「雑巾」の
文字は記載されていない。
ウ審決は,甲9〔審決における乙4〕には,発行年月日の記載がなく,
いつ使用されたのか不明であり,また,甲8,11,13〔審決におけ
る乙3,6,8〕は,マイクロクロス社に対する依頼書,発注書である
が,作成者が明示されておらず,また,甲12,14〔審決における乙
7,9〕は,マイクロクロス社の納品書であるが,納品先が明示されて
いない上,これらの書証には,本件審判請求に係る指定商品についての
記載が一切ないことを,指摘する。
しかし,市場で販売されているキッチン用品及び日用雑貨品のパッケ
ージに製造年月日や発行年月日を記載した商品はなく,そのような記載
をする義務はない。また,発注書・納品書における取引先の名称をマス
キングしたのは,マスキングした提出も可能であるとの審判官の回答に
従って提出したためである。
(2)取消事由2(原告による使用)
原告は,以下のとおり,原告の業務に係る商品(キッチン用ふきん,以
下「原告商品」という。)を訴外株式会社創和(以下「創和」という。)
及び訴外朝日エムイー株式会社(以下「朝日エムイー」という。)に販売
するに際し,原告商品の包装袋(以下,創和に対し納品したとされるもの
を「原告(創和)包装袋」,朝日エムイーに対し納品したとされるもの
を「原告(朝日エムイー)包装袋」とそれぞれいい,これを併せて「原告
包装袋」という。)等に本件商標を付し,これ販売することにより,指定
商品「ふきん」について本件商標を使用した。
ア原告商品
原告商品は,サイズが30cm×30cm,カラーがホワイトであ
る(甲30∼36)。原告包装袋には,表面には,「マイクロクロ
ス」,「キッチン用ふきん」と表示され,裏面には,「ふきんの特長」
として,「キッチンでお使いのグラス・お皿などを拭くのに最適で
す」,「マイクロクロスは,けば立ちなくガラス等の食器を拭き取りま
す」,「マイクロクロスは吸水性に優れており,従来の綿素材と比べ,
水分を素早く吸収します」などと記載され,また,「ご使用用途」とし
て,「グラス・食器・調理器具等のから拭き」などと記載されている(
甲30,33)。
イ創和に対する原告商品の販売
原告は,平成15年10月9日,創和に対し,本件商標を付した原告
商品(数量5万個)を納品するとともに,代金1250万円を請求し(
甲31,32),その際,創和から上記代金のうち,715万1250
円の支払を現金で受け,同年11月20日,約束手形(振出人:創和,
支払日:平成16年3月31日)により,600万円の支払を受けた
が,上記約束手形は不渡りとなって,平成16年3月31日に返還され
た(甲37)。
ウ朝日エムイーに対する原告商品の販売
原告は,平成16年9月25日,朝日エムイーに対し,本件商標を付
した原告商品(数量2万個)を納品するとともに,代金532万875
0円を請求し(甲34,35),その際,朝日エムイーから上記代金の
うち,232万8750円の支払を現金で受け,同年10月20日,約
束手形(振出人:朝日エムイー,支払日:平成17年4月25日)によ
り,300万円の支払を受けたが,上記約束手形は不渡りとなって,平
成17年4月26日に返還された(甲38)。
2被告の反論
(1)取消事由1(マイクロクロス社による使用)に対し
以下のとおり,使用商品が指定商品「ふきん」に該当しないとした審決
の認定判断に誤りはなく,マイクロクロス社が使用商品を販売することに
より,本件審判における被告請求に係る指定商品「ふきん」について本件
商標を使用したということはできない。
ア原告は,審決が「ふきん」の一般的な用途,性質,大きさ,材料など
と対比して,使用商品が指定商品「ふきん」に該当しないとした判断に
誤りがあると主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
(ア)審決は,使用商品が「ふきん」に該当しないと認定した理由とし
て,①本件包装袋の表面に「食器類のふきんに最適」などと記載され
た赤地楕円片が貼付されている点が,本件包装袋の裏面における用途
の記載に照らし,極めて不自然であること,②本件包装袋の裏面に記
載された「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」等の文言からみても,使
用商品が「ふきん」に最適であるとは認められないことを挙げてお
り,上記①及び②の理由は,使用商品の材質自体が「ふきん」として
使用可能なものであるか否かに左右されるものではない。
また,使用商品が水分を3倍以上吸収するものであり,しなやかで
あるなどの特徴を有していたとしても,使用商品が,「ふきん」(す
なわち,「食器をふいたり,食物を濾(こ)したり,あるいは蒸すと
きなどに用いる布」)として,最適であるか否かは明らかでない。
(イ)なお,商品及び役務の区分における各区分に属する商品又は役務
は,標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する195
7年6月15日のニース協定第1条に規定する国際分類に即して(商
標法施行令〔平成18年政令第342号による改正前のもの。以下,
単に「商標法施行令」という。〕1条),商標法施行規則(平成18
年経済産業省令第95号による改正前のもの。以下,単に「商標法施
行規則」という。)別表に定められており(商標法施行規則6条),
国際分類(第8版)の第21類に属する「清浄用具」は,商品及び役
務の区分第21類の「清掃用具及び洗濯用具」に対応し,同区分第2
4類の「ふきん」は,上記国際分類の第24類の商品中,「織物及び
織物製品であって他の類に属しないもの」に対応する(乙1)。
本件審判請求に係る指定商品「ふきん」についても,上記と同趣旨
に理解すべきである。
イ原告は,本件包装袋の図案・表記は住宅販売の大手企業である納品先
の意向に沿ったものであり,その後,納品先の顧客から評価された食器
拭きとしてわかりやすくするために赤地楕円片を包装袋表面に貼り付け
納品したのであり,赤地楕円片を貼り付けたのは納品先の依頼に基づく
ものであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
(ア)使用商品の納品先と思われるダイワハウスグループのロイヤルホ
ームセンター株式会社(以下「ロイヤルホームセンター」という。)
の取り扱いに係る住宅用清掃用具セット「ハウスキーピングセット」
に関する,次の事実とも整合しない。
「ハウスキーピングセット」は,平成19年2月22日の時点で
は,甲3の包装袋(以下「他社包装袋」という。)に包装された布製
品(以下「他社商品」という。)を蓋の前部に青字で「ダイワハウ
ス」と記載されたバケツ(甲17)に収容していたが,同日より前
は,他社商品を蓋の前部に赤字でダイワハウスと記載されたバケツ(
甲2)に収容しており,それよりさらに前には,使用商品を収容して
いた。その当時,マイクロクロス社から納品された使用商品の包装袋
は,本件包装袋から赤地楕円片を除去したものであり,他社包装袋と
は,「ROYALCLOTH」ではなく「MICROCLOT
H」と,「ロイヤルクロス」ではなく「マイクロクロス」と記載され
ている点,「DaiwaHouseGroup」の表示がなかっ
た点で相違する。また,使用商品は,他社商品とは,タグに「ROY
ALCLOTH」ではなく「MICROCLOTH」と記載され
ている点,「DaiwaHouseGroup」の表示がなかっ
た点で相違する。
原告の主張によれば,納品先の意向に沿って作成された上記包装
袋(本件包装袋から赤地楕円片を除去したもの)に,納品先の依頼に
より,「食器類のふきんに最適」との記載のある赤地楕円片を貼り付
けたことになるが,他社包装袋に「食器類のふきんに最適」であると
の表示がなされていないことと整合しない。
(イ)原告は,本件包装袋の裏面に「漆製品等にはご使用にならないで
下さい。表面にキズが付く場合があります。」と記載されているの
は,使用商品について,食器を拭く「ふきん」として使用することを
想定していたからであると主張する。
しかし,漆製品としては,椀等の食器の他に「家具」があり,本件
包装袋の裏面の用途として,「家具」は明記されているが,食器はど
こにも記載されていないこと,本件包装袋の裏面の記載は,一貫し
て,台所,家具,窓ガラス,床,浴槽等の汚れを落とすことが目的と
されていることからすれば,原告の上記主張は失当である。
(2)取消事由2(原告による使用)に対し
原告は,本件商標の商標権者である原告が,原告商品を創和及び朝日エ
ムイーに販売することにより,本件商標を使用した旨主張し,当該事実を
証明するものとして,甲30ないし36を挙げる。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は,本訴の第2回口頭弁論にお
いて突如なされたものであって,従前の主張と整合しない不自然な主張で
あること,甲30ないし36は,原告が作成したものか,原告商品に係る
取引との関連性が明らかでないものであって,いずれも客観性を欠く証拠
であることからすれば,本件予告登録前3年以内に日本国内で商標権者に
より本件商標の使用がなされていたことは,証明されていない。
ア主張時期等の不自然さについて
(ア)原告は,原告商品の写真や同商品に関する取引書類等について,
いつでも書証として提出することができたはずである。しかるに,原
告は,本件商標の使用に関し,審判手続の段階から本訴の第1回口頭
弁論に至るまで,専らマイクロクロス社の業務に係る使用商品につい
て主張し,原告商品の存在を主張していなかったにもかかわらず,本
訴の第2回口頭弁論において,原告自らの業務に係る原告商品が存在
する旨を主張した。同主張は,その主張内容及び時期において極めて
不自然である。
(イ)原告が本件審判の手続においてした主張及び提出した書証によれ
ば,平成15年6月24日以降,使用商品に関する業務は,原告では
なく,マイクロクロス社が行うようになり(乙2),原告は,平成1
5年11月14日には,本件商標の使用について,マイクロクロス社
に独占的な権限を付与したものであって(甲6,15),使用表品に
関する取引書類(甲8,11∼14)にも,原告の名称は記載されて
おらず,専らマイクロクロス社が記載されている。
イ原告商品の包装形態,取引態様の不自然さについて
(ア)原告商品の包装形態について
a被告は,本件審判の手続において,使用商品について,次の3点
を指摘した。すなわち,①使用商品のタグ及び本件包装袋に表示さ
れた「MICROCLOTH」の商標(以下「使用商標」とい
う。)と本件商標とは同一でないこと,また,本件包装袋の裏面
の「マイクロクロス」の文字は,商標として使用されているもので
はないこと,②本件包装袋には,表面に貼り付けられた赤地楕円片
を除き,ふきんに関する記載は一切ないこと,また,本件包装袋の
裏面には,台所,窓ガラス,家具,浴室,床,網戸等の汚れを拭き
取るための雑巾類としての記載があるのみであること,③使用商品
の色は汚れが目立ちにくいブルーであり,衛生面が重視される「ふ
きん」の色として不自然であると主張した。
bこれに対し,原告は,審判手続の段階から本訴の第1回口頭弁論
に至るまで,本件商標の使用の事実に関して,使用商品以外の商品
については何ら主張することなく,専ら,使用商標と本件商標の同
一性,使用商品の用途,使用商品の色について,次のとおり,反論
した。すなわち,①使用商標は「マイクロクロス」と読むものであ
り,また,本件包装袋の裏面には「マイクロクロス」との表記が2
ヶ所あること,②使用商品を入手した消費者は,本件包装袋の裏面
の「ご使用用途」を参考に,当該消費者個人の選択において使用す
るものであり,マイクロクロス社は,使用商品を「ふきん」として
製造し,納品しているのであって,雑巾類として納品しているので
はなく,本件包装袋の裏面の「漆製品等にはご使用にならないで下
さい。表面にキズが付く場合があります。」という記載は,食器を
拭く「ふきん」として使用することを想定したものであること,
③「ふきん」は,白色でなければならないという一般常識があるわ
けではなく,「白色」以外の「ふきん」を販売することが禁止され
ているものではない。カラフルなふきんも好まれているのであっ
て,使用商品だけが「ふきん」として大きく逸脱しているとはいえ
ないことなどを反論した。
cしかし,本訴の第2回口頭弁論において,原告が新たに主張した
原告商品は,白色であって,その原告包装袋には,本件商標が大き
く表示され,裏面の「ふきんの特長」欄に「キッチンでお使いのグ
ラス・お皿などを拭くのに最適です。」などと,「ご使用用途」の
欄に「グラス・食器・調理器具等のから拭き従来お使いの,ふき
んと同様にご使用ください」などと記載され,被告が使用商品につ
いて指摘した前記aの問題点のすべてを回避した態様であって,極
めて不自然である。
(イ)取引態様について
創和及び朝日エムイーは,それぞれ平成16年3月31日又は平成
17年4月26日までに銀行取引停止処分を受け,事実上倒産した会
社であり(甲37,38),いずれの住所地について調査しても,当
該会社や電話番号の該当者は発見できなかった(乙3)。
(ウ)以上によれば,原告が,平成15年10月9日(創和に対し)及
び平成16年9月25日(朝日エムイーに対し)に,原告商標包装袋
に本件商標を表示して,原告商品を販売したというのは,極めて不自
然というべきである。
ウ創和に対する原告商品の販売の主張に対し
(ア)本件予告登録の日は,平成18年10月18日であるところ(甲
20),原告が,創和に対し,原告商品を販売したとされる日は,平
成15年10月9日であって(甲31,32),本件予告登録よりも
3年以上前であるから,仮に原告が主張するような原告商品の販売の
事実があったとしても,指定商品「ふきん」についての本件商標の登
録の取消しを免れることはできない。
(イ)原告(創和)包装袋(甲30)の記載によれば,原告商品は,会
員を募集する入会キャンペーンの会場への来場者に配布する来場記念
品として用いられたもののようであるが,原告(創和)包装袋には,
その会の名称や内容に関する記載がなく,不自然である。
(ウ)原告は,創和から現金及び約束手形による支払を受けた旨主張す
る。しかし,当該現金の支払があったこと,約束手形(甲37)によ
る支払が,創和に対する請求書(甲32)に係る原告商品の販売に対
するものであったことを示す証拠は存在しない。原告の主張は,客観
的根拠を欠くものである。
エ朝日エムイーに対する原告商品の販売の主張に対し
(ア)原告(朝日エムイー)包装袋(甲33)の記載によれば,原告商
品は,歳末大売り出しの来場の際の入場整理券として用いられたもの
のようであるが,原告(朝日エムイー)包装袋には,歳末大売り出し
の内容や会場に関する記載がなく,不自然である。
(イ)原告は,朝日エムイーから現金及び約束手形による支払を受けた
旨主張する。しかし,当該現金の支払があったこと,約束手形(甲3
8)による支払が,朝日エムイーに対する請求書(甲35)に係る原
告商品の販売に対するものであったことを示す証拠は存在しない。原
告の主張は,客観的根拠を欠くものである。
第4当裁判所の判断
1取消事由1(マイクロクロス社による使用)について
原告は,本件商標の通常使用権者であるマイクロクロス社は,使用商品を
販売することにより,指定商品「ふきん」について本件商標を使用したもの
であると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の主張は失当である。
(1)本件審判における被告請求に係る指定商品「ふきん」の意義について
ア本件商標は,前記第2,1(1)のとおり,指定商品を第24類「織物(
畳べり地を除く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,
タオルその他の布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カ
バー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,カーテン,テーブ
ル掛け,布製ラベル」とするものであり,前記前記第2,1(2)のとお
り,被告は,本件審判において,本件商標の指定商品中「ふきん」につ
いて登録の取消しを求めたものである。
そこで,本件審判請求に係る指定商品である第24類「ふきん」につ
いて,検討する。
イ商品及び役務の区分を定める商標法施行令の別表は,第24類とし
て「織物及び家庭用の織物製カバー」を,第21類として「家庭用又は
台所用の手動式の器具,化粧用具,ガラス製品及び磁器製品」を定めて
いる。また,商標法施行規則の別表は,第24類に属するものとし
て,「六織物製テーブルナプキンふきん」を,第21類に属するも
のとして,「六清掃用具及び洗濯用具」(これらに属するものとし
て,「くまで洗濯板洗濯挟み洗濯ブラシ洗面器雑巾(きん)
たらいたわしちりかごちり取りバケツはたき張り板ほう
きモップ物干しざお物干し用ハンガー」)を定めている。
特許庁商標課編集に係る「商品及び役務区分解説」(改訂第3版)
は,第24類「織物及び家庭用の織物製カバー」につき,「織物及び織
物製品であって他の類に属しないもの」と説明していることは,当裁判
所に顕著である。
これらの規定及び解説を参酌すると,第24類「ふきん」(以下,単
に「ふきん」というときは,第24類「ふきん」をいう。)の概念に
は,第21類に属する「雑巾(きん)」その他の「清掃用具」は含まれな
いと解される(なお,当裁判所は,「ふきん」と,「雑巾(きん)」など
の「清掃用具」とが,互いに類似する商品であるか否かについて判断す
るものではない〔商標法6条3項参照〕。)。
したがって,被告が本件審判において請求した指定商品「ふきん」
は,別異の意義に解する特段の事情の存しない本件では,上記の意義に
理解すべきであるから,「雑巾(きん)」その他の「清掃用具」を含まな
いものと解するのが相当である。
(2)使用商品について
上記を前提として,原告がマイクロクロス社によって販売されたと主張
する使用商品が「ふきん」に属するか否かについて,以下,検討する。
ア事実認定
後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア)マイクロクロス社は,ダイワハウスグループのロイヤルホームセ
ンターとの取引に関して,平成16年8月から平成17年1月にかけ
て,使用商品の発注を受け,平成16年8月から平成17年1月にか
けてこれを納品した(甲4,5,8,11∼14,弁論の全趣旨)。
使用商品は,青色であり,「MICROCLOTH<R>」の文字
が表示されたタグが縫いつけられている(甲10)。
(イ)本件包装袋の表面には,上段に大きな文字で「MICROCL
OTH<R>」と表示され,その下に,小さな文字で「...Make
itclean.」と記載され,これらの文字の左下に,赤地の
横長楕円図形内に,「キッチンの」,「油汚れや食器類の」,「ふき
んに最適」の各文字を三段に横書きした標章が配され,上記「食器
類」と「ふきん」の文字部分が,黄色で縁取りされ,裏面には,表面
と同様に,上段に大きな文字で「MICROCLOTH<R>」と表
示され,その下に,小さな文字で「...Makeitclea
n.」と記載され,これらの文字の下の「洗剤いらず水でサッと拭く
だけ」の箇所には,「髪の毛の100分の1の超極細繊維マイクロク
ロスがお家の中のさまざまな場所の汚れを簡単に取り除きま
す。」,「マイクロクロスは表面と裏面の毛足の長さを変える事によ
り,あらゆる場所の汚れに対応出来ます。」などと記載され,中段
の「ご使用用途」には,「キッチンまわりの油汚れ」,「鏡・窓ガラ
スのくもり」,「たたみ・家具類等のほこり」,「お風呂の湯あ
か」,「フローリング・網戸の汚れ」と記載され,その下の「ご使用
上の注意」には,「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面に
キズが付く場合があります。」,「拭き取り面を傷付けないために,
砂やほこり等は払ってからご使用下さい。無理にこすると表面に傷が
付くおそれがあります。」などと記載され,最下段に「サイズ/21
cm×35cm」,「材質/ポリエステル70%ナイロン30%」
と記載されている(甲9)。
なお,「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された
赤地楕円片は,本件包装袋に印刷されたものではなく,後から表面に
貼り付けられたものである(甲9,弁論の全趣旨)。
(ウ)ロイヤルホームセンターは,大和ハウス工業株式会社が顧客に提
供している住宅用清掃用具セット(「ハウスキーピングセット」)を
取り扱っており,従前は,「ハウスキーピングセット」に,マイクロ
クロス社から納品された使用商品を同梱していたが,現在は,タグ及
び包装袋における「MICROCLOTH<R>」の文字を「ROY
ALCLOTH<R>」の文字に変更するなどした他社商品(仕入れ
先は,従前どおり,マイクロクロス社である。)を同梱している(甲
2∼5,16,17,弁論の全趣旨)。
(エ)他社商品は青色であり,これに縫いつけられたタグには,表側
に,「ROYALCLOTH<R>」の文字,裏側に,2段にわたっ
て,「DaiwaHouse」,「Group」の文字が表示され
ている(甲3)。
他社包装袋は,他社商品を収納するものであり,その表面には,下
段に大きな文字で「DaiwaHouseGroup」と表示さ
れ,上段に大きな文字で「ROYALCLOTH<R>」と表示さ
れ,その下に,小さな文字で「...Makeitclea
n.」と書され,左上には,2段にわたって,「DaiwaHou
se」,「Group」と記載されるとともに,図形標章が配され,
裏面には,表面と同様に,上段に大きな文字で「ROYALCLO
TH<R>」と表示され,その下に,小さな文字で「...Make
itclean.」と記載され,これらの文字の下の「洗剤いらず
水でサッと拭くだけ」の箇所には,「髪の毛の100分の1の超極細
繊維ロイヤルクロスがお家の中のさまざまな場所の汚れを簡単に取り
除きます。」,「ロイヤルクロスは表面と裏面の毛足の長さを変える
事により,あらゆる場所の汚れに対応出来ます。」などと記載され,
中段の「ご使用用途」には,「キッチンまわりの油汚れ」,「鏡・窓
ガラスのくもり」,「たたみ・家具類等のほこり」,「お風呂の湯あ
か」,「フローリング・網戸の汚れ」と記載され,その下の「ご使用
上の注意」には,「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面に
キズが付く場合があります。」,「拭き取り面を傷付けないために,
砂やほこり等は払ってからご使用下さい。無理にこすると表面に傷が
付くおそれがあります。」などと記載され,最下段に「サイズ/21
cm×35cm」,「材質/ポリエステル70%ナイロン30%」
と記載されている(甲3)。
イ判断
(ア)前記アの各事実及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を推認
することができる。すなわち,
a使用商品と他社商品とは,いずれもマイクロクロス社が納品した
商品であって,他社商品は,タグにおける「MICROCLOT
H<R>」の文字に代えて,「ROYALCLOTH<R>」の文
字,2段にわたって「DaiwaHouse」,「Group」
と記載された文字が用いられているほかは,使用商品と同一の布で
ある。
b他社包装袋の記載事項は,「MICROCLOTH<R>」又
は「マイクロクロス」の文字に代えて,「ROYALCLOTH<
R>」又は「ロイヤルクロス」の文字が用いられ,他社包装袋に
は,「DaiwaHouseGroup」の標章等が記載され
ていること,本件包装袋の表面に貼り付けられた「キッチンの油汚
れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片がないことの
ほかは,本件包装袋の記載事項と同一である。
cそして,他社商品は,「ハウスキーピングセット」に同梱されて
いるという点からも,他社包装袋の記載事項からも,第21類「清
掃用具」に含まれる「雑巾(きん)」である。
(イ)上記の事実を総合すれば,本件包装袋の表面に貼付された赤地楕
円片における「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載
は,本件包装袋の裏面に記載された事項と整合しないこと,他社包装
袋に上記赤地楕円片と同様の記載がないことに照らせば,本件包装袋
における表面の赤地楕円片部分は,本件予告登録後に作成されたもの
と判断するのが相当である。
この点について,原告は,本件包装袋の赤地楕円片を除く部分が納
品先の意向に添って作成された後,納品先の顧客から評価された食器
拭きとしての用途をわかりやすく表示するため,「キッチンの油汚れ
や食器類のふきんに最適」との記載を含む赤地楕円片が,納品先の依
頼に基づき包装袋の表面に貼付された旨主張する。しかし,原告の主
張を裏付ける証拠は本件記録を検討してもこれを見出すことができな
いこと,他社包装袋に上記赤地楕円片と同様の記載がないことに照ら
せば,原告主張の事実はこれを認めることができない。
以上のとおり,使用商品も,他社商品と同様に,第21類「清掃用
具」に含まれる「雑巾(きん)」であって,本件審判請求に係る指定商
品「ふきん」には該当しない。
(3)小括
原告主張の取消事由1は理由がない。
2取消事由2(原告による使用)について
(1)創和に対する原告商品の販売について
原告は,平成15年10月9日,創和に対し,本件商標を付した原告商
品を納品するとともに,代金を請求し,同日,その一部の支払を現金で受
け,さらに,同年11月20日,約束手形により,残額の支払を受けたと
主張する。
しかし,仮に原告の主張するとおりの事実があったとしても,原告が創
和に原告商品を納品した日であると主張する平成15年10月9日は,本
件予告登録の日(平成18年10月18日)よりも3年以上前である(な
お,原告が約束手形を受領する行為が本件商標の使用に該当するものでは
ない。)から,原告の上記主張は,主張自体失当である。
(2)朝日エムイーに対する原告商品の販売について
原告は,平成16年9月25日,朝日エムイーに対し,本件商標を付し
た原告商品を納品するとともに,代金を請求し,同日,その一部の支払を
現金で受け,さらに,同年10月20日,約束手形により,残額の支払を
受けたと主張する。
しかし,以下のとおり,原告の提出に係る証拠によっては上記事実を認
定することはできないから,本件予告登録前3年以内に日本国内におい
て,本件商標の商標権者が,本件審判請求に係る指定商品「ふきん」につ
いて,本件商標の使用をしていたとは認められない。
ア事実認定
(ア)甲33ないし36,38について
原告は,朝日エムイーに対する原告商品の販売の事実を示すものと
して,甲33ないし36,38を挙げるので,これらの書証について
検討する。
a甲33は,原告(朝日エムイー)包装袋の写真とされるものであ
り,これによれば,原告(朝日エムイー)包装袋は,色がホワイ
ト(白)の原告商品を収納しており,その表面には,上部に,「歳
末大売り出し」,「15%∼70%Off」,「入場整理
券」,「12月18日∼26日」,「ご来場の際には必ずご持参下
さい」,「朝日エムイー株式会社」との記載が,下部には,「ご来
場の際には入場整理券が必要です」,「マイクロクロス<R>」,「
キッチン用ふきん」との記載があり,裏面には,上方から,「ご
来場の際には必ずご持参下さい」,「マイクロクロス<R>」,「ふ
きんの特長」,「マイクロクロスはキッチンでお使いのグラス・お
皿などを拭くのに最適です」,「髪の毛の100分の1の超極細繊
維がグラス・食器・調理器具等に付着したくすみを優しく取り除
き,本来の輝きを取り戻します」,「マイクロクロスは,けば立ち
なくガラス等の食器を拭き取ります」,「マイクロクロスは吸水性
に優れており,従来の綿素材と比べ,水分を素早く吸収しま
す」,「マイクロクロスは速乾性に優れていて,衛生的です」,「
ご使用用途」,「グラス・食器・調理器具等のから拭き」,「従来
お使いの,ふきんと同様にご使用ください」,「ご使用上の注
意」,「火のそばや高温でのご使用はしないで下さい」,「汚れた
場合は,台所用中性洗剤で手洗いして下さい」,「漆器や金箔等に
は,ご使用に成らないで下さい」,「サイズ/30cm×30c
m」,「材質/ポリエステル70%」,「ナイロン30%」,「発
売元株式会社ワンズハート」,「非売品」などの記載がある。
しかし,原告(朝日エムイー)包装袋の写真は,原告が平成20
年2月12日に作成(撮影)したものとされているから(平成20
年2月18日付け証拠説明書),平成16年9月25日の時点にお
いて,原告(朝日エムイー)包装袋が存在したか否か,また,原告
が,平成16年9月25日に,原告(朝日エムイー)包装袋及びこ
れに収納した原告商品を朝日エムイーに対し納品したか否かは,甲
33からは明らかでない(仮に,朝日エムイーに対して平成16年
9月25日に納品したものであるとすれば,平成20年2月12日
の時点で,原告がこれを保有していることは不自然である。)。そ
して,原告(朝日エムイー)包装袋が,いつ,どこで,誰によって
作製されたものであるかについて,原告は具体的な主張をしておら
ず,その点に関する証拠も提出されていない。
b甲34は,原告が朝日エムイーに対し納品したと主張する原告商
品に係る納品書,甲35は,上記原告商品に係る請求書とされるも
のであり,いずれにも,原告の名称,住所,電話番号,FAX番号
などのほか,「日付」として,「2004/09/25」,伝票番
号として,「6828」,宛先として,「浜松市植松町268番地
の1」,「朝日エムイー株式会社御中」,品名として,「700
16マイクロクロス」,「キッチン用ふきん」,「ホワイト
30cm×30cm」,「配送料」などの記載がある。
しかし,上記納品書及び請求書は,原告が作成したものであっ
て,実際に,日付(作成日)として表示されている平成16年9月
25日に作成されたことを客観的に裏付ける証拠(たとえば,朝日
エムイーからの発注書や,原告製品の配送についての運送業者の引
受書など)は一切提出されていない。また,同じ書式の納品書や請
求書をバックデートで作成することが,特に困難であるような事情
も認められない。
c甲36は,原告商品の写真とされるものであり,原告(朝日エム
イー)包装袋(甲33)に収納された原告商品と同様に,色がホワ
イト(白)であることがうかがわれる。
しかし,上記原告商品の写真は,原告が平成20年2月12日に
作成(撮影)したものとされているから(平成20年2月18日付
け証拠説明書),平成16年9月25日に,原告(朝日エムイー)
包装袋に収納され,朝日エムイーに対し納品されたとされる原告商
品と同じものであるか否かは,甲36からは明らかでない。また,
甲36からは,本件商標が使用されているか否か,原告商品が本件
審判請求に係る指定商品「ふきん」の範疇に含まれるものであるか
否かは,いずれも明らかでない。
d甲38は,朝日エムイーの振り出しに係る約束手形であり,平成
16年9月25日に原告が納品した原告商品の代金の残額の支払の
ため,朝日エムイーが原告に交付したとされるものである。
しかし,上記約束手形の交付が,朝日エムイーに対する請求書(
甲35)に係る原告商品の販売に対するものであったことを客観的
に裏付ける証拠は存在しない。
e甲33ないし36,38を総合しても,原告が,平成16年9月
25日,朝日エムイーに対し,本件商標を付した原告商品(数量2
万個)を納品するとともに,代金等532万875円を請求し,そ
の際,朝日エムイーから上記代金等のうち,232万8750円の
支払を現金で受け,同年10月20日,約束手形により,300万
円の支払を受けたという,原告主張の事実は,これを認めることが
できない。
(イ)原告の新たな主張の時期及び内容について
a原告は,本件審判の手続において,従来,原告の社内に専門の部
署を設けて使用商品に関する業務を行っていたが,業務拡張のた
め,上記部署を分社化する形で,平成15年6月24日にマイクロ
クロス社を設立し,それ以降は,使用商品に関する業務をマイクロ
クロス社が行うようになったものであり,マイクロクロス社は,本
件商標の使用を一任され,本件商標について,専使用契約をしてい
るものであって,この点については,本件商標権の共有者であった
Kも同意している旨主張し,当該主張を裏付ける書証として,商標
使用契約書(甲6〔審決における乙1〕)及び同意追認書(甲1
5〔審決における乙10〕)を提出した(乙2,審決書6頁26行
∼29行及び7頁14行∼20行)。
また,上記商標使用契約書には,前文として,「株式会社ワンズ
ハート(甲)の取得している下記記載の商標の使用を株式会社マイ
クロクロス社(乙)と専属的に契約を結び,全ての権利を株式会社
マイクロクロス社に一任します。」と記載され,その下に,本件商
標の登録番号,商品区分などとともに,契約の締結日として,「平
成15年11月14日」が記載され,さらに,「(甲)」として,
原告の名称,代表取締役の氏名及び所在地,並びに,「(乙)」と
して,マイクロクロス社の名称,代表取締役の氏名及び所在地が記
載されている。
さらに,上記同意追認書には,原告の所在地,名称,代表取締役
の氏名,本件商標の登録番号などが記載され,その下に,本件商標
権について,「平成15年11月当時,貴社と私との共有であった
ところ,貴社が平成15年11月14日付けの商標使用契約書に基
づいてマイクロクロス社に範囲を全部とする独占的使用権を許諾し
たことに関し,同許諾に同意していたことに相違なく,ここに追認
いたします。」との文言が記載され,作成日として,「平成19年
2月10日」が記載され,さらに,Kの住所及び氏名が記載されて
いる。
b原告は,本件審判の手続において,マイクロクロス社が,本件審
判請求に係る指定商品「ふきん」について,本件商標を使用してい
た旨主張し,当該主張を裏付ける書証として,甲8∼14(審決に
おける乙3∼9)を提出した(審決書6頁30行∼7頁12行)。
また,被告から,使用商標と本件商標の同一性,使用商品の用
途,使用商品の色などにつき,反論されたことに対して,審判手続
の段階から本訴の第1回口頭弁論に至るまで,使用商品以外の商品
については何ら主張することなく,専ら上記の指摘に対する再反論
を行ったにとどまっていた(審決書7頁21行∼9頁38行,当裁
判所に顕著な事実)。
イ判断
原告包装袋は,その表面に,「マイクロクロス」,「キッチン用ふ
きん」との記載があり,裏面に,「ふきんの特長」として,「キッチン
でお使いのグラス・お皿などを拭くのに最適です。」などの記載,「ご
使用用途」として,「グラス・食器・調理器具等のから拭き従来お使
いの,ふきんと同様にご使用ください」などと記載されていること,原
告商品は白色であること等の点を検討すると,原告が使用していると主
張する原告商品の形態は,被告が使用商品について,使用商標と本件商
標の同一性,使用商品の用途,使用商品の色などについて指摘した問題
点のすべてを,結果として解消する形態とされており,極めて不自然な
ものといえる。
また,前記ア(イ)のとおり,原告は,本件審判の手続において,使用
商品に係る業務を取り扱う部署を分社化する形で,平成15年6月24
日にマイクロクロス社を設立し,それ以降は,使用商品に関する業務を
マイクロクロス社が行うようになったものであることを主張し,本訴に
おいても同趣旨の主張を繰り返してきたこと,そして,同年11月14
日には,商標使用契約書(甲6)が締結されていたことに照らすと,平
成16年9月25日の時点において,原告が,マイクロクロス社を介さ
ず,直接,朝日エムイーと原告商品の取引をしたとすることは,極めて
不自然であるといえる。
原告と朝日エムイーとの間で実際に取引が行われていたのであれば,
原告は,本訴の第1回口頭弁論はもとより,それ以前の本件審判の手続
においても,当該取引を主張するのが自然であり,本件において,その
ような主張をするに当たって,何ら困難な事情はなかったというべきで
ある。
このように,原告の主張に係る朝日エムイーに対する原告商品の販売
には不自然な点が多いことに照らすならば,甲33ないし36は本訴提
起後に作成されたものと認定するのが相当であり,甲38は原告商品の
販売との関連性が認められないから,結局,朝日エムイーに対する原告
商品の販売については立証がないというべきである。
(3)小括
原告主張の取消事由2は理由がない。
3結論
原告は,その他縷々主張するが,いずれも理由がない。
以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,また,審決
に,これを取り消すべきそのほかの誤りがあるとも認められない。よって,
原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり
判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官飯村敏明
裁判官齊木教朗
裁判官嶋末和秀

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