弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はいずれも之を棄却する。
         理    由
 弁護人田坂戒三の控訴趣意は末尾添附の控訴申立の趣意書」と題する書面に記載
の通りである。
 第一点の論旨は要するに、原審に於て証拠調前被告の冒頭陳述の段階に於て裁判
官が被告人に対し犯罪事実に立入つて問を発して居るのは、証拠調前に裁判官に予
断を懐かせないとの新法の精神に反する違法の手続であるというに帰着する。
 惟うに新刑事訴訟法が起訴状一本主義を採用してゐること(同法第二百五十六条
末項)公判審理の順序として起訴状朗読に始まり黙秘権及供述拒否権の告知、冐頭
陳述を経て証拠調をすると言う順序を定めて居ること(同法第二百九十一条第二百
九十二条)全体として英米法的当事者主義を基調として居ること等より観れば裁判
官は細心且周到な注意を以て法廷に臨み些さかでも偏見乃至予断を懐いてゐるので
はないかと疑はれるような熊度は絶対に愼しむべきてとであるから、裁判官が証拠
調手続前被告人の冐頭陳述の段階において犯罪事実の内容に立ち入つて被告人に詳
細な質問をすることは新刑事訴訟法の精神に合しないものと言わねばならない。
 然し乍ら証撫調前に犯罪内容に立入つて尋間することを絶対禁止した法条なく、
却つて被告人が任意に供述する場合には裁判官は審埋の経過中時期の如何を問わず
又発間の内容の如何を問わずその必要と思料する事項について尋間することを許さ
れて居り、(同法第三百十一条第二項)一面被告人には黙秘権や供沫拒否権が認め
られて居つて自已に不利益なことは供述を拒むてとが出来るのであるから右段階に
おいて多少立入つた供述を聴いても被告人の保護には別に欠くるところはないので
ある。
 <要旨>以上の諸点を綜合して考えると本件における様に裁判官が冐頭陳述の段階
において被告人等に対し経歴、家族関係、収人、犯行の動機、状況等につい
て問を発し、被告人の詳細な任意供述の行はれてゐることは新刑事訴訟法の精紳に
照し妥当でなく、斯ることは之を避けることが望ましいのであるが未だ之を以て違
法の手続と迄は言い得ないものであると考える。従つて此の点に関する論旨は採用
することが出来ない。
 第二点量刑が不当に重いことを主張して居る。そして共の理由として挙げて居る
事実も一応認め得られるところであるが之等の事情があるからと言つて直ちに執行
猶予にするのが相当だとは言えない。被告人両名共家族は夫々自分共で三名の小人
数でありいずれも果実商として生計を立てていたのに別に之という恕すべき動機も
なしに深夜他人の家に忍び込み多数の衣料品を窃取したことから見て、原審の懲役
各十月という科刑が重きに失するとも認められないので此の点の論旨も理由がない
と言わねばならない。
 そこで刑事訴訟法第三百九十六条に従つて本件控訴は之を棄却することとした次
第である。
 (裁判長判事 柳田躬則 判事 藤井寛 制事 永見真人)

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