弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人岩井信,同大熊裕起の上告趣意のうち,憲法31条違反をいう点は,死刑
制度が憲法の同規定に違反するものでないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22
年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高
裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号
1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,事実誤認,量刑不
当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは
認められない。
付言すると,本件は,被告人が,約1年間にわたり同せいしていた女性(当時4
3歳)のアパートで,ささいなことから口論となったその娘(当時12歳)に対し
憎しみを爆発させて殺害した上,逃走資金を得るなどの目的で,同せい相手の帰宅
を待ち受け,同女も殺害して現金やキャッシュカード等を強取し,そのキャッシュ
カードを用いて現金合計85万円を引き出して窃取したという殺人,強盗殺人,窃
盗の事案である。自らは仕事もせずパチンコにふけり,同せい相手の貴金属類を勝
手に質入れし,その中学生の娘の小遣いまで盗むなどしていたのであるから,同女
から嫌悪感を抱かれても当然であるのに,同女の口の利き方に腹を立てたなどとい
う同女殺害の動機は,酌量の余地の全くないものである。同せい相手の殺害動機
も,娘を殺害したことが発覚するのをおそれるとともに逃走資金を得るためという
利欲性の高い悪質なもので,これまた酌量すべき点は全く認められない。上記娘に
対する殺害の態様は,背後から背中目掛けていきなり包丁を突き出した上,腕や包
帯でけい部を執ように絞め続けたという,確定的殺意に基づく残忍かつ冷酷なもの
である。また,同せい相手に対する強盗殺人は,凶器として用いるペティナイフを
買いに行き,鉄製ハンマーを用意するなど準備を整え,何回も電話をかけて帰宅の
予定を確かめるなどして敢行された,強固な殺意に基づく計画的な犯行である。態
様も,何食わぬ顔をしてその帰宅を迎え入れ,ベッド上の娘に声を掛けている背後
からいきなり鉄製ハンマーで頭部を強打し,鼻や口を掛け布団でふさぎながら,背
部から心臓目掛けてペティナイフで何回も突き刺したという,これも執ようかつ残
忍なものである。殺害が発覚しないよう工作して逃走を図るなど,犯行後の情状も
悪い。2名の生命を奪った結果は極めて重大であって,遺族らの処罰感情は非常に
厳しく,本件が地域社会に与えた影響も軽視することはできない。加えて,被告人
にはこれまでに強盗致傷による服役前科も認められる。
以上のような諸事情に照らすと,被告人が事実関係をおおむね認めていることな
ど,被告人のために酌むべき情状を十分考慮しても,本件犯行についての被告人の
刑事責任は極めて重大であり,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁
判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のと
おり判決する。
検察官鶴田小夜子公判出席
(裁判長裁判官才口千晴裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官
泉徳治裁判官涌井紀夫)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛