弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人飯田昭ほかの上告受理申立て理由について
1本件は,京都市の住民である上告人らが,地方自治法(平成14年法律第4
号による改正前のもの。以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき被
上告人に代位して提起した住民訴訟(以下「別件訴訟」という。)において,被上
告人の発注に係るごみ処理設備建設工事(以下「本件工事」という。)の一般競争
入札に参加して落札した会社(以下「別件被告会社」という。)が他の業者らと談
合を行った結果落札価格が不当につり上げられたと主張して,別件被告会社に対
し,不法行為に基づく損害賠償の請求をしたところ,一部勝訴したことから,同条
7項に基づき,被上告人に対し,別件訴訟において訴訟委任をした弁護士らに支払
うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を求めている事案である。
2原審は,別件訴訟の一部勝訴により確保された経済的利益の額を,被上告人
が別件被告会社から回収した額(判決認容額の全額である24億0789万302
8円。以下「本件回収額」という。)ではなく,本件工事の事業に関し被上告人が
国から交付を受けていた国庫補助金のうち本件回収額の回収に伴い国に返還するこ
ととなった額(8億1638万7000円。以下「本件国庫補助金返還額」とい
う。)を控除した額(15億9150万6028円)であるとした上で,その他の
諸事情を併せ考慮し,上告人らの被上告人に対する請求を,不可分債権として上告
人ら各自が5000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容す
べきものとした。
3法242条の2第7項にいう「相当と認められる額」とは,同条1項4号の
規定による住民訴訟(以下「旧4号住民訴訟」という。)において住民から訴訟委
任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度
として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟に
おける事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結
果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘
案して定められるべきものである(最高裁平成19年(受)第2069号同21年
4月23日第一小法廷判決・民集63巻4号703頁参照)。
同条7項において,旧4号住民訴訟を提起した住民が勝訴した場合に上記「相当
と認められる額」の支払を普通地方公共団体に請求することができるとされている
のは,当該勝訴判決により当該普通地方公共団体が現に経済的利益を確保すること
になるという事情が考慮されたことによるものと解される。そして,当該普通地方
公共団体は,当該勝訴判決で認められた損害賠償等の請求権を行使することにより
本来その認容額の全額を回収し得る地位に立つのであり,他方,本件のような国庫
補助金相当額の返還は上記請求権の行使とは別の財務会計行為によるものであるか
ら,その返還に係る国庫補助金相当額が最終的には当該普通地方公共団体の利得と
ならないとしても,当該勝訴判決の結果現に回収された金員が,当該弁護士の訴訟
活動によって当該普通地方公共団体が確保した経済的利益に当たるものというべき
である。そうすると,国の補助事業における入札談合によって普通地方公共団体の
被った損害の賠償を求める旧4号住民訴訟において住民が勝訴した場合の上記「相
当と認められる額」の認定に当たり,勝訴により確保された経済的利益の額として
判決の結果当該普通地方公共団体が回収した額を考慮する際には,その額は,現に
回収された額とすべきであり,現に回収された額からその回収に伴い国に返還され
ることとなる国庫補助金相当額を控除した額とすべきものではないと解するのが相
当である。したがって,原判決中,別件訴訟に関する上記「相当と認められる額」
の認定に当たって,本件回収額から本件国庫補助金返還額を控除した額を別件訴訟
の一部勝訴により確保された経済的利益の額とした部分は,相当ではないものとい
わざるを得ない。
しかしながら,原審の適法に確定した事実関係等を踏まえ,別件訴訟における事
案の難易,上告人らから訴訟委任を受けた弁護士らが要した労力の程度及び時間,
別件訴訟の判決で認容された額,同判決の結果被上告人が回収した額,住民訴訟の
性格その他諸般の事情を総合的に勘案すると,別件訴訟に関する上記「相当と認め
られる額」を5000万円と認定した原審の判断は,結論において是認することが
できるというべきである。論旨は,結局,採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官櫻井龍子裁判官宮川光治裁判官金築誠志裁判官
横田尤孝裁判官白木勇)

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