弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人A上告趣意について。
 論旨は、自己の境遇、経歴、健康状態、本件犯行を決意するに至つた事情、犯行
当時の精神状態及び其の後の心境、信仰等を縷々記述し、被告人が罪を犯さなけれ
ばならなかつた事情を酌量され度いというのであるが、上告審は原審の審判につい
て原判決に影響を及ぼすような法令違反があつたかどうかということについてのみ
審判するのであつて、原審が法律の定めた刑の範囲内でした量刑の当否を判断する
ことは許されないから、被告人の主張するところは、適法な上告理由として取り上
げることはできない。
 被告人A弁護人小林直人上告人上告趣意第一点について。
 よつて、記録をよく調べて見ると、所論の如く、原判決は同判示第二の事実を認
定する証拠として「司法警察官の被告人Bに対する訊問調書(記録四六丁以下)」
中の供述記載を(六)として挙示しているに拘らず、その特に指摘する個所(記録
四六丁以下)に編綴されているのは検事川井英良の同被告人に対する訊問調書であ
つて、同被告人に対する司法警察官の訊問調書としては、別に記録六丁以下に大垣
市警察巡査部長Dのそれが存するだけであることがわかる。(なお、自治体警察の
巡査部長が司法警察官たることは後段説示のとおりである)
 しかし、原判決がその挙示する右訊問調書に記載されているものとして摘出する
被告人Bの供述内容について見ると、検事川井英良の前記訊問調書中には、記録四
六丁裏末行より同四七丁表八行までの間に右摘出の供述と全く符合する供述が記載
されているのに反し、司法警察官Dの前記調書中には、必ずしも右と同趣旨の供述
記載がなく、殊に被害者たる内妻Eに対する殺意の点については何らの供述記載が
ない(記録一一丁裏以下第一二項参照)しかも記録中には前記検事の訊問調書以外
に「司法警察官の被告人Bに対する訊問調書」と紛わしい書類は、他に存しないか
ら、原判決が証拠(六)として挙示する前記訊問調書の表目は、訊問者を「検事」
となすべきところを、誤つて「司法警察官」と表示したものであること極めて明白
である。
 右の如く、原判決の記載が誤記であること明白な場合には、たとえ、それが証拠
の表目に関する場合であつても、上告審としては訴訟経済の見地から、その正しき
に従つて判断して差支へなく、敢へて原判決を破毀差し戻して、その更正を俟つ必
要はないと解すべきである。従つて、前記の誤記を理由として、所論の如く、原判
決は虚無の証拠を断罪の資料に供した違法があると非難するは当らない。
 同第二点について。
 論旨は原審相被告人Bは準現行犯として取り扱わるべきものではないから、同被
告人に対する検事川井英良の訊問調書は、訊問権なきものによつて作成された無効
の調書であるというのである。
 よつて、記録を調べて見ると、所論逮捕手続書(記録三丁)には、昭和二三年四
月一四日午前二時頃F巡査が所論の如く右Bを本件強盗殺人の「準現行犯」と認め
て引致した旨の記載があり、次いで告知書(記録五丁)には、同日、右Bに対して
本件殺人強盗被疑事件の現行犯人として逮捕した旨を告知したとの記載がなされて
おり、更に同被告人に対する司法警察官並に検事の同日附各訊問調書及び検事の岐
阜地方裁判所判事に対する刑訴応急措置法第八条第四号に基く翌一五日附強制処分
(勾留)請求書(記録八二丁)が編綴されているに拘らず、同被告人に対しては逮
捕状の発布されたことの形跡が少しも存しない。してみれば、右司法警察官及び検
事は現行犯人又は準現行犯人として逮捕されたものとして右Bを受け取り、それぞ
れ訊問した結果、検事において前記の如く強制処分の請求をしたことを認め得る。
 右の如く、検事が現行犯人又は準現行犯人として逮捕された被疑者を受け取つた
ときは、検事は旧刑訴第一二九条に従い、兎も角訊問することが要求されているの
であつて、訊問の結果勾留の必要がないと認めたときは直ちに釈放すべく、その必
要ありと認めたときは、現行犯手続の適否を考慮して刑訴応急措置法第八条第三号
其の他に従つて適当な措置を構すべきものである。従つて検事が右被疑者を受け取
るまでの間の逮捕その他の現行犯手続が仮りに違法であつたとしても、又被疑者訊
問後の検事の措置が仮に違法であつたとしても、検事が旧刑訴第一二九条に従い適
法になした右訊問が違法となるべき理由は少しも存しない。
 本件について見るに、検事川井英良が被告人Bを訊問した顛末は前記の如くであ
り、旧刑訴第一二九条所定の期間内になされたものであるのみならず、他に右訊問
が不適法であるとする主張はないから、仮に同被告人に対する逮捕が所論の如く不
法であつたとしても、右検事の訊問が所論の如く違法となり、その訊問調書が無効
となる理由は少しもない。従つて、検事川井英良に訊問権なきことを前提とする論
旨は、失当であつて、論旨は理由がない。同第三点について。
 論旨は、原判決が同判示第二の事実を認定する証拠(六)として挙示する所論の
訊問調書とは、記録六丁以下に編綴されている大垣市警察署司法警察官巡査部長D
の被告人Bに対する訊問調書を指すものであるとの仮定の下に、右訊問調書を証拠
とした原判決を違法であると主張するのであるが、右仮定の失当であることは既に
論旨第一点に対して説示したとおりであるから爾余の点につき判示するまでもなく
論旨は理由がない。(なお、自治体警察の巡査部長は昭和二三年三月七日施行の警
察法附則第一九条、同法第四六条第二項、第三五条第二項により司法警察官と認む
べきである)
 同第四点について。
 記録を見ると、所論の鑑定人訊問調書には論旨指摘の個所に契印のないことはま
ことに所論のとおりであるが、しかし筆蹟、墨色、記載内容等を仔細に観察すると、
指摘の両葉の書類は正当に連絡があるものと認められる。その用紙の質に差異があ
ることは所論のとおりであるが、七七丁の用紙は事務の簡便と書式に過誤なきを期
するため、所要の事項を不動文字で印刷した、予ねて備付けの用紙を使用したもの
で七八丁の用紙は現今の製紙状況から、その時々に応じて作製した任意の用紙を使
用したにすぎないものと認められるから、右紙質の異なる一事を以つて、調書を改
竄した疑ありと非難することは出来ない。他に特別の事情は認められないから所論
の訊問調書は無効ではない。(昭和二三年(れ)第一三一二号、同二四年二月二四
日第一小法廷判決参照)従つて所論の鑑定書も適式の手続に従つて作成されたもの
と認められるから、論旨は理由がない。
 同第五点について。
 論旨は、原判決が被告人に対して死刑を科したのは、憲法第三六条の残虐な刑罰
を禁止する条規に違反すると主張し、死刑の合憲性を認めた当裁判所の大法廷判決
(昭和二二年(れ)第一一九号、同二三年三月一三日言渡、集二巻三号一九一頁以
下)の採るべからざる所以を詳述するのであるが、論旨を検討しても未だ右判例の
見解を改める必要を認めない。従つて論旨は理由がない。
 よつて旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。
 以上は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二四年七月一二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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