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平成16年(行ケ)第364号 審決取消請求事件
平成17年3月22日口頭弁論終結
     判    決
原 告 アルティメイトアブレイシブシステムズ,リミティドライアビリティ
カンパニー
 訴訟代理人弁護士 上谷清,宇井正一,萩尾保繁,笹本摂,山口健司,弁理士 永坂
友康,田崎豪治
被 告 キニックカンパニー
 訴訟代理人弁理士 大塩竹志,森下夏樹
     主    文
 1 特許庁が無効2003-35161号事件について平成16年4月5日にし
た審決を取り消す。
 2 訴訟費用は各自の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 主文第1項と同旨の判決。
第2 事案の概要
 本件は,後記本件発明の特許権者である原告が,被告請求に係る無効審判(請求
項1,2,4,5,8,35に係るものを対象とするもの。)において,本件特許
のうち上記請求に係るものを無効とするとの審決がされたため,同審決の取消しを
求めた事案である。
 1 前提となる事実等
 (1) 特許庁における手続の経緯(甲1,5)
(1-1) 本件特許
 特許権者:原告
 発明の名称:「粉末予備的形成品及びそれから作られた研磨物品の製造方法」
 特許出願日:平成7年2月10日に国際出願(優先権主張:平成6年4月8日米
国)
 設定登録日:平成14年4月5日
 特許番号:第3294277号
 (1-2) 本件手続
 無効審判請求日:平成15年4月18日(無効2003-35161号。ただ
し,請求項1,2,4,5,8,35に係るもののみを対象として請求。)
 審決日:平成16年4月5日
 審決の結論:「特許第3294277号の請求項1,2,4,5,8,35に係
る発明についての特許を無効とする。」
 審決謄本送達日:平成16年4月15日(原告に対し。出訴期間として90日附
加)
 (2) 審決の理由の要旨は,本件請求項1,2,4,5,8,35に係る発明は,
刊行物1~3(米国特許第4866885号明細書,米国特許第4925457号
明細書,特開昭53-148791号公報)に記載された発明に基づいて当業者が
容易に発明をすることができたものであるから,上記発明についての特許は,特許
法29条2項の規定に違反してされたものであり,無効とすべきものである,とい
うものである(甲1)。
 (3) 審決が対象とした本件請求項1,2,4,5,8,35に係る発明の要旨
は,別紙「① 訂正前の発明の要旨」のとおりである(甲1,5)。
 (4) 原告は,本訴係属中の平成16年10月19日,本件特許につき,特許請求
の範囲の減縮等を目的として,訂正審判の請求をしたところ(訂正2004-392
35号),平成17年2月25日,当該訂正を認める旨の審決があり,その謄本は同
年3月9日に原告に送達され,訂正審決は確定した(甲2ないし4)。
 (5) 上記訂正審決による訂正後の請求項1,2,4,5,8,35に係る発明の
要旨は,別紙「② 訂正後の発明の要旨」のとおりである(甲4。訂正前後で請求
項番号の対応関係に変化はない。)。
 2 原告主張の審決取消事由
 審決は,本件請求項1,2,4,5,8,35に係る発明の要旨を別紙「① 訂
正前の発明の要旨」のとおり認定し,これに基づき,上記発明は特許法29条2項
により特許を受けることができないものであるとしたが,特許請求の範囲の減縮等
を目的とする訂正を認める審決が確定し,上記発明の要旨が別紙「② 訂正後の発
明の要旨」のとおり訂正されたことにより,審決は,結果的に本件発明の要旨の認
定を誤ったことになり,瑕疵があるものとして取消しを免れない。
第3 当裁判所の判断
 本件証拠及び弁論の全趣旨によれば,第2の1に記載の事実関係を認めることが
でき,これらの事実関係に照らせば,原告主張の事由により,審決は取り消される
べきものであり,本訴請求は理由がある。
 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき行訴
法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所知的財産第4部
        裁判長裁判官     塚  原  朋  一
           裁判官     田  中  昌  利
           裁判官    佐  藤  達  文
【別紙】
① 訂正前の発明の要旨(請求項1,2,4,5,8,35に係るもの)(甲5)
【請求項1】 多数の研磨粒子と多量の粉末焼結性マトリックス材料を配合し,そ
して焼結してその物品を形成する研磨物品の製造方法であって,上記量の粉末焼結
性マトリックス材料と液体バインダー相の混合物から,軟かく,変形容易で,か
つ,柔軟性の予備的形成品を容易に切断もしくは曲げられることができるプレート
又はテープの形態に形成し,その予備的形成品中に少なくとも部分的に多数の研磨
粒子を入れ,そして次にその予備的形成品を焼結して,その研磨物品を形成する,
ことを特徴とする方法。
【請求項2】 前記予備的形成品が圧力下で焼結される,請求項1に記載の方法。
【請求項4】 前記予備的形成品の少なくとも1の側の上に前記粒子を置き,そし
て次にその予備的形成品中に前記粒子を移動させることにより前記多数の研磨粒子
を前記予備的形成品中に入れる,請求項1に記載の方法。
【請求項5】 前記研磨粒子が,前記予備的形成品が焼結される前にその予備的形
成品中に移動される,請求項4に記載の方法。
【請求項8】 前記研磨粒子が,非ランダムなパターンにおいて前記予備的形成品
中に入れられる,請求項1に記載の方法。
【請求項35】 請求項1に記載の方法であって,その焼結前の予備的形成品の厚
さが,その研磨粒子の粒子サイズの3~10倍である,前記方法。」
② 訂正後の発明の要旨(請求項1,2,4,5,8,35に係るもの。下線部分
が訂正箇所。なお,審決も指摘するとおり,請求項1の記載中に明白な誤記がある
ので,誤記を訂正の上,摘示する。)(甲4)
【請求項1】 多数の研磨粒子と多量の粉末焼結性マトリックス材料を配合し,そ
して焼結してその物品を形成する研磨物品の製造方法であって,上記量の粉末焼結
性マトリックス材料と液体バインダー相の混合物から,軟かく,変形容易で,か
つ,柔軟性の予備的形成品を容易に切断もしくは曲げられることができるプレート
又はテープの形態に形成し,その予備的形成品中に少なくとも部分的に多数の研磨
粒子を入れ,そして次にその予備的形成品を焼結して,その研磨物品を形成する,
ここで,前記研磨粒子を予備的形成品の焼結の間に予備的形成品中に移動させる,
ことを特徴とする方法。
【請求項2】 前記予備的形成品が圧力下で焼結される,請求項1に記載の方法。
【請求項4】 前記予備的形成品の少なくとも1の側の上に前記粒子を置き,そし
て次にその予備的形成品中に前記粒子を移動させることにより前記多数の研磨粒子
を前記予備的形成品中に入れる,請求項1に記載の方法。
【請求項5】 前記研磨粒子が,前記予備的形成品が焼結される前にその予備的形
成品中に移動される,請求項4に記載の方法。
【請求項8】 前記研磨粒子が,非ランダムなパターンにおいて前記予備的形成品
中に入れられる,請求項1に記載の方法。
【請求項35】 請求項1に記載の方法であって,その焼結前の予備的形成品の厚
さが,その研磨粒子の粒子サイズの3~10倍である,研磨物品の製造方法。」

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