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平成14年(行ケ)第165号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成14年7月1日
判決
原       告   A
同訴訟代理人弁護士藤 井 冨 弘
同山 本 卓 也
同鈴 木 雄 一
同大河内 將 貴
被       告   有限会社ほうえい堂
同訴訟代理人弁理士河 野 茂 夫
同河 野   誠
同中 村 照 雄
主文
     1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
 事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
(1) 特許庁が無効2000-35324号事件について平成14年3月12日
にした審決を取り消す。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
 2 被告
 主文と同旨
第2 当事者間に争いがない事実 
1 特許庁における手続の経緯
  (1) 被告は,「ひとつった」と「外郎」の文字を横書きして成り,商標法施行
令1条別表の商品及び役務の区分第30類の「ういろう」を指定商品とする登録第
4291052号商標(平成10年2月3日登録出願。平成11年7月9日設定登
録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
  (2) 原告は,平成12年6月16日,被告を被請求人として,本件商標を無効
とすることを求めて特許庁に審判を請求した。
  (3) 特許庁は,原告の請求を無効2000-35324号事件として審理を行
った上,平成14年3月12日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決
(以下「本件審決」という。)をし,同年3月25日にその謄本を原告に送達し
た。
 2 本件審決の理由の要点
   本件審決の理由は,要するに,①本件商標の登録査定時である平成11年4
月7日当時には,「ういろう」,「外郎」の語は,菓子の一種である「ういろう
(外郎)」を意味する普通名詞になり,単に菓子の一種を示す語として取引者,需
要に認識されるにとどまり,原告のA家の姓名を含むものと認識されるものではな
くなっていたから,本件商標の登録は,商標法4条1項8号に違反してされたもの
とはいえない,②商標法4条1項15号違反の主張は,当初の請求書に記載されて
いなかったものであり,当該法条についての請求の理由に関する請求書の補正は,
その要旨を変更するものであるから,商標法56条,特許法131条2項に違反し
許されない,というものである。
第3 当事者の主張の要点
1 原告の主張の要点
  「外郎」の語は,著名な原告方の姓名(家名)であり,原告の家業(現在は
法人化して「株式会社ういろう」となっている。以下同じ。)として製造販売して
きた薬及び菓子の商品名,通称ともなっているものであるから,本件商標は商標法
4条1項8号に該当するものであり,その登録は同号に違反するものとして無効で
ある。したがって,本件審決は取り消されるべきである。その理由の要点は,次の
とおりである。
  (1) 「外郎」の語は,原告方A家が専用使用する著名な姓名(家名)であり,
かつ,原告方A家が家業として製造販売する著名な薬又は菓子の固有名詞であっ
て,普通名詞ではない。
 ア 「外郎」の語は,原告方A家が専用使用する著名な姓名(家名)であ
る。
    (ア) 原告の名前であるAは,原告の家系において 代々襲名されてきた
ものである。原告の祖先である陳延祐(法諱を宗敬という。)は,元の順宗皇帝の
礼部員外郎の役職にあった者であり,1368年,元が滅亡した際に日本に帰化
し,その際に,元の時代に自らの官職名であった「礼部員外郎」の語の一部である
「外郎(がいろう)」を,官職名と区別する趣旨で「外郎(ういろう)」(唐音又
は唐宋音)と呼んで,「外郎(ういろう)」を原告家の姓とし,陳外郎(ういろ
う)と称した。原告方の姓が外郎となったのはここに始まるものである。なお,そ
の後,外郎家第5代の外郎定治は,北条早雲に招かれて小田原に居所を移した。
    (イ) 株式会社小学館発行の「日本国語大辞典」第二版第②巻には,うい
ろう【外郎】[名](外郎(がいろう)は中国の官名,定員外の職員の意。「う
い」は唐宋音)①元の礼部員外郎で,室町時代日本に帰化した陳宗敬の子孫の立て
た家名。代々医薬を業とした。」と記載されている。また,株式会社角川書店発行
の「角川大字源」には,「【外郎】(ういろう),①元の礼部員外郎の陳宗敬が
帰化して立てた家名。」と記載されている。この陳宗敬が立てた家名が原告方A家
の姓名(家名)である。
       このように「外郎(ういろう)」は,我が国の国語,漢字辞典にも
明記されているとおり,原告方の姓名(家名)である。
  (ウ)上記のとおり,「外郎」を「ういろう」と読むのは,原告方の祖先
陳延祐が陳外郎(ちんういろう)と名乗って原告方の姓としたことによるものであ
り,「ういろう」の語も,「外郎」と書いて「ういろう」と読む読み方も,原告方
A家の姓以外にはない語であり,読み方である(我が国においては,本来,「外」
の漢字には「ガイ」か「ゲ」の読みしかない。)。
    (エ)元来,人の氏名・名称を排他的,専属的に使用する権利は,憲法で
保障された基本的人権の一つであり,また,それは個人の人格の象徴であって,人
格権の一内容を構成するものである。「外郎」は原告方の著名な姓名(家名)であ
り,原告は「外郎」の専用使用権を有しているのである。
   イ 仮に「ういろう」が菓子の一種を指す普通名詞であったとしても,「外
郎」の語は,原告方A家の製造販売する著名な薬又は菓子の固有名詞である。
    (ア) 陳延祐の子である大年宗奇は,明国の薬である「霊宝丹」を日本に
伝えた。この薬は,効能顕著として時の天皇から「透頂香」の名を賜った。原告方
A家は,室町時代に,家業として,透頂香の製造販売を始め,以来これを継続して
きた。その後,原告方A家の上記家業は法人化されて「株式会社ういろう」が設立
され,以後は,「株式会社ういろう」において,上記透頂香の製造販売を継続して
いる。この透頂香は,薬の「外郎」,「ういろう」として著名である。そして,
「外郎」が原告方A家の製造販売する薬の商品名,通称であることは,各辞典に記
載されているところである。
      薬の「外郎」は,日本の伝統芸能である歌舞伎においても取り上げら
れており,「外郎売」は,歌舞伎俳優の二代目市川団十郎が初演して以来,現在に
至るまで,歌舞伎十八番の一つとして有名な演題であり,薬の「外郎」を早口言葉
で宣伝するせりふは殊に有名であり,そのせりふに出てくる薬の「外郎」は,原告
方A家の薬として話されているものである。
    (イ) また,大年宗奇は,自らが創作した菓子を,外国信使接待の時に供
したところ,評判となり,この菓子は,後に,原告方A家の菓子として「お菓子の
ういろう」と呼ばれるようになった。そして,原告方A家は,明治時代に,その製
造する菓子を,「ういろう」の名の下に販売するようになり,以来,これを継続し
てきた。その後,上述のとおり,原告方A家の家業は法人化されて「株式会社うい
ろう」が設立され,以後は,同会社が上記菓子の製造販売を継続して行っている。
 (ウ)仮に,「ういろう」の語が菓子の一種を意味する普通名詞になった
ことが認められるとしても,「外郎」は,原告方の著名な姓名(家名)であって,
原告が基本的人権の一つとしてその専用使用権を有することは前述したとおりであ
り,それらの語は,「外郎家のもの」,「外郎家の薬」,「外郎家の菓子」の意味
を失っておらず,引き続き,原告方A家の菓子の固有名詞としての効力を有し続け
ている。
      食べ物に関する古典的な書籍である「和漢三才図会」には,「外郎
餅」の説明の中で,「外郎」の名は,著名な薬である「透頂香」を製造して有名に
なり,その薬の名にもなった原告方A家の姓名(家名)であり,菓子の「外郎」
は,その菓子が薬の「外郎」に似ているので「外郎」と言われるようになった旨記
載されている。このように「外郎」は,上記書籍が編纂された時代から,薬と菓子
の名前になっている。上記の事実は,お茶の表千家編集の「茶と美第12号茶席の
菓子」(昭和57年5月10日発行)に,「ういろう 小田原市のAの製品であ
る。」との記載が,株式会社学研発行の「和菓子」(昭和51年6月10日発行)
に,「ういろう 小田原市,Aの製品である。」との記載があり,また,各辞典に
も,「ういろう」「外郎」の語の説明として,それが原告方A家が家業として製造
販売している「薬のういろう」を意味する旨の記載があることからも明らかであ
る。
   ウ そもそも,普通名詞といえるためには,それが辞典等に記載されている
だけでは足りず,取引者・需要者の間でそのように認識されていることが必要であ
る。
    (ア) 山口地方以外では,菓子家・需要者の間では,米粉等を原料とする
蒸し菓子の名前を「ういろ」,「外良(ういろ)」とするのが主流である。名古
屋,京都において一部に「ういろう」の語を使用する業者があるが,その漢字とし
ては「外良」の文字が使用されており,「外郎」の文字は使用されていない。
  特許庁への登録申請された商標を調査した結果によれば,昭和20年
代から昭和40年代に,名古屋,岐阜,京都,神戸地方においてなされた次の商標
登録申請については,いずれも,指定商品は「ういろ」とされ,商標名も「うい
ろ」とされており,「ういろう」を指定商品とし,商標名を「ういろう」とした申
請例は見あたらない。
 ① 「大須ういろ」(昭和25年11月16日出願。出願人・名古屋市
のB)
 ② 「五建ういろ」(昭和28年10月3日出願。出願人・京都市の
C)
 ③ 「長田のういろや」(昭和35年6月9日出願。出願人・神戸市の
D)
 ④ 「長良のういろ」(昭和40年12月12日出願。出願人・岐阜県
高富町のE)
      また,名古屋で「大須ういろ」を製造販売している合資会社大須うい
ろは,いずれも「ういろ」を指定商品として,「風流元禄ういろ」(昭和63年4
月2日出願。平成3年4月30日登録),「ドーム型ういろ」(平成7年8月23
日出願。平成9年8月29日登録),「大須 ふかしういろ」(平成12年11月
10日出願。平成13年11月9日登録)の商標登録を受けている。
 さらに,小学館発行の雑誌「サライ」(1997年6月19日発行)
中の,全国の「ういろう」菓子の記事中には,京都の老舗である京都五建外良屋に
ついて,「この店では「外郎」ではなく「外良」と書いて「ういろ」と呼ぶ。」と
の記載が,名古屋の老舗である合資会社餅文總本店について,「同店では京都同様
「外良」と書いて「ういろ」と読む。」との記載がある。このように,名古屋,京
都の老舗の菓子屋では,昔から,菓子の名前は,「外郎」ではなく,「外良」であ
り,「ういろう」ではなく,「ういろ」と呼ばれており,現在もそのように呼ばれ
ていることが明らかである。なお,合資会社餅文總本店は,指定商品を「水分を多
く含んだういろ」として,「水ういろ」の商標登録(平成9年10月30日出願。
平成12年1月26日登録)を受け,また,指定商品を「栗又は栗餡入りういろ」
として,「栗ういろ」の商標登録(平成10年7月17日出願。平成11年10月
8日登録)を受けている。
 なお,名古屋の上記菓子の製造販売業者の株式会社青柳ういろうは,
昭和48年5月12日に「青柳外良」と記載してその一部の「外良」に「ういろ
う」とふりがなをした商標を出願している。しかし,「外良」の語は通常は「うい
ろ」と読み,昭和40年代の中ごろまでは,そのように読まれていたものである。
「青柳ういろう」も,昭和6年に駅売りがされていた当時の菓子の巻紙には,「名
古屋名物外良」(ういろ)と記載されており,当時,その菓子の名は,「ういろ」
と呼ばれていた。現在でも,そのように読む業者が多いようである。
      したがって,山口地方以外において,米粉等を原料とする蒸し菓子
が,取引業者,需要者の間で,一般に,「ういろ」,「外良」として認識され販
売,購入されていたことは明らかというべきである。
 (イ) 山口地方では,菓子の一種が「外郎(ういろう)」と呼ばれてお
り,同地方の風評によれば,この語は,礼部員外郎の役職にあった陳宗敬の官職名
「外郎(ういろう)」に由来すると言われている。すなわち,山口市の昭和46年
3月30日発行の「市史」には,山口地方の業者が製造販売する菓子の一種のいわ
ゆる「外郎」について,「さて「外郎」というのは,もともとシナの昔の官職名
で,「ういろう」という読み方も唐音によるものであるという。それは室町時代に
来朝帰化した礼部員外郎陳宗敬という人が医薬として伝えたものを,その後大内氏
の城下ではこの薬の風味と舌ざわりを生かして菓子につくったのが,山口の外郎の
始まりということになっている。」と記載されており,また,山口地方の外郎屋の
老舗と言われる御堀堂の宣伝パンフレットには,「懐古的な風味と雅趣豊かな「外
郎」の起源は将軍義満の頃来朝した元の陳宗敬の伝えた霊方により,その子が作っ
た「透頂香(とうちんこう)」という妙薬に始まると申します。これを一名「外郎
薬(ういろうくすり)」と称えたのは其の父が礼部員外郎の職にあったからだと伝
えてゐます。」と記載されている。このような風評は,山口地方のその他の外郎屋
のパンフレットにも記載されている。
      各辞典の記載から,薬の「外郎」が原告方A家の著名な薬の商品名,
通称であることは顕著な事実であるところ,上記の市史や宣伝パンフレットによれ
ば,山口地方のいわゆる「外郎」という菓子の製造販売業者は,原告方A家が家業
として製造販売している(現在は,原告方A家の家業を法人化した「株式会社うい
ろう」で製造販売している。)薬の「外郎」として知られる透頂香の故事来歴を歪
曲,盗用し,その薬から上記の菓子ができたと宣伝し,上記の菓子と薬の「外郎」
との混同を画策するものといわなければならない。また,山口地方の「外郎」とい
う菓子の名付けの基となった,礼部員外郎の役職にあった陳宗敬とは,前述したと
おり,原告方A家の始祖である陳延祐にほかならず,したがって,上記業者は,原
告方A家の始祖である陳宗敬の官職名の一部の「外郎」を,わざわざ唐音で「うい
ろう」と読んで,これを上記菓子の名前としたと喧伝して,原告方A家の家名の名
付けの故事そのものを歪曲・盗用しているものといわなければならない。
      このように,被告を含む山口地方の業者の「外郎」の語の使用・宣伝
行為は,不正競争防止法2条1項1号に該当する不正競争行為であると同時に,原
告方A家の氏名についての原告の人格権を侵害する行為であり,これらの違法な
「外郎」の語の使用が何年継続してされたとしても,「外郎」の語が「ういろう」
という菓子の普通名詞となるものではない。
 (ウ) 本件審決は,広辞苑等に「ういろう」,「外郎」の説明として,
「②菓子の名・・・山口・名古屋の名産」の記載等があることを根拠に,本件商標
の登録時点では,「ういろう」の語は,菓子の普通名詞になっていたと判断した。
 しかし,各辞典が,「ういろう」,「外郎」は「名古屋・山口の名
産」などと記載し,「ういろう」,「外郎」は普通名詞になっていたと記載してい
たとしても,名古屋・近畿地方では,取引者・需要者の間に認識されている米粉等
を原料とする蒸し菓子の名は,「ういろ」,「外良」であって,その名前として
「ういろう」の語を使用する者は少数であり,「外郎」の語は使用されていないこ
と,また,山口地方の業者がその製造する菓子の一種に「ういろう」,「外郎」の
語を使用しているのは,原告方A家が家業として製造販売する薬の「外郎」ないし
原告方A家の姓名を盗用しているものであって,その使用により,「ういろう」,
「外郎」の語が上記菓子を意味する普通名詞となり得ないものであることは,前述
したとおりである。したがって,各辞典の上記のような記載は誤りである。
      広辞苑第3版は,「ういろう」,「外郎」について,「②菓子の名。
米の粉を黄などに染め,砂糖を加えて蒸し,四角に切ったもの。形や色が①(薬の
ういろう)に似る。山口・名古屋の名産。」と記載しており,広辞苑第5版は,
「菓子の名。米の粉・砂糖・葛粉などを混ぜて蒸したもの。もとは黒砂糖を使って
おり,色が①(薬,透頂香)に似る。山口・名古屋の名産。ういろうもち。」と記
載している。上記の記載は,前記「和漢三才図会」の「外郎餅」の記事(現代語訳
によれば,「外郎餅は羊羹の属で,外郎とは小田原の人の名である。透頂香を製造
して売り,名をあげたので,ついにこの人の名は薬となった。黒色で香美なもので
ある。ところでこの餅の色はややそれに似ている。それでこういう名がついたので
ある。」というものである。)及び大言海の「透頂香」についての記載(「今,小
田原の宇野氏(虎屋)製して売る。黒褐色,方形なり,痰を治すとぞ」)に依って
いるものと思われる。しかし,薬の「ういろう」である透頂香の形状は,小さな銀
色の丸薬であり(丸薬であることは,古文書に記載されており,銀色であること
は,古文書に記載はないものの,原告方A家に一子相伝で伝えられてきた製法に合
致する。),方形の黒褐色の薬ではないから,上記記載は菓子の「外郎」と薬の
「外郎」とを混同しており,誤りである。
 広辞苑等の上記のような説明は,古い時代の間違った情報による書物
の記載を根拠にしたものであり,このような間違った記載を根拠にして,「ういろ
う」,「外郎」の語が菓子の一種を意味する普通名詞であると判断することは許さ
れない。
 (エ) 原告方A家の家業を法人化した「株式会社ういろう」は,指定商品
を菓子全般として,「お菓子の「ういろう」」の文字から成る商標について,商標
権(登録第0454581号。昭和28年9月30日出願。同29年10月28日
登録。)を有し,同商標権は現に効力を有している。同商標は,「ういろう」の文
字を中心にしており,「ういろう」の語が昭和29年当時において普通名詞化して
いれば,その登録は拒絶されていたはずであるのに,何の問題もなく登録されてい
るところからみて,昭和29年当時には,「ういろう」の語が米粉等を原料とする
蒸し菓子を表す普通名詞と考えられていなかったことは明白である。
    (オ) そうすると,現在においても,名古屋等の名物で,米粉等を原料と
する蒸し菓子の名前として普通名詞になっているのは,「ういろ」又は「外良」で
あって,「ういろう」や「外郎」ではないというべきである。
 (2) 仮に,「ういろう」,「外郎」の語が「ういろう」と呼ばれる菓子を意味
する普通名詞になっていることが認められるとしても,「外郎」の語は,辞典に記
載されている著名な原告方A家の姓名(家名)であって,原告が基本的人権の一つ
としてその専用使用権を有しているものであり,また,「ういろう」,「外郎」の
語は,原告方A家が家業として製造販売する薬を意味する固有名詞でもあり,した
がって,原告に無断で「外郎」の語を使用している本件商標の登録は,商標法4条
1項8号の規定に違反するというべきである。
 (3) したがって,「外郎」をその一部に含む本件商標は商標法4条1項8号に
該当するというべきであり,本件審決は取り消されるべきである。
2 被告の主張の要点
本件審決の認定判断は正当であって,本件審決に原告主張のような違法はな
い。
第3 当裁判所の判断
1 商標法4条は,同条各号に掲げる商標については,商標登録を受けることが
できないと規定し,その8号に「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは
著名な雅号,芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人
の承諾を得ているものを除く。)」を掲げている。本件の争点は,本件商標の登録
査定時である平成11年4月7日当時には,「ういろう」,「外郎」の語は,菓子
の一種である「ういろう(外郎)」を意味する普通名詞になり,単に菓子の一種を
示す語として取引者,需要者に認識されるにとどまり,原告のA家の姓名を含むも
のと認識されるものではなくなっていたから,本件商標の登録は商標法4条1項8
号に違反してされたものとはいえないとした本件審決の判断の当否である。
   そこで,以下,本件の争点について判断する。
2 証拠(甲1,4の(1),(2),6及び7の各(1)ないし(3),8ないし12,1
3の(1)ないし(5),乙1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認めら
れる。
(1) 国語辞典等には次のような記載がある。
ア 「広辞苑第四版」(株式会社岩波書店1991年11月15日第四版第
一刷発行)には,「ういろう【外郎】」の語について,「①元(げん)の人,礼部
員外郎陳宗敬が,応安(1368ー1375)年中,わが国に渡来し,博多に住ん
で創製した薬。」との記載とともに,「②菓子の名。米の粉を黄などに染め,砂糖
を加えて蒸し,四角に切ったもの。形や色が1に似る。山口・名古屋の名産。うい
ろうもち。」との記載がある。
   イ 「大辞林」(株式会社三省堂1993年12月25日第二四刷発行)に
は,「ういろう【外郎】」の語について,「①・・・薬の一種。痰をきり,口臭を
除く丸薬。江戸時代,小田原の名物として有名。透頂香(とうちんこう)。外郎
薬。」との記載とともに,「③・・・菓子の一種。米の粉に黒砂糖などで味つけし
た蒸し菓子。名古屋・山口などの名産。外郎餅。」との記載がある。
   ウ 「日本語大辞典」(株式会社講談社1989年11月6日発行)には,
「ういろう【外郎】」の語について,「①元(げん)の員外郎の職にあった陳宗敬
(ちんそうけい)が鎌倉(かまくら)時代にわが国に渡来して伝えた痰(たん)切
りの妙薬。」との記載とともに,「②米粉を原料としたようかん状の蒸し菓子。名
古屋・山口の名物。」との記載がある。
   エ 「国語大辞典」(株式会社小学館1982年2月12日第一版第七刷発
行)には,「ういろう【外郎】」の語について,「①元の礼部員外郎で,室町時代
日本に帰化した陳宗敬の子孫の立てた家名。代々医薬を業とした。②陳宗敬が創製
したという薬。」の記載とともに,「③米の粉に,水,砂糖を加えてかきまわし,
蒸籠で蒸しあげた菓子。・・・名古屋,山口,小田原の名物。」との記載がある。
   オ 「大辞泉」(株式会社小学館1995年2月20日第一版第三刷発行)
には,「ういろう【外郎】」の語について,「①江戸時代,小田原名産の去痰(き
ょたん)の丸薬。元(げん)の礼部(れいほう)員外郎(いんがいろう)陳宗敬が
日本に帰化し,博多で創製。」の記載とともに,「②米の粉に黒砂糖などをまぜて
蒸した菓子。名古屋・山口・小田原などの名物。ういろうもち。」との記載があ
る。
   カ 「広辞林第六版」(株式会社三省堂1985年10月20日第九刷発
行)には,「ういろう【外郎】」の語について,「①ういろうぐすり。②ういろう
もち。」との記載があり,その後ろに,「ういろうぐすり【ういろう薬】」につい
て,「(元(げん)の帰化人,礼部員外郎(いんがいろう)の官にあった陳宗敬の
創製という)江戸時代,神奈川県小田原名産の売薬で,今の仁丹(じんたん)の
類。痰(たん)の妙薬。・・・透頂香(とうちんこう)。」との記載がされるとと
もに,「ういろうもち【ういろう餅】について,「・・・米の粉を黄に染め,砂糖
を加えて蒸し,四角に切った菓子。山口・名古屋の名産。」との記載がある。
   キ 「日本国語大辞典」第二版第②巻(株式会社小学館2001年2月20
日第二版第二巻第一刷発行)には,「ういろう【外郎】」の語について,「①元の
礼部員外郎で,室町時代日本に帰化した陳宗敬の子孫の立てた家名。代々医薬を業
とした。・・・②外郎家が北条氏綱に献じてから小田原の名物となった丸薬。」と
の記載とともに,「ういろうもち(外郎餅)の略。」との記載があり,さらに,う
いろうもち【外郎餅】の語について,「米の粉と黒砂糖を使用した蒸しようかんの
一種。名古屋,山口の名物。ういろう。」との記載がある。
   ク 「角川大字源」(株式会社角川書店1992年2月10日発行)には,
「【外郎】」の語について,「がいろう」と読む場合の意味として,「①漢代の官
名。・・・②吏員。下級官吏。」との記載があり,「ういろう」と読む場合の意味
として,「①元の礼部員外郎の陳宗敬が帰化して立てた家名。②外郎家が売り始め
た薬。」との記載とともに,「③菓子の名。ういろうもち。」との記載がある。
  (2) 一般向け定期刊行雑誌である「サライ」(株式会社小学館発行)の199
7年6月19日号に「モノ語り 六百年前,京都で生まれた庶民の味 ういろう」
の見出しで掲載された特集記事には,次のような記載がある。
    すなわち,「「ういろう」「ういろ」「外郎」「外良」。呼び名も様々な
ら,味もそれぞれ個性的。室町時代に京都で生まれ,小田原や山口,名古屋で育っ
て全国的な銘菓となった,単純にして奥の深い,蒸し菓子の物語をお届けしま
す。」と記載した上で,「小田原 ういろう」,「京都 五建外良屋」,「名古屋
 餅文總本店」,「名古屋 青柳ういろう」の各地のういろうを紹介している。そ
して,「小田原ういろう」の紹介記事においては,「″ういろう″とは,粳(うる
ち)粉,糯(もち)粉,小麦粉,葛(くず)粉などに砂糖を合わせて練り,蒸して
つくった菓子の総称である。棹物(さおもの)に仕立てることが多く,別名はうい
ろう餅。」と「ういろう」の語を定義した上で,「小田原,名古屋,京都,山口の
ものが著名だが,筆頭にういろうの語源となった小田原の外郎(ういろう)家の歴
史を溯(さかのぼ)ることにしよう。」として,以下に外郎家の歴史を記載し,次
いで,小田原ういろうの一般販売が始まったのは明治4年であること及び現在販売
されている小田原ういろうの特徴を記載している。また,その他に,①京都の五建
外良屋は,幕末の安政5年(1858年)の創業であり,現存するういろう店の中
でも古い歴史を誇ること,同店はういろうの菓子のことを「外良」と書いて「うい
ろ」と呼んでいること,その家伝では,油屋の三男であった初代・谷川重蔵が六波
羅密寺や清水詣でのお客のために街道沿いに茶店を構え,「ういろ」を出したのが
始まりであるとされていること,②名古屋の餅文總本店は,万治2年(1659
年)創業の老舗で,名古屋きっての古い歴史を誇ること,同店は京都と同様,うい
ろうの菓子のことを「外良」と書いて「ういろ」と呼んでいること,そのういろう
製造の経緯は諸説があるが,尾張藩2代目藩主・徳川光友に仕えた陳元贇が同藩の
御用商人であった初代の餅屋文蔵に製法を伝えたとの説が有力であること,③名古
屋の青柳ういろうは,店の創業は明治12年であり,当初は蒸し羊羹を主に製造し
ていたが,2代目の敬之助が明治32年に規模を拡張した頃から青柳ういろうが有
名になっていったこと,同店は昭和初期から積極的にういろうの宣伝・販売に努
め,ういろうの名を全国に広めることに成功したこと,全国区で最も名前が浸透し
ているのは,名古屋の「青柳ういろう」と考えられること,などを記載している。
(3) 山口市の「市史」(昭和46年3月30日発行)には,「大内人形と外
郎」の表題の下に,「山口を代表する土産といえば,古い歴史と伝統をもつ「大内
人形」と「外郎」を挙げなくてはならない。みやびやかな表情をもつ大内人形と,
淡泊で素朴な味をもつ外郎は,おっとりした山口の土産として,いかにもふさわし
いものがある。」,「・・・外郎というのは,もともとシナの昔の官職名で,「う
いろう」という読み方も唐音によるものであるという。それは室町時代に来朝帰化
した礼部員外郎陳宗敬という人が医薬として伝えたものを,その後,大内氏の城下
ではこの薬の風味と舌ざわりを生かして菓子につくったのが,山口の外郎の始まり
ということになっている。外郎の材料は,古来小豆と砂糖のほかに「せん」という
蕨の根からとる澱粉が用いられている。その製法は,この澱粉と小豆の漉餡とをだ
いたい一と三ぐらいの割合で水に溶き,これに砂糖を加え,どろどろしたものを木
型に流し込んで蒸すという簡単なものであるが,その水加減と蒸し加減に年季をい
れた職人の勘ひとつが微妙に働くという秘法があるという。」,「大内御堀の福田
屋の外郎が山口外郎の元祖として古くから有名で,三百年もつづいた家とかいわれ
ている。」などと記載されている。山口地方には,同地方の代表的な土産物として
の外郎を製造販売する業者が福田屋以外にも少なくとも数業者いる。
3(1) 上記認定の事実によれば,「ういろう」,「外郎」の語は,遅くとも本件
商標登録の査定時(甲1及び弁論の全趣旨により,平成11年4月7日と認められ
る。)には,米粉等を原料として製造される蒸し菓子の一種を一般的に意味する名
称として取引者・需要者に認識される普通名詞となっていたものと認めることがで
きる。
(2)原告は,「外郎」の語は,原告方A家が専用使用する著名な姓名(家名)
であり,かつ,原告方A家の製造販売する著名な薬又は菓子の固有名詞であって,
普通名詞ではないとして,縷々主張する。
そこで,検討するに,証拠(甲2,3の(1)ないし(3),6及び7の各(1)な
いし(3),8,9,13の(1),(2),24,25)及び弁論の全趣旨によれば,原告
の祖先にあたる陳延祐(法諱を宗敬という。)は,元の順宗皇帝の礼部員外郎の役
にあったが,元が滅亡した後の1368年,我が国の博多に渡来して帰化し,陳外
郎と称したこと,その子の大年宗奇は,時の将軍足利義満の招きに応じて京都に移
り,朝廷の典医及び外国信使の接待等に従事したこと,宗奇は明国の薬「霊宝丹」
を我が国に伝え,この薬は効能顕著として時の天皇から「透頂香」の名を賜り,後
に外郎の薬として「薬のういろう」と呼ばれるようになったこと,その後,外郎家
の5代目定治は,北条早雲に招かれて小田原に移ったこと,菓子の「ういろう」
は,外郎家二代目宗奇が外国使接待のとき自らつくって供したのが始まりで,たち
まち評判となり,「外郎氏の菓子」と言われたが,後に略して「薬のういろう」と
同様に「菓子のういろう」と呼ばれるようになったこと,外郎家では,室町時代か
ら「薬のういろう」の製造を始めたが,江戸時代に入ると,東海道は諸国大名の参
勤交代等のため往来する者が多く,諸大名を始め,一般民衆が小田原を通るときに
は,「薬のういろう」を求めて,道中の常備薬として,あるいは帰国のみやげ物と
していたことから,「薬のういろう」は全国的に有名になったこと,また,小田原
へ移った外郎家は「菓子のういろう」を毎年先祖祭りの日に租霊に供え,平素もこ
れをつくって客の接待に供し,多くの人々に喜ばれたこと,封建時代の慣習から外
郎家では江戸時代までこれを商売とすることはなかったが,明治時代になって「お
菓子のういろう」としてこれを商品化して製造販売するようになったこと,外郎家
は,その後も,小田原等において薬の「ういろう」,菓子の「ういろう」の製造販
売を継続し,その後家業を法人化し「株式会社ういろう」を設立してからは,同会
社が薬の「ういろう」,菓子の「ういろう」を製造販売し,今日に至っていること
が認められる。また,前記2に認定したとおり,各辞書においては,「ういろう
【外郎】」は,原告方A家の家業として製造させる薬の意味も有する旨記載されて
いる。
上記の事実によれば,「外郎」の語は,原告方A家が使用する姓名(家
名)であり,かつ,原告方A家の製造販売する著名な薬の固有名詞であるととも
に,かっては,外郎家が製造する菓子を示す固有名詞でもあったと認められる。し
かしながら,特定の商品の名称として固有名詞であったものが,時代とともに次第
に当該特定の商品と共通の性質を有する商品類を一般的に意味する普通名詞となる
ことは決してまれなことではない。「外郎」,「ういろう」の語についてみるに,
前記2に認定した事実によれば,それらの名称が様々な経緯,態様で京都,名古
屋,山口などの菓子製造販売業者に伝承され,その製造販売業者が米粉等を原料と
して製造する蒸し菓子にその名称を冠して販売し,その宣伝,販売の努力が功を奏
してそれらの菓子が全国的に知られるところとなり,このような歴史的な経緯を経
て,当初は,原告方A家が家業として製造する菓子であることを示す固有名詞であ
ったものが,次第に米粉等を原料とする蒸し菓子を一般的に意味する普通名詞とな
ったものと推測することができる。したがって,「外郎」の語が原告方A家の製造
する菓子の固有名詞であり,菓子の一種を意味する普通名詞ではないとする原告の
主張は,採用することができない。
    また,一つの語が異なる複数の対象を意味することも往々にしてあること
と考えられ,また,一つの語が一方の対象を意味する場合には固有名詞となり,他
方の対象を意味する場合には普通名詞となるとしても異とするに足りない。したが
って,「外郎」の語が,原告方A家の使用する姓名(家名)であり,また,原告方
A家が家業として製造する薬の意味を有する固有名詞であるとの点も,「外郎」,
「ういろう」が菓子の一種を意味する普通名詞であると認定することの妨げとなる
ものではないというべきである。
原告は,山口地方以外では,菓子家・需要者の間では,米粉等を原料とす
る蒸し菓子の名前を「ういろ」,「外良(ういろ)」とするのが主流であり,名古
屋,京都において一部に「ういろう」の語を使用する業者があるが,その漢字とし
ては「外良」の文字が使用されており,「外郎」の文字は使用されていないとし,
このことを理由に,「ういろう」,「外郎」の語は普通名詞とはなっていない旨主
張する。しかしながら,「ういろ」,「外良」の語は米粉等を原料とする蒸し菓子
を意味するものとして使用されているが,それが「ういろう」,「外郎」の語が示
す菓子等とは別系統の菓子等の名称に由来するものであることを認めるに足りる証
拠は存在しないところ,「ういろ」は「ういろう」の語の語尾を省略した形であ
り,発音が近似していること,「外良」は「外郎」の語の文字の一つを変えたもの
で,全体の字形は近似していることに前記2に認定した事実を併せてみれば,「う
いろ」,「外良」の語は,小田原の原告方A家に発した「ういろう」,「外郎」の
語が地方に伝承される過程で変形を来したものであり,それらは,一般の取引者及
び需要者には,「ういろう」,「外郎」と呼ばれている菓子の別名として用いら
れ,認識されているものと認められる。したがって,この点に関する原告の主張も
採用できない。
原告は,山口地方では,菓子の一種が「外郎(ういろう)」と呼ばれ,そ
の製造販売業者が原告方A家の姓名(家名)の名付けの故事来歴,原告方A家が家
業として製造販売する薬の故事来歴等を歪曲,盗用してその宣伝を行っているが,
被告を含むこれらの山口地方の業者の「外郎」の語の使用・宣伝行為は,不正競争
防止法2条1項1号に該当する不正競争行為であると同時に,原告方A家の姓名に
ついて原告が有する人格権を侵害する行為であり,これらの違法な「外郎」の語の
使用が何年継続してされたとしても,「外郎」の語が「ういろう」という菓子の普
通名詞となるものではない旨主張する。しかしながら,前記2(3)の認定によれば,
山口の業者が「外郎」という名称を冠した菓子を製造販売し始めたのは,原告方A
家において菓子の「ういろう」の製造販売を始める前の江戸時代に遡ることであ
り,「外郎」という名称は,室町時代に大内氏が山口地方を支配していた時代に伝
承された原告方A家の薬の名称からとられたものと伝えられていることが認められ
るし,また,当初は上記宣伝販売行為も山口地方ないしその周辺に限定されていた
ものと推認される。このような経緯からすれば,江戸時代以降,山口地方の業者が
「外郎」と呼ばれる菓子を製造販売し,その菓子の来歴を古い伝えに従い前記2(3)
に認定したような説明をして販売行為を継続的に行ってきたとしも,これが法律に
抵触する違法行為であるとか,原告方A家の姓名について原告が有する人格権を侵
害するものであるとかいうことはできない。なお,「ういろう」,「外郎」が普通
名詞化した後の山口地方の上記製造販売業者の宣伝販売行為が不正競争防止法等の
法律に抵触しないことも明らかである。この点に関する原告の主張も採用できな
い。
原告は,「株式会社ういろう」(原告方の家業を法人化したもの)におい
て現に有する,指定商品を菓子全般とする「お菓子の「ういろう」」の文字からな
る商標が昭和29年10月28日に登録設定されていることを根拠に,昭和29年
当時には「ういろう」の語は米粉等を原料とする蒸し菓子を表す普通名詞とは考え
られていなかったことは明白である旨主張する。しかしながら,遅くとも,本件商
標の登録査定時において,「ういろう」,「外郎」の語が普通名詞になっていたと
認められることは前記説示のとおりであり,昭和29年当時に上記商標登録がされ
たとの点は,この認定を妨げるに足りないというべきである。
4原告は,仮に,「ういろう」,「外郎」の語が「ういろう」と呼ばれる菓子
を意味する普通名詞になったことが認められるとしても,「外郎」の語は,著名な
原告方A家の姓名(家名)であって,原告が基本的人権の一つとしてその専用使用
権を有しているものであり,また,「ういろう」,「外郎」の語は,原告方A家が
家業として製造販売する薬を意味するものでもあり,したがって,原告に無断で
「外郎」の語を使用している本件商標の登録は,商標法4条1項8号の規定に違反
するというべきである旨主張する。
しかしながら,既に認定したとおり,「ういろう」,「外郎」の語は菓子の
一種を意味する普通名詞であり,したがって,菓子の一種である「ういろう」を指
定商品とする本件商標中に「外郎」の語が使用されているとしても,これに接した
取引者・需要者は,当然,その語が菓子の一種である「外郎」,「ういろう」を示
すものであると認識するはずであり,その語が原告方の姓名(家名)を示すもので
あり,あるいは,原告方A家が家業として製造する薬を示すものであると認識する
とは考え難い。そうすると,「外郎」の語が菓子の一種を意味する普通名詞である
以上,その語を一部に含む本件商標が取引者・需要者に原告方A家の姓名を想起さ
せ,その専用使用権を侵害し,あるいは本件商標の指定商品である菓子の一種の
「ういろう」と上記薬との混同を招く事態は考えられない。したがって,本件商標
は原告の「氏名の著名な略称を含む商標」には該当しないから,商標法4条1項8
号に違反するものということはできない。
5 以上のとおり,原告主張の本件審決の取消事由はいずれも理由がなく,その
他本件審決にこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文
のとおり判決する。
  東京高等裁判所第3民事部
  裁判長裁判官 北  山  元  章
 裁判官   青  柳     馨
       裁判官橋  本  英  史

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