弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人菊地養之輔の上告趣意第一点について。
 論旨は、原判決に掲げた被告人の第一の(一)の行為は、選挙運動ではなく、そ
の準備行為にすぎないと言うのである。しかし、原判決の認定した事実によれは、
被告人は自己の当選を得る目的で立候補届出前に選挙運動者たるAに対し、運動の
費用及び報酬として金三千円を供与したというのであつて、判文は簡単であるが、
その趣旨とするところは、被告人は立候補を予定して選挙の際における投票を自己
に得る目的で選挙運動者たるAをして選挙権者に働きかけさせるため金三千円を同
人に与えたというにあることが判るのであるから、原審が右の行為を選挙運動と認
めて、これを衆議院議員選挙法第九五条に当るものとして同条を適用したのは正当
であつて、原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
 同第二点について。
 論旨は、原審は証拠によらないで被告人がAに報酬として金銭を供与した事実を
認定したというのである。しかし、原判決が掲げている証拠、殊に被告人に対する
聴取書中の「Aが私方に来てどうも形勢上重大決意をしなければならんと云つた。
同人は買収ということは言わなかつたが重大決意というので買収の手段も止むを得
ないと考えたと思つた。私は自分から立候補したのではないが、組合員が私を信頼
して運動しているので、その期待に添うために場合によつては買収も止むを得ない
と思い六千円の金を出した」との被告人の供述と、Aに対する検事の聴取書中の「
選挙運動の費用としてそんなに入る必要はないので、結局いざという場合の買収費
という意味だと思つて受取つた」との同人の供述によれば、被告人は論旨第一点に
ついて説明したような趣旨で金三千円をAに供与し、その所得に帰せしめて自由処
分に任せ、必要の場合にはその中から買収費を出させることゝしたことが認め得ら
れるのであるから、原判決が被告人行為を「運動の費用及び報酬」の供与と認定し
たことは虚無の証拠によつたものではない。もつとも弁護人の指摘する被告人に対
する検事の聴取書には「確か四月一日の朝でした、Aが私方に参り」という記載が
あるが、同聴取書にはまた「買収も止むを得ないと思い六千円の金を出した」とい
う記載もあるのであるから、被告人が同日以前にAに供与した三千円も同趣旨のも
のと認め得られない訳けではない。されば、原判決には所論のような違法はなく論
旨は理由がない。
 よつて、旧刑訴法第四四六条に従い主文の通り判決する。
 以上は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二四年六月七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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