弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人中村源次郎上告趣意第一点について。
 第一審の訴訟手続に瑕疵ある場合、その瑕疵が延いて第二審の法令違反となる場
合でない限りは、第一審の瑕疵を上告理由とすることはできない。蓋し上告は原審
の法令違反を理由とすべきものであるからである。そして所論指摘のような第一審
の瑕疵は、第二審の審判に何等の影響を与えていないことは明白である(尚、所論
の瑕疵も第一審裁判所は、その後第二回公判期日において、弁護人立会の上、改め
て詳細の審理を行い、被告人も弁護人も所論の瑕疵について何等の異議を述べてい
ないのであるから、此点から見ても所論の瑕疵は治療されたものというべきである)。
所論は上告適法の理由とならない。
 同第二点について。
 記録を閲するに、被告人は原審公判廷において自分が歴訪して署名を取り自分も
妻をして代署させた推薦状は形式不備のため破棄し、改めて推薦状を作り、その推
薦状には自分は署名したことはないと供述したことは認められるが、その後証人調
べ、証拠品(大津市役所より押収した、同市教育委員、立候補者Aの推薦届選挙人
推薦連署表)の証拠調べ、鑑定人の訊問等に依り、選挙人連署表は途中で破棄され
たことなく、前後同一のものであり、且つ右押収の選挙人推薦連署表における被告
人の署名はその自署なることが明らかにせられているのである。所論は原判決の認
定しない事実を前提とするもの(即ち原審は連署表が前後二通あつたと云う事実は
認めていないのである)であるばかりでなく、原判決は審判の請求を受けざる事件
につき判決したものでないから、論旨は理由がない。
 同第三点について。
 本点(イ)の所論については、第二点において説明のとおり、原審は推薦連署表
が前後二通あり前の一通は破棄されたとの事実は何れも之を認めないところである
から論旨は理由がない。次に(ロ)の所論については、教育委員会法第一六条の規
定に依り、立候補届出の事前選挙人六十名以上の連署推薦を必要とするものである
から、右推薦連署行為の範囲においては、所論事前の選挙運動は適法の行為と謂わ
ねばならぬ。止だ追放該当者が此行為を為すことは、昭和二十二年勅令第一号所謂
追放令違反の罪を構成することになるのである。従つて原審が被告人の本件行為に
所論衆議院議員選挙法第九五条を適用しなかつたのは当然である。論旨は理由がな
い。次に所論(ハ)の点については、所論通名による署名なるため、推薦行為とし
ては仮令法律上効力のないものであるとしても、追放令第一五条第一項の「その他
の政治上の活動」に該当する行為であることは明らかである(尚此点については、
後出山本弁護人上告趣意第一点に対する説明引照)。論旨は理由がない。
 同第四点について。
 原審第一回公判調書に依れば、裁判長は被告人に対し「被告人はB会の会員であ
つたか」との問に対し、被告人は「左様であります………同会の幹部として勤めて
いました」(記録一一五丁裏以下)と答えた旨の記載があり、尚被告人は同公判廷
で検事が公訴事実として原判決(第一審判決)摘示と同旨の事実を述べた上、その
事実について取調を受けたのであり、而して第一審判決には被告人は「右会のC連
合会支部幹事であつた」と判示してあるので、被告人も原審でこの事実を否認した
趣旨ではない。されば原判決が所論の如く説明し、以つて判示事実を認めても所論
のような違法はない。のみならず、要は被告人が追放者として指定を受けたもので
あることに間違いのない以上、所論は右何れから見ても理由がない。
 同第五点について。
 記録を閲するに、被告人は原審公判廷で、追放者は選挙運動をしてはならないこ
とを知つていた旨、それ故一度は推薦署名を抹消したと陳べているところであるか
ら、被告人の犯意のあつたことは明らかである。論旨は理由がない。
 同第六点について。
 所論刑訴応急措置法第一三条第二項の規定が違憲でないことは、既に当裁判所の
判例とするところである(昭和二二年(れ)第四三号昭和二三年三月一〇日大法廷
判決)。論旨は理由がない。
 弁護人山本武雄上告趣意第一点について。
 公職追放令第一五条に所謂「政治上の活動」とは、原則として政府、地方公共団
体、政党その他の政治団体又は公職に在る者の政治上の主義、綱領、施策又は活動
の企画、決定に参与し、之を推進し支持し若しくは之に反対し、或は公職の候補者
を推薦し支持し若しくは之に反対し、或は日本国と諸外国との関係に関し論議する
こと等によつて、現実の政治に影響を与えると認められるような行動をすることを
言うものと解するを相当とすることは、既に当裁判所の見解とするところである(
昭和二三年(れ)第一八六二号昭和二四年六月一三日大法廷判決参照)。仍つて被
告人の原判決認定の所為を考察すると、大津市教育委員会委員の候補者を支持する
ことによつて、現実の政治に影響を与えると認められる行動であることは、寔に明
らかである。そして、原判決がその事実理由において「云々選挙運動を為し」及び
「云々推薦届書に………連署を為し」と判示しているのは、右当裁判所の見解と同
旨に出でた政治上の活動の趣旨と解すべきであるから、論旨は理由のないものであ
る。次に本点後段の所論については、中村弁護人上告趣意第五点において既に説明
したとおりである。論旨は何れも理由がない。
 同第二点について。
 所論は原審の量刑を不当なりとするに帰するものであつて、上告適法の理由とな
らない。
 仍つて、刑訴施行法第二条、旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。
 此判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二四年七月九日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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