弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人芳賀貞政の上告趣意第一点について。
 論旨は証人Aの証言やパンツの汚れ工合等を論拠として、被告人が強姦によつて
Bに傷害を負わせたという事実のなかつたことを主張している。しかし原判決が証
拠として挙示している原審公判廷における被害者Bの供述や医師A作成の身体検査
書中の記載やその他の証拠を綜合すれば、判示強姦致傷の事実は立証せられるので
あるから、原判決の事実認定について経験則に反する誤りがあつたということはで
きない。
 論旨は又、原審及び第一審裁判所が、弁護人の所論鑑定の申請を却下したことを
非難しているけれども、証拠調の限度の裁定は事実審たる原審の自由裁量に委ねら
れているところである。記録を調べてみても、原審が右の鑑定を本件の審判に必要
適切なものでないとして却下したことが、条理に反する違法な措置とは認められな
い。又第一審の手続の暇疵を上告の理由とすることはできない。
 論旨は更らに、第一審におげるA証人に対する弁護人の補充訊問中重要な点の大
部分が記録に漏れていることを攻撃しているけれども、原判決が証拠として採用し
たのは、同証人の原審公判廷における証言であつて、第一審における証言ではない
から、仮りに所論のような記録の脱漏があつたとしても、そのために原審裁判所が
判断を誤つた、という主張は成り立たない。右の理由によつて論旨第一点は凡て採
用することができない。
 同上第二点について。
 論旨は原審公判廷において証拠品たるパンツが顕出せられなかつたことを攻撃し
ている。しかし原審公判調書には、所論のパソツについて適式な証拠調がなされた
旨の記載がある。そうして、公判期日における訴訟手続は公判調書のみに依り之れ
を証明することを得ること、旧刑事訴訟法第六四条の明かに規定するところである。
さすれば右の公判調書の記載と異なる事実を主張し、これを前提として原審に審理
不尽あり又は原審が予断を抱き、被告人の基本的人権の自由を拘束したとの非難を
しても、これを採用することはできない。論旨は理由がない。
 同上第三点について。
 論旨は、被告人が強姦を遂行しなかつたという新な証拠を発見したから「上告申
立」をするというのであるが、その引用している法条を調べてみると、旧刑事訴訟
法第四一三条、第四一四条は共に刑訴応急措置法第一三条第二項によつてその適用
を排除されているから、これ等の法条に基く上告は適法の理由を欠くものである。
のみならず被害者が公判外で所論のような陳述をしたからとて、直ちに再審請求の
事由あるものとは認め難い。旧刑事訴訟法第四八五条第六号(上告趣意書に「第二
十八号」とあるのは誤記と認める)は、「明確なる証拠を新に発見したるとき」と
規定しているのであつて、所論の陳述の程度のものでは、まだ「明確なる証拠」と
は認められない。又同法第四八六条第二号は、被告人にとつて不利益な再審事由に
関するものであつて、本件の場合に該らない。
 なお論旨は、警察及び検事局における被告人の自白が任意の供述でないことを主
張しているが、原判決はこれ等の自白を証拠として採用しているのではないから、
そのことも亦上告理由とならない。
 よつて論旨第三点はいずれも採用することができない。
 以上の理由により旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二四年七月五日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛