弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告は,α,β,γ,δ及びεに対し,それぞれ47万8800
円の支払を請求せよ。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要
本件は,戸田市議会が,平成25年10月16日から同月21日までの間,同市
議会議員(当時)であるα,β,γ,δ及びε(以下,併せて「本件議員ら」とい
う。)を海外に派遣し,その旅費等を支出したことについて,戸田市の住民である
原告らが,上記の派遣に係る決定及び支出は違法であり,本件議員らは支出に係る
旅費等相当額を不当に利得したのに,同市の執行機関である被告は,その返還請求
を怠っていると主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告に対
し,本件議員らにそれぞれ47万8800円(合計239万4000円)の支払を
請求することを求める住民訴訟である。
1関連法令
(1)地方自治法(以下「法」という。)
法100条13項は,議会は,議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関
する調査のためその他議会において必要があると認めるときは,会議規則の定める
ところにより,議員を派遣することができる旨を定める。
(2)戸田市議会会議規則(以下「会議規則」という。乙10)
会議規則167条1項本文は,法100条13項の規定により議員を派遣しよう
とするときは,議会の議決でこれを決定する旨を,同条2項は,同条1項の規定に
より,議員の派遣を決定するに当たっては,派遣の目的,場所,期間その他必要な
事項を明らかにしなければならない旨を定める。
2前提事実(当事者間に争いがない事実並びに掲記の証拠〔以下,いずれも枝
番号を含む。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)ア原告らは,戸田市の住民である。
イ被告は,戸田市の執行機関であり,本件議員らは,戸田市議会議員である
(当時。以下,戸田市議会を単に「市議会」と,戸田市議会議員を単に「議員」と
いう。)。
(2)ア戸田市は,昭和59年8月21日,中華人民共和国開封市(以下「開封
市」という。)と友好都市として提携することを協約し,平成4年10月1日には,
オーストラリア連邦ニューサウスウェールズ州リバプール市(以下「リバプール市」
という。)と姉妹都市として提携することを協約した。(甲23,乙22,27)
イ戸田市及び市議会は,従前から,複数回にわたり,友好代表団,親善訪問団,
市民訪問団,議員団等を開封市及びリバプール市に派遣してきた。
戸田市は,平成11年度以降,同市の中学生をリバプール市に派遣し,同市の中
学生を戸田市が受け入れる事業(戸田市中学生海外交流派遣事業。以下「交流事業」
という。)を実施してきたが,平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影
響を受けて上記事業は中止され,平成24年度以降は,これに代えて,同市の中学
生をオーストラリア連邦ニューサウスウェールズ州シドニー市(以下「シドニー市」
という。)に派遣する事業(戸田市中学生海外体験派遣事業。以下「体験事業」と
いう。)を実施している。(甲16から23まで,甲53,乙3,6,22,乙2
4から26まで)
(3)市議会は,平成25年9月6日(以下,月日のみ記載するときは,全て平
成25年である。)の第4回定例会(以下「本件定例会」という。)において,①
派遣場所をリバプール市,②派遣目的を「戸田市議会として姉妹都市訪問団を派
遣し,両市議会間の交流及びリバプール市の教育・文化芸術・高齢者福祉・環境整
備などについて広く見聞を深めるとともに,両市中学生海外交流事業の再開を懇願
し,さらなる相互理解と友好関係の促進を図ること」,③派遣期間を10月16
日から同月21日までとして,本件議員らをリバプール市に派遣する旨の議決をし,
その旨の決定(以下「本件決定」といい,本件決定に基づく本件議員らの派遣を
「本件派遣」という。)をした。(甲3,4)
(4)戸田市は,平成25年度の予算から,戸田市議員報酬及び議員の費用弁償
等に関する条例等に基づき,本件派遣に係る旅費等(議会事務局長〔当時〕である
ζ)〔以下「ζ事務局長」という。〕の随行費用を含む。以下同じ。)として合計
239万4000円を支出する旨の決定をし,10月7日(227万4000円)
及び同月16日(12万円),本件派遣に係る旅行代理業務等を受注した株式会社
日本旅行(以下「日本旅行」という。)に対し,上記合計額の支払をした(以下,
これを「本件支出」という。)。(甲8,9,乙11から21まで)
(5)市議会は,10月16日から同月21日まで,ζ事務局長を随行者として,
本件議員らをリバプール市に派遣した(本件派遣)。本件派遣の行程は,別紙「平
成25年度戸田市議会姉妹都市訪問団行程表(実際)」(以下「本件行程表」とい
う。)に記載のとおりである。(乙33)
(6)原告らが,平成26年7月3日及び同月7日,戸田市監査委員に対し,本
件派遣は違法,不当であり,本件支出も違法,不当であるとして,被告(戸田市長)
に対し,被告が本件議員らに対して本件派遣に係る旅費等相当額(各47万880
0円,合計239万4000円)の返還を請求するよう勧告することを求める住民
監査請求をしたところ,上記監査委員は,同年8月28日付けで,当該住民監査請
求には理由がないとして,これを棄却する旨の決定をし,その頃,原告らに監査結
果を通知した。(甲25から28まで)
(7)原告らは,平成26年9月26日,当庁に対し,本件訴訟を提起した。
3争点及び争点に対する当事者の主張
(1)本件決定及び本件支出の違法性
(原告らの主張)
ア普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,その
権能を適切に果たすために合理的な必要性がある場合には,その裁量により議員を
海外に派遣することができるが,その裁量権の行使に逸脱又は濫用があるときは,
議会による議員派遣の決定は違法になるというべきである。
イそして,①(a)市議会が,具体的な派遣行程のみならず,派遣場所にシ
ドニー市が含まれることも,派遣目的に,被告の主張する同市の治安状況や安全性
の確認が含まれることも明らかにされていないのに(会議規則167条2項),派
遣の必要性や行程の妥当性について議論することなく,本件派遣を決定(本件決定)
したこと,(b)市議会が,従前の議員派遣の状況を踏まえて,派遣の必要性や行
程の妥当性について議論することなく,本件派遣を決定したこと(なお,リバプー
ル市と姉妹都市の提携をしているからといって,直ちに派遣の必要性が肯定される
わけではないし,そもそも,本件議員らは,同市への派遣を積極的には希望してい
なかった。),②シドニー市の治安状況や安全性は,外務省のウェブサイト(外
務省海外安全ホームページ)や旅行業者を通じて確認可能であり,同市の治安状況
や安全性の確認という派遣目的は,後付けされたものであること,③(a)本件
議員らは,本件派遣に当たり,派遣目的や視察場所ごとに担当者を決めることも,
派遣行程に照らし派遣期間の短縮を検討することもしていないこと,(b)シドニ
ー市の滞在時間は,実質的に全体の53%を占める上,その視察場所はいずれも観
光名所ないし観光施設であること,また,本件議員らによる同市の治安状況や安全
性の確認は極めて不十分であり,視察結果につき十分な報告もされていないこと,
(c)本件議員らが,権限を有しないリバプール市長らに対し,交流事業の再開を
懇願しても,およそ実効性はないこと,(d)リバプール市の視察場所も,戸田市
にとって実益を有するものではないことなどに照らすと,本件決定は,議会の裁量
権を逸脱してされたもので違法であり,本件支出も違法というべきである。
(被告の主張)
ア市議会は,本件定例会において,多数の賛成を得て,議決により本件議員ら
の派遣を決定した(本件決定。法100条13項,会議規則167条)。
本件定例会において配布された「議員の派遣について」と題する資料(以下「本
件資料」という。)に,具体的な派遣行程の記載はなく,派遣場所にシドニー市が
含まれる旨の記載もないが,具体的な派遣行程が明らかにされてないからといって,
本件決定の手続に瑕疵が存在することになるわけではないし(会議規則167条2
項は,議員の派遣を決定するに当たって,派遣行程を明らかにすべきとはしていな
い。また,そもそも,日本旅行が本件派遣に係る派遣行程を提示したのは9月20
日であり,本件定例会〔同月6日〕において,これを明らかにすることはできなか
った。),①議長を始め本件定例会に出席したほとんどの議員が,派遣場所には
シドニー市が含まれることを知っていたこと,②従前の議員派遣の際も,シドニ
ー市内ないし郊外の施設等を視察していること,③リバプール市に赴くにはシド
ニー市を経由する必要性があることなどに照らすと,本件資料に派遣場所にはシド
ニー市が含まれる旨の記載がないからといって,本件決定の手続に重大な瑕疵が存
在するとはいえない。
イ(ア)普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,
その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し,合理的な必要性が
あるときは,その裁量により議員を海外に派遣することができるのであり,議会に
よる議員派遣の決定が違法になるのは,派遣目的が議会の機能を適切に果たすため
に必要性のないものである場合,派遣場所,派遣行程等が派遣目的に照らし明らか
に不合理である場合など,議会の裁量権の行使に逸脱又は濫用があるときに限られ
る。
(イ)そして,本件派遣の目的には,「戸田市議会として姉妹都市訪問団を派遣
し,両市議会間の交流及びリバプール市の教育・文化芸術・高齢者福祉・環境整備
などについて広く見聞を深めるとともに,両市中学生海外交流事業の再開を懇願し,
さらなる相互理解と友好関係の促進を図ること」のほか,体験事業の実施に当たり
戸田市の中学生を派遣するシドニー市の治安状況や安全性の確認も含まれるところ,
①戸田市がリバプール市と姉妹都市の提携をし,約21年にわたり,教育,市民
間交流等の事業を実施し,戸田市民の国際意識の高揚,自主的文化活動の促進等に
寄与してきたこと,②交流事業は戸田市民にとって重要な事業であり,その再開
は戸田市にとって重要課題の一つであること,③体験事業の実施に当たり戸田市
の中学生を派遣するシドニー市の治安状況や安全性,派遣場所としての適切性を確
認する必要性があり,これは,交流事業の再開を図ることにも密接に関連すること
などに照らすと,本件派遣の目的は合理性を有するというべきである。
(ウ)また,①戸田市はリバプール市と姉妹都市の提携をしていること,②
(a)リバプール市に赴くにはシドニー市を経由する必要性があること,(b)リ
バプール市は,シドニー市のベッドタウンであり,両市は深い関係を有すること,
③(a)体験事業の実施に当たり,戸田市の中学生をシドニー市にも派遣してい
ること,(b)交流事業の実施当時,戸田市の中学生はシドニー市においても活動
していたことなどに照らすと,本件派遣の場所は合理性を有するというべきであり
(個々の視察場所についても,前記の本件派遣の目的と密接な関連性を有し,不合
理とはいえない。),リバプール市の都合により同市での視察が1日のみとなった
ことから,有効に視察を行うため,同市に2泊したことや,シドニー市での視察に
より,リバプール市での視察が阻害されたり,派遣行程が不当に延びたり,視察に
要する費用が著しく過大になったりした事実はないことなどを考慮すると,本件派
遣の行程も,その目的に照らし明らかな不合理は存在しないというべきである。
(エ)本件において,市議会の裁量権の行使に逸脱又は濫用があるとはいえず,
本件決定及び本件支出を違法とはいえない。
(2)本件議員らの利得額
(原告らの主張)
本件派遣に係る旅費等は,合計239万4000円であり,本件議員らの利得額
はそれぞれ47万8800円(239万4000円÷5名)となる。
(被告の主張)
戸田市が,平成25年度の市議会予算から,本件派遣に係る旅費等として合計2
39万4000円を支出する旨の決定をし,10月7日(227万4000円)及
び同月16日(12万円),日本旅行に対し,上記合計額の支払をしたことは認め,
その余は争う。
第3当裁判所の判断
1本件決定及び本件支出の違法性について
(1)普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,そ
の機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し,合理的な必要性があ
る場合には,その裁量により議員を海外に派遣することもできるが,その裁量権の
行使に逸脱又は濫用があるときは,議会による議員派遣の決定は違法となるという
べきである(最高裁昭和63年3月10日第一小法廷判決・裁判集民事153号4
91頁,最高裁平成9年9月30日第三小法廷判決・裁判集民事185号347頁
参照)。
(2)アこれを本件について見るに,前記前提事実に加え,掲記の証拠及び弁論
の全趣旨によれば,①戸田市は,平成4年10月1日,リバプール市と姉妹都市
として提携することを協約し,長年にわたり,両市間の交流を通じて,相互の理解
を深めてきたこと,また,戸田市及び市議会は,従前,複数回にわたり,友好代表
団,親善訪問団,市民訪問団,議員団等をリバプール市に派遣する一方,同市の友
好代表団等を受け入れてきたこと(甲23,乙22,27),②(a)戸田市は,
平成11年度以降,交流事業を実施してきたが,平成23年3月11日に発生した
東日本大震災の影響を受けて上記事業は中止されるに至ったこと,(b)その後,
戸田市及び財団法人戸田市国際交流協会(海外の諸都市との積極的な市民交流を行
うことにより,戸田市民の国際意識の高揚,自主的文化活動の促進及び文化的地域
交流活動の推進を図り,もって国際親善並びに市民生活の向上及び発展に寄与する
ことなどを目的とする財団法人。以下「交流協会」という。)は,リバプール市に
対し,放射線量の測定結果,放射性物質の調査結果等は,いずれも不検出ないし基
準値を大きく下回るものであり,同市の中学生を戸田市が受け入れることに全く支
障がないことを説明するなどしてきたものの,いまだ上記事業は再開されるに至っ
ていないこと(甲24,53,乙3,乙24から26まで)が認められ,かかる事
実を考慮すると,市議会が,本件定例会において,派遣目的を「戸田市議会として
姉妹都市訪問団を派遣し,両市議会間の交流及びリバプール市の教育・文化芸術・
高齢者福祉・環境整備などについて広く見聞を深めるとともに,両市中学生海外交
流事業の再開を懇願し,さらなる相互理解と友好関係の促進を図ること」として,
本件議員らをリバプール市に派遣する旨の議決をし,その旨の決定(本件決定)を
したこと自体を不合理とまでいうのは困難である。
イしかしながら他方,前記前提事実に加え,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によ
れば,①本件派遣の経過は,別紙「平成25年度海外姉妹都市訪問(リバプール
市)の経過」に記載のとおりであり,市議会の各会派の議員によって構成される議
会運営委員会(以下,単に「議会運営委員会」という。議会運営委員会は,5月か
ら6月にかけて,平成25年度の議員派遣を希望する本件議員らを含む議員8名の
うち誰を派遣するか,また,派遣場所を開封市とリバプール市のいずれにするかに
ついて協議していた。)は,既に7月26日時点で,交流協会を通じて,リバプー
ル市から,10月15日から同月21日までの間で,派遣議員を受入れ可能な日は
同月18日のみである旨の回答を得ていたこと(甲1,2,15),②そのため,
本件行程表に記載のとおり,本件派遣においては,同月16日から同月21日まで
の派遣期間のうち,同月18日のみが,リバプール市内ないし郊外の教育,文化,
高齢者福祉,環境整備に係る施設等(「シータケンプシークリーク処理場」,「ジ
ョン・エドモンドソン高等学校」,「リバプール図書館」,「カシューラ・パワー
ハウス・アートセンター」,「リバプール郷土博物館」,「スカラブリニ・リタイ
アメントビレッジ」)の視察や,レストラン2階のレセプションルームでの歓迎会
(リバプール市長,同市会議員らに対する表敬を含む。)への参加に充てられ,そ
の余については,移動時間や,本邦からの進出企業(富士通オーストラリア)の事
務所の視察のほか,シドニー市内ないし郊外の観光名所,観光施設,商業施設等
(「ミセスマッコーリー岬」,「オペラハウス」,「ロックス地区」,「センテニ
アル・パーク」,「ダーリングハーバー」,「シドニー水族館」,「クイーンビク
トリアビルディング」,「ウエストショッピングセンター」,「フェザーデール自
然動物公園」,「旧シドニー湾税関ビル」)の視察や,いわゆるアクティビティー
(「キャプテン・クック・クルーズ」)の時間に充てられたこと(なお,同月20
日には,シドニー市郊外の観光名所,観光施設等である「ブルーマウンテンエコー
ポイント」及び「シーニックワールド」の視察が予定されていたが,山火事の影響
を受けて,「フェザーデール自然動物公園」,「旧シドニー湾税関ビル」,及び,
同月17日に専用車での移動中に車窓から視察するのみであった「ロックス地区」
の視察,「キャプテン・クック・クルーズ」に変更された。甲7,10,11,甲
39から46まで,甲54,乙8,29,31,32,証人γ,証人ζ),③リ
バプール市での視察についても,本件議員らは,交流協会を通じて,同市に対し,
同市役所(表敬訪問),戸田市の中学生が訪問した学校,高齢者福祉施設,エコ,
自然エネルギー施設,文化,芸術施設の視察等を要望するにとどまり,10月8日
(及び同月11日)に同市から同月18日の行程表(案)を示された後も,その内
容につき特段打合せはしていないこと(甲15,53,乙31,32,証人γ,証
人δ,証人ζ)が認められる。かかる事実に照らすと,①リバプール市を訪問す
るには,シドニー市を経由する必要性があること(弁論の全趣旨),②前記のと
おり,本件議員らが,10月18日,リバプール市内ないし郊外の教育,文化,高
齢者福祉,環境整備に係る施設等を視察し,また,歓迎会等において,リバプール
市長,同市会議員らに対し,戸田市と東日本大震災により事故の発生した原子力発
電所とは約210㎞離れていることや,当該事故の前後で放射性物質の測定値に変
化はないことなどを説明して,交流事業の再開を懇願し,一定の理解を得たこと
(甲12,13,31,乙7,29,30,31,36,証人δ,証人ζ),③
従前の議員派遣の際も,リバプール市での視察のみならず,シドニー市での視察を
実施していること(甲21,乙4)などを考慮しても,本件派遣の場所や行程は,
「戸田市議会として姉妹都市訪問団を派遣し,両市議会間の交流及びリバプール市
の教育・文化芸術・高齢者福祉・環境整備などについて広く見聞を深めるとともに,
両市中学生海外交流事業の再開を懇願し,さらなる相互理解と友好関係の促進を図
ること」という,その目的に照らし明らかに不合理といわざるを得ない。
ウこの点,被告は,本件派遣の場所には,体験事業の実施に当たり戸田市の中
学生を派遣するシドニー市も含まれ,その目的には,同市の治安状況や安全性の確
認も含まれる旨の主張をする。
しかしながら,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,①(a)本件定例会に
おける配付資料は本件資料のみであるところ,会議規則167条2項が,議員の派
遣を決定するに当たっては,派遣の目的,場所,期間その他必要な事項を明らかに
すべき旨を定めるのに,上記資料には,派遣場所をシドニー市とし,派遣目的を同
市の治安状況や安全性の確認とする旨の記載はないこと,(b)6月18日の運営
委員会において,本件議員らをリバプール市に派遣することが内定し,同月8日の
本件議員らによる打合せ会議において,視察場所等として,リバプール市につき,
同市役所(表敬訪問),戸田市の中学生が訪問した学校,シドニー市につき,本邦
からの進出企業,「オペラハウス」,「ハーバーブリッジ」,両市につき,高齢者
福祉施設(リタイアメントビレッジ等),エコ,自然エネルギー施設,文化,芸術
施設を希望することが確認され,9月3日には,議会事務局において,上記の希望
を前提に,日本旅行に対し,派遣行程の作成を依頼するなどしていたのに,本件定
例会において,同市での視察につき何らの説明もなかったこと(甲3,4,15,
乙23,証人γ,証人δ),②本件議員らは,シドニー市の視察の結果につき,
団長であるδ議員が,平成25年12月の第5回市議会定例会において,ζ事務局
長作成に係る「戸田市議会姉妹都市訪問団の派遣報告」に基づき,シドニー市内の
富士通オーストラリアの事務所,同市郊外の「センテニアル・パーク」の視察状況
を報告し,オーストラリア連邦やリバプール市の周辺地域の治安状況や安全性の確
認の必要性を指摘したほかは,シドニー市での視察状況や,同市の治安状況,安全
性について,何らの報告もしていないこと(甲12,13,31,証人γ,証人δ)
が認められ,かかる事実に照らすと,本件派遣の場所に,体験事業の実施に当たり
戸田市の中学生を派遣するシドニー市が含まれ,その目的に,同市の治安状況や安
全性の確認が含まれるとは到底認められない。
(3)以上によれば,9月26日の本件議員らによる打合せ会議において,日本
旅行作成に係る派遣行程案のうち,DFS(免税店)の視察は不要との指摘があ
り,派遣行程が変更されたこと(甲54,乙32,証人γ,証人δ)などを考慮し
ても,本件派遣について合理的な必要性があるとはいえない。そうすると,本件決
定は,市議会の裁量権を逸脱又は濫用してされたもので,違法であり,本件支出も
違法というべきである。
2本件議員らの利得額について
戸田市が,平成25年度の市議会予算から,本件派遣に係る旅費等として合計2
39万4000円を支出する旨の決定をし,10月7日(227万4000円)及
び同月16日(12万円),日本旅行に対し,上記合計額の支払をしたことは争い
がなく,本件議員らは,前記のとおり違法な本件決定及び本件支出に基づき,本件
派遣に係る旅費等相当額合計239万4000円を法律上の原因なく利得し,これ
により戸田市が同額の損失を被ったものと認めるのが相当である。
そして,本件議員らが返還すべき利得の額は,それぞれ47万8800円(23
9万4000円÷5名)となる。
3以上によれば,原告らの請求には理由があるからこれを認容することとして,
主文のとおり判決する。
さいたま地方裁判所第4民事部
裁判長裁判官森冨義明
裁判官畑政和
裁判官鈴木拓児は,転官のため,署名押印することができない。
裁判長裁判官森冨義明
(別紙「平成25年度戸田市議会姉妹都市訪問団行程表(実際)」省略)
(別紙「平成25年度海外姉妹都市訪問(リバプール市)の経過」省略)

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