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裁判例


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主文
1本件訴えのうち,東京入国管理局長が平成17年7月20日付けでした在留
特別許可をしない旨の処分の取消しを求める部分及び東京入国管理局長が同1
8年3月24日付けでした在留特別許可をしない旨の処分の取消しを求める部
分をいずれも却下する。
2法務大臣が原告に対して平成17年7月19日付けでした難民の認定をしな
い旨の処分を取り消す。
3東京入国管理局主任審査官が原告に対して平成18年3月24日付けでした
退去強制令書発付処分を取り消す。
4東京入国管理局長が原告に対して平成17年7月20日付けでした出入国管
理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分
が無効であることを確認する。
5原告のその余の請求を棄却する。
6訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担
とする。
事実及び理由
第1請求
1主文2項及び3項と同旨
2東京入国管理局長が原告に対して平成18年3月22日付けでした出入国管
理及び難民認定法49条1項に基づく原告の異議の申出には理由がない旨の裁
決を取り消す。
3東京入国管理局長が原告に対して平成18年3月24日付けでした出入国管
理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分
を取り消す。
4(1)主位的請求
東京入国管理局長が原告に対して平成17年7月20日付けでした出入国
管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の
処分を取り消す。
(2)予備的請求
主文4項と同旨
第2事案の概要
ミャンマー連邦は,平成元年に名称をビルマ連邦1本件は,ミャンマー連邦(
社会主義共和国から改称したものであるが,以下,改称の前後を区別すること
)の国籍を有する男性である原告が,平なく,同国を「ミャンマー」という。
61条の2第成16年法律第73号による改正前の出入国管理及び難民認定法
1項に基づき難民の認定を申請したところ,法務大臣から難民の認定をしない
旨の処分を受け,61条出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)
の2の9に基づく原告の異議の申立てについても法務大臣から理由がない旨の
東京入国管理局長(以決定を受け,さらに,法務大臣から権限の委任を受けた
から2度にわたり入管法61条の2の2第2項下「東京入管局長」という。)
による在留特別許可をしない旨の処分を受けたため,原告が「難民」に該当す
難民の認定をしない旨の処分は違法るにもかかわらずこれを認めなかった上記
在留特別許可をしない旨の処分は違法あるいは無効である旨主であり,上記各
張して,被告に対し,上記在難民の認定をしない旨の処分の取消し及び上記各
留特別許可をしない旨の処分の取消しあるいは無効確認を求めるとともに,東
京入国管理局(以下「東京入管」という。)入国審査官から入管法24条6号
(不法残留)に該当する旨の認定を受け,次いで,東京入管特別審理官から同認
権限の委任を受けた東定に誤りがない旨の判定を受け,さらに,法務大臣から
京入管局長から入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決
,東京入管主任審査官から退去強制令書の発付を受けたため,原告がを受け
「難民」に該当するにもかかわらずされた上記裁決には,東京入管局長が裁量
権の範囲を逸脱し,又は濫用した違法があり,上記裁決を前提としてされた上
記退去強制令書発付処分も違法である旨主張して,被告に対し,上記裁決及び
上記退去強制令書発付処分の取消しを求める事案である。
2前提事実
本件の前提となる事実は,次のとおりである。なお,証拠若しくは弁論の全
趣旨により容易に認めることのできる事実又は当裁判所に顕著な事実は,その
旨付記しており,それ以外の事実は,当事者間に争いがない。
(1)原告の身分事項
原告は,ミャンマーのヤンゴンにおいて昭和▲年▲月▲日に出生した,ミ
ャンマー国籍を有する外国人の男性である。(乙1,2)
(2)原告の入国及び在留状況
ア原告は,平成10年3月26日,○○号にて小倉港に入港し,同日,福
岡入国管理局北九州出張所入国審査官から,上陸期間を同年4月10日ま
でとする乗員上陸許可を受け,本邦に上陸したが,上記上陸許可期限を超
えて本邦に不法に残留した。(乙4から6まで)
イ原告は,東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)に対し,平成1
6年8月23日,居住地を「東京都新宿区α×番9号β×××」として,
平成16年法律第73号による改正前の外国人登録法3条1項に基づき,
登録の申請をし,同年10月12日,登録証明書の交付を受けた。(乙1,
7)
ウ原告は,新宿区長に対し,平成16年11月15日,新居住地を「東京
都新宿区γ−××−7−×××」として,外国人登録法8条2項に基づき,
居住地変更の登録の申請をした。(乙1,7)
エ原告は,新宿区長に対し,平成17年8月24日,外国人登録法11条
1項に基づき,確認の申請をし,同年9月13日,新たに登録証明書の交
付を受けた。(乙1,8)
オ原告は,新宿区長に対し,平成18年8月16日,新居住地を「東京都
新宿区α−××−10−×××」として,外国人登録法8条2項に基づき,
居住地変更の登録の申請をした。(乙1,8)
カ原告は,新宿区長に対し,平成18年8月25日,外国人登録法11条
1項に基づき,確認の申請をした。(乙1,8)
(3)原告の退去強制手続
ア警視庁目白警察署警察官は,平成17年2月23日,原告を入管法違反
容疑で逮捕した。(乙1,10,14)
イ東京入管入国警備官は,平成17年2月23日,原告が入管法24条6
号に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入管主任審査
官から収容令書の発付を受け,同月24日,入管法65条に基づき,警視
庁目白警察署警察官から原告の引渡しを受け,同日,同令書を執行して,
原告を東京入管収容場に収容し,同日,原告を入管法24条6号該当容疑
者として東京入管入国審査官に引き渡した。(乙1,10から12まで)
ウ東京入管入国審査官は,平成17年2月25日及び同年3月1日,原告
について違反審査を実施し,同日,原告が入管法24条6号(不法残留)
に該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨の認定を行い,原告にこ
れを通知した。原告は,同日,東京入管特別審理官による口頭審理を請求
した。(乙13から15まで)
エ東京入管特別審理官は,平成17年4月6日,原告について口頭審理を
行い,東京入管入国審査官の認定に誤りがない旨判定し,原告にこれを通
知した。原告は,この判定について,同日,法務大臣に異議の申出をした。
(乙16から18まで)
オ原告は,平成17年4月22日,指定住居を「東京都新宿区γ−××−
7δ×××」とする条件の下,仮放免の許可を受けて,仮放免された。
(乙19)
カ法務大臣から入管法69条の2に基づき権限の委任を受けた東京入管局
長は,平成18年3月22日,上記エの異議の申出について理由がない旨
の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。同月23日に本件裁決の通
知を受けた東京入管主任審査官は,原告に対し,同月24日,本件裁決を
通知するとともに,ミャンマーを送還先とする退去強制令書(以下「本件
令書」という。)を発付した(以下,この処分を「本件退令処分」とい
う。)。(甲4,乙20から22まで)
キ東京入管入国警備官は,平成18年3月24日,本件令書を執行して,
原告を東京入管収容場に収容した。(乙22)
ク原告は,平成18年7月10日,仮放免の許可を受けて,仮放免された。
(乙22,23)
(4)原告の難民の認定申請
ア原告は,法務大臣に対し,平成17年3月2日,難民の認定を申請した
(以下,この申請を「本件難民認定申請」という。)。(乙24)
イ東京入管難民調査官は,原告に対し,平成17年3月31日,本件難民
認定申請について,事実の調査を行った。(乙26)
ウ法務大臣は,平成17年7月19日付けで,本件難民認定申請につき,
難民の認定をしない旨の処分(以下「本件不認定処分」という。)をし,
同月28日,原告にこれを通知した。(甲1,乙1)
エ法務大臣から入管法69条の2に基づき権限の委任を受けた東京入管局
長は,平成17年7月20日,入管法61条の2の2第2項による在留特
別許可をしない旨の処分(以下「本件不許可処分」という。)をし,同月
28日,原告にこれを通知した。(甲3,乙1)
オ法務大臣から入管法69条の2に基づき権限の委任を受けた東京入管局
長は,平成17年7月20日,仮滞在を許可しない旨の処分をし,同月2
8日,原告にこれを通知した。(乙1,28)
カ原告は,平成17年8月2日,本件不認定処分につき,法務大臣に異議
申立てをした。(乙29)
キ東京入管難民調査官は,原告に対し,平成17年12月9日,事実の調
査を行った。(乙33)
ク法務大臣は,原告に対し,平成18年3月15日付けで,前記カの異議
の申立てには理由がないので棄却する旨の決定をし,同月24日,原告に
これを告知した。(甲2,乙1)
ケ法務大臣から入管法69条の2に基づき権限の委任を受けた東京入管局
長は,平成18年3月24日付けで,入管法61条の2の2第2項による
在留特別許可をしない旨の通知(以下「本件不許可通知」という。)をし
た。(甲5)
コ東京入管局長は,平成18年6月26日,本件不許可通知を取り消し,
同日,原告にこれを通知した。(乙37)
(5)本件訴えの提起
原告は,平成18年9月22日,本件不認定処分,本件裁決,本件退令処
分及び本件不許可通知の各取消しを求めるとともに,主位的に本件不許可処
分の取消しを,予備的に本件不許可処分の無効確認を求める本件訴えを提起
した。(当裁判所に顕著な事実)
3争点
本件の主な争点は,次のとおりである。
(1)本件不許可処分及び本件不許可通知の各取消しを求める訴えの適法性。具
体的には,本件不許可処分の取消しを求める訴えは,出訴期間経過後に提起
された不適法なものであるか。また,本件不許可通知の取消しを求める訴え
は,取消しを求める対象を欠いた不適法なものであるか。
(2)難民該当性の有無。具体的には,本件不認定処分がされた平成17年7月
19日,本件不許可処分がされた同月20日,本件裁決がされた同18年3
月22日,及び本件退令処分がされた同月24日当時,原告は,ミャンマー
本国及び本邦において反政府活動をしていたことを理由として,ミャンマー
政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有してい
るために,国籍国の外にいる者ということができるか。
(3)本件不許可処分の有効性。具体的には,本件不許可処分がされた平成17
年7月20日当時,原告は,ミャンマーに送還されれば迫害を受けるおそれ
があったので,在留特別許可を付与されるべきであったのに,これを付与し
なかった本件不許可処分は,無効であるということができるか。
(4)本件裁決の適法性。具体的には,本件裁決がされた平成18年3月22日
当時,原告は,ミャンマーに送還されれば迫害を受けるおそれがあったので,
在留特別許可を付与されるべきであったのに,これを付与せずにされた本件
裁決は,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長
(以下,併せて「法務大臣等」という。)の有する裁量権を逸脱するなどし
てされた違法なものであるということができるか。
(5)本件退令処分の適法性。具体的には,本件裁決が違法であるから,これを
前提とする本件退令処分も違法であるか。また,本件退令処分はいわゆるノ
ンルフールマン原則に反し違法であるか。
4争点に関する当事者の主張の要旨
(1)争点(1)(本件不許可処分及び本件不許可通知の各取消しを求める訴えの
適法性)について
(原告の主張)
ア平成16年法律第73号による改正後の入管法が施行された当時,難民
不認定処分に係る異議申立てに対する決定がされる際に,入管法61条の
2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分がされ,異議申立人に
対しその旨の通知がされ,それに伴い,行政事件訴訟法46条による取消
訴訟に関する教示がされていた。
イところが,法務省入国管理局は,近時,突如として,難民不認定処分に
係る異議申立てに対する決定がされる際には,入管法61条の2の2第2
項による在留特別許可をしない旨の処分がされるものではなく,これまで
されていた通知は処分があったことを示すものではないと主張するに至っ
た。
ウ原告が本件不許可処分について訴えを提起しなかったのは,これまでの
法務省入国管理局の前記アの取扱いに従ったものであって,原告の責めに
帰すべき事由によるものではないから,行政事件訴訟法14条1項ただし
書所定の正当な理由がある。
(被告の主張)
ア原告が本件不許可処分の通知を受けたのは平成17年7月28日である
ところ,本件不許可処分の取消しを求める訴えは,出訴期限である同18
年1月28日を経過した後に提起されたものであるから,不適法である。
原告の主張するとおり,仮に,難民不認定処分に係る異議申立てに対す
る決定に際して,在留特別許可をしない旨の処分がされていたとしても,
同処分は本件不許可処分とは別個の処分であるから,前者の処分について
取消訴訟を提起する予定であったことが本件不許可処分を提起するについ
ての行政事件訴訟法14条1項ただし書所定の「正当な理由」となるもの
ではない。
また,入管法には難民不認定処分に係る異議申立てに対する決定に際し
て,在留特別許可あるいは在留特別許可をしない旨の処分をする旨の規定
はない上,原告に対する本件不許可処分の告知の際には,処分があったこ
とを知った日から6箇月以内に取消訴訟を提起する必要がある旨教示され
ているのであるから,「正当な理由」が認められる余地はない。
イ東京入管局長が平成18年3月24日にした本件不許可通知は,本件不
許可処分の内容について変更がない旨を単に通知したものであり,東京入
管局長が本件不許可処分とは別に新たな在留特別許可をしない旨の処分を
したものではなく,取消訴訟の対象となるものではないけれども,本件の
ように,従前の教示を基にその取消訴訟が提起される場合があることにか
んがみ,東京入管局長は,同年6月26日付けで,念のため,本件不許可
通知を取り消す旨の通知をした。
したがって,本件不許可通知の取消しを求める訴えは,その取消しを求
める対象を欠いているから,訴えの利益を欠き,不適法である。
(2)争点(2)(難民該当性の有無)について
(原告の主張)
ア原告は,昭和62年の廃貨令が出された次の日に,友人と話し合い,デ
モをしたり,ステージを作って演説をしたりしたところ,退学処分となっ
た。
原告は,同63年3月から本格的に民主化活動をし,タダピュー事件
(平和的デモに対する警察の介入により多くの学生が捕まり,あるいはで
き死した事件)の時にはデモに参加したが,その翌日,警察署に連行され,
取調べを受けた。原告は,解放される際,「もう政治活動はしない」とい
う誓約書にサインをさせられた。
原告は,平成元年2月,警察署に連行され,インセイン刑務所へ連れて
行かれて,そこで5日間ほど過ごした後,さらにシットゥエ刑務所へ連れ
て行かれ,そこで1年ほど過ごした。そして,原告は,再びインセイン刑
務所へ連れて行かれた後,同2年2月に釈放された。原告は,釈放される
際,「2度と政治活動にはかかわらない」という書面にサインをさせられ,
両親と叔父も,原告を政治活動にかかわらせないという書面にサインをさ
せられた。
イ原告は,平成10年4月5日に日本に到着したが,同15年にディペイ
ン事件が起きたことを知り,民主化活動団体であるaで活動をするように
なり,デモにも参加するようになった。原告は,aにおいて,「b」のペ
ンネームで活動し,aが発行する雑誌であるcに記事を書くだけでなく,
広報担当の責任者を務め,cの配布も担当している。
また,原告は,同17年4月からd組合(以下「d」という。)に参加
をし,オーガナイザーを務めている。
ウ以上のとおり,原告は,ミャンマーにおいて,民主化活動を理由として
身柄を拘束された経験があり,日本においても,民主化活動を行い,民主
化活動団体であるaやdという特定の社会的集団に属しているのであるか
ら,難民というべき者である。
(被告の主張)
ア原告が昭和62年以降の政治活動を理由として退学させられたり,取調
べを受けたとの主張を裏付ける客観的証拠はない。
また,学校を退学になったとする時期や警察署に連行されて取調べを受
けた時期についての原告の供述は,合理的理由なく変遷しており,信用で
きない。
仮に,原告が主張する事実があったとしても,原告は,反政府活動の一
参加者であったにすぎないから,この程度の活動を理由として,原告が本
国政府から積極的な反政府活動家として関心を寄せられていたとは到底考
え難い。
イ原告が平成元年2月ころに警察署に連行され,約1年間収監されたこと
を裏付ける客観的証拠はない。
また,原告は,収監されていたとする期間について,1年間も供述を変
遷させており,収監されていたとする間の事情についても,供述を変遷さ
せているのであるから,原告の供述は到底信用できない。
さらに,原告の船員手帳の記載は,原告の収監されていた時期に係る主
張あるいは供述のいずれとも両立し得ないから,このような観点からみて
も,原告の主張を信用することはできない。
ウ原告は,正規の手続で自己名義の旅券を取得しているところ,ミャンマ
ーにおいては,厳格な旅券発給等の審査が実施されており,反政府活動に
関与した程度によって旅券発給の許否等が決定されていることに照らせば,
正規旅券の発給等が認められた者は,少なくともその時点においては反政
府活動に深くかかわっているとミャンマー政府が考えない者であったと強
く推認される。
エ原告は,平成10年1月14日に正規に出国を許可されており,その際
に何ら問題がなかったことを自認しているところ,ミャンマーにおいては,
反政府活動家に対する出国手続も相当厳格に実施されているから,仮に,
軍事政権が原告を民主化運動家として敵視していることが事実であるとす
れば,そのような者に対して正規の出国許可がされるとは考え難く,むし
ろ,上記の出国許可がされた事実は,ミャンマー政府が原告を反政府活動
家として把握していなかったことの証左というべきである。
オ原告の供述内容からすると,原告は,単なる稼働目的で出入国を繰り返
し,その間の出入国手続は何ら問題なく行われていたのであるから,原告
自身本国政府から迫害を受けるとの恐怖を有しておらず,客観的にもその
おそれはなかった。
カ原告は,本国を出国後,本邦以外の国々へ渡航しているところ,これら
の国で保護を求めたり,難民認定申請に及んでいない上,来日後も約6年
11箇月以上もの長期間にわたり,難民認定申請に及んでいないから,こ
の間,原告が「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」
を有していたとは考え難い。
キ原告の供述内容及び実際の行動状況と,原告が来日後約6年11箇月以
上もの長期間にわたり難民認定申請に及んでいないことからすると,原告
が単なる不法就労目的で本邦に不法滞在し,実際にも来日後は本邦での稼
働にのみ専念していたことは明らかである。
ク原告の供述内容からすると,原告が本件難民認定申請の約2年前に本邦
での政治活動を開始したものとしても,その活動は散発的かつ補助的なも
のにすぎないから,この程度の活動を理由として,原告が本国政府から積
極的な反政府活動家として関心を寄せられ,警戒されていたとは考え難い。
(3)争点(3)(本件不許可処分の有効性)について
(原告の主張)
原告が難民である以上,原告を本国に送還することは,難民の地位に関す
る条約(以下「難民条約」という。)33条並びに拷問及び他の残虐な,非
人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(以下「拷問等禁
止条約」という。)3条に規定されているノンルフールマン原則に反し許さ
れないから,本件不許可処分は無効である。
(被告の主張)
原告は難民と認められないから,難民であることが原告の在留を特別に許
可すべき事情に当たるとはいえず,また,原告が来日するまでは我が国社会
と特段の関係を有しなかった者であり,稼働能力を有する成人であることを
考慮すると,他に在留を特別に許可すべき積極的な理由は見当たらない。
そして,本件不許可処分に重大かつ明白な瑕疵はないから,本件不許可処
分が無効であるとする原告の主張には理由がない。
(4)争点(4)(本件裁決の適法性)について
(原告の主張)
本国に送還されれば,その生命又は自由が脅威にさらされるおそれが高い
者に対しては,第三国の受入れが保証されているものでない限り,在留特別
許可が義務付けられているのであるから,このような者に対してされた本件
裁決は,ノンルフールマン原則に反し違法である。
(被告の主張)
原告は,在留期限である平成10年4月10日を超えて本邦に不法残留す
るに至った者であり,入管法24条6号所定の退去強制事由に該当する。し
たがって,原告が法律上当然に退去強制されるべき外国人に当たることは明
らかであり,本件裁決は適法である。
この点に関し,原告は,本件裁決がノンルフールマン原則に反する違法な
処分である旨主張するが,本件裁決において判断されたのは,原告が退去強
制対象者に該当するかどうかに係る特別審理官の判定に対する原告の異議の
申出に理由があるか否かということのみであるところ,原告はこの点につい
ての違法事由を主張していない上,他に本件裁決固有の瑕疵を主張している
ものでもないから,上記主張により本件裁決の適法性が左右されるものでは
ない。
(5)争点(5)(本件退令処分の適法性)について
(原告の主張)
本国に送還されれば,その生命又は自由が脅威にさらされるおそれが高い
者に対して,その本国を送還先とする退去強制令書を発付することは,ノン
ルフールマン原則に反し違法であるから,本件退令処分は違法である。
(被告の主張)
退去強制手続において,法務大臣から「異議の申出には理由がない」との
裁決をした旨の通知を受けた場合,主任審査官は,速やかに退去強制令書を
発付しなければならないのであって,主任審査官には,退去強制令書を発付
するにつき裁量の余地は全くないから,本件裁決が適法である以上,本件退
令処分も当然に適法である。
また,原告が難民であるとは認められないから,本件退令処分がノンルフ
ールマン原則に反する余地もない。
第3争点に対する判断
1前記前提となる事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を
認めることができる(認定根拠は,各事実の後に付記することとする。)。
(1)ミャンマーの政治状況
アミャンマーは,昭和23年1月4日に独立したが,ネウィン将軍が率
いる軍が,同37年3月,クーデターを決行し,全権を掌握した。同年7
月にはビルマ社会主義計画党が結成され,さらに,同39年3月の国家統
制法により,他の政党が禁止された。(甲6,弁論の全趣旨)
イ昭和63年3月以降,ヤンゴンで学生らの反政府デモが日増しに拡大し
て警察や軍と衝突し,同年8月8日には,学生や市民による反政府ゼネス
トが全国で行われるなど,大規模な民主化運動が起こった。しかし,上記
民主化運動は,軍によって弾圧され,同年9月18日,軍事クーデターに
より,国家法秩序回復評議会(以下「SLORC」という。)が全権を掌
握し,SLORCによる軍事政権が成立した。(弁論の全趣旨)
ウSLORCは,平成元年7月,アウンサンスーチーを国家破壊分子法違
反を理由に自宅軟禁し,その政治活動を禁止した。(弁論の全趣旨)
エ平成2年5月27日,約30年ぶりに複数政党参加による総選挙が施行
され,アウンサンスーチーの率いる国民民主連盟(以下「NLD」とい
う。)が485議席中392議席を獲得し,約8割の議席を占めて勝利し
たにもかかわらず,SLORCは,民政移管のためには堅固な憲法が必要
であるとして,NLDに政権を委譲しなかった。(甲6,弁論の全趣旨)
オSLORCは,平成8年5月及び9月に,NLD主催の議員総会や党集
会の前に多数のNLD関係者を拘束して,議員総会や党集会の開催を妨害
した。(弁論の全趣旨)
カ平成8年10月23日,ヤンゴンの学生約500人が警官の学生への暴
力に抗議しデモを行ったのを始めとして,各地で学生デモが発生し,同年
12月半ばまで続いたが,SLORCは学生を強制排除した。同9年1月,
同8年12月のデモを扇動したとしてNLD党員11人を含む活動家34
人が禁固7年の実刑判決を受けた。(弁論の全趣旨)
キ平成8年12月25日,ヤンゴンの仏教寺院において爆弾が爆発して死
傷者を出すという事件があり,SLORCは,同事件にe及びfが関与し
ている疑いがあると発表した。また,同9年4月7日,SLORCの第二
書記であるg中将の自宅に小包が届き,これが爆発して同人の長女が死亡
するという事件が起こった。(弁論の全趣旨)
クSLORCは,平成9年5月,NLDの総選挙圧勝7周年記念の議員総
会を阻止するため,NLD党員ら多数を拘束し,最終的には約300人を
拘束した。また,SLORCは,同年9月27日及び同月28日に予定さ
れていたNLDの創立9周年集会開催に関し,参加者の上限を300人と
する条件付きで許可したが,その件につき,NLDの参加者全員に対し軍
情報局担当官に個人的な情報を報告させ,約30人のNLD活動家の参加
を許可せず,その地域から追放した旨の報道がされた。(弁論の全趣旨)
ケSLORCは,平成9年11月15日,国家平和発展評議会(SPD
C)に改組された(なお,以下では,改組の前後を区別することなく,
「SLORC」という。)。(弁論の全趣旨)
コアウンサンスーチーは,平成8年後半から再び自宅外に出る自由及び訪
問者を受け入れる自由を次第に制限されるようになり,同10年8月,同
12年8月及び同年9月の計3回にわたり,NLDの幹部と共に地方に赴
こうとするのを強制的に自宅に連れ戻されるという事件が起こり,その後
は事実上の自宅軟禁の措置が採られ続けていたが,同14年5月6日,よ
うやく軟禁状態が解かれた。しかし,同15年5月30日には,アウンサ
ンスーチーが地方遊説に出掛けていた際,それを妨害しようとした政府系
の反NLD組織であるhによって襲撃され,アウンサンスーチー,iNL
D副議長らがSLORCによって拘束されるというディペイン事件が起き
た。(甲6,7,弁論の全趣旨)
サSLORCは,現在においても,国民の政治的自由を認めずに人権抑圧
の状態を継続している。ミャンマー政府は,言論,出版,集会,移動,政
治活動及び結社の自由を制限しているほか,労働者の権利も制限し,労働
組合を非合法化し,国民を強制労働に使用している。(甲6,10,弁論
の全趣旨)
シミャンマー政府は,政治活動家に対する嫌がらせ,脅迫,逮捕,拘禁及
び身体的虐待によって政治活動家に対する管理を強化している。政治活動
を抑圧するために,監視の手段として,電話の盗聴,郵便物の検閲,尾行
等のし意的な干渉を行うことがある。(甲6,10,弁論の全趣旨)
スミャンマーにおいては,人権尊重の理念が浸透しているとはいい難く,
軍の兵士が武装していない国民に対して超法規的死刑の執行,即決死刑の
執行,し意的死刑の執行,強制労働,強制移住,強制失踪,し意的逮捕,
財産の破壊及び没収,強姦等を行ったことが報告されている。(甲6,1
0,弁論の全趣旨)
(2)原告の個別的事情
ア原告の身分事項等
(ア)原告は,ミャンマーのヤンゴンにおいて昭和▲年▲月▲日に出生し
た,ミャンマー国籍を有する外国人の男性である。(前記前提事実)
(イ)原告には,両親,兄,弟2人及び妹がおり,弟2人は船員であり,
両親,兄及び妹はミャンマーに在住している。(乙24から26まで)
イ原告のミャンマーにおける活動等
(ア)原告は,昭和62年5月,ε管区に在るjという学校のメカニック
コースの3年生であったが,廃貨令が出されたことに抗議して,デモに
参加したり演説をした。原告は,同年11月ころ,上記デモに参加した
ことを理由に,同学校を退学させられた。(甲67,乙10,14,1
6,24,25,26,31,33,原告本人)
(イ)原告は,昭和63年3月ころ,ヤンゴン大学の周辺でデモに参加し
たところ,その翌日に警察署に連行されていわゆるタダピュー事件に関
し取調べを受けたが,1日間拘束された後,政治活動をしない旨の書面
に署名をして釈放された。(甲67,乙14,16,31,33)
(ウ)原告は,平成元年2月ころ,タダピュー付近で他の学生らと集まっ
ていたところ,他の学生らと共に警察官に逮捕され,それから約1年間,
ラカイン州のシットゥエ刑務所等に収容された。原告は,同2年2月こ
ろに釈放されたが,その際,2度と政治活動にかかわらない旨の書面に
署名した。(甲67,乙14,16,24,25,26,31,33,
原告本人)
(エ)原告は,平成3年8月ころ,ミャンマーの経済状態が悪化し,家計
も苦しくなったことから,外国で働いて家族へ送金しようと考え,旅券
の申請をし,同年11月に正規の旅券を取得した。原告は,その際,外
国において政治活動は行わない旨の書面に署名した。原告は,同年12
月ころ,ミャンマーを出国して,タイ王国のバンコクへ行き,同月から
同9年7月までバンコクの船会社で稼働していた。(甲67,乙16,
26,31)
(オ)原告は,平成9年6月ころ,ミャンマーの景気が良くなったという
話を聞いたことから,ミャンマーで稼働しようと帰国を決意し,ミャン
マーへ帰国した。しかし,原告は,ミャンマーで仕事がなかったことか
ら,再び出国することとし,同年9月12日,旅券を取得し,同10年
1月14日,ミャンマーを出国して,再度バンコクへ行った。(乙2,
16,24,25,26,31)
(カ)原告は,バンコクで船員としての仕事を探していたところ,大韓民
国の貨物船である○○号の船員の仕事を見付けたことから,平成10年
3月23日,同国へ行き,同船に乗船した。原告は,同船において船員
として稼働していたところ,同船は,同月26日,小倉港に入港した。
原告は,同日,福岡入国管理局北九州出張所入国審査官から,上陸期間
を同年4月10日までとする乗員上陸許可を受け,本邦に上陸したが,
同船の船員であったミャンマー人から下船することを誘われ,このまま
ミャンマーに帰国しても仕事がないため,本邦において稼働しようと考
え,そのまま逃走した。(前記前提事実,甲67,乙2,14,16,
24,26)
ウ原告の日本における活動等
(ア)原告は,本邦上陸後,平成10年5月ころから約2箇月間,東京都
港区ζの居酒屋で稼働した後,同年7月ころから千葉県の養鶏場で,同
13年から東京都新宿区で稼働するなどし,同17年2月からは,東京
都品川区ηの印刷会社で稼働した。原告は,同社において,午前9時か
ら午後8時まで日曜日を除く毎日稼働し,1箇月18万円の給料を得て
いた。(乙14,25,26)
(イ)原告は,本邦上陸後,反政府活動をしていなかったが,平成15年
2月ころから,cと題する雑誌を発行しているaと称する団体とかかわ
りを持つようになった。cは,毎月1回,350部から600部発行さ
れており,ミャンマー料理店,雑貨店,反政府組織等に無料で配布され
ているものであり,同18年7月以降は,それ以前に発行されたものの
一部を含め,インターネット上で閲覧することができるものである。
原告は,同15年5月のディペイン事件をきっかけに,cの発行に積
極的に関与するようになり,同16年8月8日付け,同年9月20日付
け,同年11月7日付け及び同年12月17日付けのcに,「b」のペ
ンネームあるいは本名で,それぞれミャンマーの軍事政権やSPDC議
長であるkに対する批判的内容の記事を掲載した。なお,上記各cは,
いずれもインターネット上で閲覧することができる。
原告は,cの広報責任者として,cの配布先の料理店や雑貨店等との
対応の窓口となっており,同17年1月からは,広報責任者として,原
告のペンネームである「b」の名前がcに掲載されるようになった。
なお,原告がaに参加する以前に,既にaにはミャンマー人6名が参
加していたが,当該6名のミャンマー人は,いずれも難民認定されてい
る。(甲12,48の1,48の2,49,50の1から50の29ま
で,51から54まで,67,68,69の1から69の6まで,乙1
6,25,26,31,証人l,原告本人,弁論の全趣旨)
(ウ)原告は,ディペイン事件をきっかけに,平成15年6月から,ミャ
ンマー大使館前においてデモに参加するようになった。(甲67,乙1
4,16,26,31,原告本人)
(エ)原告は,平成17年4月から同18年4月までの間,dに参加し,
オーガナイザーとして組織への加入の勧誘をする役職を務めていた。d
は,労働者問題を扱いながら,ミャンマーの民主化獲得を目指した政治
活動への援助を目的の1つとしている。(甲13,14,67,乙31,
33,証人l,原告本人)
(3)事実認定の補足説明
ア昭和63年3月ころ警察署に連行されたこと等について
(ア)被告は,昭和63年3月ころに警察署に連行された旨の原告の主張
につき,その時期等に係る原告の供述が変遷していることを理由に,原
告の当該供述には信用性がない旨主張する。
(イ)しかし,原告は,平成17年2月24日の違反調査時から,「19
87年と1989年」の2回にわたり身柄を拘束され,そのうち「19
89年」の時には約2年間刑務所に収容されていた旨供述しており(乙
10),それ以降,同年3月1日の違反審査時にも,「1987年6月
ころ」と「1989年」の2回にわたり身柄を拘束され,前者は1日間
刑務所に,後者は「1989年から1991年まで」刑務所に収容され
ていた旨供述し(乙14),同月2日付けで作成された難民認定申請時
に提出された申立書にも,「1987年」と「1989年」の2回にわ
たり身柄を拘束され,前者は1日間,後者は2年間収容されていた旨記
載し(乙25),また,同年4月6日の口頭審理時にも,「1987年
6月ごろ」と「1989年」の2回にわたり身柄を拘束され,前者は1
日間刑務所に,後者は「1989年から1991年まで」刑務所に収容
されていた旨供述している(乙16)のであって,このように,ほぼ一
貫して,ミャンマーにおいて2回にわたり身柄を拘束され,その1回目
は警察署に連行され1日間拘束されたものである旨供述していたのであ
るから,その後,1回目に身柄を拘束された時期についての供述を「1
988年3月」と変遷させたとしても,2回にわたり身柄を拘束され,
その1回目は1日間拘束されたものであるという主要な点において一致
しているのであるから,20年近く前の事実に係る供述等であり,記憶
に多少の混乱があったとしても無理からぬことであることを併せ考慮す
ると,原告の上記供述を信用できないとまでいうことはできない。
そして,原告は,1回目に身柄を拘束された際,昭和63年3月に起
きたいわゆるタダピュー事件に関し取調べを受けたというのであるから,
原告が1回目に身柄を拘束された時期は,同月ころと認めるのが相当で
ある。
イ平成元年2月ころからの刑務所における収容について
(ア)被告は,平成元年2月ころから1年間刑務所に収容されていた旨の
原告の主張につき,その期間に係る原告の供述に変遷があることを理由
に,原告の当該供述は信用できない旨主張する。
(イ)確かに,前示のとおり,原告は,従前,平成元年から2年間刑務所
に収容されていた旨供述していたにもかかわらず,本件不認定処分後に
至って,同年から1年間刑務所に収容されていた旨供述を変遷させてい
る。
この点につき,原告は,東京入管における調書作成時に,その誤りに
気付き,東京入管の職員に訂正を申し出たが,同職員が訂正に応じてく
れなかった旨供述するが,原告がいかなる時点で上記申出をしたという
のか必ずしも明らかではないものの,同17年4月6日に作成された口
頭審理調書(乙16)中には,原告が大韓民国の船の船員になった時期
について訂正を申し出た旨が記載されているのであるから,原告が訂正
を申し出たにもかかわらず,東京入管の職員がこれに応じなかったとす
る原告の上記供述は,にわかに信用し難い。
(ウ)しかし,その一方で,前示のとおり,原告の供述は,ミャンマーに
おいて2回にわたり身柄を拘束され,その2回目は平成元年から長期間
にわたるものであるという主要な点において一致していること,原告の
供述録取書(甲67)及び原告本人尋問において,原告が身柄を拘束さ
れていたというシットゥエ刑務所の様子について,詳細かつ具体的に述
べていることからすると,原告が同刑務所に収容されていたこと自体は
認められるというべきである。そして,同刑務所に収容された期間を2
年間から1年間に供述を変更するということは,難民であると主張して
いる原告にとっては,いわば不利益に供述を変更するものであることを
考慮すると,原告は平成元年2月ころから1年間にわたり刑務所に収容
されていたものと認めるのが相当である。
(エ)さらに,被告は,原告が刑務所に収容されていた旨供述している期
間につき,原告の船員手帳(乙3)には船員として雇用されていた旨の
記載があることを理由に,原告の供述が信用できない旨主張する。
この点につき,原告は,乗船歴がある方が就職に有利であるとして,
同船員手帳を偽造して架空の乗船歴を記載した旨具体的に供述しており,
原告の当該供述内容には一応の合理性が認められるから,前記(ウ)で述
べたところと併せ考慮すると,同船員手帳の記載をもって,直ちに原告
の供述が信用できないとまでいうことは困難である。
(オ)また,被告は,収容されていた場所についても原告の供述に変遷が
ある旨主張するが,シットゥエ刑務所において長期間収容されていたと
いう点において一貫しているから,このことをもって原告の供述が信用
できないとまでいうことはできない。
ウ以上のとおり,原告の供述には,被告が主張するような変遷があるもの
の,これをもって,直ちに原告の供述が信用できないとまではいえないか
ら,被告の主張をにわかに採用することはできない。
2争点(1)(本件不許可処分及び本件不許可通知の各取消しを求める訴えの適
法性)について
(1)本件不許可処分の取消しを求める訴えの適法性について
ア行政事件訴訟法14条1項は,取消訴訟は,処分又は裁決があったこと
を知った日から6箇月以内に提起しなければならない旨規定している。
それにもかかわらず,原告は,前記前提事実のとおり,平成17年7月
28日,東京入管局長から,本件不許可処分の通知を受け,本件不許可処
分があったことを知ったにもかかわらず,同日から起算して6箇月を経過
した後である同18年9月22日に本件訴えを提起したものであるから,
本件不許可処分の取消しを求める訴えは,上記出訴期間の定めを遵守しな
い不適法な訴えであるといわざるを得ない。
イこの点について,原告は,難民不認定処分に係る異議申立てに対する決
定がされる際に,入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしな
い旨の処分がされ,異議申立人に対しその旨の通知がされるという取扱い
がされていたことを理由に,行政事件訴訟法14条1項ただし書所定の正
当な理由がある旨主張する。
確かに,前記前提事実のとおり,本件不認定処分に係る異議申立てに対
する決定がされた後,本件不許可処分とは別に,本件不許可通知がされて
いることからすると,難民不認定処分に係る異議申立てに対する決定がさ
れる際に,入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の
通知がされるという取扱いがされていたことがうかがえるところである。
しかし,仮に,本件不許可通知が処分であるとしても,それは本件不許可
処分とは別個の処分であるから,上記取扱いがあったことをもって,本件
不許可処分の取消しを求める訴えにおける出訴期間を遵守しなかったこと
につき,行政事件訴訟法14条1項ただし書所定の正当な理由があると直
ちにいうことはできない。
ウしたがって,原告の主張を採用することはできない。
(2)本件不許可通知の取消しを求める訴えの適法性について
前記前提事実のとおり,本件不許可通知は,仮にそれが処分であるとして
も,既に東京入管局長によって取り消されていることが認められることから
すると,本件不許可通知の取消しを求める訴えは,取消しの対象を欠くもの
であり,不適法であるといわざるを得ない。
3争点(2)(難民該当性の有無)について
(1)難民の意義について
ア(ア)入管法61条の2第1項は,「法務大臣は,本邦にある外国人から法
務省令で定める手続により申請があつたときは,その提出した資料に基
づき,その者が難民である旨の認定…(略)…を行うことができる。」
と規定している。そして,入管法2条3号の2は,入管法における「難
民」の意義について,難民条約1条の規定又は難民の地位に関する議定
書(以下「難民議定書」という。)1条の規定により難民条約の適用を
受ける難民をいうものと規定している。
(イ)難民条約1条A(2)は,「1951年1月1日前に生じた事件の結果
として,かつ,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員で
あること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分
に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であつて,その
国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有する
ためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件
の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であつて,当該
常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を
有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」は,
難民条約の適用上,「難民」という旨規定している。
(ウ)難民議定書1条2は,難民議定書の適用上,「難民」とは,難民条
約1条A(2)の規定にある「1951年1月1日前に生じた事件の結果
として,かつ,」及び「これらの事件の結果として」という文言が除か
れているものとみなした場合に同条の定義に該当するすべての者をいう
旨規定している。
イ入管法にいう「難民」とは,入管法2条3号の2,難民条約1条A(2)及
び難民議定書1条2を合わせ読むと,人種,宗教,国籍若しくは特定の社
会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれ
があるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者
であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような
恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないものをいう
こととなる。そして,上記の「迫害」とは,通常人において受忍し得ない
苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は
抑圧を意味するものと解するのが相当であり,また,上記にいう「迫害を
受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というために
は,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主
観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖
を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解するのが相
当である。
(2)原告の難民該当性について
ア(ア)本件不認定処分がされた平成17年7月19日,本件不許可処分がさ
れた同月20日,本件裁決がされた同18年3月22日,及び本件退令
処分がされた同月24日当時,原告がミャンマー本国及び本邦において
反政府活動をしていたことを理由として,ミャンマー政府から迫害を受
けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国
の外にいる者であるか否かについて検討する。
(イ)前記認定事実によると,①原告は,昭和62年5月,jという学校
に在学中,廃貨令が出されたことに抗議して,デモに参加したり演説を
したところ,同年11月ころ,上記デモに参加したことを理由に,同学
校を退学させられたこと,②原告は,同63年3月ころ,ヤンゴン大学
の周辺でデモに参加したところ,その翌日に警察署に連行されていわゆ
るタダピュー事件に関し取調べを受け,1日間拘束された後,政治活動
をしない旨の書面に署名をして釈放されたこと,③原告は,平成元年2
月ころ,タダピュー付近で他の学生らと集まっていたところ,他の学生
らと共に警察官に逮捕され,それから約1年間,シットゥエ刑務所等に
収容され,同2年2月ころ,2度と政治活動にかかわらない旨の書面に
署名して釈放されたこと,④原告は,同3年11月に旅券を取得した際,
外国において政治活動は行わない旨の書面に署名したこと,⑤原告は,
同15年2月ころから,aとかかわりを持つようになり,同年5月のデ
ィペイン事件をきっかけに,cの発行に積極的に関与するようになり,
同17年1月からは広報責任者として原告のペンネームである「b」の
名前がcに掲載されるようになったこと,⑥原告は,同16年8月8日
付け,同年9月20日付け,同年11月7日付け及び同年12月17日
付けのcに,「b」のペンネームあるいは本名で,それぞれミャンマー
の軍事政権やkに対する批判的内容の記事を掲載し,これらの記事は,
いずれもインターネット上で閲覧が可能であること,⑦原告が参加する
以前にaに参加していたミャンマー人6名は,いずれも難民認定されて
いること,⑧原告は,ディペイン事件をきっかけに,同15年6月から,
ミャンマー大使館前においてデモに参加するようになったこと,⑨原告
は,同17年4月から同18年4月までの間,dに参加し,オーガナイ
ザーとして組織への加入の勧誘をする役職を務めていたことなどが認め
られる。
(ウ)このように,原告は,ミャンマーを出国する以前から,デモに参加
するなどの反政府活動をし,そのために2度にわたり身柄を拘束され,
しかも,2度目には約1年間という長期にわたって刑務所に収容され,
政治活動にかかわらない旨の書面に署名して釈放され,さらに,旅券を
取得する際にも外国において政治活動は行わない旨の書面に署名してい
るのであるから,反政府活動を行う人物であるとしてミャンマー政府に
個別に把握されていたことが認められる。さらに,原告は,本邦上陸後
も,ミャンマー大使館前におけるデモに参加したり,dのオーガナイザ
ーとして組織への加入の勧誘をする役職を務めていたほか,aの広報責
任者として活動したり,cと題する雑誌にミャンマーの軍事政権やkに
対する批判的内容の記事を掲載し,これらの記事はインターネットを通
じて閲覧することができたというのであるから,このような事情は,ミ
ャンマー政府においても十分把握することが可能な状況にあったという
ことができる(前示のとおり,上記記事の中には,「b」のペンネーム
が記載されているものがあるが,原告の氏名が「m」であり,「b」と
類似していることや,cの中には原告の本名が記載されている部分があ
ることなどの事情を考慮すると,この「b」と原告が同一人物であると
認識することは,それほど困難なことではないというべきである。)。
(エ)以上によれば,本件不認定処分,本件不許可処分,本件裁決及び本
件退令処分がされた当時,原告は,ミャンマー本国及び本邦において反
政府活動をしていたことを理由として,ミャンマー政府から迫害を受け
るおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の
外にいる者であると認めるのが相当である。
イ(ア)これに対し,被告は,①原告は,正規の手続で自己名義の旅券を取得
して正規に出国が許可されていること,②原告は,ミャンマー出国後相
当長期間にわたり,保護を求めたり難民認定申請に及んでいないこと,
③原告の本邦への入国が不法就労目的であること,④aでの活動内容及
びcに掲載した記事を理由にミャンマー政府から迫害の対象とされると
は考え難いこと,⑤dでの活動を理由にミャンマー政府から迫害の対象
とされるとは考え難いことなどを主張する。
(イ)被告は,原告の活動を個々にとらえて,それら個々の活動それ自体
は本国政府が迫害の対象とするほどのものではなく,それだけでは原告
がミャンマー政府から積極的な反政府活動家として関心を寄せられてい
たとは考え難い旨主張するが,前示のとおり,ミャンマーにおいて2度
にわたり身柄を拘束されて反政府活動を行う人物であると把握されてい
た原告が,我が国においてもなお反政府活動をし,cにミャンマー政府
やkを批判する記事を掲載していたなどという一連の事情を全体的にみ
れば,原告はミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるという十分
に理由のある恐怖を有していたものと認めるのが相当である。
また,原告は,ミャンマー出国後相当長期間にわたり,保護を求めた
り難民認定申請をしなかったことにつき,親族に迷惑をかけると思った
から政治活動をしなかった旨,及びaに参加するなどするようになって
危険を感じるようになった旨主張しているところ,その理由には首肯で
きる点があること,前示のとおり,原告のミャンマー本国及び我が国に
おける反政府活動を全体的に見て難民該当性が認められる本件において
は,正規の手続で自己名義の旅券を取得して正規に出国が許可されたこ
とや不法就労目的で本邦に入国したことをもって,直ちに難民該当性を
否定することは相当ではないというべきである。
(ウ)したがって,前記(ア)の被告の主張をにわかに採用することはでき
ない。
4本件不認定処分の適法性について
以上によると,原告には難民該当性を認めることができるから,本件不認定
処分は違法であるというべきである。したがって,本件不認定処分は,取消し
を免れない。
5争点(3)(本件不許可処分の有効性)について
(1)ア入管法61条の2の2第2項は,法務大臣は,難民認定申請をした在留
資格未取得外国人について,難民の認定をしない旨の処分をするとき,又
は難民の認定をする場合であって,定住者の在留資格の取得を許可しない
ときは,当該在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情がある
か否かを審査し,当該事情があると認めるときは,その在留を特別に許可
することができる旨規定しているところ,上記在留特別許可を付与するか
否かの判断は,法務大臣等の極めて広範な裁量にゆだねられていると解す
るべきであるが,当該在留資格未取得外国人が入管法上の難民に当たるか
否かは,法務大臣等が在留を特別に許可するか否かについて判断する場合
に当然に考慮すべき極めて重要な考慮要素であるというべきである。
イところが,本件においては,東京入管局長は,原告が入管法上の難民で
あることを考慮せずに本件不許可処分を行ったことが明らかである。そう
すると,本件不許可処分は,原告が入管法上の難民に該当するという当然
に考慮すべき極めて重要な要素を一切考慮せずに行われたものといわざる
を得ない。
ウしたがって,本件裁決は,東京入管局長がその裁量権の範囲を逸脱して
した違法な処分というべきである。
(2)アところで,行政処分が法定の処分要件を欠き違法である場合に,当該処
分の取消しを求める司法上の救済手続においては,法定の出訴期間の遵守
が要求され,その所定の期間を経過した後においては,原則としてもはや
当該処分の瑕疵を理由としてその効力を争うことはできないものとされて
いるが,その瑕疵が重大かつ明白で当該処分が無効と評価される場合には,
このような出訴期間による制限は課されないものとされている。ここで,
無効原因として瑕疵の明白性が要求される理由は,重大な瑕疵による処分
によって侵害された国民の権利保護の要請と,これに対するものとしての
法的安全及び第三者の信頼保護(換言すれば,処分を無効とすることによ
って侵害される既得の権利の保護)の要請の調和を図る必要性にあるとい
うことができる。そうであるとすると,一般に,入管法61条の2の2第
2項による在留特別許可をしない旨の処分が当該外国人に対してのみ効力
を有するもので,当該処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要
が乏しいこと等を考慮すれば,当該処分の瑕疵が入管法の根幹についての
それであって,出入国管理行政の安定とその円滑な運営の要請を考慮して
もなお,出訴期間の経過による不可争的効果の発生を理由として当該外国
人に処分による重大な不利益を甘受させることが著しく不当と認められる
ような例外的な事情のある場合には,前記の過誤による瑕疵が必ずしも明
白なものでなくても,当該処分は当然無効と解するのが相当である(最高
裁昭和42年(行ツ)第57号同48年4月26日第一小法廷判決・民集2
7巻3号629頁参照)。
イこれを本件についてみると,本件不許可処分は,難民である原告につい
て入管法61条の2の2第2項による在留特別許可を付与しないというも
のであり,その結果,原告を,これを迫害するおそれのあるミャンマーに
送還することとなるものであるが,我が国が難民条約及び拷問等禁止条約
を批准し,難民条約33条1を前提に入管法53条3項が規定されている
こと,入管法上の難民の意義,性質等に照らせば,難民である外国人を,
これを迫害するおそれのある国に向けて送還してはならないことは,入管
法上明らかであるから,本件不許可処分は,難民である原告について入管
法61条の2の2第2項による在留特別許可を付与せず,その結果,原告
を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還しようとする点において,
入管法の根幹についての重大な過誤というべき瑕疵を有するものといわな
ければならない。
そうすると,本件不許可処分には,出入国管理行政の安定とその円滑な
運営の要請を考慮してもなお,出訴期間の経過による不可争的効果の発生
を理由として,難民である原告について入管法61条の2の2第2項によ
る在留特別許可を付与せず,その結果,原告に迫害を受けるおそれのある
国に送還されるという不利益を甘受させることが,著しく不当と認められ
るような例外的な事情があるというべきである。したがって,前記の過誤
による瑕疵が明白なものでなくても,本件不許可処分は当然無効と解する
のが相当である。
ウ以上によれば,本件不許可処分は,無効であるというべきである。
6争点(4)(本件裁決の適法性)について
(1)入管法は,法務大臣が,入管法49条1項に基づく異議の申出に対する裁
決をするに当たって,異議の申出に理由がないと認める場合でも在留特別許
可を付与することができるとする(入管法50条1項)一方,難民認定申請
をした在留資格未取得外国人に係る退去強制手続については,同項を適用し
ないこととしている(入管法61条の2の6第4項)。このように,入管法
が難民認定申請をした在留資格未取得外国人に係る退去強制手続について入
管法50条1項の適用を除外したのは,難民認定申請をした在留資格未取得
外国人については,入管法61条の2の2において,法務大臣が難民認定手
続の中で本邦への在留の許否について判断することとしたことから,法務大
臣が退去強制手続の中で入管法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決
をするに当たっては,異議を申し出た者が退去強制対象者に該当するかどう
かという点に係る特別審理官の判定に対する異議の申出に理由があるかどう
かを判断すれば足りることとしたものと解するのが,その文理解釈上相当で
ある。
(2)これを本件についてみると,前記前提事実のとおり,原告は入管法61条
の2の6第4項所定の難民認定申請をした在留資格未取得外国人であるとこ
ろ,前示のとおり,原告が難民であることは認められるものの,原告が難民
であることは,原告が退去強制対象者に該当するかどうかという点に係る特
別審理官の判定に対する異議の申出に理由がない旨の本件裁決の違法事由で
あるということはできず,他に本件裁決における裁決固有の瑕疵(行政事件
訴訟法10条2項参照)に係る主張はないから,結局,本件裁決は適法であ
るといわざるを得ない。
(3)したがって,本件裁決の取消しを求める原告の請求は,理由がない。
7争点(5)(本件退令処分の適法性)について
(1)主任審査官は,法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知
を受けたときは,速やかに当該外国人に対し,その旨を知らせるとともに,
退去強制令書を発付しなければならないが(入管法49条6項),当該外国
人が難民条約に定める難民であるときは,当該外国人を,これを迫害するお
それのある国に向けて送還することはできない(入管法53条3項,難民条
約33条1,拷問等禁止条約3条)。したがって,当該外国人が難民である
にもかかわらず,その者を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還す
る退去強制令書発付処分は違法であるというべきである。
(2)これを本件についてみると,前示のとおり,原告は難民であるということ
ができるから,原告を,これを迫害するおそれのあるミャンマーへ向けて送
還する本件退令処分は,違法であるというべきである。
8結論
以上によれば,本件訴えのうち,本件不許可処分及び本件不許可通知の各取
消しを求める部分は不適法であるからいずれも却下し,その余の部分に係る原
告の請求は,本件不認定処分及び本件退令処分の各取消し並びに本件不許可処
分の無効確認を求める限度において理由があるから認容し,その余は理由がな
いから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民訴
法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第38部
杉原則彦裁判長裁判官
松下貴彦裁判官
島田尚人裁判官

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