弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     訴訟費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由第一点について。
 所論の原審被告代理人弁護士古井喜実が昭和二三年一月四日勅令第一号公職に関
する就職禁止退官退職等に関する勅令(その後の改正を含み以下これを追放令とい
う)によつて、覚書に該当する者としての指定を受けた者とみなされた者(覚書に
該当する者としての指定を受けた者を含み以下覚書該当者という)であることは当
事者間に争のないところである。そして追放令は所論のポツダム宣言の条項を実行
するために連合国司令官から日本政府に対して昭和二一年一月四日発せられた覚書
(公務従事に適せざる者の公務よりの除去に関する件)に基き制定せられたもので
あることは同令第一条に照して明らかである。ところで覚書該当者が在職し又は就
職することのできない公職は追放令第二条第一項の規定において定められているに
もかかわらず弁護士の職はそのいづれにも該当しない。又その他の法令においても
覚書該当者は弁護士の職から去らしめられ又は弁護士の職に就いてはならない旨を
定めている規定はない。しかるに所論は覚書該当者が弁護士として委任を受けて公
職者の訴訟代理人となり訴訟行為をすることは追放令第一二条と第一三条と第一五
条第五項との各規定に違背しその訴訟行為は無効であると主張するのであるが、覚
書該当者が弁護士として公職に在る者から委任を受けて訴訟代理人となり訴訟行為
をすることは必然的にその公職に在る委任者に対しその公職の執行又は政治上の活
動に関する指示若しくは勧奨をしその他右公職に在る者と意思を通じ又はこれに利
益を供与して右公職に在る者をして自己に代つてその支配の継続を実現するような
行為をさせるに至るものと断ずることはできない。又訴訟の代理人は必ずしも常に
追放令第一三条第一五条第五項所定の場所に出入しなければ訴訟代理人としての職
責を果すことができない筋合のものではない。されば本件において覚書該当者が單
に弁護士として市会議員の選挙無効の訴訟の被告である府県選挙管理委員長の代理
人となつて訴訟行為をすることは追放令第一二条第一三条及び第一五条第五項の何
れの規定にも違反するものではないから、覚書該当者で弁護士である古井喜実が埼
玉県選挙管理委員会の代表者たる委員長の訴訟代理人となり原審においてした訴訟
行為を無効であるとする所論は失当である。
 同第二点について。
 しかし仮に所論のように投票用紙の紛失した原因について原審のした認定が実驗
則に反し違法であるとしても、その違法は本件選挙が選挙の規定に違背して行われ
たか否か又選挙の結果に異動を及ぼす虞があるか否かということには全然関係のな
い事柄であることはことさらに説明をするまでもないところであるから、所論の違
法は原判決に影響を及ぼさないこと明白である。されば所論は原判決を破棄する理
由とはならぬ。しかのみならず原審が上告人の主張を排斥して投票用紙の紛失した
原因を風力と推認した資料たる判示各事実の認定はその挙示する各証拠によつてこ
れを肯認することができ、その間実驗則に反する違法はない。そして所論の投票用
紙が紛失した川越市会議長室が北側だけに窓があつて、他の三方は壁又は風の流通
しない構造において窓から吹き込んだ風のために室内にあつた投票用紙が室外に飛
散しないとは必ずしもいいえないから、右判示認定の各事実を綜合して原判決のし
た推認も亦実験則に反するものではない。所論は結局獨自の見解に立つて原審の裁
量権に属する証拠の取捨乃至事実の認定を非難するにとどまるもので上告適法の理
由とはならない。
 よつて民訴第四〇一条第九五条及第八九条を適用して主文のごとく判決する。
 この判決は全裁判官一致の意見である。
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    眞   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介

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