弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 衆議院議員選舉法(参議院議員選舉に準用)は選舉訴訟を認めて訴訟によつて、
選舉の効力を争うことを許しているのであるが、同法か選舉訴訟について当事者た
る適格、出訴期間等につき嚴重なる制約を設けているのは、要するに選舉の効力を
なるべく迅速かつ、劃一的に確定せしめんとする趣旨に外ならぬと解すべきである。
従つて訴訟によつて選舉の効力を争うには必ず同法所定の選舉訴訟によることを要
するのであつて、他の訴訟においては、たとい訴訟の前提要件としてもこれを争う
ことは許さないものといわなければならない。この理は当選訴訟に対する関係にお
いても同様であつて、若し選舉自体が無効であるならば当選人がその当選の効力を
失うことは自明であるけれども、選舉の有効を決すべき争訟の方法は前示のごとく
特定されているのであつて、選舉訴訟の判決をもつて但同法第八二条第二項の場合
については後出無效なりと宣言されるまでは、選舉は有効なのであるから、当選訴
訟において、選舉の無效なことを原因として、当選人の当選を争うことは許されな
いものと解しなければならない。飜つて同法第八三条所定の当選訴訟について考え
るに当選訴訟は、選舉において当選を失つた者すなわち選舉会において、当選人と
決定されなかつた候補者が選舉会において、他人を当選人と決定したこと、または
自己を当選人と決定しなかつたことに対し異議を述べその決定の效力を排除せんと
する訴訟であつて若し選舉それ自体が無效であるならばその選舉における当選の有
效、無效を争うことは、意味をなさぬところであるから、当選訴訟はその性質上、
当該選舉の有效なことを前提要件とするものといわなければならない。従つて当選
訴訟において、その訴の原因として選舉の無效を主張することは、その主張自体に
おいて、矛盾するものであつて、訴訟の性質上かゝる主張は許されないものと言わ
なければならぬ。
 本訴において、原告(上告人)が原因としているところは昭和二三年二月五日施
行の参議院長野県選出議員選舉において、長野県選舉管理委員会は、その統制管理
の下にある長野放送局が上告人の選舉放送を不当に禁止したのに対し、これを是正
すべき權利と義務とを有するに拘らず、何等の措置を講ぜずして、選舉を施行した
のは、選舉の公正を害するものであるから、右選舉は無效であり、従つて被上告人
の当選も無效であるというに解する。すなわち本訴において上告人が被上告人の当
選を無效なりとする原因は、右選舉自体が無効であるからとの理由によるものであ
つて、それ以外に被上告人の当選を無効とする原由については、上告人は本訴にお
いて、何も主張していないのである。とすれば選舉の無效は選舉訴訟においてのみ
主張することができるのであつて、当選訴訟の原因としてこれを主張することの許
されないことは既に前段説明のとおりであるから、本訴はこの点において失当とい
わなければならない。原判決が当選訴訟としては、その原因を欠くものと判示した
のは正当である。
 尤も、衆議院議員選舉法第八二条第二項には、当選訴訟においても、裁判所が選
舉の管理執行につき、選舉の規定に違反するところあり、それが選舉の結果に異動
を及ばすおそれあるものと認めるときは、選舉の全部または一部を無効とする判決
を為すべきことを定めているけれどもこれは、原判決も説明しているごとく選舉に
関する訴訟はいずれも公益に関するところ重大であり、選舉が無効であれば当選訴
訟は存立の餘地がないのであるから裁判所がたまたまその訴訟における全資料にも
とずいて当該選舉自体が無効であることを認めたときは例外的に特に当事者の主張
を待たずすゝんで選舉の無効を宣言する判決をすべきことを規定したものであつて、
この規定は当選無效の訴において、選舉の無効を原因として、主張することを許し
た趣旨ではないのである。
 よつて本件上告は理由ないものと認め、民訴第四〇一条第九五条第八九条に従い
主文のとおり判決する。
 右は、全裁判官一致の意見である。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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