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平成19年7月5日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成19年(ネ)第253号意匠権侵害差止等請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成18年(ワ)第7014号)
判決
広島市東区矢賀二丁目11番1号
控訴人(1審原告)山忠商事株式会社
同代表者代表取締役A
同訴訟代理人弁護士冨村和光
同補佐人弁理士三原靖雄
福井県坂井郡春江町沖布目第38号3番地
被控訴人(1審被告)前田工繊株式会社
同代表者代表取締役B
同訴訟代理人弁護士関本哲也
同補佐人弁理士白崎真二
同勝木俊晴
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,原判決別紙物件目録記載の製品を製造し,販売してはならない。
3被控訴人は,控訴人に対し,1800万円及びこれに対する平成18年4月
21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1事案の要旨
本件は,後記2(1)の意匠権を有する控訴人が,被控訴人が製造販売するブ
ロックマットの意匠は同意匠権に係る登録意匠に類似するとして,同意匠権に
基づき,被控訴人に対して,同ブロックマットの製造販売の差止めを求めると
ともに,同意匠権侵害による不法行為に基づく損害賠償(訴状送達の日の翌日
から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を含む。)を請求
した事案である。
原判決は,被控訴人の製造販売するブロックマットの意匠は控訴人の意匠権
に係る登録意匠に類似しないとして,控訴人の請求を棄却し,控訴人が本件控
訴を提起したものである。
2前提となる事実(当事者間に争いがない。)
(1)本件意匠権
控訴人は,次の意匠権(以下「本件意匠権」といい,その登録意匠を「本
件登録意匠」という。)を有している。
登録番号第1180425号
出願日平成14年8月12日
出願番号意願2002−21680
登録日平成15年6月6日
意匠に係る物品ブロックマット
登録意匠原判決別紙意匠目録添付図面のとおり
(2)被控訴人製品の製造販売
被控訴人は,平成15年2月ころから,原判決別紙物件目録記載の製品
(ブロックマット。以下「被控訴人製品」という。)を製造販売している。
(3)控訴人による後願意匠と被控訴人製品の意匠について
ア控訴人は,平成14年12月16日,意匠に係る物品をブロックマット
とする意匠の登録出願をした(意願2002−34802。この意匠登録
出願に係る意匠の正面図は,原判決別紙本件後願意匠図面のとおりである。
以下,同出願に係る意匠を「本件後願意匠」という。)。
しかし,上記意匠登録出願に対しては,本件登録意匠に類似することを
理由に拒絶理由通知が発せられ(発送日平成15年7月25日),その後
拒絶査定が確定した。
イ被控訴人製品の意匠(以下「被控訴人意匠」という。)は,本件後願意
匠に類似する。
3争点
(1)被控訴人意匠と本件登録意匠の類否
(2)控訴人の損害額
第3争点に関する当事者の主張
1争点に関する当事者の主張は,原判決第3(3頁5行目から6頁4行目ま
で)記載のとおりであるから,これを引用する。
2控訴人の当審における補充主張
本件後願意匠は,本件登録意匠に類似する。このことは,本件後願意匠の登
録出願が本件登録意匠に類似することを理由として拒絶査定され,これが特許
庁の有権判断として確定していることから明らかである。そして,被控訴人は,
本件後願意匠と全く同一のブロックマットを平成15年8月から平成18年3
月までの2年8か月の間,控訴人に無断で製造・販売したものであり,本件意
匠権を侵害したことが認められる。
被控訴人主張にかかる意匠の構成,また,原判決認定にかかる意匠の構成は,
被控訴人が上記本件後願意匠に該当する意匠を改良した物品を対象として主張,
また,認定したものであって,控訴人が差止め等を求める対象意匠と異なる製
品に基づく主張,また,認定である。
第4当裁判所の判断
1当裁判所も控訴人の請求は理由がないと判断するが,その理由は,原判決第
4,1(6頁6行目から15頁22行目まで)のとおりであるから,これを引
用する。
2控訴人の当審における主張について
上記1のとおり,本件登録意匠の要部は,ブロックの正面視での配列時の形
態や,各ブロックの正面視での形状にあり,控訴人の主張する,マット面の三
辺,すなわち,上端部,下端部そして右端部の各部分に余端部を残して,マッ
トの他部をブロック体で埋めた点にあるとは解されず,この判断を基にして検
討すれば,被控訴人意匠は本件登録意匠と類似するとは認められない。特許庁
が,本件後願意匠の登録出願に対し本件登録意匠と類似するとの理由で拒絶査
定をしていたことは,裁判所を拘束するものではなく,この認定を左右するも
のではない。
控訴人が差止め等を求めた被控訴人製品は,引用にかかる原判決別紙物件目
録記載の製品であり,原判決の同事実摘示は,原審第1回口頭弁論期日で陳述
された控訴人の第2準備書面に基づくところ,同目録添付の図面と同内容の甲
第4,第7号証,さらに乙第11号証(いずれも控訴人主張の被控訴人製品の
ものと認められる。)によれば,被控訴人製品は,原判決認定のとおりの意匠
の構成を有すると認められ,これは,控訴人主張の被控訴人製品そのものを対
象とした意匠の構成といえるのであって,当審で控訴人がいわゆる改良品を対
象とするものでなく,控訴人の主張は,証拠に基づかない独自のものであり,
採用できない。
3結論
よって,本件控訴は理由がないから,主文のとおり判決する。
(当審口頭弁論終結日平成19年4月26日)
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官若林諒
裁判官小野洋一
裁判官冨田一彦

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