弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人千田善蔵、同伊藤俊郎の上告理由第一点について。
 行政事件訴訟特例法は、行政処分の取消を求める訴の提起については、原則とし
て訴願の裁決を経由しなければならないものとし、訴願の裁決を経て出訴する場合
には、出訴期間は訴願の裁決を知つた日から起算すべきものとしていること、所論
の通りである。その法意は、行政処分に対し適法な行政上の不服申立があつた場合
には、これに対し行政庁の応答があるまでは出訴期間を進行せしめないことにある
ものと解される。また同法は、所論の如く訴願の提起があつた日から三箇月を経過
したときは、訴願の裁決を経由しないで、訴を提起し得るものとして居る。而して、
被上告人が本件農地買収処分に対し適法な行政上の不服を申立て、その後三箇月を
経過しても、行政庁が応答しないのであるから、被上告人の右買収処分の取消を請
求する本訴は、出訴期間の進行を開始する以前の状態において提起せられたもので
あつて、適法と解すべきである。この点に関する原審引用の第一審の判断は、これ
と同趣旨に出て居るのであつて正当である。
 論旨は、理由がない。
 同第二点について。
 論旨中、被上告人が原判示養子縁組無効確認の訴を提起するに至つたのは、専ら
本件農地買収処分を免れるためであると認むるを、条理上当然とする旨主張する所
がある。しかしかかる事実は、証拠上原審の否定する所であつて、これを是認し得
られる。所論の如く認定すべき条理上の根拠も亦見出されない。原判示養子縁組が、
被上告人の夫D及びEの両親の意思に基かないで、被上告人によりD及びEの氏名
を冒署してその届出がなされたとの意味において、被上告人の不法なる所為に基く
ものであることは、所論の通りである。しかし原判文によれば、原審は、本件農地
が右Eの所有であるが如き外観を呈するに至つたのは、被上告人の不法なる所為の
直接の結果ではなくして、右Dの死亡によるものであつて、被上告人の右所為は、
本件買収処分を免れる目的より出たものでもなく、その他本件買収処分の取消を求
める関係において、とくに不法視すべき目的より出たものとも見られない旨認定し
て居る。しかも上告人は、本件買収処分により喪失すべき固有の私的取引上の利益
を有するものでないことも亦、原判示の通りである。前述の一切の事情の下では、
被上告人の本件土地所有権が、直に法律の保護に値しないものとなし、或は被上告
人が本件買収処分の取消を求めることが直に民法一条、九〇条、七〇八条の趣旨、
精神に反するものとなし得ないのは明白である。
 以上と同趣旨に出た原判決は正当であるから、論旨は、すべてこれを採用し得な
い。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    高   橋       潔

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