弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人弁護人福地種徳上告趣意は、末尾添付の上告趣意書と題する書面記載のと
おりである。
 第一点に対する判断。
 大正十一年法律第四十二号少年法(以下單に旧少年法と略称する)第八條の規定
の適用上の関係において、少年であるかどうかを定むべき時期は裁判言渡の時を標
準とすべきであつて、犯罪時又はその他の時を標準とすべきではない。被告人は昭
和五年十月二十二日生れであつて、犯罪の時及び第一審判決言渡(昭和二十三年七
月八日)当時においては、まだ満十八才に満たない少年であつたが、原審判決言渡
(昭和二十四年一月十九日)当時においては既に満十八才を超えているので、原審
裁判所が被告人に対して旧少年法第一條第八條を適用せず、定期刑の言渡をしたの
は相当であつて、少しも法令に違背した点はない。論旨は右と異る見解を前提とす
るものであつて採用の限りでない。
 第二点に対する判断
 大正十一年法律第七十五号刑事訴訟法(以下單に旧刑事訴訟法と略称する)第四
百三條の規定は、被告人が控訴した事件及び被告人のために控訴した事件について
は、控訴判決において第一審判決の主文の刑と対照し、実質上これより重い刑を言
渡すことができないとし、その限度において、被告人の利益の保持をはかつたも
の、であると解すべきでおり、そして、刑法第十條の規定は、法定刑の軽重に関す
る規定であつて、宣告刑の軽重に関するものでなく、宣告刑の軽重を定める標準に
ついては何らの規定もないのであるが、宣告刑の軽重を定めるのに右規定の趣旨に
準拠することを排除すべき理由は全くないのであるから、旧刑事訴訟法第四百三條
の規定もまた、刑の軽重は原則としてまず刑法第十條の規定の趣旨に則つて定むべ
きことを、予定するものであると解するのが相当である。
 <要旨>刑法第十條第二項は「同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを
もつて重いとし、長期又は多額の同じものはその短期の長いもの又は寡額の
多いものをもつて重いとする」旨を規定しており懲役刑についていえば、いずれも
長期及び短期の定ある刑に関する規定ではあるが、懲役一年六月という刑は、不定
期懲役刑との刑の軽重を対照する限りにおいて、長期短期共に一年六月の懲役刑で
あると想定すること、あながち不当ではないのであるから、不定期懲役刑との刑の
軽重を、前記規定の趣旨に照して対照することも不能ではない。従つて、一年六月
の懲役刑と、一年以上三年以下の懲役刑との刑の軽重を、刑法第十條第二項の規定
の趣旨に則つて対照するときは、まずその長期を対照し、長期の長いものをもつて
重いとすべきであるから、長期の長い後者の刑をもつて重いとすべきであり、懲役
一年六月の原判決の刑は、懲役一年以上三年以下の第一審判決の刑より重い刑であ
るとはいえない。
 不定期懲役刑の言渡を受けた少年は、所定の條件が備わつた場合、旧少年法第十
條により、その刑の短期の三分の一の期間を経過した後、仮出獄が許され得るのに
反し、定期懲役刑に処せられた者は刑法第二十八條により改悛の情があるとき、そ
の刑期の三分の一の期間を経過した後仮出獄を許され得ることとなるので、少年に
対する一年以上三年以下の懲役刑と成年に対する一年六月の懲役刑とは、少くとも
仮出獄の関係において、前者の刑が被告人に利益であるから、従つて控訴判決にお
いて、前者の刑を変更して、後者の刑を言渡すのは達法であるとする立論も一見是
認されそうに見えるが、この見解は次のような理由によつて、これを相当とするこ
とができない、すなわち(一)少年に対する不定期懲役刑は、身心の成熟が未だ十
分でない者に対する取扱いとして、刑事政策上特別の考慮に基く特殊の処遇であつ
て、その短期は必ずしも、被告人が成年である場合に相当である懲役刑の刑期を標
準として、定められるものではない。第一審で少年として不定期懲役刑の言渡を受
けた被告人が控訴中たまたま成年に達したからといつて、第一審の不定期懲役刑の
短期以下で量刑されなければ、被告人の利益が害せられるとすべき実質的な理由は
全くないというべきである。(二)仮出獄が許される場合の蓋然率と許されない場
合の蓋然率とは、これを一般的に観察するときは、その間に差異を認めることが困
難であつて、全く同率というのほかないのであるから、刑の軽重を比べるのに、仮
出獄が許される場合の事情のみを捉へてその標準とするのは妥当でない。(三)不
定期刑は、短刑と共に長期を定めた一個の刑であるから、刑の軽重を定めるに当つ
ては、その短期と共に長期の関係も併せて総体的に考慮に入れて対照すべきであつ
て短期の方のみに着目し、その長期の関係を全く度外視するのは失当である。
(四)刑法第十條第二項の規定の趣旨によれば同種の刑について刑の軽重を定める
に当つては、まずその長期を対照して長期の長いものを重いとし長期の同じものに
ついて始めてその短期を対照し、短期の長いものを重いとすべきであるのにかかわ
らず、一年六月の懲役刑が一年以上三年以下の懲役刑に比べて重いとするのは、長
期の関係はこれを考慮の外において顧みることなく専ら短期の関係のみを捉えて対
照するものであり、刑法の右規定の趣旨を全く没却する見解であつて賛同し難い
 従つて、原判決には所論のような違法はないというべく、この点に関する論旨も
また理由がない。
 以上の理由により、旧刑事訴訟法第四百四十六條に則り主文のとおり制決する。
 (裁判長判事 石橋鞆次郎 判事 筒井義彦 判事 柳原幸雄)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛