弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はこれを棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人等は控訴人に対し、別府市大字a字b
町c番地のd家屋番号e番木造瓦葺二階建店舗一棟建坪十六坪外二階十六坪五合を
明渡し、且つ金七万六千七百十六円及び昭和二十二年二月十九日以降明渡に至る迄
の間一日金八百六十二円の割合による金員の支拂をせよ、もし右金員の請求が理由
のないときは、被控訴人等は控訴人に対し昭和二十一年十一月二十三日以降昭和二
十二年八月三十一日迄は月金五十三円同年九月一日以降昭和二十三年十月十日迄は
月金百三十二円五十銭同年十月十一日以降明渡に至る迄は月金三百三十一円二十五
銭の各割合による金員の支拂をせよ、訴訟費用は第一、二審共被控訴人等の負担と
する。」との判決並びに家屋明渡の部分につき担保を條件とする仮執行の宣言を求
め、被控訴人等代理人は控訴棄却の判決並びに担保を條件とする仮執行免脱の宣言
を求めた。
 当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において「控訴人は若年にして上海に
渡り刻苦の末中支貿易株式会社を設立してその社長となり業界に重きをなしていた
が、今次終戦によつて一切を失ひ、昭和二十一年四月頃家族及び多数の旧社員等と
共に別府市に引揚げたのである。ともかく右のように引揚げはしたものの、控訴人
としては日本に何等の資産もまた生活の根拠もないこととて、ここに何等かの窮状
打開の途を講じ、家族の生計をたてると共に旧社員を救済するの必要に迫られてい
たのであつた。それにつけては上海における多年の経験を生かし、同種営業を起こ
すにしかずと考え、そのための店舗を物色中世話する人があつてようやく昭和二十
一年九月十三日本件家屋を買入れることができ、その間妻A1の登記名義を経て昭
和二十三年二月七日取得登記を爲した、右家屋は別府市商店街の中心に位置し、絶
好の地の利を占めているといえる。控訴人がこれを入手するについては自ら借金を
してその資金を調達したばかりでなく旧社員等の零細なしかし貴重な醵金の集積に
負うところが少くなかつた。なお売主の訴外A2は控訴人の意を体し、当時の本件
家屋の賃借人であつたB1に対し先ず買取り方を求め、同人にその意思のないこと
を確めているのである。これよりさき控訴人は別府市に引揚げ直後妻子二人と共
に、郊外に近い同市h所在のA3方二階二室を借受け一応居を定め得ていたもの
の、ことは控訴人の目指す営業には適せずただその日の雨露をしのぐに事欠かぬと
いう程度のものであつた。のみならず右A3方の二階二室の賃借は、当初期間三箇
月という一時的の約定のものでもあつたので、控訴人としては一日も早く本件家屋
に移り住まなければならなかつたのである。それ故に、本件家屋の現住者であつた
被控訴人等の被相続人B2に対し、同居でむ甘受する旨の申出をしたのであつた
が、これとて事もなく拒絶されたのである。その後昭和二十三年十一月八日ついに
右A3から賃借二階二室の明渡につき最後的ともいうベキ通告を受けたし、且つ他
の同居者の所爲に関し風紀上堪え難いほどのものがあつたりしたので、昭和二十四
年四月中控訴人一家は一時的の約定で現住所の別府市f町所在の長家の一戸に引越
したのであつた。この家屋とて、その場所柄といい、また構造からいつて営業には
全く適しないのである。控訴人が本件家屋を必要とする程度は、日子の経過と共に
ますます加重されてきているのである。被控訴人等の被相続人B2が本件家屋に居
住するに至つたのは、同人が直接所有者のA2から賃借したによるものではない。
それは賃借人B1から転借したものであり、B1の右転貸についてはA2の承諾は
ないのである。大体A2としては転貸の事実そのものを知らなかつたのである。こ
れを知るに至つたのは、財産税を納めるため本件家屋を手放すことを思立ち、控訴
人に売渡した直前の昭和二十一年八、九月頃本件家屋の使用者であると信じていた
賃借人の前記B1に対してその買取り方を求め、同人にその意思のないことが判明
したので『それでは控訴人に買取つてもらうから明渡してほしい。』と話を変えた
のに対し、B1において『実はB2が本件家屋を使つているのであるが、同人一家
の移転先がないからそれは困る。』との意外な返答があつたからである。A2がそ
れ迄それを知らなかつたというのには理由がある。すなわち右B1は本件家屋を借
受けて以来、同家屋で『ありたや』という屋号をかかげ陶磁器商を経営していた
が、昭和十六年六、七月頃近くの同市gに大きい店舗を買受け、同様『ありたや』
という看板をかかげて同商売を始めたので、A2において本件家屋は不要になつた
ものと思いその明渡を求めたのに対し、B1の言分は『本件家屋も自分の店舗とし
て引続き使用するから返えせない。』とのことだつたし、また家賃帳の名義の書替
えを求められたこともなかつたしするから、その時以後本件家屋の使用者が右B2
に変つたものとは思いようもなかつたのである。もつとも右B2が本件家屋の店舗
におり、また時には家賃を持つてきたこともあつたがA2においては同人をB1の
番頭みたいな雇人と思い込んでいたのであつた。B1がB2に対し本件家屋を転貸
するについてA2がこれを承諾したなどとのことは、ねつからあり得ることではな
いのである。さればA2がまた登記名義の同人に存した昭和二十一年十一月二十一
日、無断転貸を理由としてB1に対して爲した本件家屋賃貸借の解除は、もとより
有効であるといわなければならない。仮りに右解除が有効でないにしてもA2とB
1間の賃貸借は期間を十年として昭和二年八月二十四日締結され、右期間満了当時
はまだ別府市において借家法の適用がなく従つて更新後の賃貸借は期間の定めのな
いものであるから、控訴人がその名義に登記した当日の昭和二十三年二月七日(本
件控訴提起の日でもある。)控訴人からB1及びB2に対して爲した解約の申人に
よつて爾後六箇月の解約期間経過し、被控訴人等の被相続人B2の本件家屋占有に
ついての正当権原は既に消滅し、控訴人に対しその明渡義務のあるととは同様であ
る。解約についての正当の事由は控訴人が自ら本件家屋を使用する必要のあること
につき述べた前記事情で十分であろう。被控訴人等が昭和二十三年十月二十一日右
B2の死亡によりその相続をした事実は認める。B2の長男である被控訴人B3が
亡父のあとを継ぎ本件家屋で陶磁器商を経営してゆく意向であるとの事実はこれを
否認する。被控訴人等はB2死亡後の今日、本件家屋を自ら使用する意思をもつて
いない。こういうのには十分の理由がある。B2は前記B1の甥であり、本件家屋
を中にはさみその両側の建物で百貨店を経営している訴件B4は右B1の長男B5
といわゆる親友である。そのB4が控訴人に対し執拗に本件家屋の売渡方を求めて
いるのは、その経営している百貨店建物の中間に介在して邪魔である本件家屋を手
に入れて百貨店営業をそこに拡張したい意向からであり、そのことについては右B
5を通じ被控訴人等と事前に十分の了解があるものと思われるふしがあるからであ
る。またB5は本件家屋から去るべき被控訴人等を受入れて世話をするだけの十分
の建物の余裕を持ち、且つ経済力も備えているのである。このことは控訴人が本件
家屋を必要とする程度はのつぴきならないものであるのに反し、被控訴人等にはそ
の必要はなく、本件家屋を明渡しても、その居住にも生活にもうれいはないものと
いえるわけである。なお、控訴人は右B2及びその相続人の被控訴人等が本件家屋
を明渡さないその不法行爲もしくは義務不履行によつて、控訴人が目指した営業を
本件家屋で始めることができていたたらば収得したであろう一日八百六十二円(日
用品食料品文房具等の一日における売上げ純益)の利益を失い、このことは、少く
とも控訴人が原審で請求を拡張して家屋明渡に加え損害賠償の請求を申立てた昭和
二十二年二月十八日の口頭弁論期日以後においては、当時の訴訟相手方B2及びそ
の後の被控訴人等において、これを予見し、または予見し得べかりしことであるの
である。仮りに右趣旨の損害賠償の請求が理由のないものとしても、家賃相当金額
についての損害賠償の請求は当然であろう。本件家屋の家賃は昭和二十二年八月末
日迄は約定の月金五十三円、それ以降昭和二十三年十月十日迄は増額公認の二倍平
金百三十二円五十銭、それ以降は同様二倍半の金三百三十一円二十五銭である。よ
つて被控訴人等に対し本件家屋の明渡及び前記A2がB2に昭和二十一年十一月二
十一日爲した解除の意思表示が相手方に到達したであろう同月二十三日以降明渡に
至る迄の一日金八百六十二円の割合による損害の賠償を求める。もし右損害賠償の
請求にして理由がないとすれば予備的に前記割合の家賃相当額による損害の賠償を
求める。」と述べ被控訴人等代理人において「被控訴人等は昭和二十三年十月二十
一日B2附の死亡によつてその相続をした。右B2は昭和十六年六、七月頃本件家
屋に住み込んだ際家主のA2から直接にこれを賃借したものであり、仮りにそうで
ないにしても、A2の承諾を受けて賃借人のB1から転借したものである。B1が
本件家主で『ありたや』という屋号をかかげ陶磁器商を営み、昭和十六年六、七月
頃同市gに新店舗を買受け、同一屋号をかかげて同商売を始め、B2がその頃本件
家屋でB1の右屋号を存置したまま同一営業を開店し、B2がB1の甥でおる事実
は認めるけれども、屋号が同一だからといつて、それだけで同一人の営業だとはい
えないし、B2は何も『ありたや』という屋号をその営業に使用したのではなく、
ただB1使用時代のものがそのまま残されていただけのことである。B2の営業は
B1のそれとは関係たく、もとよりその雇人ではなくて独立の経営である。家主A
2はこのことを十分知つて、B1のB2に対する転貸を承諾したのである。A2と
B1間の賃貸借契約の内容が控訴人のいう通りであることは認める。なお、B1及
びB2が控訴人からその主張の日時頃解約の申入を受けたととは認めるけれども、
控訴人のいう諸事情は解約についての正当の事由とするに足らない。他人が賃借居
住していることを知りながらその家屋を買受けた場合にあつては、たとい買受人が
その家屋を自ら使用する目的であつても、それだけでは正当の事由があるとはいえ
ない。ましてや控訴人は本件家屋を店舗として商売を始めたいというのであり、本
件家屋が別府市商店街の中心に位置し、店舗としては恰好の場所を占め、営業は繁
昌するでもあろうけれど、それは専ら控訴人の事業欲の便宜に根源するものである
のに反し、被控訴人等の被相続人B2にとつては本件家屋が営業のすなわち一家の
生計のよりどころであつたばかりでなく唯一の居住の場所でもあつたのである。今
にしては、夫であり父であるB2を失つた被控訴人等にとつて本件家屋はかけがえ
のない住家であり、更に長男である被控訴人B3において父のあとを継ぎ営業を続
けて一家を支えなければならない生計のよりどころである。一方控訴人は前居住の
別府市下B1の間借り二階を明渡しはしたものの現在は控訴代理人A4弁護士所有
の同市f町所在の一戸に居住し、その家族は妻と子供一人の僅か三名の小人数であ
り、別府市に引揚げ以来、居住にはさして事欠いでいないのである。
 自ら住む必要があるからといつて所有者でない他人居住の家屋を承知で買受け、
その明渡の請求が法律上わけもなく許されるものとするならば単に金銭の力で、そ
の力のおる者は家屋を容易に買受けてその力のない借家人を無抵抗に追出すことが
できるわけである。かかる非合理を防止するために借家法は制定されたのである。
 仮りに控訴人の現時の事情が解約申入についての正当の事由に該当するとして
も、右正当の事由の存否は解約申入の時を基準として決しなければならないもので
あり、且つ控訴人方の小人数の家族状態等からいつて、その正当の事由の及ぶ範囲
は本件家屋の一部に限られるべきものである。」と述べた外は、いずれも原判決書
当該摘示事実と同一であるから、ここにこれを引用する。
 証拠として控訴代理人は甲第一乃至第十二号証第十三号証の一、二第十四号証第
十五号証の一乃至五第十六号証を提出し、原審証人C、当審証人D、E、F、原審
並びに当審証人A2(当審の分は第一、二回)の各証言、当審における検証及び控
訴人本人尋問(第一、二回)の各結果を援用し、乙号証の成立を認め、被控訴人等
代理人は乙第一号証の一乃至十五を提出し、原審証人B1、当室証人F、B5、B
6、B7、B8、原審並びに当審証人B9(この時までは被控訴人として本訴を承
継していなかつた。)の各証言当審における検証及び被控訴人B3の本人尋問の各
結果を援用し甲第八乃至第十四号証(第十三号証は一、二)の各成立を認め、その
他の甲号証はいすれも不知と述べ、但し第三号証中郵便官署の内容証明部分の成立
を認めた。
         理    由
 本件家屋の前所有者はA2であつて、訴外B1が昭和二年八月二十四日右家屋を
A2から期間十年の約定で賃借し、右期間満了後は期間の定めなく引続き賃借して
きた事実、被控訴人等の被相続人B2が昭和十六年六、七月頃から本件家屋に居住
し、昭和二十三年十月二十一日同人死亡後は相続人である被控訴人等において引続
きこれに居住して現在に至つている事実、右A2が昭和二十一年十一月二十一日B
1に対し、B1においてA2の承諾を受けないでB2に転貸したとの理由で、本件
家屋賃貸借解除の通告を爲した事実、控訴人が同年九月十三日A2から本件家屋を
買受け、その間控訴人の妻の登記名義を経て昭和二十三年二月七日控訴人のため所
有権取得登記を爲した事実及び控訴人が右昭和二十三年二月七日B1及びB2に対
して本件家屋賃貸借解約の申入を爲した事実は、いずれも当事者間に爭がない。
 控訴人は「B1は右昭和二年八月二十四日本件家屋を賃借以來そこで『ありた
や』という屋号をかかげて陶磁器商を営み、昭和十六年六、七月頃近くの同市gに
新店舗を買受け、同様『ありたや』という看板をかかげて同営業を始めたが、家主
のA2としてはB1の言明もあり、屋号の表示がそのまま存置されて商売が続けら
れていたりしたので、本件家屋における経営者は依然としてB1であると信じ、B
1の甥である右B2は『ありたや』め番頭みたいな雇人に過ぎないものと思ひ込ん
でいた。それ故にB1がB2に本件家屋を転貸したなどとは思いもよらず、従つて
A2が右転貸を承諾するなどあり得ることではない。」といい、右屋号のこと及び
B2がB1の甥である事実は被控訴人等の認めるところであるけれども、原審証人
B1当審証人B5、B6、原審並びに当審証人B9の各証言によれば、B1におい
てB2に本件家屋を転貸するに当り、特にA2の承諾を受けた事実を認めることが
できる。当審における控訴人本人尋問の結果(第二回)及び原審並びに当審証人A
2の証言(当審の分は第一、二回)中、右認定に反する部分は信用できないし、そ
の他には転貸につき承諾がなかつたとの控訴人の前記主張事実を認めるに足る証拠
はない。もつとも甲第五、六号証によれば、右事実に照応する記載があるけれど
も、これらは、本訴提起前警察署に提出した控訴人側の言分の書面に過ぎないか
ら、これによつては右事実を肯定する山がない。
 されば転貸につき承諾のないことを理由としてB1に対しA2の爲した前記解除
の意思表示は無効であり、承諾のない転貸借を原因とする控訴人の主張は失当であ
る。
 つぎに解約についての正当事由の存否につき検討する。
 控訴人が上海からの引揚で、本件家屋を自ら使用するために買受けたものである
事実及び控訴人が引揚直後頃以来賃借居住していた別府市hの訴外A3方二階二室
を明渡して昭和二十四年四月頃から同市f町所在の控訴代理人A4弁護士所有の一
戸に妻子二名と共に居住して今日に至つている事実は、被控訴人等の認めるところ
であり解約申入についての正当の事由に関する控訴人の前記事実の部摘示の主張事
実中「被控訴人等は本件家屋を自ら使用する意思はなく他に移転先がある。」との
点を除いたその余の事実は、原審証人C、当審証人A2(第一、二回)E、Dの各
証言及び当審における控訴人本人尋問の結果(第一回)によつてこれを認めること
ができるけれども、右摘記の事実については、これを認めるに足る証拠はない。も
つとも当審第二回の控訴人本人尋問の結果によれば、本件家屋を中にはさみその両
側の建物で百貨店を経営している訴件B4から控訴人に対し本件家屋の買受け方の
交渉があつた事実を認められないことはないが、右B4が被控訴人等と身分上近親
関係にあるB5(B1の長男)といわゆる親友であればとてB4の買受けの暁は、
被控訴人等において同人に本件家屋を明渡す了解をしており、従つて本件家屋を自
ら使用する意思がないものとは、到底推断し得るものではない。却つて当審におけ
る証人B9及び被控訴本人B3の供述によれば、被控訴人等としては本件家屋の外
には行先とてなく、亡B2のあとを継いで陶磁器商を続ける意向であり、現に継続
している事実を認めることができる。右のような事実関係の下において果して正当
の事由があると判定し得るであろうか。
 引揚者は、それが引揚者であるという理由だけで十分同情されるべきであろう。
当審の検証の結果によれば、当時控訴人一家の住んでいた別府市hの二階二室にお
ける生活は、上海におけるかつての生活がおそらく豪勢ででもあつたであろうこと
に思いくらべて、あまりにもみじめである事実を認めるに難くなかつた。さりなが
ら内地居住者とて戦争による苦難は決して少いとはいえない。その苦難に耐え、よ
うやく戦後の一応の平安に辿りついた被控訴人等一家にとつて、しかも支柱と頼ん
だ夫であり父であるB2を失つた今の不幸において、生計のよりどころと共に居住
を根こそぎ奪われることは到底しのび得るところではあるまい。
 <要旨>しかして、他人の貸借居住中であることを知りながら該家屋を自ら使用す
る目的で買受けた者は、前所有者としては解消することのできなかつた賃貸
借を、これまでは賃貸借の局外者であつた新所有者の有する事由に基いて、自己の
利益のためにこれを解消してその明渡を求めようとするものであつて、家主の変動
さえたければ害されるととのなくてすんだ借家人の居住の安全を害する結果となる
のであるから、右のような新家主の爲す解約申入の正当事由の存否についての判定
を爲すに当つては、新家主側に存する自ら使用することを必要とする程度その他の
事情の外、借家人の居住の安全が害されないかどうか、少くともその居住が危険に
さらされることを防ぐため、新家主において社会的評債上納得のゆく処置を講じた
かどうかを特に考慮にいれなければならないものといわなければならない。
 控訴人が本件家屋を買受けるに当り、家主のA2をして賃借人のB1を通じて現
住者の亡B2につき本件家屋買取り方の意思のないことを確めており、また買受け
後同居でも甘受する旨の申出を爲し、まことに情誼厚い処置を講じていることは前
認定の通りではあるが、前記検証の結果により明かなように、その構造配置関係等
からいつて、本件家屋は必ずしも同居に適しておらず、またB2としては控訴人の
引揚者としてのぎりぎりの困窮を十分知得してはいたであろうけれど何せ全くの未
知未見である控訴人との同居であつてみれば、これはいうはやすいが行い難い事情
があつたのでもあろうから、控訴人の同居の申出に應じなかつたB2をさして責め
るわけにもゆかないであろう。さすれば、控訴人の爲した解約の申入については、
正当の事由がないものと断ぜざるを得ない。従つて右解約の申入は無効である。
 よつて、被控訴人等に本件家屋占有の正当権限がないことを前提とする控訴人の
本訴明渡及び損害賠償の請求は失当であつて、これを排斥した原判決は相当である
から、民事訴訟法第三百八十四條第八十九條第九十五條を適用して主文のように判
決する。(裁判長裁判官 小野謙次郎 裁判官 桑原國朝 裁制官 森田直記)

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