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平成14年(行ケ)第435号 審決取消請求事件(平成15年6月30日口頭弁
論終結)
          判    決
       原      告   株式会社大盛工業
       訴訟代理人弁護士   北 村 宗 一
       同    弁理士   久 力 正 一
       同          阿 部 英 幸
       被      告   日本鋼管工事株式会社
       訴訟代理人弁護士   近 藤 惠 嗣
       同          梅 澤   健
       同    弁理士   石 川 壽 彦
       同          佐々木 宗 治
       同          小 林 久 夫
       同          安 島   清
          主    文
 特許庁が無効2001-35438号事件について平成14年7月1
6日にした審決を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 原告は,名称を「路面覆工方法」とする特許第3120150号発明(平
成11年11月25日特許出願,平成12年10月20日設定登録,以下,この特
許を「本件特許」という。)の特許権者である。
 被告は,平成13年10月10日,請求項1,2に係る本件特許を無効に
することについて審判の請求をした。
 特許庁は,同請求を無効2001-35438号事件として審理した上,
平成14年7月16日,「特許第3120150号の請求項1及び2に係る発明に
ついての特許を無効とする。」との審決をし,その謄本は,同月26日,原告に送
達された。
(2)原告は,同年8月23日,審決の取消しを求める本件訴えを提起した後,
平成15年3月14日,本件特許出願の願書に添付した明細書及び図面(以下「訂
正前明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」とい
う。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正2003-39050
号事件として審理した結果,同年5月23日,本件訂正を認める旨の審決(以下
「訂正審決」という。)をし,その謄本は,同年6月4日,原告に送達された。
2 特許請求の範囲の記載
(1)訂正前明細書の特許請求の範囲の記載
【請求項1】路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中
に溝を覆う路面覆工方法において,上部溝の溝壁に当接する縦壁と,上部溝の底面
に当接する横壁とを備えた山留を,上部溝の溝壁に縦壁の背面を当接させ,上部溝
の底面に横壁を当接させて配設し,両端が,対向する上部溝の縦壁に配置された山
留の縦壁と山留の横壁上面とに当接する受桁を設置して,受桁上に上面が路面と一
致する覆工板を設置することを特徴とする路面覆工方法。
【請求項2】請求項1記載の路面覆工方法において,山留を断面L字形の部
材としたことを特徴とする路面覆工方法。
(以下【請求項1】,【請求項2】に係る発明を「本件発明1」,「本件発明
2」という。)
(2)本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。)
【請求項1】路面に下部溝に連続して幅の広い上部溝を掘削して行う工事中
に溝を覆う路面覆工方法において,上部溝の掘削溝壁に当接させる縦壁と,上部溝
の底面に当接させる横壁とを備えた山留部材を,上部溝の対向する掘削溝壁にそれ
ぞれ縦壁の背面を当接させ,上部溝の底面にそれぞれ横壁を当接させて配設し,次
に,上部溝の対向する掘削溝壁に背面を当接させた山留部材の縦壁に両端を当接さ
せて,山留部材の横壁上面に受桁を溝の幅方向に向け設置して,山留部材を保持固
定し,しかる後,受桁上に上面が路面と一致する覆工板を設置することを特徴とす
る路面覆工方法。
【請求項2】の記載は,上記(1)と同一である。
3 審決の理由の要旨
(以下,いずれも本件特許出願前頒布の刊行物である特開平6-257104
号公報(本訴甲8,審判甲1)を「刊行物1」,日本鋼管ライトスチール株式会社
発行の「NKKライナープレート」カタログ目次及び12頁(本訴甲10,審判甲
3)を「刊行物2」という。)
 審決は,本件発明の要旨を,訂正前明細書の特許請求の範囲の記載(上記2
の(1))のとおりと認定した上,本件発明1,2は,刊行物1記載の発明,周知の技
術事項及び刊行物2に開示された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をするこ
とができたものであるから,本件発明1,2に係る本件特許は,特許法29条2項
の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号に該当し,無効とすべ
きものであるとした。
第3 原告主張の審決取消事由
 審決が,本件発明1,2の要旨を訂正前明細書の特許請求の範囲の記載(上
記第2の2の(1))のとおりと認定した点は,訂正審決の確定により特許請求の範囲
が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,審決
は,本件発明1,2の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されなければならな
い。
第4 被告の主張
 訂正審決の確定により,本件発明1,2に係る特許請求の範囲の記載が上記
のとおり訂正されたことは認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決の確定により,本件発明1,2に係る特許請求の範囲の記載が上記
第2の2の(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によっ
て,特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。
   そうすると,審決が,本件発明1,2の要旨を,訂正前明細書の特許請求の
範囲の記載(上記第2の2の(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであった
ことに帰し,これが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,審決は,
瑕疵があるものとして取消しを免れない。
   よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決
する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官 篠  原  勝  美
    裁判官 岡  本     岳
    裁判官 早  田  尚  貴
 

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