弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点第二点について。
 所論各盗難被害始末書中被害顛末書事情として所論摘示のごとき記載があること
及びその内容が各作成者自身の盗難被害の経験事実ではないことは所論のとおりで
あるが、該書面の記載によれば、いづれも作成者がその管掌事項について窃盗犯人
の供述を照合して結論として原判決採証のごとく原判決の判示に符合する盗難被害
を認めているのである。而してかゝる書面の証明力は微弱ではあろうけれども、本
件に適用ある訴訟法規の下においてはその証拠能力なしとはいえないところである。
従つて原審がその自由心証に基いて所論証拠を採証し原判決判示の賍物故買の事実
を原判決挙示の他の証拠と共に綜合認定したことは適法であつて、右証拠により判
示事実を認めるに足る本件においては原判決に所論のごとき採証の法則違背の違法
ありということはできないのである。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 所論は原判決の採証しない証拠に基いて原判決の事実認定を争うのであるが、原
判決挙示の証拠により判示事実を認定し得る本件においては、原審の専権に属する
証拠調の限度、証拠の取捨判断を攻撃し審理不尽の違法ありとする所論は採用する
を得ない。
 よつて刑訴施行法第二条旧刑訴法第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は「理由」第一、二点に対する裁判官小谷勝重の左記補足意見の外は、
裁判官全員一致の意見によるものである。
 裁判官小谷勝重の補足意見は次のとおりである。
 原判決が証拠に採つた二通の盗難被害始末書と題する書面の趣旨は、何れも「警
察で盗んだと言う本人が自白しているのならば、盗まれたであろう」というに帰す
るのである。そして本件は賍物故買被告事件であつて、その原審の採用した証拠は
(1)被告人の買取事実の供述(2)窃盗犯人であるAの窃盗事実及び本件被告人
は賍物知情の上買取つたものと思う旨の供述並びにBの判示売却数量価額に照応す
る供述(3)前示二通の始末書の三つを挙げているのであつて、元来賍物故買罪の
証拠としては、右の内の(2)だけでも、況んや(1)及び(2)だけで証拠とし
ては揃つているのであつて、(3)の始末書はなくてもよい事案なのである。然し、
原審は以上(1)乃至(3)のものを綜合して判示事実を認定しているのである。
そこで本件始末書は、所論主張のように果して証拠能力のないもの(或は証拠価値
のないもの)であろうか。先づ当該始末書は空漠たる坊間世上の単なる「風聞」或
は確かな根拠のない単なる「想像」によつたものではなく、兎も角「警察で盗んだ
と言う本人が自白しているのならば盗まれたであろう」というのであつて、又此書
面の内容は吾人の経験又は論理の法則に照し間違つていたり首肯のできないもので
はないのであり、且つ当該被告事件の事実に関する報告的内容を有する文書である
から、一応証拠書類として形式の要件を備えているものと思料されるのである。然
らば、所論始末書は刑訴証拠法上書証としての証拠能力を有するものと断ぜざるを
得ないのである。してみれば、残る問題は証拠価値如何の一点に存するのであるか
ら、一つに裁判官の良識と良心に基づく心証上の問題に帰着するものというべきで
あろう。惟うに盗難被害の経験(具体事実の認識)に基づかずして単に取調警察官
よりの伝聞のみに拠つて作成されたかゝる文書は、その被害事実としての証明力即
ち証拠価値は極めて微弱なものであつて、苟しくも容易に之を断罪の資料には供し
得ない性質のものというべきであろう。然らば、かゝる文書を断罪の証拠に供する
ことは事案によつては認めるに足りない証拠価値を擅に認めた違法ありと断じなけ
ればならない場合もあるであろうが、本件の事案においては、未だもつて経験法則
違背等、要するに違法の採証とは断ずるを得ないものと思料する。
 検察官 田中巳代治関与
  昭和二五年七月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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