弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理由
職権をもって調査すると,記録によれば,原判決には,その基本となる口頭弁論
に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることが明らか
である。そうすると,原判決は,民訴法249条1項に違反し,判決の基本となる
口頭弁論に関与していない裁判官によってされたものであり,同法312条2項1
号に規定する事由が存在する。したがって,上告理由について判断をするまでもな
く,原判決を破棄し,本件を原審に差し戻すのが相当である。
なお,民訴法319条及び140条(同法313条及び297条により上告審に
準用)の規定の趣旨に照らせば,上告裁判所は,判決の基本となる口頭弁論に関与
していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原
判決を破棄し,事件を原審に差し戻す旨の判決をする場合には,必ずしも口頭弁論
を経ることを要しないと解するのが相当である。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官藤田宙靖裁判官上田豊三裁判官堀籠幸男裁判官
那須弘平裁判官田原睦夫)

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