弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 被告人本人の上告趣意及び同弁護人小田泰三の上告趣意は後記書面のとおりであ
る。
 被告本人の上告趣意について。
 所論は、原判決が憲法三二条三七条に違反すると主張するのであるが、原審にお
いて主張もされず従つて判断もされなかつた事項であるばかりでなく、その実質は、
論旨第一において賍物の罪につき第一審判決の事実誤認又は証拠の取捨を非難する
に過ぎず、また論旨第二において恐喝罪につき、被告人の請求した証拠調をしなか
つたことを攻撃するに過ぎないのであつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由とは
認められない。
 弁護人小田泰三の上告趣意第一点について。
 所論は、本件被告人に対する逮捕が憲法三三条三四条に違反すると主張するので
あるが、原審において主張されずまた判断もされなかつた事項であり、また仮りに
逮捕手続に違法があつても、上告理由とすることはできないばかりでなく、これが
ためにその後の手続がすべて違法となるものでないことは当裁判所の判例とすると
ころであるから、論旨は適法な上告理由にあたらない。(昭和二三年(れ)第七七
四号同年一二月一日大法廷判決、刑集二巻一六七九頁、昭和二三年(れ)第四二四
号同年一二月二七日大法廷判決、刑集二巻一九四〇頁、昭和二三年(れ)第六五号
同年七月一四日大法廷判決、刑集二巻八七二頁参照)
 同第二点について。
 所論もまた原審において主張されず判断されなかつた事項であり且つ論旨は、起
訴されるに至つた事情を述べているだけで判決に影響がないこと明かであるから、
適法な上告理由とすることはできない。
 同第三点について。
 所論の違憲の主張はこれまた原審において主張も判断もされなかつた事項である。
そして原判決は第一審の量刑を相当であると判断するに当つて、被告人の前科のみ
によつたのではなく、「原審の取り調べた証拠に依り諸般の事情を調査し」たので
あるから、論旨は判示と異なる主張の下に原判決の違憲を主張するのであつて、す
でに前提において誤りであり適法な上告理由といえない。また記録を調べて見ても
刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
 よつて同四〇八条一八一条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員一致の意見である。
  昭和二八年二月三日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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