弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主     文
被告人を懲役6か月に処する。
未決勾留日数中20日をその刑に算入する。
理     由
(罪となるべき事実)
被告人は,常習として,平成13年10月7日午後4時40分ころ,横浜市a区
bc丁目d番地D敷地内のDサウンドホール前において,転売する目的で得た同日
午後5時30分開演予定の「Fコンサート」D入場券1枚を,Bの身辺につきまと
って売ろうとしたものである。
(証拠の標目)省略。
弁護人は,被告人は,ダフ屋を探していたBとD入場券(以下「チケット」とい
う。)の交換交渉をしていただけで,同人につきまとったりしていないから,被告
人の行為は条例に規定する犯罪構成要件を充足しておらず,無罪であると主張し,
被告人も,これに沿う供述をする。そこで,当裁判所の判断を補足する。
証人Cは,当公判廷において,被告人は,判示ホール前をD正面方向に歩いてい
たBに近づき同人の前に立ちふさがって話を始めたと供述しており,同人は警察官
であり,当日判示場所付近でダフ屋の取締まりに従事し,被告人の動向を注視して
いたもので,その現認状況の正確性に疑いはない。また,被告人も,捜査官に対し
て,「Bの前に立ちふさがり通行の妨害をして『チケットあるよ。良い券あるよ。
安くしとくよ。』としつこく声をかけたなどと供述しているところ,被告人は,ダ
フ屋行為を内容とする本件条例違反の同種前科を多数有し,どういう行為が同条例
違反になるかを十分理解していたと考えられるにもかかわらず,Bの前に立ちふさ
がったなどという不利益な供述をしていたことからすると,その被告人の供述は十
分信用することができる。この持丸証言及び被告人の供述によれば,被告人がBに
近づいて行き,その前に立ちふさがって,チケットを売ろうとしたことが認められ
る。
 そして,その後,Bが自らのためのチケット1枚と急に同コンサートに来られな
くなった友人のためのチケット1枚を持っており,同人は被告人のかけ声からその
友人のためのチケット1枚を被告人に買ってもらえる思って,被告人に対し,「チ
ケット買ってくれますか。」と言ったところ,被告人は,「俺が持っているチケッ
トを買ってくれ。もっと良い席がある。」などと答えて,被告人の持っているチケ
ットのうち良い席と称するチケット1枚を,Bの持っているチケット2枚と交換
し,かつBから1000円ないし2000円の追加料金の支払いを受けようとして
交渉を始めたこと,その際,被告人がBを促して少し場所を移動したりしたこと
は,被告人が当公判廷においても認めている。そして,証人Bの当公判廷における
供述によれば,同人は,上記友人のためのチケットを買ってもらえればよいと考え
ていたのに,被告人からチケットの交換とともに追加料金の支払いを求められて迷
惑に感じたと供述しており,その供述する感情は,同人が被告人に余ったチケット
を買ってもらおうとしたのに,新たな料金の支払いとともにチケットの交換という
意図しない交渉を持ちかけられた経緯からして自然で,首肯することができる。
 そして,以上の証言ないし被告人の供述によれば,被告人がBの前に近づき,同
人を促して少し場所を移動したりしたことが認められるところ,「つきまとう」と
は,他人の行動に追随することをいい,人の前後,側方について歩き,又は止まっ
て離れないことをいうのであるから,被告人のその行為は「つきまとう」ことに該
当すると言うことができ,結局,被告人は,Bにつきまとって,チケットの交換及
び追加料金の支払いという方法でチケットを売ろうとしたものである。
また,被告人に常習性があることは証拠上明らかである。
したがって,被告人の行為は,前記条例10条2項,5条2項の構成要件を充足
するものであるから,弁護人の主張は採用できない。
(累犯前科)
 被告人は,平成9年12月19日横浜地方裁判所川崎支部で公衆に著しく迷惑を
かける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反罪により懲役5か月に処せられ,
平成10年6月9日その刑の執行を受け終わったもので,その事実は検察事務官作
成の前科調書によってこれを認める。
(法令の適用)
1 罰条公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例10条
2項,5条2項(所定刑中懲役刑選択)
1 再犯加重刑法56条1項,57条
1未決勾留日数の算入同法21条
1 訴訟費用(不負担) 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の事情)
被告人は,いわゆるダフ屋行為が音楽会等の健全性を害し,催しを楽しもうとす
る市民に不快感と迷惑を及ぼす違法な行為であり,厳しくその取締まりが行われて
いることを十分承知しながら,安易に金儲けをする手段として,本件犯行を行った
ものである。被告人は,これまで多数回同種犯行を繰り返し,それによる処罰歴も
多数回に及んでいる。しかも,被告人は,当公判廷において,不合理な弁解をして
反省の情が乏しい。これらの諸点からすると,犯情はよくなく,被告人の刑事責任
を軽視することはできない。
そこで,被告人が老齢の域に入りつつあることなどの被告人のために斟酌すべき
事情をも考慮した上,主文のとおり量刑する。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役8月)
 平成13年12月18日
  横浜地方裁判所第4刑事部6係
            裁 判 官  松   野       勉

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