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判示事項
貸金業の規制等に関する法律第42条の2に定める金利を超えることを理由として
金銭消費貸借契約を無効とした事例(控訴)
平成16年11月10日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成16年(ハ)第7327号 貸金請求事件
口頭弁論終結日 平成16年10月13日
判    決
主    文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,57万4485円及び内金57万円に対する平成16年2月2
1日から支払済みまで年26.28パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 争いのない事実等(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実を含
む。)
(1) 原告は,金銭の貸付等を業とする会社である。
(2) 原告は,被告に対し,平成16年2月5日,150万円を次のとおりの約定で貸
し付けた。
ア 支払方法 
平成16年2月から平成20年12月まで毎月20日に元金1万円と経過利息
を支払い,最終弁済日である平成21年1月20日に残元金91万円と経過利
息を支払う。
イ 利息      年21.9パーセント
ウ 遅延損害金   年29.2パーセント
エ 特約
(ア) 期限前弁済禁止特約
借入日から48か月間は,元本等を利用するものとし,一括弁済できな
い。
(イ) 期限の利益の喪失
被告は,平成16年2月6日までに原告が適正と認める連帯保証人2人
を立てるものとし,被告が同日までに上記連帯保証人2人を立てることがで
きないとき,又は上記分割金の支払を1回でも怠ったときは,当然に期限の
利益を失う。
オ 預り金
原告は,平成16年2月9日まで貸付金のうち60万円を預かり,上記特約
が履行されなかったときは,これを貸付金の弁済に充当する。
(3) 原告は,平成16年2月5日,上記貸付金のうち60万円を預かり,融資諸費
用として33万円のほか1万5750円を受領した。
(4) 被告は,平成16年2月20日の第1回弁済期を過ぎても約定の分割金の弁
済をしない。
2 争点及びこれに対する当事者の主張
(1) 争点
本件契約の貸付金利が貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」とい
う。)第42条の2第1項に規定する金利を超えるか否か
(2) 原告の主張
本件契約の金利は,次の理由により,貸金業法42条の2第1項に規定する
年109.5パーセント(うるう年のときは,年109.8パーセント)を超えるもので
はなく,本件契約は無効とならない。
ア 本件契約については,貸付期間が5年とされ,借主において,少なくとも48
か月は,期限前弁済ができないから,被告が約旨どおりに期限までに連帯保
証人2人を立てた上で,その後5年間(少なくとも48か月),被告の原告に対
する本件契約上の債務につき,各支払期日における元利金の返済が継続し
ていくことが予定されている。
イ 一般に,金銭消費貸借契約において,利息の天引きがある場合において,
金銭消費貸借契約は,天引後の受領額ではなく,天引前の金額を元本として
成立するが,実質金利を算出するには,次の算式により計算されるものとさ
れ,実質金利算定における実質元本については,天引額を控除した後の実質
的に使用可能な元本を基礎にすべきものとされている。
  実質年率=(徴収利息額÷利用可能な期間÷実質元本額)×100
ウ 以上の前提に立てば,原告が被告から本件契約時に受領した融資諸費用3
3万円を「みなし利息」とし,みなし利息控除後の実質元本額117万円(57万
円+60万円)として,実質金利を算定しても,別紙1及び同2のとおり年28.
23パーセントにとどまる。
 (3) 被告の主張
本件契約の金利は,次の理由により,貸金業法42条の2第1項が規定する年
109.5パーセント(うるう年のときは,年109.8パーセント)を遙かに超えるもので
あって,本件契約は無効となる。
ア 金銭消費貸借契約の金利は,契約内容によって確定するから,本件契約の元
本は,150万円とされるべきであり,これを基準として算定すべきであるが,被
告が連帯保証人2人を立てる条件を充たせなかった場合には,預り金60万円
が元本に算入されるから,これを控除した90万円が元本とされる。
イ 契約諸費用の33万円のほか1万5750円も,みなし利息(天引利息)と解され
る(利息制限法第3条本文)。
ウ 天引利息である33万円及び1万5750円の「相当期間」は,次の理由により,
被告が前記条件を充たせなかった場合はその時点(平成16年2月6日)で,充
たせた場合は第1回の返済日(平成16年2月20日)までと解される。
(ア) 「後日連帯保証人をたてる確約書」(甲第3号証)は,被告が連帯保証人2
人を立てることができない場合には期限の利益を失い,150万円を一括して
支払うという内容になっている。そして,60万円は預り金とされている(甲第5
号証)から,被告が期限の利益を失った場合,元本に算入されるが,33万円
と1万5750円は融資諸費用として授受されているから期限の利益を失っても
元本に算入されないことは明らかである。したがって,本件契約によると,被
告が期限の利益を喪失した場合,期限の利益喪失までの期間の利息として3
3万円及び1万5750円の支払を余儀なくされる。
(イ) 「金銭消費貸借契約書」(甲第1号証)は,被告において,1回でも利息の
支払を怠れば,直ちに債務金額150万円を一括で支払うという内容であるか
ら,前記(ア)同様,被告が利息の支払を怠れば,33万円及び1万5750円の
支払を余儀なくされることになる。
第3 争点に対する判断
1 平成15年の改正で貸金業法42条の2が新設されたのは,貸金業者の中には,
登録業者であるかどうかにかかわらず,高金利の貸付けを行い,また執拗な取り
立てを行うなどして,債務者やその家族等を窮地に追い込むという者もおり,これ
が深刻な社会問題となったため,これらの貸金業者の活動を規制し,高金利の貸
付けによる収益を得させないようにするためである。このような立法趣旨からすれ
ば,貸金業者が,同項所定の金利を超えることとなる可能性がある利息の契約を
すれば,その消費貸借契約は無効となるというべきである。そうすると,費用等の
名目で多額の利息を天引きした上,連帯保証人を立てるなどの条件を付し,その
条件を充たすことができないときは,期限の利益を喪失し,元本,利息などを一時
に支払う旨の契約を締結した場合も,当然同項の適用を受け,その金利が計算上
同項の利率を超えるときは,当該消費貸借契約は無効となると解される。
2 本件においては,原告が被告に対し,平成16年2月5日に150万円を貸し付け,
その際,原告が上記貸付金のうち融資諸費用の名目で33万円及び1万5750円
を受領し,預り金として60万円を預かっているから,実質的に被告が受け取った金
員は,55万4250円となる。そして,被告において,平成16年2月6日までに原告
が適正と認める連帯保証人2人を立てることができない場合には,期限の利益を
失い,上記貸付金150万円から預り金60万円を控除した90万円を弁済しなけれ
ばならない。
そうすると,連帯保証人2人を立てられず,期限の利益を喪失した場合,被告が
実質元本を利用することが可能な期間は,貸付日である2月5日(貸付日当日も被
告が元金を利用することができるから,利息が発生する。)と連帯保証人2人を立
てる期限である2月6日の2日間ということになり,被告は,この2日間で,約定利
息の年21.9パーセントの割合による金員と上記の融資諸費用名目の33万円及
び1万5750円とを利息として支払うことになる。なお,原告は,この点に関し,上記
1万5750円については,「契約締結費用・債務弁済費用(公正証書作成費用)」で
ある旨主張するが,貸金業法第42条の2第2項が準用する出資の受入れ,預り金
及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)第5条7項には,利息
制限法第3条ただし書のような除外規定がないから,融資諸費用名目の33万円
はもとより,1万5750円についても,いわゆるみなし利息と解される。
そして,これを前提に貸金業法第42条の2第2項(出資法第5条5項)に基づい
て,本件契約の金利を計算すると,次のとおりとなる。
① 150万円(名目元本額)-60万円(預り金)=90万円(交付金額)
② 90万円(交付金額)-33万円(融資諸費用)-1万5750円(融資諸費用)
=55万4250円(実質元本額)
③ 55万4250円(実質元本額)×2/366×0.219(平成16年2月5日から
同月6日までの約定利息)=663円
④ (33万円+1万5750円+663円)(徴収利息額)÷2/366(利用可能な
期間)÷55万4250円(実質的元本額)×100=
約1万1438パーセント
3 以上によれば,本件契約は,貸金業法42条の2第1項が規定する年109.8パー
セント(平成16年がうるう年であることは顕著な事実である。)を超えることは明ら
かである。したがって,このような利息の契約をしたときは,当該消費貸借の契約
は無効となるから,本件契約に基づいて,利息のみならず元本の返還を請求する
ことはできない。
なお,原告は,債務者が連帯保証人を立てられず期限の利益を失った場合や連
帯保証人を立てたが最初の利息の支払日に支払を怠り期限の利益を失ったような
場合には,利息等について事後的に清算処理がなされた例もあり,本件において
もそのような清算処理が予定されていたから,同条の金利を超えるものではない旨
主張する。しかし,同項の金利を超える契約をしたかどうかが問題であって,その
後に清算処理をしたかどうかは問題ではないばかりか,本件契約において,そのよ
うな清算処理に関する合意があったことを認めるに足りる証拠はない。
東京簡易裁判所民事第2室
裁 判 官   寺  内  正  三  

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