弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 控訴人が平成八年六月二八日付けでした下水道法一二条の一〇に基づく除害施
設新設等届に対し、被控訴人がその受理を拒否した処分を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二 事案の概要
一 事案の概要は、次のとおり付加、訂正する他、原判決の「事実及び理由」の
「第二 事案の概要」(原判決二頁九行目冒頭から同三四頁三行目末尾まで)のと
おりであるから、これを引用する。
1 原判決二〇頁初行、同二行目の各「言った」をいずれも「定めた」と改める。
2 同二二頁五行目「認められなければならないとすると、」を「認めなければな
らないとすると、」と改める。
3 同二三頁末行「産業廃棄物処理場」の前に「排水区域外にある」を付加する。
4 同二五頁初行「廃酸・廃アルカリを、」の後に「蒲郡市内の」を付加する。
二 当審における控訴人の主張
1 「除害施設」という下水道に排水する水処理施設を使うことを事業でないとす
るのは誤りである。そうして、この施設を経た排水を事業による排水でないとして
受け入れを拒否することは、下水道法二条一号に違反する。なぜなら、同条同号は
排水区域内においては、耕作の事業からの排水以外のすべての不要の水は下水道に
排水すべく定めているものと解されるからである。従って、この点から考えれば、
蒲郡市α八番四の土地上に控訴人が建設計画をたてた廃水処理施設(以下「原告処
理施設」という。略称は原判決と同義である。)で控訴人が処理する排水が豊田市
内から蒲郡市内の本件土地まで運搬された浸出液であったとしても、世間に多数あ
る缶ジュース、廃油等の中間処理施設は、全て他所から運搬された液状物質に中和
等の処理をして下水道へ接続しているのと同様に、処理されれば下水道に受け入れ
られるべきである。
2 原告処理施設には廃酸・廃アルカリ及び廃油の処理機能があるが、被控訴人が
右機能による排水を拒否すべき理由はないから、少なくともこの部分に限定して本
件届出を受理すべきであったのに、本件届出の受理を全部拒否した処分は違法であ
る。
3 原判決は、被控訴人が、本件受理を拒否した理由とは異なる理由を主張したの
に、これを容れて、本件受理拒
否行為は適法であると判断したが、行政事件訴訟における理論に反し誤りである。
第三 当裁判所の判断
一 当裁判所も、被控訴人による本件受理拒否行為は行政庁の処分に該当し、か
つ、右行為は適法であると判断するものであって、その理由は、次のとおり付加、
訂正する他、原判決の「第三 当裁判所の判断」(原判決三四頁四行目冒頭から同
六二頁二行目末尾まで)のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決五四頁四行目から同五行目にかけての『雨水をいう」をいう』を『雨
水」をいう』と改める。
2 同五四頁六行目「原告は、」の後に「蒲郡市内にある」を付加する。
3 同六一頁六行目「下水道法一二の一〇、」を「下水道法一二条の一○、」と改
める。
二 当審での控訴人の主張について
1 控訴人は、原審が下水の解釈を誤り、又、原告処理施設からの排水は事業に起
因する、若しくはこれに附随する排水ではないとした誤りがある旨主張する。しか
しながら、原告処理施設は、控訴人の豊田市内にある本件産業廃棄物処理場から蒲
郡市内の本件土地まで運搬される浸出液を、蒲郡市の排水基準の範囲内であれば、
何の処置も加えずそのまま排出するものであり、排水基準を超える場合には、下水
道に排除できる程度にまで除害した後排出する除害施設にすぎないところ、下水道
法は本来予定処理区域内の下水を前提にしているものと認められるから、この趣旨
からしても、又同法二条一号の定義からしても、原告処理施設からの排水は事業に
起因する、又は事業に附随する下水とは認められないのは原判示のとおりである。
控訴人は、世間に多数存在する缶ジュース等の中間処理施設(除害施設)は全て他
所から運び込まれた液状物質の処理施設であり、原告処理施設も同じものである旨
主張する。しかしながら、右は事業として行うものとして水質汚濁防止法、建築基
準法等の規制の下に許諾されたもので本件控訴人届出にかかる原告処理施設とは同
日に論じえない。控訴人のこの点の主張は採用できない。
2 次に、控訴人は、原告処理施設が廃酸・廃アルカリ・廃油の処理機能を有して
いるのでこの部分の排水の排出を拒否する理由はないのに、本件届出を全部拒否し
たのは違法である旨主張する。しかしながら、原告処理施設における処理水に占め
る埋立処分場浸出水の割合が七割五分以上であることを考慮すると、たとえ原告処
理施設に前記処理を行う機能があったとしても、全
体として、右事業を行うものとは認められないし(原判示)、又証拠(甲一、九、
原審証人佐竹正和)によれば、控訴人は下水道法一二条の三、建築基準法も承知の
上あえて本件届出をしているともみられるから、被控訴人の本件処分を違法と認め
ることはできない。
3 次に、控訴人は、本件受理拒否行為の理由とは別の理由を容れて適法と判断し
たのは違法である旨主張する。しかしながら、本件事案において、本件受理拒否行
為では考慮されなかったが客観的には存在していた事実を、本件受理拒否行為を正
当とする理由として新たに主張することも許されることは、原判決の理由説示のと
おりである。従って、控訴人の右主張も採用できない。
三 結論
 以上によれば、控訴人の本訴請求は理由がないから、これを棄却した原判決は正
当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、控訴費用の負担
につき民訴法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第一部
裁判長裁判官 笹本淳子
裁判官 鏑木重明
裁判官 戸田久

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛