弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人陸上自衛隊第三二普通科連隊長が控訴人Aに対し昭和四七年五月四日
付でした懲戒免職の処分を取り消す。
3 被控訴人陸上自衛隊第二特科群長が控訴人Bに対し昭和四七年五月四日付でし
た懲戒免職の処分を取り消す。
4 訴訟費用は、第一、第二審を通じて被控訴人らの負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
 主文と同旨
第二 当事者の主張
 当事者双方の事実の主張は、次の一のとおり原判決に付加し、二のとおり当審に
おける双方の主張を加えるほかは、原判決摘示のとおりであるからこれを引用す
る。
一 原判決への付加
1 原判決書三〇頁一行目を「五 被控訴人らの抗弁に対する控訴人らの法的反
論」に改める。
2 原判決書三五頁四行目を「六 再抗弁(裁量権の濫用)」に、同一一行目を
「七 控訴人らの法的反論に対する被控訴人らの認否」に、同末行の「再抗弁1」
を「控訴人らの法的反論1」に、それぞれ改める。
3 原判決書三八頁一行目を「八 再抗弁に対する認否」に改め、同行の次に行を
改めて、「再抗弁の主張は争う。」を加える。
二 当審における双方の主張
1 控訴人ら
(一) 自衛隊法五二条の違憲性について
 被控訴人らは、自衛隊法五二条は、それ自体直接自衛隊員の任務を定めた規定で
はないとしつつも、隊員が任務を適正かつ効果的に遂行し、もって国民の負託にこ
たえるべきことを定めたものであって、他の服務規律の基本にある理念ないし服務
上の基本姿勢を示したものであると主張している。すなわち、自衛隊は、我が国を
防衛することを主たる任務とし、また、必要に応じ公共の秩序の維持に当たること
を任務とするとした上で、隊員は、その使命に鑑み、厳正な規律の下に一糸乱れぬ
隊務遂行の心構えと、指揮官の下に融和団結して事に当たることが必要不可欠であ
り、同条の定めが置かれた理由もここにあるという。これはまさに同条にいう「危
険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め」との文言を賭命義務と捉え、かつ許容
するものにほかならない。そして、同条を前提として隊員たるにふさわしくない行
為の有無を判断すべきものであるとするのであるから、本件各処分の直接の理由に
なっていないからといって、賭命義務にかかる部分の憲法適合性をさておき本件各
処分の適法性を判断することは許されないし、また、できないはずである。自衛隊
の実力組織としての性格を強調して賭命義務を含む厳正な規律と強固な団結の必要
性をいうのは、それが軍隊規律であること、自衛隊が軍隊であることを認めるもの
に他ならず、同条が憲法九条に違反することをむしろ裏付けるものといえる。自衛
隊法五二条は憲法九条及び基本的人権保障の条項に違反し無効であり、したがって
これを基本理念とする自衛隊法四六条二号によってなされた本件各処分もまた当然
無効とされるべきものである。
(二) 隊員の表現の自由の制限とその違憲性について
 自衛官といえども一般市民として表現の自由を保障されるべきことは当然であ
る。控訴人らは必ずしも賛同するところではないが、これまでの判例によっても表
現の自由を制限する法律、処分等の憲法適合性の判断は、制限の目的の相当性や、
その目的と制限すべき行為との関連性及び制限によって得られる他の利益と失われ
る利益の均衡といった観点から、その制限が合理的で、かつ、やむを得ないものか
どうかを具体的に判断した上でなされなければならないものとされている。本件に
あっては、控訴人らの表現行為を制限しなければ侵害されることとなる利益がある
などとは考えられず、たかだか被控訴人らのいう服務規律の実効性が損われる程度
であり、他に表現の自由を制限すべき相当な事由があるとは到底考えられない。自
衛隊に対する文民統制を効果的に行うためには、一般の隊員を指揮命令する立場の
幹部自衛官の表現の自由を制限することこそ意味はあれ、下級自衛官の表現の自由
に制約を加えるのは相当でない。むしろ、下級自衛官には充分に表現の自由を保障
することによって内部の民主化を保障してゆくことこそあるべき姿であり、武装組
織が民主的政治体制の破壊をもたらす危険を防ぐためにも重要である。控訴人らの
体験に基づく待遇改善に関わる正当な主張、歴史的事実に裏付けられた正当な主張
を封ずる本件各処分は、表現の自由の保障を根拠もなく制限するという点でも憲法
に違反する。
2 被控訴人ら
(一) 自衛隊法五二条について
 本件各処分は、控訴人らの本件行為が自衛隊法五八条一項に想定されている自衛
官としての品位、信用を傷つけるとともに自衛隊の威信を低下させるものであり、
同法五二条に定められている「強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあた
り」、「国民の負託にこたえる」との服務の本旨からも到底許されない行為である
と認められ、いずれも同法四六条二号の「隊員たるにふさわしくない行為のあつた
場合」に当たるとの理由によって行われたものである。控訴人らが憲法に違反する
と主張する同法五二条のうちの賭命義務に係る部分は、本件各処分の理由となって
おらず、本件各処分の適否とはなんの関係もない。
 自衛隊法第五章第四節の規定は、自衛隊が任務を適正かつ効果的に遂行し、もっ
て国民の負託にこたえるため、その任務に当る隊員に要求される服務規律、すなわ
ち服務上遵守すべき事項を定めている。自衛隊法五二条の規定は、同法五四条以下
に具体的な遵守事項を定めるに当ってその基本にある理念(服務の本旨)を示した
ものであることは確かである。しかし、同条中の「事に臨んでは危険を顧みず、身
をもつて責務の完遂に努め」るという部分は、その余の部分と並んで隊員に求めら
れる服務上の基本姿勢を示したものであるとはいえ、五二条は、服務事項を定める
他の規定とあいまってはじめて意味を有するものであり、本件各処分において控訴
人らのいう賭命義務は全く問題になっていないのであるから、この点に触れるまで
もなく本件各処分の適法性を判断することが許されるのは当然である。
(二) 隊員の表現の自由の制限とその必要性について
 自衛隊員も国民の一人として表現の自由の保障を受けるものであることは控訴人
らの主張するとおりである。しかしながら、自衛隊は、「わが国の平和と独立を守
り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主
たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ことを任務とするもので
(自衛隊法三条一項)、そのために必要な武器を保有し、防衛出動又は治安出動に
際しては武力の行使又は武器の使用を認められている実力組織であり、わが国の防
衛政策の根幹をなす組織として国民の負託を受けて設置されたものである。自衛隊
員は右任務に携わる特別職の国家公務員として、わが国の平和と独立を守る自衛隊
の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、その任務の遂行に当り、もって
国民の負託にこたえるべきものとされている(同法五二条)。すなわち、自衛隊員
には、右任務を効果的に遂行するため、防衛出動等の機会に限らず、不断から、厳
格な規律と強固な団結を保持することが要請されているが、これは実力組織として
の性格に由来する本質的な要請である。防衛という国家の重大な行政目的を適正に
遂行させるために極めて強大な実力を付与してまで右任務を自衛隊に負託した国民
の信頼こそは、自衛隊の存立の基本である。この国民の信頼を揺るがすことのない
よう、自衛隊員は品位を重んじなければならないのであり、隊員としての信用を傷
つけたり、自衛隊の威信を損するような行為をしてはならないことは当然である。
厳正な規律と強固な団結の保持及び信用失墜行為の禁止の見地から、自衛隊員の表
現の自由が制約を受けることがあるのは止むを得ないところである。
第三 証拠(省略)
 
       理   由
一 当裁判所も、控訴人らに対して被控訴人らがした本件各処分は適法であり、控
訴人らの本件請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、原判決に次
のとおり付加し、次項の判断を加えるほかは、原判決理由に説示するとおりである
から、これを引用する。
1 原判決書四七頁八行目の「著しく歪曲し又は誇張した事実を前提にして」を削
り、四八頁一行目を「と認めることができる。」に改める。
2 原判決書四九頁一行目の末尾に、「また、命令拒否権の確定、幹部隊員との差
別の廃止、勤務時間外の拘束の廃止、私物点検、上官による貯金の管理等の一切の
人権侵害の中止等の諸要求も、当然かつ正当な要求であると主張する。」を加え、
四行目の「いたとしても、」の次に「先に認定した自衛隊の沖縄配備や立川基地移
駐が決定されるに至った経緯に照らし、控訴人らの要求書や声明の表現には事実を
歪曲し又は誇張する部分が含まれているものとされても止むを得ないものであっ
て、誠実かつ冷静な意見の表明とは認め難い。また、差別廃止等の要求が控訴人ら
の切実な願いであるとしても、要求書全体の文言及び要求の手段方法からみて、こ
れまた、真摯でかつ誠実な要求とは認め難い。しかも、意見表明や要求自体の正当
性とは別に、その手段方法の相当性が問題とされるのも止むを得ないところであ
る。」を加える。
3 原判決書五〇頁九行目から一〇行目にかけての「ために自ら志願して自衛官と
なった」を「自衛官、すなわち」に改め、五一頁末行の「著しく」を削る。
4 原判決書五四頁四行目の「真面目に」を「冷静に」に、「求めるもの」を「求
めてする意見の表明」にそれぞれ改める。
5 原判決書六〇頁三行目の「自ら志願して」及び六〇頁末行の「むしろ、」から
六一頁四行目の「相当である。」までをいずれも削る。
6 原判決書六四頁八行目冒頭から六五頁二行目の「交付したとしても、」までを
「確かに、Cが中心になって、防衛庁正門付近で、防衛庁長官との面会を求めて防
衛庁職員とかなりの時間激しいやりとりをしていたこと、及び角南弁護士はCらの
行動を支援する立場で防衛庁職員と問答を繰り返していた等の状況からすると、同
弁護士がその身分を明らかにするために名刺を交付するか、少なくとも見せたであ
ろうことは推認することができる。しかし、同弁護士が代理人であると告げて防衛
庁職員の誰かに名刺を渡したとしても、」に、六五頁九行目の「その旨の特別の表
示が必要」を「口頭であれ、その旨を明確に表示して相手方に告知する必要があ
る」に、六六頁七行目の「対比して直ちには信用することができず、むしろ、」を
「対比し、かつ右書面の文言からすると、」に、九行目の「見るのが相当であ
る。」を「みることができるのであって、右証言部分をそのまま採用することはで
きない。」に、それぞれ改め、六八頁三行目の末尾に次のとおり加える。
「確かに、いまになっていえば、角南弁護士は、防衛庁正門付近でCだけでなく控
訴人らとも行動を共にしていたことは被控訴人らにも判っていたのであるから、被
控訴人らにおいて、念のため同弁護士に問い合わせてみたとすれば、控訴人らの所
在が判ったかも知れないとはいえよう。しかし、被控訴人らにとっては、当時は、
角南弁護士が控訴人らの本件各処分の手続について代理権を有することが判ってい
たといえないことはすでに判示したとおりであり、また被控訴人らの側で同弁護士
が控訴人らの所在を把握していることを知っていたとも認められないのであるか
ら、被控訴人らが同弁護士に控訴人らの所在を問い合わせなかったことを責めるこ
とはできず、他方、控訴人らの行動が、他の自衛隊員の士気や自衛隊内の秩序維持
にも関わることであるから、被控訴人らにおいて、できるだけ速やかに判断をし、
処分の要否、その程度を決めることが必要であると考えたとしても、あながち非難
すべきものとはいえない。控訴人らの主張は採用することができない。」
二 控訴人らの当審での主張に鑑み、念のため、次のとおり判断を付け加えてお
く。
1 自衛隊法五二条が憲法に違反するとの主張について
 控訴人らは、自衛隊法四六条二号の「隊員たるにふさわしくない行為」に該当す
るかどうかは、同法五二条の規定を前提として判断すべきものである以上、同条の
定める「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め」るとの文言の
解釈をさておいて本件各処分の適法性を判断することは許されないと主張し、さら
に、右の「事に臨んでは危険を顧みず」の文言を賭命義務と定義し、かつこれが軍
隊規律であることを表すものであり、自衛隊は軍隊組織であるとした上で、同条が
憲法九条及び基本的人権保障の条項に反し是認されない所以を強調する。
 しかしながら、法律関係を形成することを職務とする職員とは異なり、主として
事実行為を職務とする職員の場合、その職務の遂行が場合によっては生命、身体の
危険を伴うこともあり得るのであって、そのような場合に生命、身体の危険がある
かもしれないからといって職務遂行義務がなくなるというのでは、その任務と矛盾
することになるから、「事に臨んでは危険を顧みず」職務を行うべき旨の基本的な
服務規律が定められること自体を違憲、違法視するのは相当でない。実は、このこ
とは、ひとり自衛隊員に限らず、当該職員の職務の遂行が生命、身体の危険を伴う
可能性のあるすべての職に共通するものであるし、ひとり公務員に限らず、民間の
職員にもあり得ることであり、こうした服務規律が有用なものであることは否定で
きないところである。こうした服務の基本的規律の必要性ないし有用性と、現実に
服務規律に違反した場合の評価や、これに対する懲戒処分の当否はまた別の問題で
あり、それはそれで難しい問題であるが、一般にこうした基本的な服務規律が有用
かつ必要な準則であることはごく常識的に考えて理解できるところである。自衛隊
がその任務からみて、隊員の職務の遂行に当たって生命、身体の危険が伴うことが
多いことに鑑み、基本的な服務規律としてこれが法律に定められたものと解するの
が相当であって、この定めをもって軍隊規律であり、自衛隊が軍隊組織であること
を表すものであるとの控訴人らの主張は、当裁判所の採るところではない。そし
て、本件で問題とされているのは、控訴人らが「事に臨んで」規律に反したという
ことではないのであるから、控訴人らの主張する点についてこれ以上に判断する必
要はなく、控訴人らの主張は採用することができない。
2 表現の自由の制限について
 控訴人らは、控訴人らが主張した原判決添付別紙一、及び同二記載の事実関係
は、いずれも歴史的事実を踏まえたものであり、その体験に基づく待遇改善を目的
とする主張であるという。
 しかし、「要求書」と題されたその主張(原判決添付別紙一)を見ると、既に閣
議決定された自衛隊の沖縄配備問題をとりあげ、これに対して「戦後二十数年間の
長きにわたって軍事監獄の中に閉じ込められ、屈従と圧迫を強いられてきた沖縄百
万の労働者、農民は、老若男女を問わず一人一人が自衛隊の沖縄派兵に怒りのこぶ
しをふりあげている。」、「われわれは、沖縄派兵、釣魚台(尖閣列島)略奪のせ
ん兵となることを自らの良心をかけて拒否する。」とするなど、単なる意見の表明
というには過激にすぎるし、控訴人Aが沖縄出身者であり、かつ控訴人両名が当時
いまだ若年であったことを考慮にいれても、節度を欠くものといわざるを得ず、根
拠に不足する断言であり、上司の命に服しようとしない態度は明白であるといわれ
ても止むを得ない。そして、控訴人らの主張は、原判決添付別紙二「声明」におい
て一層その激しさを増している。「アジア人民への圧迫と殺りくに乗り出さんとし
ている」、「この帝国主義支配者どもの横暴と圧政」、「帝国主義佐藤政府は、わ
れらを侵略と人民弾圧のせん兵とせんがために」云々などの表現は、控訴人らの止
むにやまれぬ心中を吐露したというにはあまりにも乱暴なもの言いであるというほ
かない。
 また、控訴人らの主張のうち「要求事項」を見ても、勤務条件決定に参加する権
利や団結権の要求、表現の自由の要求、勤務時間外の一切の拘束の廃止、私物点検
や貯金管理の停止など、希望ないし意見と受け取ることができる側面はあるとはい
えるものの、「沖縄派兵を即時中止せよ」、「立川基地への治安配備を直ちにやめ
よ」など先の要求書や声明に見られる表現と併せてみれば、単なる意見の表明の域
を超えており、前認定の手段方法をも考え併せると、無理難題を持ちかけるものと
見られても止むを得ないものである。
 先にも触れたとおり、自衛隊が武器による実力行使を伴う事実行為を任務とする
以上は、隊員相互の友誼、信頼の維持、醸成は、任務の能率的遂行に不可欠である
し、危険を前にしたときには相互の信頼は極めて重要なことがらである。控訴人ら
の主張を要求、宣言として、原審判示のとおりの態様でもって明らかにすること
は、隊員相互の信頼関係を損う危険も極めて大きいと考えられるし、自衛隊に対す
る国民の信頼を大きく傷つけるものであることも明らかである。
 自衛官も国民である以上、表現の自由が保障されることは控訴人らのいうとおり
であり、また、自衛隊の有する実力組織としての性格から直ちに自衛官の表現の自
由を制限する結果となる法令や処分が許容されるとの結論を導くことは相当でな
く、これを制限し、禁止する法令及びこれに基づく処分等が許されるかどうかは、
その合理的必要性などを検討し、かつ、問題とされる表現が制限、禁止されるべき
ものに当たるかどうかを判断した上で決すべきであるとの一般論も、控訴人らのい
うとおりである。しかしながら、国民として表現の自由があるといっても、公務員
の地位にある者の発言が無制約であることを意味するものでないことはいうまでも
ない。公務員である以上、正確な事実に基づき、客観的かつ冷静に意見を表明すべ
きことは当然であり、公務の内外を問わず、公務及び公務員に対する国民の信頼を
損なう発言を慎むべきことは法令の定めをまつまでもなく自明のことといってよ
い。公務及び公務員への国民の信頼があってこそ、行政が成り立つのであって、国
民の信頼を得ていることの重要性を考えるとき、公務員の表現の自由に右のような
制約が伴うことは、止むを得ない制約、すなわち必要かつ合理的な制約というべき
である。さらに、自衛隊の場合、その性質上、隊員相互の信頼がその活動にいっそ
う不可欠であることは、すでに判示したところである。そして、本件で問題とされ
ている控訴人らの前記のような発言、主張は、自衛隊員相互の信頼を損なうもので
あるばかりか、自衛隊に対する国民の信頼を損なうものであって、単に自衛隊員だ
からというばかりではなく、国家公務員の行為として見過ごすことのできないもの
であることは、難しい法律論をするまでもなく、ごく常識的にみて、多くの国民に
とって容易に理解し得るところであるというべきであろう。控訴人らの行為が自衛
隊法四六条に該当するとしてした被控訴人らの本件各処分には相当の理由があり、
控訴人らの主張は採用することができない。
三 以上のとおりであるから、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は正当で
あり、本件控訴はいずれも理由がない。
 よって、控訴費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九
条、九三条一項を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 上谷清 滿田明彦 曽我大三郎)

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