弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人雨宮清明の上告理由について。
 原審の確定した事実によれば、「本件係争家屋は、もと訴外仏国人Dがその所有
者訴外Fから賃借していたものであり、昭和二一年秋Dの帰国に際し、上告人にお
いて同人からその賃借権の譲渡を受けたのであるが、この賃借権の譲渡については
賃貸人であるFの承諾を得ていなかったのである。FはDの帰国後上告人が本件家
屋に居住しているのをDの女中であつた訴外GからDの留守居であると告げられ、
それを信じてDの支払うものとして二、三回Gを通じて賃料を受領したことがあつ
たが、その後上告人がDの留守居ではなく同人から賃借権を譲受けて右家屋に居住
するものであることを覚知するに及んで上告人との間に紛争を起し、その解決をみ
ないうちに本件家屋を被上告人に売渡すに至つたものであり、しかもFは右家屋売
却前の賃料相当額の損害金は上告人より取立て得るものと考え、上告人と交渉の結
果昭和二二年一〇月三〇日に至り同年一月分から一〇月分までの損害金として金一、
一〇〇円を受領したものである」というのである。そしてこの原判決の事実認定は
その挙示する証憑に照らし、これを肯認するに難くないのであつて、前記Fが昭和
二二年一月分から一〇月分までの賃料を受領したものの如くに見ゆる乙第二号証の
記載のみを以てしては、いまだ右認定を妨ぐるに足りない。上告人は本件家屋につ
き前所有者であるFに対し賃料を遅滞なく支払つていることは当事者間に争なきと
ころであると主張するけれども、その然らざることは記録上明白である。原審は右
認定にかかる事実と、本訴当事者間に争がない「被上告人が昭和二二年一〇月一〇
日訴外Fから本件家屋を買受けその所有権を収得した」との事実及び「上告人が被
上告人の右所有権取得前から該家屋を占有している」との事実にもとずき上告人は
昭和二二年一〇月一〇日以前から前所有者F及び被上告人のいずれにも対抗し得べ
き何等の権原もなく不法に本件家屋を占有するものであると判示したのである。こ
の判旨の正当であることは民法六一二条一項に「賃借人ハ賃貸人ノ承諾アルニ非サ
レハ其権利ヲ譲渡……スルコトヲ得ス」と規定されていることに徴して明白であり、
所論同条二項の注意は賃借人が賃貸人の承諾なくして賃借権を譲渡し又は賃借物を
転貸し、よつて第三者をして賃借物の使用又は収益を為さしめた場合には賃貸人は
賃借人に対して基本である賃貸借契約までも解除することを得るものとしたに過ぎ
ないのであつて、所論のように賃貸人が同条項により賃貸借契約を解除するまでは
賃貸人の承諾を得ずしてなされた賃借権の譲渡叉は転貸を有効とする旨を規定した
ものでないことは多言を要しないところである。されば所論は結局事実審である原
審がその裁量権の範囲内で適法になした証拠の取捨判断若くは事実の認定を非難し、
或は民法六一二条を誤解し正当な原判旨を論難するに外ならないのであつて採用の
限りでない。
 よつて民訴四〇一条九五条八九条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は全裁判官一致の意見である。
  昭和二六年五月三一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    眞   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔

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