弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人両名に関する部分を破棄する。
     被告人Aを免訴する。
     被告人Bに対する本件公訴事実中関税法違反の点につき同被告人を免訴
する。
     同被告人を罰金二〇〇〇円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金二〇〇円を一日に換算した
期間同被告人を労役場に留置する。
     押収にかかる粳精米二九瓩の換価代金一一八八円はこれを同被告人から
没収する。
     当審における被告人Bの国選弁護人に支給した訴訟費用は同被告人の負
担とする。
         理    由
 被告人Bの弁護人田渕洋海の上告趣意並びに被告人A本人及び同被告人の弁護人
高桑瀞の各上告趣意は末尾添附のとおりである。
 職権により調査するに、被告人Bに対する本件公訴事実中関税法違反の点及び被
告人Aに対する本件公訴事実は、これを要約すれば、右被告人両名は、C外数名と
共謀の上、税関の免許を受けないで、南西諸島中のa島方面へ貨物を密輸出し、又
同地から本邦に貨物を密輸入しょうと企て、(一)昭和二五年四月一八日岡山市b
下より被告人B外二名に対する同年一二月二二日附起訴状添附別紙犯則物件一覧表
記載の貨物を機帆船Dに積載してa島に向つて出帆し同年四月二七日同島「c」に
到着し、その頃右貨物を陸揚げして該貨物の密輸出をなし、(二)同年五月五日頃、
同c地において、前掲貨物と交換した砂糖五二五六斤、海人草二六二斤を前記Dに
積載して出帆し、同月八日頃山口県E港に前記砂糖、海人草を陸揚げしてこれを密
輸入したものであるというのである。
 そして右各行為の当時には、右南西諸島a島は旧関税法(昭和二四年五月一四日
法律六五号により改正された明治三二年法律六一号)一〇四条、昭和二四年五月二
六日大蔵省令三六号により旧関税法の適用については外国と看做されていたのであ
るが、昭和二七年二月六日大蔵省令五号により、右大蔵省令三六号は改正され昭和
二七年二月一一日以降は右地域は外国と看做されなくなり本邦の地域とせられるこ
ととなつた。従つて同日以降は右各関税法違反の事実のような、税関の免許を受け
ないで貨物を右地域に輸出する行為及び右地域から貨物を輸入する行為は、右大蔵
省令改正の結果として、何ら犯罪を構成しないものとなつたのであつて、これによ
つて右行為の可罰性は失われたものというべく、被告人両名の右各関税法違反事件
は、刑訴三三七条二号にいう「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当す
るものと解しなければならない(昭和二七年(あ)第二四五六号、同三二年一〇月
九日大法廷判決参照)従つて原判決中被告人両名に関する部分は、各被告人の弁護
人等及び被告人A本人の各上告趣意に対する判断をするまでもなく、これを破棄し
なければ著しく正義に反するものと認める。よつて刑訴四一一条五号を適用し原判
決中被告人両名に関する部分を破棄し、同四一三条但書、四一四条、四〇四条、三
三七条二号により主文二、三項のとおり各被告人にそれぞれ免訴の言渡をなし、被
告人Bに対する本件公訴事実中食糧管理法違反の事実(原判決判示第三)を法律に
照すと食糧管理法九条、三一条、同法施行令一一条、同法施行規則四七条、罰金等
臨時措置法二条一項に該当するので所定刑中罰金刑を選択し、所定罰金額の範囲内
において、同被告人を罰金二〇〇〇円に処し、右罰金を完納することができないと
きは、刑法一八条により金二〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置
すべきものとし、押収にかかる粳精米二九瓩(但しその換価代金一一八八円)は、
同被告人の本件食糧管理法違反行為を組成したものであつて、同被告人以外の者に
属しないから同一九条一項一号、二項に則りこれを同被告人から没収し、訴訟費用
の負担につき刑訴一八一条一項本文を適用し主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 安平政吉出席
  昭和三二年一二月二〇日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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