弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役2年6月に処する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成22年3月25日午後9時45分ころ,A市B区Ca番地b被告
人方において,夫甲から同人の殺害を依頼されてこれに応じ,殺意をもって,同人
の頚部にさらしを巻いて絞めつけるなどし,よって,そのころ,同所において,同
人を頚部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。
(証拠の標目)略
(法令の適用)
罰条刑法202条
刑種の選択所定刑中懲役刑を選択
刑の執行猶予刑法25条1項
訴訟費用の負担刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
1本件は,被告人が,長年介護をしてきた夫である被害者に依頼されて同人を殺
害したという嘱託殺人の事案である。
2本件犯行によって,被害者の尊い生命が失われており,結果は重大である。
また,犯行の態様は,さらしの一端をベッドの柱にくくりつけて被害者の首に
巻き,自らの体重をかけて思い切り引っ張り,数十分間にわたり,力の限り絞首
した上,絞首後も間違いなく窒息死させようと,水に濡らした手ぬぐいを口や鼻
の上に乗せ,数十分間にわたり両手で体重をかけて押し付けたというのであるか
ら,非常に強固な殺意に基づいた,冷徹で非情な犯行といえ,その際の被害者の
肉体的苦痛の大きさも看過できない。
もっとも,被告人は,被害者が約36年前に不慮の事故によって頚髄を損傷し
て以来,本件に至るまでの長期間にわたって,同人の指示に従い,日常生活の全
般についてほぼ単独で献身的な介護を行ってきたところ,平成21年10月ころ
から同人が帯状疱疹に苦しみ,平成22年3月中旬ころからは食事も摂らなくな
り,みるみる衰弱していく様子を目の当たりにし,犯行当日,「お母さん,もう
だめだよ。」,「1分でも1秒でも早くやってくれ。」と同人から殺害を懇願さ
れたことから,同人を殺害することを決意し,その直後に本件犯行に及んだもの
であって,被害者の介護に自らの半生を捧げ,同人の指示に忠実に従う生活を送
る中で,被告人自身の利欲などは全く介在させずに,痛みに苦しむ被害者の懇願
に従って本件犯行に至ったという経緯や動機には同情の余地がある。しかしなが
ら,被告人は,入院治療を拒む被害者の意向に従うのみで,往診医や行政機関は
もとより,看護師の次女にすら相談することなく,病院や施設における適切な介
護・診療を受けさせず,被害者の殺害依頼に盲目的に従っており,この点はやは
り安易かつ短絡的であるといわざるを得ない。
急速に高齢化が進行する現代社会において,介護者が介護の末に被介護者を殺
めたという本件については,一般予防の見地からも,厳正に対処する必要がある。
以上に照らせば,被告人の刑事責任は重いというべきである。
3しかしながら,前記のとおり,本件犯行に至る経緯や動機には同情の余地があ
る。また,被告人は,殺害後間もなく自ら110番通報して自首をし,捜査段階
から一貫して事実を認め,当公判廷においては「お父さんの供養をしながら生き
ていきたい。」などと述べ,後悔や反省の情を示している。さらに,被告人は,
現在70歳と高齢である上,前科前歴がなく,既に相当期間身柄を拘束されてい
る。以上に加えて,次女は,被告人の処罰を望んでおらず,当公判廷に出廷し,
被告人と同居した上で今後の監督と更生への支援を約束している。これらは被告
人にとって酌むべき事情である。
4以上のような諸事情を総合考慮し,被告人に対しては,主文掲記の刑を科した
上,その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(求刑懲役2年6月)
(裁判長裁判官大熊一之,裁判官島田環,裁判官津島享子)

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