弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人が被控訴人に対してなした昭和五三年一
一月二日付し尿浄化槽清掃業許可取消処分を取消す。訴訟費用は第一・二審とも被
控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求め
た。
当事者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり付加するほか原判決事実摘示のと
おりであるからこれを引用する。
(控訴代理人の陳述)
本件処分については、許可処分の許可期間の経過にもかかわらずなおその取消しを
求める利益がある。その理由は次のとおりである。
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という)第九条第
二項第二号、第七条第二項第四号ロは、し尿浄化槽清掃業の許可申請をした者が前
に同法所定の許可事業につきその許可を取消されたことがある場合には、その取消
後二年間右し尿浄化槽清掃業の許可を受けることができない旨定めている。ところ
で、右にいう許可取消処分につき、裁判所が行政事件訴訟法第二五条第二項により
その処分の効力を停止する決定をした場合は、廃棄物処理法第七条第二項第四号ロ
にいう二年間の欠格期間の進行も停止されるものと解される。そして、原審は昭和
五四年三月二〇日控訴人に対するし尿浄化槽清掃業の許可を取消す旨の本件処分の
効力を本案判決確定に至るまで停止する旨の決定(同年五月一日確定)をした。従
つて、控訴人に対する前記二年間の欠格期間についても、右停止決定によりその期
間の進行は停止されたものとみるべきである。そうすると、控訴人は、本件処分が
取消されない限り、本案判決確定後においても欠格期間の未経過を理由に前記清掃
業の許可を受けられないことになるのであるから、この点において控訴人は本件処
分の取消しを求める利益を有するというべきである。
二 廃棄物処理法第九条第二項第二号、第七条第二項四号ハによれば、し尿浄化槽
清掃業の許可申請をした者が、その許可申請にかかる事業に関し不正又は不誠実な
行為をするおそれがある場合には、その者に対しその事業を許可しないものとされ
ているところ、申請人が前に同種事業の許可を取消されたという事情は、右法条に
いう不許可事由の認定に重大な影響を及ぼすことが明らかである。従つて、本件処
分の存在は将来控訴人が同種事業の許可申請をなす場合に控訴人に不利益に作用す
ることが明らかであるから、この点においても控訴人は本件処分の取消しを求める
利益を有するというべきである。
(被控訴代理人の陳述)
一 控訴人の右主張第一項は争う。行政処分の執行を停止する決定がなされた場合
にも控訴人主張の欠格期間は取消の日から進行するものというべきであり、控訴人
に対する欠格期間は昭和五五年一一月六日の経過によつて満了している。
二 同第二項は争う。本件処分の存在が将来控訴人に不利益に作用するかも知れな
いが、それは事実上の不利益に過ぎず本件行政処分の取消しによつて回復すべき法
律上の利益ということはできない。また、将来現実に本件処分が存在することのた
めに控訴人がその主張の事業につき許可を受けられなかつた場合には、その不許可
処分について改めて裁判所に対しその当否の判断を求めれば足りるというべきであ
る。
○ 理由
当裁判所も本件訴を却下すべきものと判断するものであつて、その理由は、次に付
加するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるからこれを引
用する。
一 控訴人は、廃棄物処理法第九条第二項第二号、第七条二項第四号ロにいう欠格
期間は許可取消処分の効力を停止する旨の裁判によつてその進行を停止すると主張
する。しかし、行政事件訴訟法第二五条にいう処分の効力の停止は、将来に向つ
て、処分の効力の発生を停止する(したがつて、本件のように許可取消処分の取消
の裁判がなされる以前に許可期間が満了した場合は、執行停止の裁判以降許可取消
処分は遂にその効力の余地がなくなる)というにとどまり、処分がなされたこと自
体には何ら影響を及ぼすものではなく、控訴人主張のように許可取消処分の効力停
止の裁判により欠格期間の進行が停止されると解すべき法律上の根拠はない。した
がつて控訴人の右の主張は採用できない。
二 次に、控訴人は、本件処分が取消されない以上、控訴人は右処分の存在によつ
て新たな不利益処分を受けるおそれがあるから、控訴人は右処分の取消しを求める
利益があると主張する。しかし、控訴人の主張する不利益は、単なる事実上のそれ
にとどまり、法律上の不利益とは認め難いから、控訴人の右の主張も理由がない。
三 よつて、控訴人の本件訴を却下した原判決は相当とし、本件控訴は理由がない
として、これを棄却し、控訴費用につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して
主文のとおり判決する。
(裁判官 真船孝允 伊藤豊治 富塚圭介)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛