弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 被告人の弁護人溝淵照信上告趣意第一点について。
 「心神喪失ノ主張ト心神耗弱ノ主張トハ全然別個ニシテ、従ツテ所論ノ如ク前者
ハ後者ヲ包含スルモノト為スベキニ非ス故ニ原判決カ心神喪失ノ主張ニ対シ判断ヲ
示セル以上心神耗弱ノ点ニ付判断ヲ遺脱シタル不法アリト為ス所論ハ採用スルヲ得
ス」(昭和七年(れ)第一四二一号同年一二月八日大審院判決)とした大審院の判
例があることは所論のとおりである。しかし、又「心神喪失ト心神耗弱トハ精神障
碍ノ程度ノ強弱ニヨル差異ニ外ナラスシテ而モ後者ハ前者ニ比シ障碍ノ程度弱キモ
ノナレバ……心神耗弱ノ状況ニ在ラサリシコトヲ判断シタル以上当然心神喪失ノ状
況ニ在リタリトノ主張ヲ排斥シタルモノト謂ハサルベカラス」(昭和八年八月三〇
日大審院判決)とすることも亦大審院の判例である。しかるに、第一審判決は弁護
人がなした、被告人は犯行当時心神耗弱の状態にあつたとの主張に対し、之を排斥
し被告人はそのような状態にはなかつたとの判断を示しているのであるから、仮り
に、右弁護人の主張の外に被告人から心神喪失の状態にあつたとの主張があつたと
しても、第一審判決は被告人の右主張も排斥したものといわなければならない故に
第一審判決は大審院の判例と相反する判断をしたものとはいえない。次に原判決は
控訴趣意書に包含された事項について調査を尽していないというが左様な事実のな
いことは原判決自体で明らかであるし、又原判決は審理不尽の違法があるとの論は
刑訴第四〇五条に規定する事由にあたらないこと明らかである。
 同第二点、第三点について。
 右第二点の論旨は、事実誤認の主張であり第三点は量刑不当の主張であつて何れ
も刑訴第四〇五条に規定する事由にあたらないこと明らかである。
 同第四点。
 しかし憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは偏頗や不公平
のおそれのない組織と構成をもつた裁判所による裁判を意味し、個々の事件につい
て、その内容実質が具体的に公正妥当な裁判を指すものではないことは当裁判所の
判例とするところである。(昭和二二年(れ)第四八号同二三年五月二六日大法廷
判決)従つて、原判決には、法律の要求する調査を行わず、又証拠の取捨判断を誤
つた違法があるとしても之を以て公平な裁判所の裁判ではないということはできな
い。
 被告人の上告趣意について。
 論旨は原判決の事実認定を非難するもので刑訴第四〇五条に規定する事由にあた
らないこと明白である。
 以上本件上告は上告申立の理由とできない事由を理由とするか又はその申立の理
由がないこと明らかなものであり又刑訴第四一一条を適用すべきものと認められな
いから刑訴第四〇八条に則り之を棄却し、訴訟費用の点につき同法第一八一条を適
用し主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見である。
  昭和二五年四月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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