弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴はこれを棄却する。
     当審における未決勾留日数中九十日を本刑に算入する。
         理    由
 弁護人吉村節也、同上田誠吉の控訴趣意並びに被告人り控訴趣意は、同人等提出
の各控訴趣意書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
 弁護人の控訴趣意総論第三点(事実誤認)について
 原審挙示の証拠によれば「A」がBの後継紙たることを認め得るのてあつて、さ
ればこそ昭和二六年一月二三日法務総裁名義をもつて、C党機関紙「B」の後継紙
として「A」編輯印刷発行人Dに対し、発行停止命令を伝達執行したもの(記録編
綴の法務府特別審査局長名義の「A」発行停止に関する証明書の記載)てあつて、
「A」を右「B」の後継紙と認定した判決には所論のような審理不尽または事実誤
認はないから、論旨は理由がない。
 <要旨第一>また「B」の後継紙たるにはC党の機関紙であることは必しも不可欠
の要件ではなく、論説、記事、その主義主張の内容が「B」と同一傾向
を有することと、その編輯者、発行者、発行所、配布網その他の情況とを綜合して
認め得るものと解すべく、本件において押収されている「A」「B」その他の押収
品竝びに本件記録に現れた全証拠を綜合すると「A」は「B」の後継紙たる要件を
備えたものと認め得るから、この点の論旨も採用することはできない。
 同第四点(法令適用の誤)について
 <要旨第二>「A」発行停止の根拠となつた最高司令官の前記指令は虚偽、煽動
的、破壊的な共産主義者の宣伝の播布を阻止する目的をもつてなされた
ものであることが明かであるから右新聞の編集、印刷、出版、運搬、頒布、その他
右宣伝の播布の為にする一切の行為を包含するものと解せられるから、原判決が、
被告人の右「A」の頒布行為をもつて、指令に所謂発行々為と解し、右所為をもつ
て前記指令の趣旨に違反したものと認めたのは相当であつて、所論のような違法は
なく、論旨は失当である。
 第五点(憲法違反)について
 <要旨第三>日本国憲法第二十一条は言論出版の自由を保障しているが、もとより
個人が社会国家の構成員である以上、その自由と雖絶対無制限に許され
るものでないことは当然であつて、さればこそ憲法第十二条は、この憲法が国民に
保障する自由及び権利はこれを濫用してはならない。また常に公共の福祉のために
これを利用する責任を負うことを規定しているのである。殊に日本の占領と管理の
施行の為に立てられた政策を実行する為の一切の権力を有する最高司令官の指令の
誠実な実施履行は日本国政府及び日本国民の義務とされている占領下において、而
して本件「A」は連合国最高司令官の指令により、「B」及びその後継紙並びに同
類紙が、虚偽、煽動的、破壊的な宣伝をして人心を撹乱し公共の安寧と福祉とを侵
害することを目的として言論の自由を濫用し、平和的民主的社会では黙視できない
ものとして、その癸行停止の措置を要求されたものであつて、このような公共の福
祉からする禁止制限は憲法第二十一条の規定の精神を侵すものということはできな
い。論旨は採用することはできない。
 同各論第三点の(一)について
 <要旨第四>原判決が証拠に引用した各写真に顕出されてある文書の存在について
は、各写真につきなされた検察官乃至は検察事務官の認証又は証明文に
よつてこれを確認できるし、又右文書の内容については朗読の手続が履践されてい
ることは、原審第一乃至第三回公判調書の記載を通覧すると明白であつて、原審が
右文書の写真をその存在と意義内容が証拠となる証拠物として取調べたことは必し
も違法ではなく、本件と同性質の事件が全国各地において審理されていることが記
録及び証拠物によつて窺はれる本件のような場合に、その原本を一々各事件に提出
することが極めて困難である場合には右のような証拠調の方法は許されるものと解
すべく従つて論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 谷中薫 判事 中村匡三 判事 真野英一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛