弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人らは「原判決を取消す、原判決添付別紙その一図面表示のイロハニホ
ヘトチリヌルヲワカヨタレソツネナラムウヰノオクヤマケフコエテアサイの各点を
順次結ぶ線で囲まれた地域が控訴人所有の三重県一志郡a村bc番のd山林一畝六
歩同所c番のe山林三反四畝三歩同所c番地山林四畝二二歩であることを確認す
る。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代
理人は主文同旨の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用および書証の認否は、左記のほか
原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
 (控訴代理人らの陳述)
 一、 本件土地の範囲について
 (一) 控訴人が本件山林三筆として主張する山林は原判決添付別紙その二図中
赤線で囲んだ部分である。右図面レーカ線の東側はc番のfであるところ、本件山
林三筆はc番のfとともに、かつてc番の一筆の土地を形成していたのであるか
ら、本件山林三筆は右c番のfに接していなければならない。右c番のfの東、
北、南側に本件山林三筆が存在しないことは明らかであるから、その西側すなわち
レーカ線の西側に接して本件山林三筆の存することはきわめて明らかである。c番
とg番の公図上の位置について考えてもc番がg番の東側に存することは明白であ
り(公図上土地の位置そのものが間違つているという事例は考えられない)、本件
山林三筆はレーカ線の西側より始まり中尾(ツーイ線)の北西側を含む山林全体に
該当する。もつとも中尾より北西の部分中にh番の山林が含まれているかどうかに
ついては、同番の土地は公図上も本件山林三筆とは接していないし、c番の山林に
比しきわめて小さいから、橋本山は本件山林より成りh番は無関係であると考え
る。
 (二) 仮に本件山林三筆が原判決添付別紙その二図中赤線で囲んだ範囲全部で
はなく、そのうちの一部の土地であると判断されるならば、本訴は境界確定の性質
を有するものであるから、本件山林三筆の存在場所を確定の上、被控訴人所有山林
との境界の確定を求めるものである。
 二、 訴外Aが本件山林三筆をh番の山林として被控訴人に売渡したとの点につ
いて
 (一) 訴外Aがh番の山林を被控訴人に売渡した際当事者による現地の指示は
なされておらず、登記簿上の売買であるから、右訴外人より被控訴人に売渡された
のは登記簿上h番の山林に該当する部分のみであつて、本件山林三筆に該当する部
分が売渡されたことにはならない。(橋本山全体をh番として売買したという事実
はない)。
 (二) およそ被控訴人は本件山林の隣地所有者なのであるから当然村図も熟知
しており隣地関係も認識していたであろう、その被控訴人が数筆の山林を一筆とし
て買受ける誤ちを犯すなどということは全く想像できないところである。まして本
件山林三筆とh番の面積を対比すると本件山林三筆がはるかに大きいからこれを契
約の対象からつけ落すことはあり得ない。
 三、 控訴人が本件山林を買受けるに至つた事情について
 (一) 本件山林は訴外Aが売りに出したものであつて、その話を控訴人方にも
つてきた訴外Bは「本件山林はヨシガ谷にある筈であるが現在の所有者Aは山林の
現状にくらく土地を明示することはできない」と申向けたのみで、落地(事実上は
売却済であるが登記洩れになつている土地のこと)であるという話はなかつた。
 (二) 控訴人は早速本件山林の登記簿を調べたところ、本件山林にはかつて農
工銀行を抵当権者とする抵当権が設定せられた事実を発見し銀行が抵当権を設定す
る以上本件山林が現実に存在するのは勿論のこと、ある程度立木があるにちがいな
いと考え、訴外Aがh番を被控訴人に売却するに当つて現地を指示していない以上
これらの山林の境界は明確ではないかもしれないが、その場合には地籍図等公の図
面から割り出せば本件山林の所在場所も自然判明すると考えたので、本件山林三筆
を訴外Aのいうとおり金三万、五〇〇〇円で買受けるに至つたのである。
 (三) かくて本件山林のうち二筆は登記もでき一筆も事実上買受けたことにな
つたので、控訴人は隣地との際目を入れる必要を生じ被控訴人に立会を申入れたと
ころ、被控訴人は「自分もよく判らないからよく調べて入れてくれ、自分は立会わ
ない」とのことであつたので、控訴人はやむなく「一応自分の方で際目を入れるか
ら後日苦情があつたら申出てくれるよう」と言つた上、村図を参考にして原判決添
付別紙その二図の赤線で囲んだ部分に際目を入れるに至つたのである。
 (四) その後被控訴人の番頭である訴外T、Uの両名が控訴人に対し本件山林
売渡方を希望し代金七万円で、訴外Gに権利がついているc番及び訴外Cに権利が
あるc番のfについては控訴人がこれを取得するに要した実費を更に加えるとの条
件を示したが、控訴人は他人に謝礼もしたことであるから一〇万円なら売つてもよ
いと答えたのである。
 (五) その後控訴人と被控訴人との間で交渉がもたれ本件山林と被控訴人所有
の山林(価格四〇万円程度)と交換する話が殆ど成立するところまでいつていたと
ころ、被控訴人が本件山林は自分の山であり、これに対して金銭を支払う必要がな
いとの理由で拒絶したため交換は中止された。そのうち控訴人は逮捕勾留されるに
至り家族が生活費等に困窮し、控訴人の妻Dの兄訴外Eが控訴人に無断で本件山林
を訴外Fに代金一二〇万円で売却した。そのうちDに手交された金員は四九万円程
度であり、そのうち一五万円は訴外Gの権利を消滅させるために同人に手交されて
いるから、控訴人方の手取は約三四万円にすぎなかつた。
 (六) 控訴人は本訴の提起された後訴外F(原審脱退原告)より本件山林を買
戻したのであるが、その際同人に金三〇万円を支払つているので控訴人は殆ど利益
を得ていない。以上の事情を通覧すれば控訴人が暴利を目当てに権利証のみを買受
けこれを被控訴人に売りつけんとして本件山林を買受けたものでないことは明らか
であろう、勿論現地が明白でない土地を買受けるということには若干の投機性もあ
り、控訴人が自己の土地を管理し得ない訴外Aから格安に山林を買受けてこれを適
当な方法で管理し、又は将来これを処分してある程度の利益を得ようとしたことは
事実であるが、それは社会的にみて違法だとか公序良俗違反だとかいわれる筋合の
ものではなく、特に本件山林が山であるとの特質に着目するときには社会生活上許
容されうべき性質の取引であることはいうまでもない。
 (七) 要するに、被控訴人が本件山林三筆を訴外Aより取得しこれを落地とし
ておいた事実はないから被控訴人は本件山林につきなんらの権利を有しないもので
あり、仮に本件山林を被控訴人が管理していた事実があるとしても、それは被控訴
人の錯誤もしくは強欲によるもので正当な権利者たる控訴人に対してはなんらの権
利を主張し得ないものである。
 仮に本件山林が落地であつたとしても、控訴人が本件山林につき所有権を取得し
これが登記を経由した経過においてなんら反社会性、違法性の存在しない以上、被
控訴人は正当な登記簿上の権利者たる控訴人に対しその所有権を対抗し得ないもの
である。
 (被控訴代理人の陳述)
 一、 本件土地の範囲について
 (一) 控訴代理人ら主張のごとく一筆の土地を分割した場合分割された土地が
いずれも隣接するのが自然であるが、必ずしも例外がないとはいいがたい。明らか
に同一番地より分筆せられたと認むべき山林が理由は不明であるが現実には飛地と
なつて存在する事例はあり、殊に本件の場合はc番のfの山林がレーカ線の東側に
あるや否やも不確実である。すなわち本件山林は単に登記簿上所有権が移転された
にすぎず、その所在場所は明確でない。元来被控訴人は本件山林三筆は中尾の西北
部にも存在せず結局控訴代理人らの主張する範囲内には存在しないと主張するもの
であるが、仮に中尾の西北部に存在するものとすれば、被控訴人が訴外Aよりh番
山林として買受けた部分に含まれていると主張するのである。
 控訴人の主張するh番山林の位置についての主張も主として公図を基本としての
所論であり、その位置も現地において控訴人の指摘し得ないものであり、公図の位
置は誤つているから乙第一号証の二の図面に示されている位置が正しいものであ
る。
 (二) 控訴代理人は本訴をもつて境界確認の性質を有するというが、本訴は明
らかに所有権確認の訴であるから本件三筆の山林の所在を主文において確定する必
要なきものである。
 二、 (一)被控訴人が訴外Aよりh番山林を買受けた際には土地売渡証書(乙
第一号証の一、二)により売買がなされ右の附図、(乙第一号証の二)によりその
所在場所は明瞭であり、右場所に存在せる訴外A所有の山林全部をh番山林として
買受けたのであるから、仮にその場所に本件山林三筆が含まれて存在していたとし
ても当然これも売買の目的物に含まれていたものというべきである。
 (二) 山林の所有者は必ずしも村図などを熟知しているものでない。のみなら
ずh番山林買受の衝に当つたのは訴外H(被控訴人の義父)であり、同人は中尾の
西北部にある訴外A所有山林(当時茶山といわれていた)全部をh番として買受け
たもので、その山林内に本件山林三筆が含まれているとは考えず、被控訴人もその
ような考えは毛頭なかつたのである。仮に、本件三筆の山林がそこに含まれるもの
と仮定すれば当然これをも買受けたことになる旨を主張するにすぎない。従つて本
件山林三筆とh番山林と面積を対比しての控訴代理人らの主張は適切ではない。h
番の山林の公簿面積より現地面積が広いということも山林の常であつて不思議では
ないから被控訴人が広い中尾の西北部をh番と思料したとしても誤りはない。
 三、 控訴人が本件山林を買受けるに至つた事情として控訴代理人らの主張する
事実のうち(三)の被控訴人が自分も際目がわからないといつた点、自分は立会わ
ないといつた点、控訴人が後日苦情があつたら申出てくれといつた点、(四)の被
控訴人の番頭が控訴人に対し控訴代理人ら主張の条件により金七万円で売渡方を希
望したこと、それに対する控訴人の回答(五)のその後における控訴人と被控訴人
間の交換の話合の内容、被控訴人の拒絶の理由、本件山林が訴外Fに売却せられた
事情、売却代金の分配等についての事実は否認する。(五)の控訴人が逮捕勾留せ
られたこと、控訴人の家族が生活に困窮したとの点は知らない。
 (三) の事実の控訴人が際目を入れるという話があつた際被控訴人は「忙しい
から二、三日待つてくれ」といつたところ、控訴人は「境界を入れてくるから間違
つていたら訂正してくれるよう」といつて帰つたのであり、被控訴人はその後一〇
日ないし二週間して山林へいつたところ、控訴人の入れた印は間違つていたので全
部消し、被控訴人の山の印を入れた次第である、(五)の交換の話合は、本件三筆
の山林の権利証と被控訴人所有の別の山林(時価三〇万円)とを交換することであ
つたが、控訴人の方より右山林は小さいからなお別に二〇万円をつけよといい出し
たので被控訴人は話合を打切つた次第である。
 四、 要するに控訴人は本件三筆の山林が権利証のみあつてその所在が不明であ
るにかかわらず、現実に存在するとせば多額の価値(係争地は立木を含めて当時一
五〇万円以上の価値があつた)あるものと評価し、永年にわたつて被控訴人が占有
管理してきたことを熟知しながらこれを無視し、たまたま公図のh番の位置が被控
訴人が同番地として買受けた場所と異なることに着目し、本件係争地域に本件三筆
の山林の所在が該当するものと想定し、権利証を買受けてこれを被控訴人その他に
売りつけるか、所有権を主張して波乱をおこし利得を得んと企てたものである。
 五、 しかしながら、中尾の西北部を除いた係争地内には到底本件三筆の山林の
存在の余地なくその所在は全く不明であるが、これを係争地域に求むれば中尾の西
北部すなわちh番として買受けた地に含まれると考えざるを得ない。控訴代理人ら
主張のごとく本件係争地全部が本件三筆の山林に該当すると仮定するときは、g
番、h番の両山林は事実上その姿を消すこととなり、かかることは到底あり得ない
ところというべきである。
 (新立証)
 控訴代理人らは甲第二八号証を提出し、当審証人I、J、A、E、Dの各証言、
控訴本人尋問の結果並びに検証(第一回)の結果を援用し、乙第一八、第一九号証
の成立を認め同第二〇号証の成立を不知と述べた。
 被控訴代理人は乙第一八ないし第二〇号証を提出し、当審証人K、L、M、N、
O、P、Q、Rの各証言並びに検証(第一、二回)の結果を援用し、甲第二八号証
の成立を認めた。
         理    由
 当審における当事者双方の主張立証を勘案してなした当裁判所の判断によるも被
控訴人の請求は失当であつて棄却すべきものと考える。その理由は、左記のほか、
原判決の説示するとおりであるから、原判決の理由記載を引用する。
 一、 原判決九枚目裏七行目「ワ点」とあるは「ツ点」の、同一〇枚目裏六行目
「合計九反六畝」とあるは「合計約八反六畝」の、同一四枚目表七行目「G」とあ
るは「S」のそれぞれ誤記と認めて訂正し、同一一枚裏一一行目の「第二八号証」
を削除する。
 二、 本件土地の範囲について
 控訴代理人らは本件山林三筆は原判決添付別紙その二図中レーカ線の東側にある
c番のfに接していなければならない旨主張する。
 しかしながら一筆の土地を分割した場合に分割された土地が隣接するのを通常と
するが、必ずしも例外がないわけでなく、飛地として存在する事例があることは否
定し得ないところであり、本件山林三筆がc番のfと接していないことは、なんら
原認定を左右するものではない。
 控訴代理人らは公図上の位置について考えてもc番がg番の東側にあることは明
白であるというが、そもそも公図が誤つていることは原判決説示のとおりである。
控訴代理人らは公図上土地の位置そのものが間違つている事例は考えられないとい
うが、原審並びに当審における検証の結果(各一、二回)と公図(成立に争のない
甲第五号証)を対照すれば、公図の記載が現地と違つていることは明らかである。
従つて公図が正確であることを前提とする控訴代理人らの主張は採用できない。
 なお控訴代理人らは本件山林三筆が原判決添付別紙その二図中赤線で囲んだ範囲
全部ではなく、そのうちの一部の土地と判断されるならば、その存在場所を確定の
上、被控訴人所有山林との境界の確定を求めるというが、本訴は所有権確認の訴で
あるから訴の変更の手続なくして境界の確定を求める控訴代理人らの主張は失当と
いうべきである。
 三、 控訴代理人らは訴外Aと被控訴人間の売買は登記簿上の売買であるから、
被控訴人に売渡されたのは登記簿上h番の山林に該当する部分のみであつて、本件
山林三筆に該当する部分が売渡されたことにはならない旨主張する。
 しかしながら、訴外Aと被控訴人間の売買契約は現地についてなされたものでは
ないとはいえ、右契約書には附図が添付され、売買目的山林の位置形状が明示され
ていることは原審における被控訴本人尋問の結果により成立を認めうる乙第一号証
の一、二に徴して明らかであり、右附図と当審並びに原審における検証の結果(各
第一、二回)によつて認められる本件山林の位置形状を対比して考察するときは、
被控訴人はh番山林の売買契約において本件山林三筆を合せて買受けたとみるべき
こと原判示のとおりである。よつて控訴代理人らの右主張は失当である。
 四、 以上説示のとおり本件山林は被控訴人が訴外Aより買受けたものの、登記
もれとなつていたというべきで、控訴代理人ら主張のいわゆる「落地」にあたると
いわねばならない。従つて被控訴人が本件山林を管理し来つたことはなんら錯誤に
よるものではないこともちろんである。
 控訴代理人らは控訴人が本件山林につき登記を取得している以上、被控訴人は正
当な登記簿上の権利者たる控訴人に対抗し得ない旨主張する。
 <要旨>しかしながら民法第一七七条にいわゆる「登記がなければ対抗し得ない第
三者」とは登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者をいう
のであつて登記の欠缺を主張することが信義則に反するいわゆる「背信的悪意者」
のごときは右の第三者より除外さるべきものと解せられる。
 本件についてこれをみるに、原判決挙示の各証拠と本件口頭弁論の全趣旨によれ
ば、(1)控訴人は訴外Aより現地の全く不明な権利証を村図の記載から本件山林
と推測し、その時価を一二〇万円に相当すると評価しながら(右認定に反する控訴
本人の当審における尋問の結果は同人の原審における供述と対比して措信できな
い)「落地」譲渡の危虞を有する同訴外人からこれを僅か三万五、〇〇〇円で買受
けたこと、(2)控訴人の右買受の目的は被控訴人において未だその土地について
登記をうけていないのを奇貨とし、被控訴人に対し右権利証を高価で売りつけ巨利
を博しようとするにあつたこと、(3)控訴人は被控訴人に対するこれが買取の交
渉が不調となるや、訴外F(原審脱退原告)に金一一〇万円余で転売したこと(尤
も当審証人D、同Eの各証言によれば右転売は控訴人の受刑服役中のことで現実に
Dの入手した金員は四八万円にすぎないことが認められるが、控訴人に相談の上右
転売のなされたことは右矢倉証人の証言によつて明らかであつて、控訴人が全く右
転売に関与していないとは認められない)、(4)訴外Fが本訴を提起するや、控
訴人は狼狽して右権利証を金三〇万円で買戻したことが認められる。
 以上の各事実に徴すれば、控訴人が本件山林につき登記を経由した経過において
すでに反社会性、違法性を否定し得ないものがあるというべく控訴人は畢竟いわゆ
る落地の権利証を落地と知ればこそ、地価の三〇分の一にも満たざる著しく不当な
安値で買受け、これを被控訴人との取引の具に供するため本件係争地域について自
己の所有と主張するものであつて、このような主張は信義則に反するものというべ
きである。従つて右のような信義則に反する主張をなす控訴人は「背信的悪意者」
として被控訴人は登記なくしてこれに対抗しうるものと解すべきであるから、控訴
代理人らの主張は採用できない。
 五、 以上の次第ゆえ、当審の判断と同一結論に出た原判決は相当であつて、本
件控訴は理由がないからこれを棄却すべきものとし、民事訴訟法第三八四条、第九
五条、第八九条に従い主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 成田薫 裁判官 黒木美朝 裁判官 辻下文雄)

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