弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人岩田嘉重郎、同中嶋輝夫の上告理由について。
 まず、第二順位の抵当権者と第一順位の共同抵当権者との関係についてみるに、
たとえば、債権者が債務者所有の甲、乙二個の不動産に第一順位の共同抵当権を有
し、その後右甲不動産に第二順位の抵当権が設定された場合、共同抵当権者が甲不
動産についてのみ抵当権を実行したときは、右共同抵当権者は、甲不動産の代価か
ら債権全額の弁済を受けることができるが(民法三九二条二項前段)、これに対応
して、第二順位の抵当権者は、共同抵当権者に代位して乙不動産につき抵当権を行
なうことができるものとされている(同条同項後段)。したがつて、共同抵当権者
が、右抵当権の実行より前に乙不動産上の抵当権を放棄し、これを消滅させた場合
には、放棄がなかつたならば第二順位の抵当権者が乙不動産上の右抵当権に代位で
きた限度で、右第二順位の抵当権者に優先することができないと解すべきである(
大審院昭和一一年(オ)第一四八号、同年七月一四日判決、民集一五巻一七号一四
〇九頁参照)。
 つぎに、第二順位の抵当権者と物上保証人との関係についてみるに、右の例で乙
不動産が第三者の所有であつた場合に、たとえば、共同抵当権者が乙不動産のみに
ついて抵当権を実行し、債権の満足を得たときは、右物上保証人は、民法五〇〇条
により、右共同抵当権者が甲不動産に有した抵当権の全額について代位するものと
解するのが相当である。けだし、この場合、物上保証人としては、他の共同抵当物
件である甲不動産から自己の求償権の満足を得ることを期待していたものというべ
く、その後に甲不動産に第二順位の抵当権が設定されたことにより右期待を失わし
めるべきではないからである(大審院昭和二年(オ)第九三三号、同四年一月三〇
日判決参照)。これを要するに、第二順位の抵当権者のする代位と物上保証人のす
る代位とが衝突する場合には、後者が保護されるのであつて、甲不動産について競
売がされたときは、もともと第二順位の抵当権者は、乙不動産について代位するこ
とができないものであり、共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄しても、なんら
不利益を被る地位にはないのである。したがつて、かような場合には、共同抵当権
者は、乙不動産の抵当権を放棄した後に甲不動産の抵当権を実行したときであつて
も、その代価から自己の債権の全額について満足を受けることができるというべき
であり、このことは、保証人などのように弁済により当然甲不動産の抵当権に代位
できる者が右抵当権を実行した場合でも、同様である。
 これを本件についてみるに、原判決(その引用する第一審判決を含む。)は、そ
の挙示する証拠により、(一)訴外株式会社D銀行(以下、Dという。)が、昭和三
〇年九月三〇日、訴外Eを主債務者とし、同F、同Gおよび被上告人を連帯保証人
として貸越契約を締結し、右契約に基づいて、Eが無尽給付を受けた場合の債務、
手形割引、貸付その他Dに対して負担することあるべき一切の債務を担保するため、
Eはその所有する原判示第一目録記載の(1)ないし(3)の不動産、Fはその所有す
る同(4)の不動産(以下、右(1)ないし(4)の不動産を第一物件という。)につい
て、債権極度額金二五〇万円の根抵当権を設定して各その登記を経由し、ついで、
昭和三〇年一二月一三日、被上告人がその所有する原判示第二目録記載の不動産(
以下、第二物件という。)について債権極度額金五〇万円の根抵当権を設定してそ
の登記を経由したこと、(二)右第一物件に対する根抵当権と第二物件に対する根抵
当権とは、それぞれの極度額の限度で共同抵当権の関係にあること、(三)上告人は、
昭和三二年三月二〇日、第一物件について債権額金二〇〇万円の抵当権設定登記を
経由した次順位の抵当権者であること、(四)昭和三二年五月二七日当時EのDに対
する債務は金一〇五万一一三七円であつたが、被上告人は、Dに対する掛込金債権
金七八万円をもつて右債務の支払に相殺充当し、昭和三二年六月六日残額金二七万
一一三七円を支払つてEの債務を完済したこと、(五)そして被上告人は、同日第一
物件について根抵当権移転の付記登記を経由し、また第二物件についてDの根抵当
権設定登記の抹消登記を経由したこと、(六)その後被上告人が、第一物件に対する
前記抵当権の実行として競売の申立をしたところ、競売手続がすすめられ、その売
得金について原判示配当表が作成されたこと、の諸事実を認定しているのであるが、
前に説示したところに徴すれば、右事実関係のもとでは、被上告人は、右第一物件
の売得金から自己の右求償権の全額に満ちるまで支払を受けることができるものと
いうべきであつて、これと同趣旨の原審の判断は是認することができる。原判決に
所論の違法はなく、論旨は採用するに足りない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

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